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こんなところに異世界 ―俺は勇者じゃないとそろそろ気づいてほしい―
出立の時
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ダスクの兵士と始まりの青の戦士。
それぞれ別々に集まって話し合いが行われた。
俺はオーウェンが指揮する始まりの青の方にメリルと参加した。
戦士たちは話し合いの結果、ダスクの女王や市民を守る義務がなく、町が奪還できたことから残る人員はゼロにすることになった。彼らの目的はモンスターの支配からの解放であるから、それが自然なことのように思われた。
それから、全員が集まって作戦の確認や準備をするうちに日が暮れていった。
翌朝、近くの湧き水で顔を洗い、身支度を整えた。
初めから荷物は少ないので、準備に手間取ることはない。
出発の時間が近づくと屋外の広い場所に全ての戦闘員が集った。
これまで通り、オーウェンとイアンが先頭に立っている。
「おそらく、これが最後の戦いになるはずだ。女王陛下をお守りする人員は決めてあるが、それ以外の兵士であっても同行は無理強いしない。ダスクが奪還できた以上、これは町を解放するための戦いではないのだ」
まずはイアンが口を開いた。
続けてオーウェンが話を始める。
「イアンが言ったようにこれが最後の決戦になるだろう。厳しい戦いが予想されるが、誇りを持って戦ってくれ。モンスターの支配から解き放たれるまでもう少しだ」
重要な作戦の前にもかかわらず、彼は落ち着いた様子だった。
作戦会議が終わると、女王と市民の護衛を任された者以外は並んでいた。
俺もその中で立っている。
「さあ、出発だ!」
「おおっ!」
オーウェンの呼びかけに応じた仲間たちの声が周囲に轟いた。
イアンが遠征組に入っておらず不思議に思ったら、近くにいた仲間から彼はフレア女王を守るために砦に残るのだと聞かされた。
砦のある場所から離れたところで、なかなかの大所帯になったことを感じた。
始まりの青の十数人とダスクの十人にも満たない兵士。
二人の槍使い、リュートやエレンの顔も見える。
「カナタ、緊張しているのか?」
仲間の様子を眺めながら歩いていると、オーウェンに声をかけられた。
「重要な局面ですからね。それなりには」
「たしかに、無理もないことだ」
彼は俺の言葉に深く頷いた。
続けて何か話そうと思ったものの、その先につながる話題が思いつかず、そのまま沈黙になった。
他の仲間に意識を向けてみると、皆一様に言葉の少ないまま歩いていた。
先ほどは戦いへの高揚を感じさせていたが、待ち受ける事態を深刻に捉えているであろうことは明白に思われた。
今まで通ったことのない道を歩き続けると、小さな農村が目に入った。
「……オーウェン、あそこは?」
「名もなき村だ。目立たぬように脇を通り過ぎよう」
彼の指示に従って、俺たち一行は迂回するようなかたちで移動を続けた。
村には数人の住民がいたものの、こちらを見やるだけで近づいてこない。
「おそらく、ここもモンスターの手が入っているのだろう。面倒ごとに巻きこまれまいと見て見ぬふりをしているのかもしれない」
オーウェンは少し寂しげな声を漏らした。
やがて、村の横を通過し終えると同じような道が先へと続いていた。
最初に聞いた道のり通りなら、まだまだ先は長い。
会話をする者はまばらで、ほとんどが口を閉じた状態のまま歩き続けた。
どれぐらい歩いただろうか。
疲れを感じ始めたところで、隣りを歩くシモンが声をかけてきた。
「重要な決戦の前で、緊張気味の人が多いですね」
「最後の戦いが控えているからしょうがないさ」
俺がそう答えると、彼は言葉を返す代わりに頷いた。
シモンとの会話が途切れ、周りの景色に目を向けた。
すでに砦から遠く離れており、先の方まで平原が広がっている。
今いる場所は小高い丘なので、遠くの方まで見渡すことができた。
周辺にモンスターの影はなく、監視が行き届いているように見えなかった。
