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5歳
決行1
しおりを挟むふぁあぁあ
「よく眠れた~」
あんなにワクワクしてたのに普通にすぐ寝れた。5歳の体恐るべし!!
さて美紅さんが来る前に細工をしておかないと。
布団を蹴ってお腹を出して寝たフリをする。
風邪だと少し大事になってしまいそうなので今日1日お腹を下して暖かいベッドで寝ているという体にする。
お腹を出して寝ていたなんて恥ずかしくてしぬ!今日は部屋にいる!とでも言っておけば多分大丈夫だろう。
さ、あと10分後位に美紅さんが来るはずだ。
ーー
「ゆ……さ……起きてください」
美紅さんの声に目が覚めた。
あれ?寝ちゃってた??
起き上がって壁掛け時計を見ると15分が経過していた。
……なんかお腹痛いし……
「おはようございます。そんなにお腹を出して、お風邪を召されますよ」
そ、そうだ演技演技
「…みくさん、すこしお腹いたいかも…?」
お腹をさすりなが少し首を傾げる。
やはりという顔をして俺の乱れた服を直した。
「では、お薬とはちみつレモン。湯たんぽも持って参りますのでベッドの上で少し横になっていて下さい。」
「みくさん!あの、みんなには言わないで??…………僕お腹だしてねてたなんて、みんな知られたら、はずかしくてしんじゃう!」
演技でも感情的になると目がうるうるした。流石5歳児。
「し、しぬ?……分かりました。では他言無用で、秘密裏にお薬などお持ち致しますね。」
俺が死ぬとか言ったから焦っているのかいつもなら5歳の俺に使わない難しい言葉を連発している。
美紅さんは青い顔をしながら部屋を出ていった。
……成功で良いんだよね?
今日はずっと部屋にこもって寝ていよう。お昼ご飯は良いけど、流石に晩ご飯に居なかったら怪しまれて部屋に来そうだ。どうしようか…
美紅さんが持ってきてくれた飲み物と薬を飲み、湯たんぽをお腹の上に置いて寝た。ただひたすら寝る。
お昼ご飯は部屋に暖かいスープを持ってきてくれた。
テスト最終日の兄達は、学校で少し勉強すると言って早めに家を出ていったらしい。なので兄達にはまだばれていない。
「優様。今日は直哉様、月都様、寿人様、茜様のお帰りが遅くなるそうなので、『先に食べていて』との伝言です。」
「え?う、うん!じゃあ夜ごはんはおへやに、もってきてください!」
「かしこまりました。では失礼致します。」
まじか!!!まじか!!!!ラッキーすぎる!!!!!!!!!!
夜ご飯食べて、すぐに寝たフリをすれば兄達は俺の寝顔を見て行ってしまうだろう。
……幸運すぎる……
顔の表情管理ができない……ニヤニヤしてしまう……
18時まで寝た俺は、ご飯を食べて風呂に入り、歯を磨いて部屋の電気を消しベッドに潜った。
もう20時だ。
まだ兄達は帰ってきていないらしい
今から1時まで起きていないと。
目も冴えているしこのまま本を読んでいれば目的の時間まで余裕だろう。
サイドテーブルの電気をつけてお気に入りのシリーズ本を1巻から読む。
魔法や剣が主流のファンタジーの小説でとても面白い。何回読んでも飽きないのだ。
2巻を読み終わる頃、廊下から足音が聞こえた。
すぐにサイドテーブルの電気を消して本を毛布の中に隠して俺も寝たフリをする。近くの時計を見ると11時を回っていた。
コンコン
控えめなノック音と数人の足音が部屋に響く。
「……寝てるね」
誰かが俺の顔に近づいた気配がした。
この声は直哉兄様か
「あんなつまらない会食に出るなら優と遊びたかったよ…せっかくテストが終わったと言うのに」
「仕方がないですよ、家のためですもの。明日は休みだし優と沢山遊びましょ」
「……俺も…遊ぶ。」
茜姉様と寿人兄様もいる。
その後直哉兄様が不満を零しながら部屋を出た。
……ふぅ……
一気に3人も来るとか心臓に悪すぎる。
バレなくて良かった。
そうだ1番の強敵がまだ居たんだった。
月都兄様。1番この計画を月都兄様にバレてはいけないと思う。
お願いします今日は来ませんように!
そう願いながら毛布の中にある温まった本を読み始めた。
ーーーーーーーーーーーー
深夜1時になった。いや、なってしまった…
なんかすごい緊張する。
あの後は幸いな事に誰も来なかった。
月都兄様はもう寝てるのだろうか?
よし。まず部屋を出よう。
ベッドを降り、スリッパを履いて…いや裸足の方が足音が聞こえなさそう。
「……つめた」
1人で部屋のドアを開ける。
誰もいないのを確認して少し早歩きで廊下を過ぎた。
いつもご飯を食べるダイニングルームの真横に大きな階段があり、そこを下りると玄関へ到着する。はず!
ダイニングルームへはいつも行っているのでもう覚えてしまった。
とりあえず急ごう。
使用人の休憩室はまだ電気がついていて、息を潜めながら前を通る。
……ふぅ…危なかった…
ダイニングルームに着いたのだが、この体何故か疲れている。
はぁはぁ
後は階段を降りるだけ!
これで外へと行ける。
今日は庭だけにしておこう。
俺とて、深夜に屋敷外には行きたくない。知らない土地で迷子になったらたまったものじゃないし。
階段を少しづつ降りていき、大きい扉の前へと着いた。
やっと
やっとだ。
やっと外に出れる。
大きく息を吸って
取手に手をかけ重たい扉を開けた。
「わ」
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