89 / 180
夢に咲く花
16
しおりを挟む
「マリーまだか!?」
返事はない。無言のままのマリーにじれったさを感じながら、孝宏は深呼吸で自身の荒れた呼吸を整えた。
落ち着くためではない。気合いを入れ直すためだ。
孝宏は勢いよく両手を振り上げた。同時に孝宏たちの周囲を火壁が囲い、火壁は外側に次々と現れ、男たちを押し返していく。
見せかけでない正真正銘の火によって作られた分厚い壁は、周囲の温度を急激に高め、特に内側では熱気のために息苦しさが襲う。一秒でも長く火壁を維持しなければならないのだから、孝宏も必死だった。
どれだけ調子が良くとも、こんな巨大な火がいつまで続く訳がない。
火壁の向こうでは、下火になりつつある見せかけの火の中、正気を取り戻した男たちに新手が加わり、火壁が崩れる瞬間を、武器を構え、あるいは呪文の詠唱し今かと待ちわびている。
それも一人二人でない。次から次へと現れて、ざっと数えただけでも十人以上はいるだろうか。
(奴ら、本当に大勢で来てたのか)
徐々に弱まっていく火の勢いと共に、確実に蓄積されていく疲労に足が震え、心臓を握りつぶすかのような痛みと息苦しさに、孝宏はただ苛立ちばかりを募らせていった。
(もうやるしかない…………か?)
「っそが!いい加減目を覚ませよ!」
その時だった。
「硬質な光は千本の矢になれ。俺たちの敵を打ち、貫き、すべて捉えろ」
空には言葉の通り、白い硬質的な光を放つ矢が、それが雨のごとく降り注ぎ、男たちの絶叫が夜の森にこだました。
「あっっつい!!これじゃあ、僕らそのうち丸焼けになっちゃうよ」
「孝宏、火を消して大丈夫だ。後は俺たちに任せろ」
孝宏は後ろを振り返らなくても分かった。
「二人とも、おっせぇよ」
孝宏が空中を一撫でし、両手ともぐっと拳を握ると、渦巻く炎の壁が波打ち勢いが弱まる。
しかし消えてはくれなかった。
孝宏の意思を離れて勝手に勢いづいていた炎の、薄くなった壁の向こうで、武器を構えた男たちが透けて見える。
そのままで絶好の的になりうる。そう考えた孝宏は足元に目を向けた。
孝宏に投げられ、目を回し立てない男と、男が握っていた剣が足元に転がっている。
孝宏に躊躇はなかった。膝を付いて剣を拾い、これまでと同じように切先をぐっと握ると、鋭い痛みと共に、刃を伝う鮮血が地面に黒いシミを残す。
「いってぇ……」
孝宏の手から剣が零れ落ちると、暴走していた火はそれまでが嘘のように一瞬にして消え、それとほぼ同時にカウルが走り出し、孝宏の脇を駆け抜けていく。
彼はいつ確認したのか、一目散に自身の剣を手に取ると、男たちが集まる中央で剣を勢いよく鞘から抜いた。
孝宏は驚きのあまり口を開いたまま、目の前で繰り広げられる光景に見入っていた。
カウルは確かに鞘から剣を引き抜いたのだ。しかし鞘から完全に引き抜かれた時、彼が手に持っていたのは剣でもただの刀でもなく、全長3メートル以上はあろうかと言う大刀。
全体の三分の一を占める、火を噴く竜で模られた鋭い刃、鍔部分に鳥の羽が、まるでタテガミに似せて装飾されている。
カウルは大刀を、おそらく重量もあるだろうに、まるでおもちゃでも振り回すがごとく、軽々と持ち上げ振り下ろした。
カウルがそれを振り回せば、彼に近づける者など皆無だった。
