30 / 30
7歳
大切な日3(茜side)
しおりを挟む気合いを入れてみたものの中々扉を開けることが出来ない。
若林さんも車を停めに行ってしまったし、交代時間なのか庭には誰も居なくて私一人だ。
「ふーーーー。」
大きく息を吐いてドアノブに手をかけた。
「ただい「「「お誕生日おめでとう!!」」」」
「えっ」
「茜ねーさま!お誕生日おめでとうございます!」
キラキラと嬉しそうに笑う優に戸惑いが隠せない
「茜ちゃんおめでとう」
お母様...なんで、今日仕事じゃ……直哉兄様、月都、寿人、父様、アリサみんないる屋敷のみんなここに居る
「な、んで私の誕生日…忘れてたんじゃないの…?」
良かった良かった。安心してポロポロと涙が出てくる。
「え、え、おねーさま泣いて…お母さまどうしよう僕のせいですよね……僕がサプライズしようって言ったから」
サプライズ……そうだったんだ。
「グスッありがとう、優。姉様嬉しい!!」
不安な顔を見せた優を抱っこして頭を撫でると嬉しそうに顔が綻んだ。
「よし。夕食にしようか。今日はスペシャルなご飯だよ」
父様が私の頭を撫でながらそう言った。
スペシャル……?
みんな私のために集まってくれたのかな
久しぶりの家族全員揃っての夕食にワクワクする。
「お姉さま!ぼくもプレゼント用意したので楽しみにしててください!」
可愛い可愛い優の言葉にキュゥと胸が閉まる。
そうだよ。私の誕生日を忘れる家族じゃないもん。
「茜様」
「アリサ?」
スっと後ろから顔を出したアリサは不安そうな顔を私に向けた。
「大変申し訳ございません。お祝いの言葉を言いたかったのですが止められていた為言えなかったのです。お嬢様がご不安になるならば…」
アリサは私が不安だったこと知っていたんだ。でも
「大丈夫よ。ありがとうアリサ。優のサプライズのおかげで嬉しさも倍になったわ!ありがとうアリサ、優」
ダイニングルームに着くとみんな決まった席に座った。
いつも中々埋まらない席が埋まるとこんなに嬉しいなんて思ってもみなかった。
それほど揃って食事をしていなかったのだ。
学校が忙しい時はここへ来ず自室で食べることもあった。中等部の時は簡単だった勉強も高等部に上がると難易度がグンと上がり生徒会や習い事も相まって勉強に集中できないことがあった。その時は部屋に籠っていた。
今思うとストレスが溜まっていたのかなと思う。そんな私を癒してくれたのは優だった。夕食に顔を出さない私の部屋に毎日来て少し話をして帰っていくのだ。そんな短い瞬間が楽しくてなんとか自分を保てた。
「おねーさま?」
「あぁ、うん。ごめんね、ありがとうね」
ありがとうという言葉が何を指しているか分かっていない優がハテナを浮かべて首を傾げている姿がとても愛らしい
「よし!改めて茜ちゃんお誕生日おめでとう。あんなに小さかった茜ちゃんがこんなに大きく可愛く綺麗になってお母様はとても嬉しいわ。17歳の誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます…!」
お母さんの言葉に涙がこぼれそうになる
「茜、おめでとう!もう17歳か早いなぁ…17歳楽しんで。愛しているよ。」
みんな一人一人お祝いの言葉を言ってくれてもうこれだけで顔がぐちゃぐちゃになりそうだけど最後まで綺麗な顔で居たいもん……
ーーーーーーーーーーー
って思ってたけど最後の優とアリサの言葉で撃沈。誰にも見せれないような顔になっている
「お姉様……大丈夫?」
「ヴッ、ンだいじょっブ」
「みくさんおねがーーい!」
優が大きな声で叫ぶとズラズラと料理人が夕食を持ってくる。
?
私の大好物ばっかりだ。優が決めてくれたのかな?
「ふふっ」
「?どうかじましたかっ、?なおやにーさまズビ」
「茜大丈夫?」
「ぁい」
「茜ねーさま!じつはねじつはね!このご飯僕が考えて僕も一緒にお料理したんだ!」
……?
…………?
………………?
優がお料理?私の可愛い可愛い優がお料理?
ギラッと直哉兄様を睨むと降参と言わんばかりに両手を挙げた
「大丈夫。火や包丁とか危ないものは使わせてないよ。盛り付けとかだよ安心して。そんなの僕がさせるわけないでしょ」
たしかに直哉お兄様がそんな失態を起こすことはない。
「お姉様……嫌だった……?」
ブンブンと首を横に振り優に抱きついた
そんなわけないじゃない!!私の優が私のために作った料理を喜ばない訳が無いじゃない!!
「ありがとう…ゅう」
やばいまた涙が出てきちゃう
ーーーーーーーーーーー
「ごちそうさまでした。」
優の作ってくれたご飯は美味しくて一生残しておきたい位だった。
誰か開発してくれないかな?
プレゼントも沢山貰って幸せで幸せで時が止まればいいのにと何度思ったか。
プレゼント貰う度に号泣する私は見事に目が腫れている。
そんなことどうでもいいくらい楽しい楽しい時間だった。
「今日は本当にありがとうございました!」
こんな幸せな日々がずっとずっと続きますように。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お久しぶりです。
本当に書かなさすぎて記憶が…
矛盾点があるかもしれません…すみません……次は年齢を変えますので少し話を進展させるつもりです…多分…
167
お気に入りに追加
2,203
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(29件)
あなたにおすすめの小説

