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Twitterやめました。4(完)
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私はここが好きだった。
私はこの川の堤防に、ときどきくる。
ここは河口にちかいせいで川幅が広く、夕陽にてらされて赤く色づいた向こうの堤防とさらにそのさきに広がる家々が、ミニチュアのように感じられる、面白い場所だった。通勤ルートからはちょっとはずれるが、この景色をみていると、心がいやされて落ちついた気持ちになれるので、会社からの帰宅時にちょっとよっていくことがあった。
キンタと出会い、時は流れ、初夏から盛夏、晩夏とうつりかわり、今では秋冷を感じる季節になっていた。
秋のものさびしさに心が動かされたのかもしれない。ただ感傷的になっているだけなのかもしれない。だが、決意しなくてはいけない時がきたのは確かなのだ。
このままキンタと警察にいこう。そして私は罰を受けよう。それがどれほど重い罰であっても受けなくてはいけない。私はそれだけのことをしたのだ。キンタの本当のご両親は、今も我が子をさがしているのだろう。不安で心配で、身も心もひきさかれるような思いをしているのだろう。その気持ちを思うと、心がしめつけられ、ずっと忘れていた自責の念が呼び起こされてくるのだった。
私は堤防のうえから流れゆく川面をながめ、ずっと黙って考える。キンタは私の手をにぎり、私の目にうつる景色をその目にもうつしている。
私は、かがんでキンタをこちらにむかせ、じっと見つめて言った。
「さよならだね、キンタ」
私はキンタを抱きしめた。ぎゅっと力強く抱きしめた。キンタは苦しいともいわず、きっと無表情のままなのだろう、なすがままにされている。
ずっとこのままでいたい、ずっといっしょにいたい、でも、それはいけないことなのだ、かなわないわがままなのだ。
腕をはなし、キンタの肩に手をおいて、私はその小さな顔をみつめた。この顔を、脳裏に焼きつけておきたい。一生この顔を忘れたくない。
私のまなざしを見かえしながら、キンタは何を思っているのだろう。その無表情の顔からは何もさっすることはできなかった。
立ちあがった私が振り向くと、そこには、視界いっぱいに広がる海抜ゼロメートル地帯に、ごちゃごちゃと家々がひしめきあって建っている。そのずっとむこう、ずっと遠くにみえる高層ビル群が夕焼けのなかで黒くゆらめき、赤い絵の具のなかに溶けていくようだった。
突然、風が吹いた。
その強い風に、私は思わずキンタの手を放して、風から顔を守るようなしぐさをしてしまった。
いけない、と手をもとにもどす。だがそこにはなにもなかった。あるはずの小さな手も、そのぬくもりの痕跡さえもなかった。視線を動かしても、虚無しかない。まるで、風とともに悪魔がきて、キンタをさらっていったかのように、その姿は忽然と消滅していた。
「キンタっ」
私は叫ぶ。
「キンタぁっ!」
いくらさけんでも、いくら周りを見わたしても、キンタの姿はどこにもない。
まさか、風にとばされて、堤防を転げ落ちたのでは、と河原をのぞいたが、そこにはなにもみえない。ただ草のはえた土手とそこから続く河原があり、川との境界までむなしく広がる空間があるだけだった。まさか、風上のほうに飛ばされるわけはないが、と思いつつも堤防の反対側も見る。だが、そこにもキンタが飛ばされた形跡はまったくない。ただ家並みと堤防にはさまれた、うす暗い細い道が見えただけだった。
「どこ、どこにいったの」
私は走りだした。堤防をおりて河原をしばらくさがし、ふたたび堤防の上にのぼり、町の方におり、ひたすら走った、キンタをさがして走りつづけた。
つるべ落としに落ちていく日の光が、しだいによわくなり、いつしか、すれ違う人々の顔さえも判別できなくなってきて、それでも私はキンタをさがした。べそをかき、汗をながし、鼻水をたらして、町じゅうを走りまわった。闇雲にひたすら走りまわった。
だが、キンタはどこにもみえない。
私は立ちどまった。いつの間にかともっている街灯のしたで、私は流れる涙を手のひらでこする。