刃を立てていないが、だからと言って威力が半減するどころか、重量のある鈍器が容赦なく振るわれるのだ。男たちの腹を抉り、骨を砕く。
カウルは自身から一定距離を保ち半円状に広がる男たちを横目に、鍔の鳥羽を数枚引き抜いき空に放り投げた。
すると、羽はそれ自身が意志でもあるかのように、ヒラリヒラリと男たちの間をまんべんなく縫って飛んだ。そうかと思えば、羽を追うようにルイの放った橙色の閃光の爆発が襲う。
マリーもカウルが投げ捨てた鞘を握り締め、果敢に応戦し男たちの急所目掛けて、振り上げた。
「皆すげぇ」
孝宏はと言うと、極度の疲労と、今さらながら痛み出した二か所の刀傷に、気力を奪われ地面に倒れこんだ。
いや、正確に言えば地面に倒れそうになった、が正しい。地面との衝撃に備える前に、孝宏を支える人がいた。
「大丈夫?」
そう言って孝宏を自身の胸と腕で受け止め、地面に倒れる衝撃を受け止めてくれたのはルイだ。
「辛いのは解るけど、もう少し頑張れない?今ここで倒れたら、邪魔なんだ」
「邪魔って誰のお蔭で……」
「孝宏が居てくれたから助かった。解ってる、でも今は倒れたらダメ。邪魔だよ」
「解ってるなら、もっと労われよ」
その時孝宏は自分たち勝利を確信していたが、その後に起こった出来事はまったくの予想外だった。
ガサガサ……茂みが揺れ奥から人が現れた。
まだ仲間がいたのかと孝宏は一瞬身構えたが、出てきたのはカダンで、ふっと力を抜いた。
孝宏たちと同じく身ぐるみ剥がされ、寒空の下薄手のシャツ一枚で、カダンもこの光景を脳で処理しきれずにいるのだろう、呆然としている。
戦況は優勢とはいえ、お互いまったく無事で立っているやつなんて一人もいやしない。
孝宏などは未だ立てずにルイに抱えらているし、カウルやマリーだって傷だらけで、得物を振るっている。
そんな状況を見て、カダンが最終的にどう思ったのかわからない。
だたその時の彼は、爆発的に膨れ上がる魔力がその身に納まりきれず、体を中心に渦を巻き、孝宏に見えているのはもはやカダンではなく、巨大な光の渦であった。
「俺は血の制限を解除する。魔力の解放と集約。カウル、ルイ、悪いが後はよろしく頼むぞ」
何をよろしくするのだろう、と状況を理解できない孝宏やマリーは成り行きを見守るだけだったが、カウルとルイの動揺は明らかだった。
カウルはマリーに耳元で何かを囁き、ルイは手で孝宏の片耳を押さえつつ、もう片方を自身の胸に押し当てた。
「じっとしてて」
ルイはそれだけ言うと、珍しく術式を声に出して唱えていた。もはや聞き取ることすら不可能な早口で、術が完成するまで三秒もあっただろうか。
「展開、固定。つなげ」
ルイにしてはずいぶんと乱暴な呪文を唱えると、辺りは異様な空間に包まれた。
空気が真綿にくるまれたかのように弾力を持ち、息苦しさなどはまったくないが変に酔ってしまう。
音が軒並み遠く小さくなり、ルイの声は聞こえるが、それ以外の音は聞こえてこない。
耳をふさいでいるとはいえ、孝宏は奇妙な感覚に捕らわれた。
ルイは孝宏の耳から手を離すと、孝宏が火を操る時と同じように指を動かした。
するとそれと、どう関連しているのか孝宏にはさっぱり理解できなかったが、男たちが一人、また一人と耳を押え、文字通りのたうち回り始めた。
(一体何が起きてるんだ?)
