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7歳
お爺様
しおりを挟む「おいし」
お昼ご飯に出てきたカリカリの香ばしいバケットを少しずつ食べるがこれがとても美味しい。
この上に生ハム乗っけてオリーブオイルかけて食べると絶対美味いなぁ…
じゅるっ
だめだよだれが……
次はバケットの上にポテトサラダを載せよう
…ああお母様のポテトサラダが食べたい
ここの家のシェフが作ってくれるポテトサラダとお母様のポテトサラダは全く違う。
シェフのポテトサラダは少しお酢が入っていてその上俺の嫌いな人参が大きな体をして居座っている……その人参は食べきれなくて残したご飯の下に入れて一緒に残す。
勿体ないとは思うが本気で嫌いなのだ。特にカレーの中の人参が1番嫌いだ。……だっておっきいし…
……だからこのポテトサラダは少し苦手なのだ。
その点お母様が作ってくれるポテトサラダは酢も入ってなく人参も薄くて小さ目でとても俺好み!
ちなみに寿人兄様はシェフのポテトサラダの方が好きらしい。
家族でもどちらがいいか分かれるのが面白い。
「優ちゃんおいし?」
「はい!」
今ここにいるのは、お母様と月都兄様、茜姉様が居る。
土曜日なのに寿人兄様と直哉兄様は学校の用事らしくお父様は出張に1泊行っている。
楽しかったピクニックももう1週間前の事だ。
……時間が過ぎるのが早い。
また行きたいな
バンッ!!!!!!!!!!!!!!!!
ビクッ
急な大きな音に怖くなって体を丸めて耳を塞ぐ
「優、大丈夫よ。私がいる。」
「…ね、ねぇさま……」
ブルブルと震える自分の小さな体を止まるように強く抱きしめる。
前世ではなんとでもなかった事も優だと違う事も多々ある。
…多分俺は大きな音が苦手だ。小さな子供だからだろうか?大きな音を聞くと無性に怖くなる。
「優ちゃん大丈夫よ。私が見てくるから」
「お母様1人では心配です。俺もついて行きます……使用人達は何をしているんだ……?」
お母様と月都兄様、そしてお母様付きの執事さんがダイニングルームの扉へと向かう。
バンッ
「ここにいたか!!!」
姉様に抱っこされていた俺は知らない声に驚いて顔を上げるとスーツをビシッと決めた、白髪をツーブロックの七三でオールバックにしているイケおじが居た。
……誰?
「お、お父様っ?!」
お母様の驚いた声が室内に響き渡る。
……???お父様……?!
お母様の?え?
「ハァハァ………ふぅ…。一成様こちらに来る際はせめて一言でも言ってくだされば……」
「最近忙しすぎて全く休む暇がなかったからな、当分休みでな。それで来てみたんだ。見ておきたいものもあるしな……」
「……もしかしてお父様専用の裏口から入ったんですか……」
「いや、まぁあ。うん、まぁあ……」
目が泳いでいる…一成様…?は分かりやすいんだな……
「もう!あれほど辞めて欲しいと言ったのに!お父様は変わらないんですから…………先に教えていただければちゃんと正門からおもてなし致しましたのに」
「うん。次からは気をつけるよ。」
もしお母様のお父様なら俺のお爺様…?
髪は白髪だが孫が何人も居る年齢には見えない……てかお母様にそっくりだな……
「それで?優は?」
…………俺?!
チッ
お姉様の華麗な舌打ちが俺の耳に届く。
いや、こわっ
お姉様は俺を下ろして手を繋いでお母様とお爺様らしき人の方へ向かう。
「……優ちゃん。昔会ったことあるのだけど覚えてないわよね。この方は私のお父様で優ちゃんのお爺様の早川 一成様よ」
「…………あぁ……優……2人にそっくりだな……」
「お父様、その話はここでは」
「そうだったな。すまん。優、久しぶりだな…元気か?」
「…………は、はい。」
やばい絶賛人見知り発揮してて中々上手く喋れない。
「失礼しますお爺様。お久しぶりです月都です。少し優の体調が優れないため今日は優は失礼させて頂きます。」
ぐ、ぐっじょぶ月都兄様!
「ああ、そうか。気づかなかったな。うん、また明日遊ぼうな」
「明日?!お爺様明日もここにいらっしゃるのですか?!」
「そのつもりだぞ。客間空いてるだろう。そこに泊まらせてもらう。」
「泊まり……?用意は……」
「用意は既に執事に持ってこさせている……いいじゃないか元々俺の屋敷なんだしな、あ。今もそうか。」
「分かりました……お好きにして下さい……」
「もちろん。そうさせて貰うつもりだったよ。」
お母様は疲れたような顔をして俺に手を振った。
父が来てくれて嬉しくないのかな……?
けど俺ももう少しお爺様と話してみたかったから、まだ話せるのは嬉しい。
……明日には喋れるようにでしょ……人見知りなんてクソくらえだ!
顔面蒼白だった俺を部屋まで送ってくれてお茶も出してくれた。
「優?大丈夫かい?」
「はい!」
「そう言えば2人きりでお話するのは久しぶりだね」
「そうですね」
「……どうだい……?」
……なんて答えれば正解なんだ…?
「嬉しいです!」
それを聞いたお兄様は満面の笑みを見せて満足のいったような表情をしていた。
「そっか、それは良かったよ。定期的に優のお部屋で2人きりでお茶するのもいいかもね」
「そ、そうですね!」
「……」
「……」
何だこの間は
これはあの質問をするしかないな……
「お、お兄様って好きな人居るんですか?!」
「いるよ。」
即答かよ!!!!
「どんなひとなんですか??」
「んー?内緒だよ」
そう言って僕の唇にお兄様の人差し指をつけた
「時が来たらその子に告白するつもりだよ……楽しみだなぁ……」
悪い笑みを浮かべているお兄様にゾッとする。
告白される子。ご愁傷さまです。
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