こんなふうに、子供が突然、蒸発するように消えてしまうことがあるのだろうか。どうして私はあの瞬間、手をはなしてしまったのだろう。なにがあっても、絶対にはなすべきではなかった、かけがえのないあの小さな手を。
ふと気がつくと、私はいつもの見慣れた風景のなかにいた。
私は歩き出す。キンタと毎日のように歩いた道を。
キンタのへんてこりんな笑顔が心にうかぶ。世の中に絶望し、人を嫌忌し、よりどころとしていたツイッターの世界もすて、無感動に生きていた私に、あのヘンな笑顔が生きる気力と希望をあたえてくれたのだ。
泣きながら歩く私を、前からくる人たちが、いぶかしみ、憐れみの目で見、人によっては私の顔をのぞきこむようにして、すれちがっていく。
不意に、あぶないよ、と声をかけられ、反射的に立ちどまる。気づかないうちに横断歩道に踏みだそうとしていて、顔をあげると、歩行者用信号が赤く点灯していた。
そして、その下――。
いた。
キンタ。
私の買ってあげた青に黄色いソデのTシャツに、金髪に青い目。間違いない、キンタだ。
キンタは、見知らぬ女性に手をひかれ、無表情な顔でたっている。
「キンタっ!」
私の叫び声に反応したのか、キンタがこちらをむく。目が合った。確実に。
だが、キンタはしばらくこちらを無表情にみていたが、保護してくれた女性に話しかけられたようすで、そちらを向く。そしてあの、にっという笑い顔をしたのだ。彼女に向けて。私にしかみせないと思っていたあの笑顔を。
「キンタ……」
そうか、という気がした。隣の女性は、たぶん、お母さんなのだ。キンタはやっと出会えたのだ、お母さんに。堤防で風が吹き、私が手をはなした瞬間、きっとキンタはほんとうのお母さんをみつけ、彼女のもとへ走っていったのだ。奇跡のような偶然だが、そう考えればすべて合点がいった。
「キンタ」
もう一度つぶやくと、私はその場から立ち去った。
よかったね、ほんとうによかったね、キンタ。
不安の涙が歓喜の涙になり、私は泣きじゃくりながら、歩いた。
あのイチョウ並木の交番へむかって。
交番では、けんもほろろな態度であしらわれて終わった。
私の犯罪申告をしんみょうな面持ちで聞いていた警官は、しかし、通りいっぺんの仕事をしただけで、まともに取り合ってくれなかった。電話でこの区域の警察署に問い合わせたり、どこかの部署と連絡をとりあったりしてくれたものの、私が、
「悪いことをしてしまいました。逮捕してください。罰してください」
といくら懇願しても、そんな子供の捜索願いも失踪届けもでていない、あんたひとりの証言じゃ警察は動けない、の一点張り。
働く気があるのか、この警官。この交番のまえを通りすぎる私たちを何度もみているはずだろうに。
しまいには、警察は忙しいんだから余計な手間をかけさせないで、と半分怒りながら突き飛ばされるようにして、交番から追い出された。
なんなんだ、いったい。やる気があるのか、このおまわり。
さんざん泣いたあとに憤慨し、なんだか心がぐちゃぐちゃになった気分だった。ぐちゃぐちゃの気分を抱えて、家にむかって歩いていると、なぜだか急に、ふたたびツイッターにもどりたい気持ちになってきた。
なぜだろう、不思議なものだ。
キンタがいなくなって、ぽっかり空いた心の洞穴を埋めるには、やはりSNSにたよるしか、いまの私にはないのだ。
あんなに嫌気がさしてやめたツイッターなのに、今はとっても懐かしい。
家に帰り、ちゃぶ台のまえにすわる。
しんと静まりかえった部屋にひとりですわっていると、まるでキンタと暮らした日々が夢のようにも思え、反対にキンタがいないことが夢のようにも思えるのだった。
部屋のそこここにちらばるキンタの衣服に切ない気持ちになり、ため息をもらす。いまにもドアがひらいてキンタがトイレからひょっこりと出てくるんじゃないかとか、足をのばすとちゃぶ台のしたでキンタの足とぶつかるんじゃないかとか、そんな気がしてならなかった。
私は首をなんども振る。
キンタはお母さんのもとに帰ったのだ。キンタにはそれがいちばんの幸せなのだ。私は私に言いきかせ、一生懸命に心のスイッチを切りかえようとつとめた。
とにかく、スマートフォンをとりだし、消してしまっていたツイッターのアプリを再びインストールして、アカウントを新規に作りなおす。
もう、かつてのフォロワーたちはいない、だれも私を知る人がいない世界で、いちからの再出発だ。