カダンは相変わらず光の渦に呑みこまれたままで、孝宏は姿を確認できない。
カダンのすさまじい魔力の放出は広範囲に及び、魔力の波は辺り一帯を海に沈めた。
男たちは武器を置き、まるで何かに心を奪われかのように、恍惚と波に身をゆだね、しかしその一方で、海の底では荒々しく削り取らんばかりの渦が、男たちを一人、また一人と巻き取り、地面に沈めていく。
苦しみもがく男たちとは正反対に、集団から離れ状況を見守っているカウルとマリーが、魔力の渦に捕らわれる様子はない。
「なんだ?これ、歌か?」
ふと歌が聞こえてきた。
そっと耳元を撫でるささやかな歌声は遠くに聞こえ、それがカダンの声だと初めは気付かなかった。
次第にはっきりと聞こえてくる歌声は、得も言われぬ美しさで、孝宏は状況も忘れ歌声に聞き入った。
歌声はスルリスルリと心の隙間に入り込み、思考を縛る歌声が次第に狂気へと変貌する。
(苦しい、頭が痛い、割れそうだ……)
孝宏は両手で耳を力の限り押さえつけたが、まるで効果はなかった。グワングワンと頭の中で響く鐘の音が、鼓膜を突き破る壮絶な痛みとなり、孝宏を苦しめる。
「カダン止めろ!タカヒロには僕の魔法が効いていない!カダンの歌が聞こえてる!」
そんなルイの言葉すら聞こえず、孝宏はその場で意識を失った。
「おぉーお…………すごいな。全員気を失ってる。………タカヒロもだけど」
「今のは何だったの?いきなり無音になったと思ったら、皆次々に倒れちゃった。カダン、あなた何をしたの?」
「…………」
「歌の破壊力はすさまじいね。さすがにん……ってとにかく、ココ片付けなきゃいけないかな。………面くさいな。僕はタカヒロの為に回復用の術式を馬車に書いてくる。最優先だよね」
「確かにこいつらしばらく目は覚まさないだろうな。けど、終わったらこっちも手伝えよ。周囲の確認もしなきゃいけないし、お前が役所に連絡に連絡するんだからな」
「え?何で僕が!?」
「お前しか通信具使えないだろ?」
「あっ……解ったよ。仕方ないなぁ」
「う……うう……」
「カダン?どうした?立てないのか?大丈夫か!?」
「まさか久しぶりに封印を解いたから?……ったく、面倒なことばっか」
「ルイ!何てこと言うの!?とにかく二人とも馬車に運びましょう。休ませなきゃ」
「……失言でした。ゴメン」
返事はない。無言のままのマリーにじれったさを感じながら、孝宏は深呼吸で自身の荒れた呼吸を整えた。
落ち着くためではない。気合いを入れ直すためだ。
孝宏は勢いよく両手を振り上げた。同時に孝宏たちの周囲を火壁が囲い、火壁は外側に次々と現れ、男たちを押し返していく。
見せかけでない正真正銘の火によって作られた分厚い壁は、周囲の温度を急激に高め、特に内側では熱気のために息苦しさが襲う。一秒でも長く火壁を維持しなければならないのだから、孝宏も必死だった。
どれだけ調子が良くとも、こんな巨大な火がいつまで続く訳がない。
火壁の向こうでは、下火になりつつある見せかけの火の中、正気を取り戻した男たちに新手が加わり、火壁が崩れる瞬間を、武器を構え、あるいは呪文の詠唱し今かと待ちわびている。
それも一人二人でない。次から次へと現れて、ざっと数えただけでも十人以上はいるだろうか。
(奴ら、本当に大勢で来てたのか)
徐々に弱まっていく火の勢いと共に、確実に蓄積されていく疲労に足が震え、心臓を握りつぶすかのような痛みと息苦しさに、孝宏はただ苛立ちばかりを募らせていった。
(もうやるしかない…………か?)
「っそが!いい加減目を覚ませよ!」
その時だった。
「硬質な光は千本の矢になれ。俺たちの敵を打ち、貫き、すべて捉えろ」
空には言葉の通り、白い硬質的な光を放つ矢が、それが雨のごとく降り注ぎ、男たちの絶叫が夜の森にこだました。
「あっっつい!!これじゃあ、僕らそのうち丸焼けになっちゃうよ」
「孝宏、火を消して大丈夫だ。後は俺たちに任せろ」
孝宏は後ろを振り返らなくても分かった。
「二人とも、おっせぇよ」
孝宏が空中を一撫でし、両手ともぐっと拳を握ると、渦巻く炎の壁が波打ち勢いが弱まる。
しかし消えてはくれなかった。
孝宏の意思を離れて勝手に勢いづいていた炎の、薄くなった壁の向こうで、武器を構えた男たちが透けて見える。
そのままで絶好の的になりうる。そう考えた孝宏は足元に目を向けた。
孝宏に投げられ、目を回し立てない男と、男が握っていた剣が足元に転がっている。
