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7歳
大切な日2(茜side)
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「……あ~。誕生日……誕生日ね。誕生日?!」
「お前もしかして本気で忘れてたわけ?」
はぁ?というように拓翔は呆れたような顔で私を見た。
「…うん」
いや。割と本気で頭から抜けていた。最近忙しかったのもあるが、何より今朝誰にもそれを触れられなかった事が大きい。
「……優とアリサに会ったのに……誰にも……おめでとうって言われなかった……」
別に言われなかったからと言って泣く年齢でもないし駄々を捏ねる訳でもない。けれど寂しいものは寂しい。
「は?まじ?」
「……」
俯いてる私を見て拓翔は頭をかいてため息をつく
「俺があげたやつ見てみろ」
あげたやつということは私が持っている小さい箱だろうか
「…これ?「はやくしろよ」
いつもながら態度が悪い拓翔に少しイラッとしながら拓翔がくれたプレゼントを開けてみると、碧色のジュエリーが装飾されているネックレスが2つ入っていた。
気を抜くと見とれてしまいそうなほど綺麗な色に優を思い出す。
「お前が優くんの目の色が碧色で綺麗って言ってたからお前と優くんとのお揃いで2つ特注で作って貰ったんだ。サイズは店に持っていけば調整してもらえるから優くんにつけて貰って調節して自分で店に持ってけ」
その子が気に入るかは分からないけどな、と付け足し照れながら私を見る拓翔に咄嗟に抱きついた。
「だくとぉ~~ありがど~」
「うぉわ!危ないな…てかお前泣いてんの?」
家族に祝って貰えなかった事と拓翔のプレゼントが嬉しい気持ちでよく分からずわんわんと号泣する私に、はいはいと背中をさする拓翔の手があたたかい。
ーー
「泣き止んだか?」
「うん…」
「お前これから授業なのに目腫らしてどうすんだよ」
……そうだ。あと15分ちょっとで朝のホームルームが始まる。完全に忘れてた。
「しゃーない。俺が先生に言っといてやるからお前1時間くらいここで休んでろ。」
保健室にそんな顔で行ったら先生ビビんぞと余計な事を言い残し拓翔は教室に行ってしまった。
「今日帰りたくないなぁ…」
誰も居ない生徒会室で1人ネックレスを見ながらため息をついた。
ーーーーーーーーーー
「…さま…!茜様!」
「あ。ごめん……」
「大丈夫ですか?」
運転席のミラーから心配そうに見つめるのは最近入ったばかりの使用人で基本私専用の送り迎えを担当している若林隆也。まだ24歳で若く、代々使用人の家系と言っていた。
確か隆也のご両親が叔父様に就いていたと聞いたことがある。そのご両親も今はお爺様の使用人としてまだまだ現役で働いているそうだ。
「……若林さん…誕生日って忘れられたことある?」
「はい?」
何を言っているんだ?という顔をしている若林さんに少し恥ずかしくなって赤面してしまった。
あー!!!!!私何言ってるのよショックすぎておかしくなった?
「……大丈夫ですよ。絶対に。」
「え?」
「私は幸いながら家族にも友達にも恵まれまして、忘れられた。ということはないですが、もしご両親やご友人に忘れられたならば茜様が思う存分怒ってあげてください。だれだって忘れられたら悲しいですもんね」
少し心が軽くなった気がする。そうだよね!忘れるなんて酷い!って言わないと。誰だって忘れられたら悲しいもの。
「若林さん。ありがとう」
そんな若林さんにおめでとうございますと可愛くラッピングされた茶色のくまさんを貰った。
凄く可愛い。大切にしよう。
そんなこんなで屋敷に到着し大きい庭をとぼとぼと心の準備をしながら歩いていく。
「よし!茜がんばれ!」
「お前もしかして本気で忘れてたわけ?」
はぁ?というように拓翔は呆れたような顔で私を見た。
「…うん」
いや。割と本気で頭から抜けていた。最近忙しかったのもあるが、何より今朝誰にもそれを触れられなかった事が大きい。
「……優とアリサに会ったのに……誰にも……おめでとうって言われなかった……」
別に言われなかったからと言って泣く年齢でもないし駄々を捏ねる訳でもない。けれど寂しいものは寂しい。
「は?まじ?」
「……」
俯いてる私を見て拓翔は頭をかいてため息をつく
「俺があげたやつ見てみろ」
あげたやつということは私が持っている小さい箱だろうか
「…これ?「はやくしろよ」
いつもながら態度が悪い拓翔に少しイラッとしながら拓翔がくれたプレゼントを開けてみると、碧色のジュエリーが装飾されているネックレスが2つ入っていた。
気を抜くと見とれてしまいそうなほど綺麗な色に優を思い出す。
「お前が優くんの目の色が碧色で綺麗って言ってたからお前と優くんとのお揃いで2つ特注で作って貰ったんだ。サイズは店に持っていけば調整してもらえるから優くんにつけて貰って調節して自分で店に持ってけ」
その子が気に入るかは分からないけどな、と付け足し照れながら私を見る拓翔に咄嗟に抱きついた。
「だくとぉ~~ありがど~」
「うぉわ!危ないな…てかお前泣いてんの?」
家族に祝って貰えなかった事と拓翔のプレゼントが嬉しい気持ちでよく分からずわんわんと号泣する私に、はいはいと背中をさする拓翔の手があたたかい。
ーー
「泣き止んだか?」
「うん…」
「お前これから授業なのに目腫らしてどうすんだよ」
……そうだ。あと15分ちょっとで朝のホームルームが始まる。完全に忘れてた。
「しゃーない。俺が先生に言っといてやるからお前1時間くらいここで休んでろ。」
保健室にそんな顔で行ったら先生ビビんぞと余計な事を言い残し拓翔は教室に行ってしまった。
「今日帰りたくないなぁ…」
誰も居ない生徒会室で1人ネックレスを見ながらため息をついた。
ーーーーーーーーーー
「…さま…!茜様!」
「あ。ごめん……」
「大丈夫ですか?」
運転席のミラーから心配そうに見つめるのは最近入ったばかりの使用人で基本私専用の送り迎えを担当している若林隆也。まだ24歳で若く、代々使用人の家系と言っていた。
確か隆也のご両親が叔父様に就いていたと聞いたことがある。そのご両親も今はお爺様の使用人としてまだまだ現役で働いているそうだ。
「……若林さん…誕生日って忘れられたことある?」
「はい?」
何を言っているんだ?という顔をしている若林さんに少し恥ずかしくなって赤面してしまった。
あー!!!!!私何言ってるのよショックすぎておかしくなった?
「……大丈夫ですよ。絶対に。」
「え?」
「私は幸いながら家族にも友達にも恵まれまして、忘れられた。ということはないですが、もしご両親やご友人に忘れられたならば茜様が思う存分怒ってあげてください。だれだって忘れられたら悲しいですもんね」
少し心が軽くなった気がする。そうだよね!忘れるなんて酷い!って言わないと。誰だって忘れられたら悲しいもの。
「若林さん。ありがとう」
そんな若林さんにおめでとうございますと可愛くラッピングされた茶色のくまさんを貰った。
凄く可愛い。大切にしよう。
そんなこんなで屋敷に到着し大きい庭をとぼとぼと心の準備をしながら歩いていく。
「よし!茜がんばれ!」
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