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第三話 政次郎旗本になる?
一
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政次郎の母、お滝の方が旅に出てから早くも二月が経った寛永7年(1630年)の八月、政次郎は、将軍家光に呼ばれ、田村徳川政秀として江戸城に登城していた。
謁見の間にて待機していると、老中阿部豊後守、堀田加賀守らが上座に座り、平伏していると、将軍家光が入室し最初に
「面を上げよ」
と言う声に応じ顔を上げると少し困り顔の家光がいた。
「政秀よ、儂はなお主も武士の一員ではあると考えておる。
家光が言う。確かに政次郎は町人となってはいるものの、武士の象徴である帯刀をしている事に変わりはない。
「はい」と返すと家光が続けた。
「豊後守がの、徳川を名乗りしものが町人にいる事に不服を申しての、その、
お主を旗本に取り立てる事になった。」
政次郎は、旗本になどなる気はさらさらなく、それを告げると色々な事を許されると説明されたが、それでも政次郎の気持ちは一つ、政次郎はこの件を辞し面倒なことになったと思いながら下城した。
謁見の間にて待機していると、老中阿部豊後守、堀田加賀守らが上座に座り、平伏していると、将軍家光が入室し最初に
「面を上げよ」
と言う声に応じ顔を上げると少し困り顔の家光がいた。
「政秀よ、儂はなお主も武士の一員ではあると考えておる。
家光が言う。確かに政次郎は町人となってはいるものの、武士の象徴である帯刀をしている事に変わりはない。
「はい」と返すと家光が続けた。
「豊後守がの、徳川を名乗りしものが町人にいる事に不服を申しての、その、
お主を旗本に取り立てる事になった。」
政次郎は、旗本になどなる気はさらさらなく、それを告げると色々な事を許されると説明されたが、それでも政次郎の気持ちは一つ、政次郎はこの件を辞し面倒なことになったと思いながら下城した。
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