プロフィールをざっと書き、さて、最初のツイートはどうしようと考えていると、通知アイコンにマークがついている。
はて、なんのしらせだろう、と引きよせられるようにアイコンをタップしてみる。
と――。
キンタ@4さいさんからフォローされました。
私はこの川の堤防に、ときどきくる。
ここは河口にちかいせいで川幅が広く、夕陽にてらされて赤く色づいた向こうの堤防とさらにそのさきに広がる家々が、ミニチュアのように感じられる、面白い場所だった。通勤ルートからはちょっとはずれるが、この景色をみていると、心がいやされて落ちついた気持ちになれるので、会社からの帰宅時にちょっとよっていくことがあった。
キンタと出会い、時は流れ、初夏から盛夏、晩夏とうつりかわり、今では秋冷を感じる季節になっていた。
秋のものさびしさに心が動かされたのかもしれない。ただ感傷的になっているだけなのかもしれない。だが、決意しなくてはいけない時がきたのは確かなのだ。
このままキンタと警察にいこう。そして私は罰を受けよう。それがどれほど重い罰であっても受けなくてはいけない。私はそれだけのことをしたのだ。キンタの本当のご両親は、今も我が子をさがしているのだろう。不安で心配で、身も心もひきさかれるような思いをしているのだろう。その気持ちを思うと、心がしめつけられ、ずっと忘れていた自責の念が呼び起こされてくるのだった。
私は堤防のうえから流れゆく川面をながめ、ずっと黙って考える。キンタは私の手をにぎり、私の目にうつる景色をその目にもうつしている。
私は、かがんでキンタをこちらにむかせ、じっと見つめて言った。
「さよならだね、キンタ」
私はキンタを抱きしめた。ぎゅっと力強く抱きしめた。キンタは苦しいともいわず、きっと無表情のままなのだろう、なすがままにされている。
ずっとこのままでいたい、ずっといっしょにいたい、でも、それはいけないことなのだ、かなわないわがままなのだ。
腕をはなし、キンタの肩に手をおいて、私はその小さな顔をみつめた。この顔を、脳裏に焼きつけておきたい。一生この顔を忘れたくない。
私のまなざしを見かえしながら、キンタは何を思っているのだろう。その無表情の顔からは何もさっすることはできなかった。
立ちあがった私が振り向くと、そこには、視界いっぱいに広がる海抜ゼロメートル地帯に、ごちゃごちゃと家々がひしめきあって建っている。そのずっとむこう、ずっと遠くにみえる高層ビル群が夕焼けのなかで黒くゆらめき、赤い絵の具のなかに溶けていくようだった。
突然、風が吹いた。
その強い風に、私は思わずキンタの手を放して、風から顔を守るようなしぐさをしてしまった。
いけない、と手をもとにもどす。だがそこにはなにもなかった。あるはずの小さな手も、そのぬくもりの痕跡さえもなかった。視線を動かしても、虚無しかない。まるで、風とともに悪魔がきて、キンタをさらっていったかのように、その姿は忽然と消滅していた。
「キンタっ」
私は叫ぶ。
「キンタぁっ!」
いくらさけんでも、いくら周りを見わたしても、キンタの姿はどこにもない。
まさか、風にとばされて、堤防を転げ落ちたのでは、と河原をのぞいたが、そこにはなにもみえない。ただ草のはえた土手とそこから続く河原があり、川との境界までむなしく広がる空間があるだけだった。まさか、風上のほうに飛ばされるわけはないが、と思いつつも堤防の反対側も見る。だが、そこにもキンタが飛ばされた形跡はまったくない。ただ家並みと堤防にはさまれた、うす暗い細い道が見えただけだった。
「どこ、どこにいったの」
私は走りだした。堤防をおりて河原をしばらくさがし、ふたたび堤防の上にのぼり、町の方におり、ひたすら走った、キンタをさがして走りつづけた。
つるべ落としに落ちていく日の光が、しだいによわくなり、いつしか、すれ違う人々の顔さえも判別できなくなってきて、それでも私はキンタをさがした。べそをかき、汗をながし、鼻水をたらして、町じゅうを走りまわった。闇雲にひたすら走りまわった。
だが、キンタはどこにもみえない。
私は立ちどまった。いつの間にかともっている街灯のしたで、私は流れる涙を手のひらでこする。
こんなふうに、子供が突然、蒸発するように消えてしまうことがあるのだろうか。どうして私はあの瞬間、手をはなしてしまったのだろう。なにがあっても、絶対にはなすべきではなかった、かけがえのないあの小さな手を。