拠点はまだ先にあるということなのだろうか。
敵の存在を警戒しながら、不安と緊張を感じつつ足を運んだ。
それぞれ別々に集まって話し合いが行われた。
俺はオーウェンが指揮する始まりの青の方にメリルと参加した。
戦士たちは話し合いの結果、ダスクの女王や市民を守る義務がなく、町が奪還できたことから残る人員はゼロにすることになった。彼らの目的はモンスターの支配からの解放であるから、それが自然なことのように思われた。
それから、全員が集まって作戦の確認や準備をするうちに日が暮れていった。
翌朝、近くの湧き水で顔を洗い、身支度を整えた。
初めから荷物は少ないので、準備に手間取ることはない。
出発の時間が近づくと屋外の広い場所に全ての戦闘員が集った。
これまで通り、オーウェンとイアンが先頭に立っている。
「おそらく、これが最後の戦いになるはずだ。女王陛下をお守りする人員は決めてあるが、それ以外の兵士であっても同行は無理強いしない。ダスクが奪還できた以上、これは町を解放するための戦いではないのだ」
まずはイアンが口を開いた。
続けてオーウェンが話を始める。
「イアンが言ったようにこれが最後の決戦になるだろう。厳しい戦いが予想されるが、誇りを持って戦ってくれ。モンスターの支配から解き放たれるまでもう少しだ」
重要な作戦の前にもかかわらず、彼は落ち着いた様子だった。
作戦会議が終わると、女王と市民の護衛を任された者以外は並んでいた。
俺もその中で立っている。
「さあ、出発だ!」
「おおっ!」
オーウェンの呼びかけに応じた仲間たちの声が周囲に轟いた。
イアンが遠征組に入っておらず不思議に思ったら、近くにいた仲間から彼はフレア女王を守るために砦に残るのだと聞かされた。
砦のある場所から離れたところで、なかなかの大所帯になったことを感じた。
始まりの青の十数人とダスクの十人にも満たない兵士。
二人の槍使い、リュートやエレンの顔も見える。
「カナタ、緊張しているのか?」
仲間の様子を眺めながら歩いていると、オーウェンに声をかけられた。
「重要な局面ですからね。それなりには」
「たしかに、無理もないことだ」
彼は俺の言葉に深く頷いた。
続けて何か話そうと思ったものの、その先につながる話題が思いつかず、そのまま沈黙になった。
他の仲間に意識を向けてみると、皆一様に言葉の少ないまま歩いていた。
先ほどは戦いへの高揚を感じさせていたが、待ち受ける事態を深刻に捉えているであろうことは明白に思われた。
今まで通ったことのない道を歩き続けると、小さな農村が目に入った。
「……オーウェン、あそこは?」
「名もなき村だ。目立たぬように脇を通り過ぎよう」
彼の指示に従って、俺たち一行は迂回するようなかたちで移動を続けた。
村には数人の住民がいたものの、こちらを見やるだけで近づいてこない。
「おそらく、ここもモンスターの手が入っているのだろう。面倒ごとに巻きこまれまいと見て見ぬふりをしているのかもしれない」
オーウェンは少し寂しげな声を漏らした。
やがて、村の横を通過し終えると同じような道が先へと続いていた。
最初に聞いた道のり通りなら、まだまだ先は長い。
会話をする者はまばらで、ほとんどが口を閉じた状態のまま歩き続けた。
どれぐらい歩いただろうか。
疲れを感じ始めたところで、隣りを歩くシモンが声をかけてきた。
「重要な決戦の前で、緊張気味の人が多いですね」
「最後の戦いが控えているからしょうがないさ」
俺がそう答えると、彼は言葉を返す代わりに頷いた。
シモンとの会話が途切れ、周りの景色に目を向けた。
すでに砦から遠く離れており、先の方まで平原が広がっている。
今いる場所は小高い丘なので、遠くの方まで見渡すことができた。
周辺にモンスターの影はなく、監視が行き届いているように見えなかった。
拠点はまだ先にあるということなのだろうか。
敵の存在を警戒しながら、不安と緊張を感じつつ足を運んだ。
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