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3話

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「最近よく見る天井だ。」

 気が付いたら自室といっても過言ではない病室で目を覚ました。こういうときは、知らない天井というのがセオリーだった気がする。

 何日寝ていたのかわからない。体に貼られているだろう管付きのシート。目に見える点滴のパック。
 1日や2日で済むことはない。それだけはわかった。

 声を出した。けれど、ちゃんと音になっているのかわからない。音が遠いのだ。

「それにしても魔石ってなんだよ。」

 誰も人の気配を感じないところで悪態をつく。
 もしかしたら、ここで話した声は筒抜けかもしれないが。いまそれを考えるほどの思考力はない。
 どうも頭がすっきりしない。頭痛がするというわけではない。重いわけでもない。ただ、強い靄がかかったようにすっきりしない。

 先生の話によれば、僕が触ったのは魔石ということになる。

 僕の感覚ではあれはエーテル。天然の魔力の塊。
 
 異世界のダンジョンでそれを触ったので覚えている。
 ついでに、賢者の石の材料と周りが話していたのをなんとなく覚えている。他に何が必要かまでは聞いた覚えがない。確か、世界に直接干渉する強力な魔力の塊が必要とかなんとか。

 ごつごつした石のような魔素の塊。石に宿る魔力で魔石? ということだろか。
 
 実際は高濃度魔素の集合物で物として扱っていいのかわからないけど。

 見た感じは普通の魔石と思ったんだけどな。

「なんだかな。」

 別に間違えたからどうこうというわけではない。ただ、なんというかショックなだけ。

「あんなのどこにあったのだが。」

 これからのことを話すといっておきながら、内容はここでの生活のしかたがほとんど。しかも、ここが地図にも乗っているかどうかもわからない無人島を改良、工事し人が住める環境にしたという人に話していいのかわからないおまけつき。
 それを聞いてどうしろと。最高峰クラスの霊薬の副作用にしては重すぎると思うのは気のせいではないはず。多分。

「目が覚めたかい。」

 いつの間にかいた先生。近くにいるのにいることがわからない。それだけで感覚がおかしくなっていることがわかる。

 もとから白衣なんて来ていない、といわんばかりのジーパンにYシャツというラフな格好。似合いすぎている気もする。これがこの人の普段着かな。
 
 他の声がしない。黒服の2人はいないのか。帰ったのかな。

「倒れてから3日、いや、もう4日かな。気分はどう。立ち上がれなくなるほど気持ち悪いって聞くけど、大丈夫そう?」

 首を横に動かす。気持ち悪いの一言で済むなんて。

 同じことをした人はそんなにもはっきりとしたものだったのか。

「もう少しゆっくり休むといいよ。」

 頭を手のひらで撫でられた。撫でるというよりはゆっくりと一瞬触れるような感じがしたが感覚がよくわからないので撫でられたでいいか。

「これからきっと大変なことになるのだから。」

 何か聞こえた気がするが、まだまだ音が遠い。

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