孝宏に躊躇はなかった。膝を付いて剣を拾い、これまでと同じように切先をぐっと握ると、鋭い痛みと共に、刃を伝う鮮血が地面に黒いシミを残す。
「いってぇ……」
孝宏の手から剣が零れ落ちると、暴走していた火はそれまでが嘘のように一瞬にして消え、それとほぼ同時にカウルが走り出し、孝宏の脇を駆け抜けていく。
彼はいつ確認したのか、一目散に自身の剣を手に取ると、男たちが集まる中央で剣を勢いよく鞘から抜いた。
孝宏は驚きのあまり口を開いたまま、目の前で繰り広げられる光景に見入っていた。
カウルは確かに鞘から剣を引き抜いたのだ。しかし鞘から完全に引き抜かれた時、彼が手に持っていたのは剣でもただの刀でもなく、全長3メートル以上はあろうかと言う大刀。
全体の三分の一を占める、火を噴く竜で模られた鋭い刃、鍔部分に鳥の羽が、まるでタテガミに似せて装飾されている。
カウルは大刀を、おそらく重量もあるだろうに、まるでおもちゃでも振り回すがごとく、軽々と持ち上げ振り下ろした。
カウルがそれを振り回せば、彼に近づける者など皆無だった。
刃を立てていないが、だからと言って威力が半減するどころか、重量のある鈍器が容赦なく振るわれるのだ。男たちの腹を抉り、骨を砕く。
カウルは自身から一定距離を保ち半円状に広がる男たちを横目に、鍔の鳥羽を数枚引き抜いき空に放り投げた。
すると、羽はそれ自身が意志でもあるかのように、ヒラリヒラリと男たちの間をまんべんなく縫って飛んだ。そうかと思えば、羽を追うようにルイの放った橙色の閃光の爆発が襲う。
マリーもカウルが投げ捨てた鞘を握り締め、果敢に応戦し男たちの急所目掛けて、振り上げた。
「皆すげぇ」
孝宏はと言うと、極度の疲労と、今さらながら痛み出した二か所の刀傷に、気力を奪われ地面に倒れこんだ。
いや、正確に言えば地面に倒れそうになった、が正しい。地面との衝撃に備える前に、孝宏を支える人がいた。
「大丈夫?」
そう言って孝宏を自身の胸と腕で受け止め、地面に倒れる衝撃を受け止めてくれたのはルイだ。
「辛いのは解るけど、もう少し頑張れない?今ここで倒れたら、邪魔なんだ」
「邪魔って誰のお蔭で……」
「孝宏が居てくれたから助かった。解ってる、でも今は倒れたらダメ。邪魔だよ」
「解ってるなら、もっと労われよ」
その時孝宏は自分たち勝利を確信していたが、その後に起こった出来事はまったくの予想外だった。
ガサガサ……茂みが揺れ奥から人が現れた。
まだ仲間がいたのかと孝宏は一瞬身構えたが、出てきたのはカダンで、ふっと力を抜いた。
孝宏たちと同じく身ぐるみ剥がされ、寒空の下薄手のシャツ一枚で、カダンもこの光景を脳で処理しきれずにいるのだろう、呆然としている。
戦況は優勢とはいえ、お互いまったく無事で立っているやつなんて一人もいやしない。
孝宏などは未だ立てずにルイに抱えらているし、カウルやマリーだって傷だらけで、得物を振るっている。
そんな状況を見て、カダンが最終的にどう思ったのかわからない。
だたその時の彼は、爆発的に膨れ上がる魔力がその身に納まりきれず、体を中心に渦を巻き、孝宏に見えているのはもはやカダンではなく、巨大な光の渦であった。
「俺は血の制限を解除する。魔力の解放と集約。カウル、ルイ、悪いが後はよろしく頼むぞ」
何をよろしくするのだろう、と状況を理解できない孝宏やマリーは成り行きを見守るだけだったが、カウルとルイの動揺は明らかだった。
カウルはマリーに耳元で何かを囁き、ルイは手で孝宏の片耳を押さえつつ、もう片方を自身の胸に押し当てた。
「じっとしてて」
ルイはそれだけ言うと、珍しく術式を声に出して唱えていた。もはや聞き取ることすら不可能な早口で、術が完成するまで三秒もあっただろうか。
「展開、固定。つなげ」
ルイにしてはずいぶんと乱暴な呪文を唱えると、辺りは異様な空間に包まれた。
空気が真綿にくるまれたかのように弾力を持ち、息苦しさなどはまったくないが変に酔ってしまう。
音が軒並み遠く小さくなり、ルイの声は聞こえるが、それ以外の音は聞こえてこない。
耳をふさいでいるとはいえ、孝宏は奇妙な感覚に捕らわれた。
ルイは孝宏の耳から手を離すと、孝宏が火を操る時と同じように指を動かした。
するとそれと、どう関連しているのか孝宏にはさっぱり理解できなかったが、男たちが一人、また一人と耳を押え、文字通りのたうち回り始めた。
(一体何が起きてるんだ?)
