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第3話 百合のレーザー光線銃
しおりを挟む螺旋状の竪穴のスロープを下層に向かって、“ハルク式荷馬車・参式”で走行していく。
しばらく降りていくと、スロープの終点に到着する。
「付きました。ここがミスリル鉱脈の第一階層です!」
到着した先に広がっていたのは、横に伸びている空洞。ボクが横に採掘していった通称“第一階層”だ。
「ここがミスリル鉱脈……凄く綺麗で幻想的ですね……」
設置してある“発光石”に反射して、坑道内のミスリル原石が虹色に輝いている。サラが言葉を失っているように、まるで幻想の世界のような光景が広がっていた。
「ふむ、これがハルクの見つけたミスリル鉱脈か。ワシもこれほど大規模なものは、初めて目にするのう」
ベテランのドワーフ職人のドルトンさんは、前にも別のミスリル鉱山に入ったことがある。だが大地に愛されたドワーフ族ですら、これほどのミスリル鉱脈は発見してないという。
「あっ、でも、下の階層にはもっと沢山のミスリル原石がありますよ! ここはほとんどボクが採掘してしまったので!」
「な、なんじゃと、これよりも、もっと沢山じゃと⁉ ふう……まったく、どれほどの埋蔵量があるのか予想もできないな」
「はっはっは……そうですね」
ミカエル城の地下に広がる鉱脈は、かなりの深さがと埋蔵量がある。ボクが十年かけても、まだ一割も発見できていない状態。
大げさな話をするなら『ミカエル王都の地下深くに、広大な鉱脈は広がっている』ような大規模な鉱脈なのだ。
「ふん。それほどの大規模な鉱脈があるのなら、ミカエル王国はとんでもない超軍事大国になる可能性もあるのう」
「そうですね。だからルインズ様は国王だった時は、最低限の採掘しか指示してきませんでした」
貴重な金属の採掘量は、その国の国力と軍事力を増大させる。
平和を望むルインズ様は『ハルクよ、国民の生活を豊かにする程度の、最低限の採掘をするのだ』と言ってくれた。
だからボクはその教えをずっと守ってきたのだ。
「じゃが、今の国王は何を考えているか分からん。もしかしたら、この鉱脈を悪用する危険性があるのう」
「そうですね。だからヒニクン国王が何をしているか、調べる必要性があるんです!」
ルインズ様の情報によると、今の国王は怪しげなことを水面下している。特に臣下にも内緒で、この鉱脈で何かをしているという。
嫌な予感しかしないボクは、最優先で鉱脈の現状を調べることにしたのだ。
「それじゃ、第二階層に降りていきましょう。ん? サラ?」
“ハルク式荷馬車・参式”を再発進させようとした時、サラの異変に気がつく。
「ご、ごめんなさい、ハルク君。なんか、息苦しくて、身体が重くて……」
サラは明らかに体調が悪そう。
座席に座りながら顔が白くなって、息が苦しそうにしている。隣のドルトンさんの方に異常はない。
これはどういうことだ?
「『息苦しくて、身体が重い』……あっ、そうか! すぐに対処するね!」
サラの容態で思い当たることがあった。急いで運転席の操作パネルのスイッチを入れる。
キュイン! シュ――――!
直後、“ハルク式荷馬車・参式”の床から、空気が噴き出してくる。
キュイ――――ン! ボワ――――ン!