推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

嫌われ者の僕が学園を去る話
おこげ茶
BL
嫌われ者の男の子が学園を去って生活していく話です。
一旦ものすごく不幸にしたかったのですがあんまなってないかもです…。
最終的にはハピエンの予定です。
Rは書けるかわからなくて入れるか迷っているので今のところなしにしておきます。
↓↓↓
微妙なやつのタイトルに※つけておくので苦手な方は自衛お願いします。
設定ガバガバです。なんでも許せる方向け。
不定期更新です。(目標週1)
勝手もわかっていない超初心者が書いた拙い文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。
誤字などがありましたらふわふわ言葉で教えて欲しいです。爆速で修正します。

悪役令息、皇子殿下(7歳)に転生する
めろ
BL
皇子殿下(7歳)に転生したっぽいけど、何も分からない。
侍従(8歳)と仲良くするように言われたけど、無表情すぎて何を考えてるのか分からない。
分からないことばかりの中、どうにか日々を過ごしていくうちに
主人公・イリヤはとある事件に巻き込まれて……?
思い出せない前世の死と
戸惑いながらも歩み始めた今世の生の狭間で、
ほんのりシリアスな主従ファンタジーBL開幕!
.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
HOTランキング入りしました😭🙌
♡もエールもありがとうございます…!!
※第1話からプチ改稿中
(内容ほとんど変わりませんが、
サブタイトルがついている話は改稿済みになります)
大変お待たせしました!連載再開いたします…!

弟は僕の名前を知らないらしい。
いちの瀬
BL
ずっと、居ないものとして扱われてきた。
父にも、母にも、弟にさえも。
そう思っていたけど、まず弟は僕の存在を知らなかったみたいだ。
シリアスかと思いきやガチガチのただのほのぼの男子高校生の戯れです。
BLなのかもわからないような男子高校生のふざけあいが苦手な方はご遠慮ください。

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

【運命】に捨てられ捨てたΩ
雨宮一楼
BL
「拓海さん、ごめんなさい」
秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。
「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」
秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。
【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。
なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。
右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。
前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。
※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。
縦読みを推奨します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
面白くて夢中で読んじゃいました!
また続きが投稿されるのを楽しみにお待ちしてます!!
面白い作品をありがとうございます。
あああ…私の好きなタイプの作品です(*^^*)
続き楽しみにしてます(*^^*)
更新ありがとうございます!
続きがとても楽しみです!
お体に気をつけて更新なさってください!
ありがとうございます( *´︶`*)
次の更新もいつになるかはまだ分かりませんので気長にお待ちください…