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夢に咲く花
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結局、蜘蛛の巣を焼いて回る作業は、朝までかかった。いや、それだけで済んだと言うべきだろう。
壁で囲まれた半径十五キロの範囲は、一人で回るには広大で、普通ならば数日かけて行われる作業のはずだ。火の蝶がある程度自分で動いたのと、孝宏の六眼が完全に復活していた事もあり、これでも終わるのは早かった方といえよう。
蜘蛛の巣が見つけられずウロウロと迷う最後の蝶を回収すると、孝宏とナキイの二人は飛行船へ戻った。
「ではゆっくりと休むと良い。必要な物があれば言ってくれ。できる範囲だがなるだけ用意しよう」
飛行船に乗り込んだ後、ようやくナキイは孝宏を下ろした。
孝宏は心身ともに、くたくたに疲れていた。何せ、ナキイのスキンシップは孝宏には激しすぎた。ずっとナキイに抱き上げられたまま空が明るくなってくる程に、孝宏も自分たちに向けられた視線に気が付き始めた。
しかし止めて欲しいとも言えず、ずいぶんと恥ずかしい思いをしたものだ。
(たぶん子供だと思われてる。絶対そうだ。だってルイたちはこんなにベタベタしてこないし、扱いが完全に子供だろう……)
朝を迎える時刻まで火の蝶を操り続け、己の失敗が恥ずかしく悶えて叫んでしまいたいのをぐっと堪え、さらには、冬の冷気に晒された鎧に密着し続けたのだから、気力は果てていると言っても過言ではない。
しかしこんなぼろ切れのような格好で冷気をやり過ごせたのは、凶鳥の兆しが体内で暴れ回ってくれたおかげだ。それで苦しい思いもしたが、結果、軽い凍傷程度で済んだのだから良しとするしかない。
「おい!肌を火傷してるじゃないか」
ナキイは下ろして初めて、孝宏のむき出しの肌が赤く腫れていることに気が付いた。
初めはてっきり火に焼かれた時にできたものだと思い込んだ。カダンが孝宏の火は自分自身を焼かないと言い切ったので安心していたが間違いであったと考えたのだ。
しかし孝宏は小さく首を横に振った。
「これは火傷じゃなくて、あっ……何でもないです。どうせすぐに治りますから」
ナキイも人並みの思考回路を持ち合わせている。孝宏が自分に遠慮したと気が付いたし、その原因にもすぐに心当たった。
「凍傷?……もしかして俺の鎧でか」
もしかしても何も、それ以外に考えれないだろう。
真冬に肌をむき出しにいていればどうなるか、冷静になれば容易に予想が付く。暗かったなど言い訳だ。ナキイには周囲が良く見えていた。見えていたのに無意識の内に無視していたのだ。住人の安全と、本来自分が護衛すべき対象を守るために。
「信じられない……何てことだ」
ナキイは己を恥じた。配慮のなさと、たった今自分が吐き出した、己を責める言葉にもだ。
ナキイは向かい合う、怯える瞳と視線がぶつかった。
「いや、あなたのことではない。私の、己の未熟さが情けなくて。でも初めにあなたに謝るべきだった。申し訳けない」
孝宏は首を横に振った。
「しもやけくらい大丈夫です。だって俺、意外と怪我とか治るの早いですし」
「それでもだ。焦って傷を負わせてしまった上に、さっきはきつい物言いもしてしまったし…………」
ナキイが大きく息を吸って吐き出す様子を眺めながら、孝宏は早くこの場を抜け出す方法を考えていた。
魔術は精神力だけでなく、体力も大いに必要とするものらしい。孝宏は謝罪よりも休息が欲しかった。夜通し働き続けていた体は、限界を訴え始めてもう随分と経つ。
「まずは部屋まで送ります。それから手当てをしましょう」
「はい……すみません」
やはり相手は大人だ。孝宏の心を内をすっかり読まれている。
戻った時、部屋には誰もいなかった。もちろんだ。他の四人はまだ巨大蜘蛛と対峙している。
孝宏が自分は魔術に掛かりにくい体質であると伝えると、ナキイはすぐに薬を持って戻ってきた。その間、孝宏は慣れないながらも時間を多少かけながら、鎧を脱ぎ私服に着替えた。
ナキイの用意してくれたお湯で体を拭き、患部を温め、薬を腫れている箇所に塗り、自分で手が届かない場所はナキイに頼んだ。
「その……聞いていいか?」
始終無言で行われていた行為の最中、徐にナキイが気まずそうに切り出した。
「はい、なんでしょう」
会話がないのも気まずかったが、唐突に声を駆けられても緊張が解けるでもない。孝宏は全身を強張らせ上擦った声で返事をした。
「男…………だったんだな」
「あ゛っ」
(ぬあぁぁぁぁぁ……すっかり忘れてた……)
「コレハ……ルイトフザケテイタトキニクモニオソワレタモノデ……ケッシテアヤシイモノデモナクヘンソウシテユウエツカンニヒタッテイタワケデモ、ヨカラヌオアソビヲシテイタワケジャナクテデスネ…………」
「ふっ」
ナキイがたまらず吹きだした。
「いや、責めているんではないんだ。そんなに怯えないでくれ」
緊張が反動か、ナキイの笑いは中々収まらない。
(自意識過剰だって思われたかな)
「そんなに笑わないでください」
「ああ、すまない…………さあ、多分これですべて塗れたと思う」
「こんなこと頼んですみません」
「いや、こちらこそ本当にすまなかった。だいぶきついことも言ってしまった」
きついこととは火の蝶を町中にばら撒いてしまった時、自己嫌悪に陥った孝宏をナキイが諫めた一件だ。
「いえ、あれはヒタルさんが正しいです。あのままだと作戦を進めるどころではなかったでしょうし……」
「しかしだ、軍人でない民間人の君に、我々と同じように立ち振る舞えと言う方が無茶だったんだ。それも忘れて俺は……」
ナキイは真面目に反省しているのだろうが、孝宏には遠回しに使えない奴と言われた気がして、乾いた笑顔を顔に張り付かせた。
つい深読みしてしまう。孝宏の悪い癖だ。
「あ、君が悪いわけは決してない。君は期待以上の働きをしてくれた。命を張って住人を守り、蜘蛛の巣を除去した。民間人として十分すぎて、逆に我々が不甲斐ないくらいだよ」
孝宏の表情は、特にちょっとした視線の動きなど、本人が思っている以上に感情を表している。しかし孝宏はそんなこととはつゆ知らず、心を読まれているのではなかろうかと目を見張る。
「すみません……ありがとうございます」
(完全に気遣われてる……)
壁で囲まれた半径十五キロの範囲は、一人で回るには広大で、普通ならば数日かけて行われる作業のはずだ。火の蝶がある程度自分で動いたのと、孝宏の六眼が完全に復活していた事もあり、これでも終わるのは早かった方といえよう。
蜘蛛の巣が見つけられずウロウロと迷う最後の蝶を回収すると、孝宏とナキイの二人は飛行船へ戻った。
「ではゆっくりと休むと良い。必要な物があれば言ってくれ。できる範囲だがなるだけ用意しよう」
飛行船に乗り込んだ後、ようやくナキイは孝宏を下ろした。
孝宏は心身ともに、くたくたに疲れていた。何せ、ナキイのスキンシップは孝宏には激しすぎた。ずっとナキイに抱き上げられたまま空が明るくなってくる程に、孝宏も自分たちに向けられた視線に気が付き始めた。
しかし止めて欲しいとも言えず、ずいぶんと恥ずかしい思いをしたものだ。
(たぶん子供だと思われてる。絶対そうだ。だってルイたちはこんなにベタベタしてこないし、扱いが完全に子供だろう……)
朝を迎える時刻まで火の蝶を操り続け、己の失敗が恥ずかしく悶えて叫んでしまいたいのをぐっと堪え、さらには、冬の冷気に晒された鎧に密着し続けたのだから、気力は果てていると言っても過言ではない。
しかしこんなぼろ切れのような格好で冷気をやり過ごせたのは、凶鳥の兆しが体内で暴れ回ってくれたおかげだ。それで苦しい思いもしたが、結果、軽い凍傷程度で済んだのだから良しとするしかない。
「おい!肌を火傷してるじゃないか」
ナキイは下ろして初めて、孝宏のむき出しの肌が赤く腫れていることに気が付いた。
初めはてっきり火に焼かれた時にできたものだと思い込んだ。カダンが孝宏の火は自分自身を焼かないと言い切ったので安心していたが間違いであったと考えたのだ。
しかし孝宏は小さく首を横に振った。
「これは火傷じゃなくて、あっ……何でもないです。どうせすぐに治りますから」
ナキイも人並みの思考回路を持ち合わせている。孝宏が自分に遠慮したと気が付いたし、その原因にもすぐに心当たった。
「凍傷?……もしかして俺の鎧でか」
もしかしても何も、それ以外に考えれないだろう。
真冬に肌をむき出しにいていればどうなるか、冷静になれば容易に予想が付く。暗かったなど言い訳だ。ナキイには周囲が良く見えていた。見えていたのに無意識の内に無視していたのだ。住人の安全と、本来自分が護衛すべき対象を守るために。
「信じられない……何てことだ」
ナキイは己を恥じた。配慮のなさと、たった今自分が吐き出した、己を責める言葉にもだ。
ナキイは向かい合う、怯える瞳と視線がぶつかった。
「いや、あなたのことではない。私の、己の未熟さが情けなくて。でも初めにあなたに謝るべきだった。申し訳けない」
孝宏は首を横に振った。
「しもやけくらい大丈夫です。だって俺、意外と怪我とか治るの早いですし」
「それでもだ。焦って傷を負わせてしまった上に、さっきはきつい物言いもしてしまったし…………」
ナキイが大きく息を吸って吐き出す様子を眺めながら、孝宏は早くこの場を抜け出す方法を考えていた。
魔術は精神力だけでなく、体力も大いに必要とするものらしい。孝宏は謝罪よりも休息が欲しかった。夜通し働き続けていた体は、限界を訴え始めてもう随分と経つ。
「まずは部屋まで送ります。それから手当てをしましょう」
「はい……すみません」
やはり相手は大人だ。孝宏の心を内をすっかり読まれている。
戻った時、部屋には誰もいなかった。もちろんだ。他の四人はまだ巨大蜘蛛と対峙している。
孝宏が自分は魔術に掛かりにくい体質であると伝えると、ナキイはすぐに薬を持って戻ってきた。その間、孝宏は慣れないながらも時間を多少かけながら、鎧を脱ぎ私服に着替えた。
ナキイの用意してくれたお湯で体を拭き、患部を温め、薬を腫れている箇所に塗り、自分で手が届かない場所はナキイに頼んだ。
「その……聞いていいか?」
始終無言で行われていた行為の最中、徐にナキイが気まずそうに切り出した。
「はい、なんでしょう」
会話がないのも気まずかったが、唐突に声を駆けられても緊張が解けるでもない。孝宏は全身を強張らせ上擦った声で返事をした。
「男…………だったんだな」
「あ゛っ」
(ぬあぁぁぁぁぁ……すっかり忘れてた……)
「コレハ……ルイトフザケテイタトキニクモニオソワレタモノデ……ケッシテアヤシイモノデモナクヘンソウシテユウエツカンニヒタッテイタワケデモ、ヨカラヌオアソビヲシテイタワケジャナクテデスネ…………」
「ふっ」
ナキイがたまらず吹きだした。
「いや、責めているんではないんだ。そんなに怯えないでくれ」
緊張が反動か、ナキイの笑いは中々収まらない。
(自意識過剰だって思われたかな)
「そんなに笑わないでください」
「ああ、すまない…………さあ、多分これですべて塗れたと思う」
「こんなこと頼んですみません」
「いや、こちらこそ本当にすまなかった。だいぶきついことも言ってしまった」
きついこととは火の蝶を町中にばら撒いてしまった時、自己嫌悪に陥った孝宏をナキイが諫めた一件だ。
「いえ、あれはヒタルさんが正しいです。あのままだと作戦を進めるどころではなかったでしょうし……」
「しかしだ、軍人でない民間人の君に、我々と同じように立ち振る舞えと言う方が無茶だったんだ。それも忘れて俺は……」
ナキイは真面目に反省しているのだろうが、孝宏には遠回しに使えない奴と言われた気がして、乾いた笑顔を顔に張り付かせた。
つい深読みしてしまう。孝宏の悪い癖だ。
「あ、君が悪いわけは決してない。君は期待以上の働きをしてくれた。命を張って住人を守り、蜘蛛の巣を除去した。民間人として十分すぎて、逆に我々が不甲斐ないくらいだよ」
孝宏の表情は、特にちょっとした視線の動きなど、本人が思っている以上に感情を表している。しかし孝宏はそんなこととはつゆ知らず、心を読まれているのではなかろうかと目を見張る。
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