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こんなところに異世界 ―俺は勇者じゃないとそろそろ気づいてほしい―
探索開始
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暗くて周りの様子ははっきりと分からないが、その洞くつは森の中にあった。
入り口は人の背丈より少し高く、横幅は三、四メートルぐらいあるだろう。
偶然見かけたら、絶対に近づきたくないような雰囲気を醸し出している。
「オーウェン、グールたちは誘導するように動いていたので、罠かもしれません」
「私も同じことを考えていた。しかし、野放しにしておくわけにはいかない」
「それはたしかに……」
オーウェンの意見はもっともだった。
二つの町からそう遠くない距離にあり、俺たちは砦に滞在しようとしている。
これでは休息中に脅威が降りかかってもおかしくない。
「まずは行ってみようぜ。危ないようなら引き返すのもいいんじゃねえか」
リュートが楽観的な態度で言った。
「皆、周囲に気をつけながら進んでくれ。リュートの言うように危険な状況に直面したら、速やかに撤退しよう」
オーウェンは注意を呼びかけると、先頭に立って進み始めた。
中に入って驚いたのは、人工物のように整った構造だった。
「まるで坑道だな」
「エスラの歴史では、こんなところに鉱山はない。一体、何者が……」
彼らの言うように削岩機で掘り進めたように穴は真っ直ぐに続いていた。
人の手が入ったと認めざるを得ない状況だった。
奇襲されるかと思って身構えていたが、特に気配を感じない。
「グールの仕業とは思えん。黒幕がいるのか」
「モンスターどもにも指揮系統がある。ありえるかもしれねえ……」
オーウェンとリュートが警戒の色を露わにした。
「繰り返すが、周囲の様子に気をつけながら慎重に進もう」
改めてオーウェンが宣言した。
他の仲間達は無言で頷いた。
警戒しながら歩いていくと、ふいに道の両脇に火の玉が浮かび上がった。
「なっ、なんだ!?」
突然の出来事に緊迫した空気が流れた。
俺たちが進むと、その火の玉は順番に点火していった。
「やはり、罠か……」
オーウェンの言葉が重々しく響いた。
「敵が目の前なのに引き返すわけにはいかないでしょう」
「癪だが、エレンの言う通りだ。お誘いに乗ってやろうじゃないか」
エレンとリュートは好戦的な様子だった。
「カナタ、君の意見はどうだ? 見たところこの炎は魔術に近いようだ」
「たしかにそうですね」
マナの流れは感じ取れないが、着火装置がない以上は魔術である可能性が高い。
「狭い洞窟の中で武器は振りにくいですし、魔術も威力を上げにくい」
「それはもちろんだ」
「ええ、なので危険を劣勢になったら引き上げるのが無難だと思います」
オーウェンは俺の言葉に頷いた。
俺たちはそこからさらに先へと進んでいった。
ゆっくりと進んだ先に二つの分岐があった。
俺たちが立ち止まると右側の穴に火が点いた。
どうやら、こちらに進めと伝えているらしい。
「敵の案内に従うのは本意ではないが、隊を分断させるわけにもいかん。右側の道を進もう」
異を唱える者はなく、全員で同じ方向に進んだ。
慎重に足を運ぶうちに、前方に眩しい光が見えた。
まるで、昼間の太陽が向こうにあるかのようだ。
「……なんだ、あれは」
仲間の一人が訝しげに声を上げた。
俺たちはさらに進むペースを抑えて、慎重に怪しげな空間に近づいていった。
入り口は人の背丈より少し高く、横幅は三、四メートルぐらいあるだろう。
偶然見かけたら、絶対に近づきたくないような雰囲気を醸し出している。
「オーウェン、グールたちは誘導するように動いていたので、罠かもしれません」
「私も同じことを考えていた。しかし、野放しにしておくわけにはいかない」
「それはたしかに……」
オーウェンの意見はもっともだった。
二つの町からそう遠くない距離にあり、俺たちは砦に滞在しようとしている。
これでは休息中に脅威が降りかかってもおかしくない。
「まずは行ってみようぜ。危ないようなら引き返すのもいいんじゃねえか」
リュートが楽観的な態度で言った。
「皆、周囲に気をつけながら進んでくれ。リュートの言うように危険な状況に直面したら、速やかに撤退しよう」
オーウェンは注意を呼びかけると、先頭に立って進み始めた。
中に入って驚いたのは、人工物のように整った構造だった。
「まるで坑道だな」
「エスラの歴史では、こんなところに鉱山はない。一体、何者が……」
彼らの言うように削岩機で掘り進めたように穴は真っ直ぐに続いていた。
人の手が入ったと認めざるを得ない状況だった。
奇襲されるかと思って身構えていたが、特に気配を感じない。
「グールの仕業とは思えん。黒幕がいるのか」
「モンスターどもにも指揮系統がある。ありえるかもしれねえ……」
オーウェンとリュートが警戒の色を露わにした。
「繰り返すが、周囲の様子に気をつけながら慎重に進もう」
改めてオーウェンが宣言した。
他の仲間達は無言で頷いた。
警戒しながら歩いていくと、ふいに道の両脇に火の玉が浮かび上がった。
「なっ、なんだ!?」
突然の出来事に緊迫した空気が流れた。
俺たちが進むと、その火の玉は順番に点火していった。
「やはり、罠か……」
オーウェンの言葉が重々しく響いた。
「敵が目の前なのに引き返すわけにはいかないでしょう」
「癪だが、エレンの言う通りだ。お誘いに乗ってやろうじゃないか」
エレンとリュートは好戦的な様子だった。
「カナタ、君の意見はどうだ? 見たところこの炎は魔術に近いようだ」
「たしかにそうですね」
マナの流れは感じ取れないが、着火装置がない以上は魔術である可能性が高い。
「狭い洞窟の中で武器は振りにくいですし、魔術も威力を上げにくい」
「それはもちろんだ」
「ええ、なので危険を劣勢になったら引き上げるのが無難だと思います」
オーウェンは俺の言葉に頷いた。
俺たちはそこからさらに先へと進んでいった。
ゆっくりと進んだ先に二つの分岐があった。
俺たちが立ち止まると右側の穴に火が点いた。
どうやら、こちらに進めと伝えているらしい。
「敵の案内に従うのは本意ではないが、隊を分断させるわけにもいかん。右側の道を進もう」
異を唱える者はなく、全員で同じ方向に進んだ。
慎重に足を運ぶうちに、前方に眩しい光が見えた。
まるで、昼間の太陽が向こうにあるかのようだ。
「……なんだ、あれは」
仲間の一人が訝しげに声を上げた。
俺たちはさらに進むペースを抑えて、慎重に怪しげな空間に近づいていった。
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