カダンは相変わらず光の渦に呑みこまれたままで、孝宏は姿を確認できない。
カダンのすさまじい魔力の放出は広範囲に及び、魔力の波は辺り一帯を海に沈めた。
男たちは武器を置き、まるで何かに心を奪われかのように、恍惚と波に身をゆだね、しかしその一方で、海の底では荒々しく削り取らんばかりの渦が、男たちを一人、また一人と巻き取り、地面に沈めていく。
苦しみもがく男たちとは正反対に、集団から離れ状況を見守っているカウルとマリーが、魔力の渦に捕らわれる様子はない。
「なんだ?これ、歌か?」
ふと歌が聞こえてきた。
そっと耳元を撫でるささやかな歌声は遠くに聞こえ、それがカダンの声だと初めは気付かなかった。
次第にはっきりと聞こえてくる歌声は、得も言われぬ美しさで、孝宏は状況も忘れ歌声に聞き入った。
歌声はスルリスルリと心の隙間に入り込み、思考を縛る歌声が次第に狂気へと変貌する。
(苦しい、頭が痛い、割れそうだ……)
孝宏は両手で耳を力の限り押さえつけたが、まるで効果はなかった。グワングワンと頭の中で響く鐘の音が、鼓膜を突き破る壮絶な痛みとなり、孝宏を苦しめる。
「カダン止めろ!タカヒロには僕の魔法が効いていない!カダンの歌が聞こえてる!」
そんなルイの言葉すら聞こえず、孝宏はその場で意識を失った。
「おぉーお…………すごいな。全員気を失ってる。………タカヒロもだけど」
「今のは何だったの?いきなり無音になったと思ったら、皆次々に倒れちゃった。カダン、あなた何をしたの?」
「…………」
「歌の破壊力はすさまじいね。さすがにん……ってとにかく、ココ片付けなきゃいけないかな。………面くさいな。僕はタカヒロの為に回復用の術式を馬車に書いてくる。最優先だよね」
「確かにこいつらしばらく目は覚まさないだろうな。けど、終わったらこっちも手伝えよ。周囲の確認もしなきゃいけないし、お前が役所に連絡に連絡するんだからな」
「え?何で僕が!?」
「お前しか通信具使えないだろ?」
「あっ……解ったよ。仕方ないなぁ」
「う……うう……」
「カダン?どうした?立てないのか?大丈夫か!?」
「まさか久しぶりに封印を解いたから?……ったく、面倒なことばっか」
「ルイ!何てこと言うの!?とにかく二人とも馬車に運びましょう。休ませなきゃ」
「……失言でした。ゴメン」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件
霜月雹花
ファンタジー
15歳を迎えた者は神よりスキルを授かる。
どんなスキルを得られたのか神殿で確認した少年、アルフレッドは【経験値固定】という訳の分からないスキルだけを授かり、無能として扱われた。
そして一年後、一つ下の妹が才能がある者だと分かるとアルフレッドは家から追放処分となった。
しかし、一年という歳月があったおかげで覚悟が決まっていたアルフレッドは動揺する事なく、今後の生活基盤として冒険者になろうと考えていた。
「スキルが一つですか? それも攻撃系でも魔法系のスキルでもないスキル……すみませんが、それでは冒険者として務まらないと思うので登録は出来ません」
だがそこで待っていたのは、無能なアルフレッドは冒険者にすらなれないという現実だった。
受付との会話を聞いていた冒険者達から逃げるようにギルドを出ていき、これからどうしようと悩んでいると目の前で苦しんでいる老人が目に入った。
アルフレッドとその老人、この出会いにより無能な少年として終わるはずだったアルフレッドの人生は大きく変わる事となった。
2024/10/05 HOT男性向けランキング一位。
前世で眼が見えなかった俺が異世界転生したら・・・
y@siron
ファンタジー
俺の眼が・・・見える!
てってれてーてってれてーてててててー!