更に床の下から、新たなる駆動音が聞こえてきた。どちらも新たなる超魔具が作動したものだ。
「えっ……もう苦しくない⁉ すごく楽になりました、ハルク君!」
しばらくしてサラの体調が回復する。顔色は元に戻り、元気そうに自分の身体を動かしている。
「さっきの私の体調不良は、なんだったんだろう?」
「説明するのが遅れてごめん、サラ。実はこのミスリル鉱脈は“少しだけ”息苦しくて、身体が重くなる場所なんだ!」
王都の地下にあるミスリル鉱脈は、普通とは少しだけ違う場所。空気に“魔素”が少しだけ濃く混じっているのだ。
また重力と呼ばれる下に引く力が“少しだけ”強く、身体が重く感じしてしまうのだ。
「なるほど、そうだったんですね。あっ、でも、ドルトンさんは?」
「辞典によるとドワーフ族は人族よりも頑丈で、地下に強い体質らしいから、まだ平気だったのかな、たぶん」
大地の精霊に愛されたドワーフ族は、呼吸や骨格などが強靭。そのためドルトンさんに異常はなく、人族のサラだけ苦しくなったのだろう。
「ふむ、そう言われてみれば、ワシも少しだけ違和感があったかもな。だが、今はまったく無くなったぞ。さっき何の超魔具を起動させたのだ、小僧?」
「実はこの空気が出てくるのは、《空気清浄器》という超魔具の機能なんです!」
今回、ミスリル鉱脈に潜るにあたって、“ハルク式荷馬車・参式”に色んな機能を追加してある。
その中の一つが《空気清浄器》。機能を簡単に説明すると、『生きていくうえで適切な空気が流れてくる』超魔具だ。
あまり知られていないが、人は生きていくために“空気”と呼ばれる存在が必要となる。少しでも変なものが混じっていたり、空気が薄くなると人は体調を悪くしてしまう。
だから常に適切な空気が吸えるような超魔具を、事前に開発設置しておいたのだ。
綺麗な空気の元は、サラに作っておいたポーション。それに魔道具を組みわせて、最後にボクの鍛冶仕事でくみ上げたものだ。
「あと、身体が軽くなったのは、《重力制御装置》の機能です!」
こっちの機能を簡単に説明すると、『重力の強さを自由に制御』する超魔具だ。
今回は強くなってきた重力を相殺して、地上と同じ強さに調整。地下に潜っていく度に、自動的に強さを相殺していく機能がある。
ちなみに手動で強さを調整可能なために、逆に重力を強くすることも可能だ。
あっ、でも『人が動けなくなるほど強力な超重力』なんて機能があっても、日常では使い道はないかも。
「……という訳で、荷馬車の中にいる限りは、最下層にも対応できます!」
鉱脈の最下層は、ここよりも更に少しだけ過酷な環境になる。
だがこの二つの超魔具があれば、なんの問題なく降りていくことが可能だと、二人に説明をする。
「く、空気を生み出して、さらに重力を制御できる……じゃと⁉ 相変わらずとんでもない物を作り出しおって、オヌシは。この荷馬車さえあれば、魔界にも乗り込んでいけそうじゃぞ」
「はっはっは……おそれいります」
「でもハルク君の発明のおかげで、快適に先に進めそうですね」
「そうだね、サラ。よし、こんどこそ本当に下層に向かおう!」
超魔具のお蔭で、過酷な環境に対しての対応は万端。
こうして更に下の“第二下層”にボクたちは向かうのであった。
しばらく降りていくと、スロープの終点に到着する。
「付きました。ここがミスリル鉱脈の第一階層です!」
到着した先に広がっていたのは、横に伸びている空洞。ボクが横に採掘していった通称“第一階層”だ。
「ここがミスリル鉱脈……凄く綺麗で幻想的ですね……」
設置してある“発光石”に反射して、坑道内のミスリル原石が虹色に輝いている。サラが言葉を失っているように、まるで幻想の世界のような光景が広がっていた。
「ふむ、これがハルクの見つけたミスリル鉱脈か。ワシもこれほど大規模なものは、初めて目にするのう」
ベテランのドワーフ職人のドルトンさんは、前にも別のミスリル鉱山に入ったことがある。だが大地に愛されたドワーフ族ですら、これほどのミスリル鉱脈は発見してないという。
「あっ、でも、下の階層にはもっと沢山のミスリル原石がありますよ! ここはほとんどボクが採掘してしまったので!」
「な、なんじゃと、これよりも、もっと沢山じゃと⁉ ふう……まったく、どれほどの埋蔵量があるのか予想もできないな」
「はっはっは……そうですね」
ミカエル城の地下に広がる鉱脈は、かなりの深さがと埋蔵量がある。ボクが十年かけても、まだ一割も発見できていない状態。
大げさな話をするなら『ミカエル王都の地下深くに、広大な鉱脈は広がっている』ような大規模な鉱脈なのだ。
「ふん。それほどの大規模な鉱脈があるのなら、ミカエル王国はとんでもない超軍事大国になる可能性もあるのう」
「そうですね。だからルインズ様は国王だった時は、最低限の採掘しか指示してきませんでした」
貴重な金属の採掘量は、その国の国力と軍事力を増大させる。
平和を望むルインズ様は『ハルクよ、国民の生活を豊かにする程度の、最低限の採掘をするのだ』と言ってくれた。
だからボクはその教えをずっと守ってきたのだ。
「じゃが、今の国王は何を考えているか分からん。もしかしたら、この鉱脈を悪用する危険性があるのう」
「そうですね。だからヒニクン国王が何をしているか、調べる必要性があるんです!」
ルインズ様の情報によると、今の国王は怪しげなことを水面下している。特に臣下にも内緒で、この鉱脈で何かをしているという。
嫌な予感しかしないボクは、最優先で鉱脈の現状を調べることにしたのだ。
「それじゃ、第二階層に降りていきましょう。ん? サラ?」
“ハルク式荷馬車・参式”を再発進させようとした時、サラの異変に気がつく。
「ご、ごめんなさい、ハルク君。なんか、息苦しくて、身体が重くて……」
サラは明らかに体調が悪そう。
座席に座りながら顔が白くなって、息が苦しそうにしている。隣のドルトンさんの方に異常はない。
これはどういうことだ?
