うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨

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7歳

ひろみくん

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コンコン

「失礼します」
き、き、きた、きたよ!!!

入ってきたのは父様と……おじいさん……なのか?
父様と同じ位の身長でスーツを着こなしている。綺麗に染められている黒髪はとても綺麗だ。その綺麗な顔も若々しさを引き立てているのだろう。とても孫がいる風には見えない。

「優様、お初にお目にかかります。石川 直之いしかわ なおゆきと申します。国語を担当させていただきますので、よろしくお願いします。」

深く頭を下げた石川さんに驚いて俺も頭を下げる

「有栖川 優です!こちらこそよろしくお願いします!」

「そして、私の孫の大海ひろみ 9歳で、優様のお相手になればと連れて参りました」
父様が頼んでくれたんだよなぁ……嬉しい……


直之さんの影に隠れて見えなかった子が前に歩いて来る。
……わ。綺麗……
とても顔が整っている。おじいさん譲りの黒髪に綺麗な切れ長の二重、そして小さな唇。
会う人会う人みんな異次元な顔の綺麗さだな……

目の前の男の子に見惚れていると頬を赤くして、小さな唇が動いた。


「はじめまして。………………ぼ、僕を下僕にして下さい!」


「はい。………………はいっ?!」
げ、下僕????いや、友達の間違いだよきっと!

「と、友達ですよね……?」

「いえ!下僕に!優様のためならなんでも致しましょう!」

2歳年下になんて事言ってるの?
いや、下僕なんて要らないんだけど……どうしよう…………そうだ!分からない作戦にしよう!下僕?何それ美味しいの?的に!


「ひろみさん……げぼくって……なに?」
い、いける!これなら何も知らずに終えれる!


「こら大海!優様になんて事を言うんだ!」


「げぼく……」

「……優!その言葉はもう忘れようね?」
青い顔をして僕を抱き上げた父様は子供をあやす様に背中をさする。

「も、も、申し訳ございません……!優様が美しすぎて……」

「あの……けぼく?はよく分からないですけど、お、お、おともだちになってくれませんか?!」

大海くんが目を見開いて僕を見ているとどんどん顔が赤くなっていく。

な、なんで?!

「ぜ、是非!!!!!僕なんかで良ければ……!誠心誠意仕えさせていただきます!」
仕えるって…友達になりたいんだけどなぁ。

「あの、おともだちに……」

「優、大海くんとは後で時間を作るから今から勉強について石川さんにお話を聞こうね。」

「……わかりました……」

「じゃあ頑張ってね優。さて大海くんお茶でもしようか」

2人が出ていったあと直之さんが教科書を持ってテーブルの上に置き、対面するように座った。

勉強が前世と変わらなかったら小1の問題ってすげぇ簡単だよな……天才設定してみたいけど高一までしか出来ないし、教科書の進み具合に合わせよう。

小1の教科書か……平仮名ばかりでつまんなそう……せめて小5くらいがいいな……


「さて、優様今日は来週からする事の流れを説明して終わりとなります。」

当たり前だけど小1の教科書からやるらしく中を見てみただけで眠れそうだった。しかも毎回授業の終わりに復習として宿題を少し出すらしい。

やっぱ宿題あるかぁ

教科書をじっくり見てみたが、前世とあまり変わったところもなく、有名な詩の人達も名前は同じだった。

「では、来週からお願いします。」

「はい!よろしくお願いします!……それと、優様はやめてほしいんですけ
ど……」
 
「いえ、でも」

「僕がいやなんです!…ダメですか?」

「……分かりました。優くんと呼ばせていただきます。敬語はご容赦ください…」
次は敬語をやめてもらおうと思ってたのに、バレてたか……

「美紅さん!父様とひろみさんはどこにいるの?」

「はい。ダイニングルームでお2人を待たれております。」

それを聞くと直之さんとダイニングルームへ向かった。



ーーーーーーーーー

「ああ、優!」

「父様!」

知らない人と長時間2人きりなんて優では無かったので、父様を見て何故か安心して抱きついた。

「わ、優どうしたんだい?……お疲れ様」

「ゆ、優様……お疲れ様です!」
おどおどして俺を見る大海くんはなんか可愛い

「ひろみさん!僕の部屋でお話しましょ!」

「いいのですか?!」

「ゆうっ」

「もちろん!父様いいですよね……?」
上目遣いで父様に訴える、

「っ……俺の負けだ、2人で話してきなさい。けど早くね?」

「はい!」

大海くんの手を引いて僕の部屋へ早歩きで行く



「……ここが優様のお部屋……」

「どーぞ!」
なんも無い部屋にキラキラした目を向けている

「ひろみさん!様はやめてください!ふつーに!ふつーに!」
大海くんは眉を八にして本気で悩んでいる

「…………では、優くん……で……」
直之さんと同じだ。本当は呼び捨てがいいんだけどな……

「あとけいごも!タメ口でいいです!」

「いえ、それは無理です。」
なんで敬語だけだめなの?!

「優くんもタメ口でいいですよ!」
ほらほら!と犬のように待っている大海くんに押されてしまう

「わ、わかった……ひろみさんもタメ口で良いですからね!」



その後沢山お喋りをした。
大海くんはいま小学3年生で兄様達と同じ学校に通ってるらしい。既に中学までの勉強も終わらせてるというのに驚いた。
大海くんのお父さんが有名企業の取締役をしていてやっぱりお金持ちらしい。
いつか学校で会える時が来るかもしれないとわくわくする。
お兄さんも居るみたいで仲がいいそうだ
1度会ってみたいな

大海くんと喋るのがすごく楽しくてすぐに時間は過ぎて行く


「失礼します。優くんそろそろ私共は帰ろうと思います…」
え、もう帰るの?もっとお話したかった

「優くん!来週も暇な時も来ますから!また沢山話しましょう!」
落ち込む俺に笑顔で励ましてくれる大海くん…会えてよかった


「うん!」


有栖川優。無事!お友達(?)が出来ました!










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や、やっと、優にお友達(?)が……!!!!!
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