やっほー!みんなのこころのいやしアヴェルくんだよ〜♪
一応神やってます!( *¯ ꒳¯*)どやぁ
この小説の主人公は神崎 悠斗くん
前世では色々可哀想な人生を歩んでね…
まぁ色々あってボクの管理する世界で第二の人生を楽しんでもらうんだ〜♪
前世で会得した神崎流の技術、眼が見えない事により研ぎ澄まされた感覚、これらを駆使して異世界で力を開眼させる
久しぶりに眼が見える事で新たな世界を楽しみながら冒険者として歩んでいく
色んな困難を乗り越えて日々成長していく王道?異世界ファンタジー
友情、熱血、愛はあるかわかりません!
ボクはそこそこ活躍する予定〜ノシ
みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!
沢野 りお
ファンタジー
【書籍化します!】2022年12月下旬にレジーナブックス様から刊行されることになりました!
定番の転生しました、前世アラサー女子です。
前世の記憶が戻ったのは、7歳のとき。
・・・なんか、病的に痩せていて体力ナシでみすぼらしいんだけど・・・、え?王女なの?これで?
どうやら亡くなった母の身分が低かったため、血の繋がった家族からは存在を無視された、みそっかすの王女が私。
しかも、使用人から虐げられていじめられている?お世話も満足にされずに、衰弱死寸前?
ええーっ!
まだ7歳の体では自立するのも無理だし、ぐぬぬぬ。
しっかーし、奴隷の亜人と手を組んで、こんなクソ王宮や国なんか出て行ってやる!
家出ならぬ、王宮出を企てる間に、なにやら王位継承を巡ってキナ臭い感じが・・・。
えっ?私には関係ないんだから巻き込まないでよ!ちょっと、王族暗殺?継承争い勃発?亜人奴隷解放運動?
そんなの知らなーい!
みそっかすちびっ子転生王女の私が、城出・出国して、安全な地でチート能力を駆使して、ワハハハハな生活を手に入れる、そんな立身出世のお話でぇーす!
え?違う?
とりあえず、家族になった亜人たちと、あっちのトラブル、こっちの騒動に巻き込まれながら、旅をしていきます。
R15は保険です。
更新は不定期です。
「みそっかすちびっ子王女の転生冒険ものがたり」を改訂、再up。
2021/8/21 改めて投稿し直しました。
前世は最強の宝の持ち腐れ!?二度目の人生は創造神が書き換えた神級スキルで気ままに冒険者します!!
yoshikazu
ファンタジー
主人公クレイは幼い頃に両親を盗賊に殺され物心付いた時には孤児院にいた。このライリー孤児院は子供達に客の依頼仕事をさせ手間賃を稼ぐ商売を生業にしていた。しかしクレイは仕事も遅く何をやっても上手く出来なかった。そしてある日の夜、無実の罪で雪が積もる極寒の夜へと放り出されてしまう。そしてクレイは極寒の中一人寂しく路地裏で生涯を閉じた。
だがクレイの中には創造神アルフェリアが創造した神の称号とスキルが眠っていた。しかし創造神アルフェリアの手違いで神のスキルが使いたくても使えなかったのだ。
創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。
そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。
色彩の大陸3~英雄は二度死ぬ
谷島修一
ファンタジー
“英雄”の孫たちが、50年前の真実を追う
建国50周年を迎えるパルラメンスカヤ人民共和国の首都アリーグラード。
パルラメンスカヤ人民共和国の前身国家であったブラミア帝国の“英雄”として語り継がれている【ユルゲン・クリーガー】の孫クララ・クリーガーとその親友イリーナ・ガラバルスコワは50年前の“人民革命”と、その前後に起こった“チューリン事件”、“ソローキン反乱”について調べていた。
書物で伝わるこれらの歴史には矛盾点と謎が多いと感じていたからだ。
そこで、クララとイリーナは当時を知る人物達に話を聞き謎を解明していくことに決めた。まだ首都で存命のユルゲンの弟子であったオレガ・ジベリゴワ。ブラウグルン共和国では同じく弟子であったオットー・クラクスとソフィア・タウゼントシュタインに会い、彼女達の証言を聞いていく。