「『息苦しくて、身体が重い』……あっ、そうか! すぐに対処するね!」
サラの容態で思い当たることがあった。急いで運転席の操作パネルのスイッチを入れる。
キュイン! シュ――――!
直後、“ハルク式荷馬車・参式”の床から、空気が噴き出してくる。
キュイ――――ン! ボワ――――ン!
更に床の下から、新たなる駆動音が聞こえてきた。どちらも新たなる超魔具が作動したものだ。
「えっ……もう苦しくない⁉ すごく楽になりました、ハルク君!」
しばらくしてサラの体調が回復する。顔色は元に戻り、元気そうに自分の身体を動かしている。
「さっきの私の体調不良は、なんだったんだろう?」
「説明するのが遅れてごめん、サラ。実はこのミスリル鉱脈は“少しだけ”息苦しくて、身体が重くなる場所なんだ!」
王都の地下にあるミスリル鉱脈は、普通とは少しだけ違う場所。空気に“魔素”が少しだけ濃く混じっているのだ。
また重力と呼ばれる下に引く力が“少しだけ”強く、身体が重く感じしてしまうのだ。
「なるほど、そうだったんですね。あっ、でも、ドルトンさんは?」
「辞典によるとドワーフ族は人族よりも頑丈で、地下に強い体質らしいから、まだ平気だったのかな、たぶん」
大地の精霊に愛されたドワーフ族は、呼吸や骨格などが強靭。そのためドルトンさんに異常はなく、人族のサラだけ苦しくなったのだろう。
「ふむ、そう言われてみれば、ワシも少しだけ違和感があったかもな。だが、今はまったく無くなったぞ。さっき何の超魔具を起動させたのだ、小僧?」
「実はこの空気が出てくるのは、《空気清浄器》という超魔具の機能なんです!」
今回、ミスリル鉱脈に潜るにあたって、“ハルク式荷馬車・参式”に色んな機能を追加してある。
その中の一つが《空気清浄器》。機能を簡単に説明すると、『生きていくうえで適切な空気が流れてくる』超魔具だ。
あまり知られていないが、人は生きていくために“空気”と呼ばれる存在が必要となる。少しでも変なものが混じっていたり、空気が薄くなると人は体調を悪くしてしまう。
だから常に適切な空気が吸えるような超魔具を、事前に開発設置しておいたのだ。
綺麗な空気の元は、サラに作っておいたポーション。それに魔道具を組みわせて、最後にボクの鍛冶仕事でくみ上げたものだ。
「あと、身体が軽くなったのは、《重力制御装置》の機能です!」
こっちの機能を簡単に説明すると、『重力の強さを自由に制御』する超魔具だ。
今回は強くなってきた重力を相殺して、地上と同じ強さに調整。地下に潜っていく度に、自動的に強さを相殺していく機能がある。
ちなみに手動で強さを調整可能なために、逆に重力を強くすることも可能だ。
あっ、でも『人が動けなくなるほど強力な超重力』なんて機能があっても、日常では使い道はないかも。
「……という訳で、荷馬車の中にいる限りは、最下層にも対応できます!」
鉱脈の最下層は、ここよりも更に少しだけ過酷な環境になる。
だがこの二つの超魔具があれば、なんの問題なく降りていくことが可能だと、二人に説明をする。
「く、空気を生み出して、さらに重力を制御できる……じゃと⁉ 相変わらずとんでもない物を作り出しおって、オヌシは。この荷馬車さえあれば、魔界にも乗り込んでいけそうじゃぞ」
「はっはっは……おそれいります」
「でもハルク君の発明のおかげで、快適に先に進めそうですね」
「そうだね、サラ。よし、こんどこそ本当に下層に向かおう!」
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こうして更に下の“第二下層”にボクたちは向かうのであった。
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