ふと気がつくと、私はいつもの見慣れた風景のなかにいた。
私は歩き出す。キンタと毎日のように歩いた道を。
キンタのへんてこりんな笑顔が心にうかぶ。世の中に絶望し、人を嫌忌し、よりどころとしていたツイッターの世界もすて、無感動に生きていた私に、あのヘンな笑顔が生きる気力と希望をあたえてくれたのだ。
泣きながら歩く私を、前からくる人たちが、いぶかしみ、憐れみの目で見、人によっては私の顔をのぞきこむようにして、すれちがっていく。
不意に、あぶないよ、と声をかけられ、反射的に立ちどまる。気づかないうちに横断歩道に踏みだそうとしていて、顔をあげると、歩行者用信号が赤く点灯していた。
そして、その下――。
いた。
キンタ。
私の買ってあげた青に黄色いソデのTシャツに、金髪に青い目。間違いない、キンタだ。
キンタは、見知らぬ女性に手をひかれ、無表情な顔でたっている。
「キンタっ!」
私の叫び声に反応したのか、キンタがこちらをむく。目が合った。確実に。
だが、キンタはしばらくこちらを無表情にみていたが、保護してくれた女性に話しかけられたようすで、そちらを向く。そしてあの、にっという笑い顔をしたのだ。彼女に向けて。私にしかみせないと思っていたあの笑顔を。
「キンタ……」
そうか、という気がした。隣の女性は、たぶん、お母さんなのだ。キンタはやっと出会えたのだ、お母さんに。堤防で風が吹き、私が手をはなした瞬間、きっとキンタはほんとうのお母さんをみつけ、彼女のもとへ走っていったのだ。奇跡のような偶然だが、そう考えればすべて合点がいった。
「キンタ」
もう一度つぶやくと、私はその場から立ち去った。
よかったね、ほんとうによかったね、キンタ。
不安の涙が歓喜の涙になり、私は泣きじゃくりながら、歩いた。
あのイチョウ並木の交番へむかって。
交番では、けんもほろろな態度であしらわれて終わった。
私の犯罪申告をしんみょうな面持ちで聞いていた警官は、しかし、通りいっぺんの仕事をしただけで、まともに取り合ってくれなかった。電話でこの区域の警察署に問い合わせたり、どこかの部署と連絡をとりあったりしてくれたものの、私が、
「悪いことをしてしまいました。逮捕してください。罰してください」
といくら懇願しても、そんな子供の捜索願いも失踪届けもでていない、あんたひとりの証言じゃ警察は動けない、の一点張り。
働く気があるのか、この警官。この交番のまえを通りすぎる私たちを何度もみているはずだろうに。
しまいには、警察は忙しいんだから余計な手間をかけさせないで、と半分怒りながら突き飛ばされるようにして、交番から追い出された。
なんなんだ、いったい。やる気があるのか、このおまわり。
さんざん泣いたあとに憤慨し、なんだか心がぐちゃぐちゃになった気分だった。ぐちゃぐちゃの気分を抱えて、家にむかって歩いていると、なぜだか急に、ふたたびツイッターにもどりたい気持ちになってきた。
なぜだろう、不思議なものだ。
キンタがいなくなって、ぽっかり空いた心の洞穴を埋めるには、やはりSNSにたよるしか、いまの私にはないのだ。
あんなに嫌気がさしてやめたツイッターなのに、今はとっても懐かしい。
家に帰り、ちゃぶ台のまえにすわる。
しんと静まりかえった部屋にひとりですわっていると、まるでキンタと暮らした日々が夢のようにも思え、反対にキンタがいないことが夢のようにも思えるのだった。
部屋のそこここにちらばるキンタの衣服に切ない気持ちになり、ため息をもらす。いまにもドアがひらいてキンタがトイレからひょっこりと出てくるんじゃないかとか、足をのばすとちゃぶ台のしたでキンタの足とぶつかるんじゃないかとか、そんな気がしてならなかった。
私は首をなんども振る。
キンタはお母さんのもとに帰ったのだ。キンタにはそれがいちばんの幸せなのだ。私は私に言いきかせ、一生懸命に心のスイッチを切りかえようとつとめた。
とにかく、スマートフォンをとりだし、消してしまっていたツイッターのアプリを再びインストールして、アカウントを新規に作りなおす。
もう、かつてのフォロワーたちはいない、だれも私を知る人がいない世界で、いちからの再出発だ。
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