一方、ユルゲン・クリーガーが生まれ育ったブラウグルン共和国では、彼は“裏切り者”として歴史的評価は悪かった。しかし、ブラウグルン・ツワィトング紙の若き記者ブリュンヒルデ・ヴィルトはその評価に疑問を抱き、クリーガーの再評価をしようと考えて調べていた。
同じ目的を持つクララ、イリーナ、ブリュンヒルデが出会い、三人は協力して多くの証言者や証拠から、いくつもの謎を次々と解明していく。
そして、最後に三人はクリーガーと傭兵部隊で一緒だったヴィット王国のアグネッタ・ヴィクストレームに出会い、彼女の口から驚愕の事実を知る。
-----
文字数 126,353
世界最速の『魔法陣使い』~ハズレ固有魔法【速記術】で追放された俺は、古代魔法として廃れゆく『魔法陣』を高速展開して魔導士街道を駆け上がる~
葵すもも
ファンタジー
十五歳の誕生日、人々は神から『魔力』と『固有魔法』を授かる。
固有魔法【焔の魔法剣】の名家――レヴィストロース家の長男として生まれたジルベール・レヴィストロースには、世継ぎとして大きな期待がかかっていた。
しかし、【焔の魔法剣】に選ばれたのは長男のジルベールではなく、次男のセドリックだった。
ジルベールに授けられた固有魔法は――【速記術】――
明らかに戦闘向きではない固有魔法を与えられたジルベールは、一族の恥さらしとして、家を追放されてしまう。
一日にして富も地位も、そして「大魔導になる」という夢も失ったジルベールは、辿り着いた山小屋で、詠唱魔法が主流となり現在では失われつつあった古代魔法――『魔法陣』の魔導書を見つける。
ジルベールは無為な時間を浪費するのように【速記術】を用いて『魔法陣』の模写に勤しむ毎日を送るが、そんな生活も半年が過ぎた頃、森の中を少女の悲鳴が木霊した。
ジルベールは修道服に身を包んだ少女――レリア・シルメリアを助けるべく上級魔導士と相対するが、攻撃魔法を使えないジルベールは劣勢を強いられ、ついには相手の魔法詠唱が完成してしまう。
男の怒声にも似た詠唱が鳴り響き、全てを諦めたその瞬間、ジルベールの脳裏に浮かんだのは、失意の中、何千回、何万回と模写を繰り返した――『魔法陣』だった。
これは家を追われ絶望のどん底に突き落とされたジルベールが、ハズレ固有魔法と思われた【速記術】を駆使して、仲間と共に世界最速の『魔法陣』使いへと成り上がっていく、そんな物語。
--------
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
やり直し令嬢の備忘録
西藤島 みや
ファンタジー
レイノルズの悪魔、アイリス・マリアンナ・レイノルズは、皇太子クロードの婚約者レミを拐かし、暴漢に襲わせた罪で塔に幽閉され、呪詛を吐いて死んだ……しかし、その呪詛が余りに強かったのか、10年前へと再び蘇ってしまう。
これを好機に、今度こそレミを追い落とそうと誓うアイリスだが、前とはずいぶん違ってしまい……
王道悪役令嬢もの、どこかで見たようなテンプレ展開です。ちょこちょこ過去アイリスの残酷描写があります。
また、外伝は、ざまあされたレミ嬢視点となりますので、お好みにならないかたは、ご注意のほど、お願いします。
婚約破棄を告げられ、処刑されかけた悪役令嬢は復讐令嬢になりました ~古代魔術で裏切り者達を断罪する復讐劇~
YUU
ファンタジー
侯爵令嬢アメリアは自国の王太子の婚約者であったが、突然婚約破棄を告げられる。しかし、傷心しているアメリアに更なる悲劇が襲った。
彼女の両親が不正の冤罪を掛けられて処刑されてしまったのだ。そして、アメリア自身も悪魔と契約した『魔女』であるとの疑惑を掛けられ、教会によって異端審問によって処刑されそうになる。
運よく異端審問の前に逃れることが出来たアメリアだったが、頼った隣国の親類にも裏切られ、彼女は一人、逃避行を始める。
最終的に行きついたのは、伝説の魔術師が最後に拠点としたと言われる森。
そこで、アメリアは失われた禁断の魔術、古代魔術を習得する事になった。古代魔術を手に入れたアメリアはその力を使い、自分を貶めた者、裏切った者、その全てに復讐を始めるのだった。
※タイトルの方は仮なのでもっと良い感じのタイトルがあったらそちらに変更するかもしれません。
※小説家になろうの方でも連載しています。現在、あちらの方が先行しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる