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こんなところに異世界 ―俺は勇者じゃないとそろそろ気づいてほしい―
生き残るための選択
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「……ふっ、ごほっ」
イアンは町の中心で戦いを続けていた。
ほとんどの兵士が市民の誘導に向かい、近くにいるのは一人の仲間だけだった。
「さすがのイアン隊長でも、この煙には苦戦しますね」
「軽口を叩く余裕があるなら、もっとモンスターを倒せ」
「はいはい、分かってますって」
イアンよりも年少の兵士エレンは軽い調子で言った後、鋭い突きでオークの急所をうがった。引き抜いた槍の先端から赤い血が滴り落ちる。
エレンは藍色の髪と細く引き締まった身体が特徴的な青年だ。
イアンと同じく甲冑に身を包み、戦闘用に武装している。
エレンは少年のような微笑みを浮かべながら、そそくさとイアンに近づいた。
「次から次へときりがないですね」
「包囲がなければどうにかなったかもしれないが、今回は壁が仇になったな」
「仰る通りで」
二人が話していると増援のモンスターが迫ってきた。
彼らはすぐさま臨戦態勢に入り、それぞれ手にした武器を構えた。
「ここまでの規模は初めてだ。一体、どこにこれだけの戦力が隠れていたんだ」
「エスラと組んでれば、こんなことにならなかったんじゃないですかね」
「何を今更。すでにモンスターに支配されているのに、彼らに何ができる?」
「はいはい、愚問でしたね」
モンスターが勢力を拡大してから、ダスクでは何度も話し合いが行われた。
エスラと協力するべきという意見は繰り返し上がったものの、過去に交戦状態になった経緯からダスクの重鎮は手を結ぶことに消極的だった。
そうこうするうちにエスラはモンスターの手に落ち、高い防衛力を誇るダスクは難を逃れることができた。
「――お二人とも、市民の避難が完了しました。さあ、一緒に地下通路へ!」
イアンとエレンがモンスターと応戦していると、一人の兵士が駆け寄ってきた。
「分かった、すぐに向かう」
イアンはこの場にいるモンスターだけでも斬り伏せておこうと考えていた。
彼は深く息を吸いこむと、勢いをつけて前方に踏みこんだ。
流れるような動作で剣を振り、周囲にいたゴブリンやオークが倒れていく。
一時的に付近のモンスターを減らすことができたものの、すぐにどこからかモンスターが集まってきた。この状況では彼の優れた剣技でさえ焼け石に水だった。
「ほら、隊長行きましょうよ」
「ああっ、すぐ行く」
エレンの呼びかけでイアンはその場を後にした。
二人に声をかけた兵士が先を進み、地下通路に向けて駆けていた。
「――うわっ」
兵士は短い悲鳴を上げたかと思うと、そのまま勢いよく吹き飛ばされた。
「大丈夫か!?」
「おっと、ヤバめのモンスター登場ですね」
飄々とした様子のエレンが気を引き締めるように背筋を伸ばした。
二人の前に立ちふさがるように通常よりも一回り大きなオークが立っている。
「我々の邪魔をしようというのか」
「いい度胸ですね。暴れたりないので相手してあげましょう」
二人はそれぞれの武器を手にして、オークに立ち向かっていった。
イアンは町の中心で戦いを続けていた。
ほとんどの兵士が市民の誘導に向かい、近くにいるのは一人の仲間だけだった。
「さすがのイアン隊長でも、この煙には苦戦しますね」
「軽口を叩く余裕があるなら、もっとモンスターを倒せ」
「はいはい、分かってますって」
イアンよりも年少の兵士エレンは軽い調子で言った後、鋭い突きでオークの急所をうがった。引き抜いた槍の先端から赤い血が滴り落ちる。
エレンは藍色の髪と細く引き締まった身体が特徴的な青年だ。
イアンと同じく甲冑に身を包み、戦闘用に武装している。
エレンは少年のような微笑みを浮かべながら、そそくさとイアンに近づいた。
「次から次へときりがないですね」
「包囲がなければどうにかなったかもしれないが、今回は壁が仇になったな」
「仰る通りで」
二人が話していると増援のモンスターが迫ってきた。
彼らはすぐさま臨戦態勢に入り、それぞれ手にした武器を構えた。
「ここまでの規模は初めてだ。一体、どこにこれだけの戦力が隠れていたんだ」
「エスラと組んでれば、こんなことにならなかったんじゃないですかね」
「何を今更。すでにモンスターに支配されているのに、彼らに何ができる?」
「はいはい、愚問でしたね」
モンスターが勢力を拡大してから、ダスクでは何度も話し合いが行われた。
エスラと協力するべきという意見は繰り返し上がったものの、過去に交戦状態になった経緯からダスクの重鎮は手を結ぶことに消極的だった。
そうこうするうちにエスラはモンスターの手に落ち、高い防衛力を誇るダスクは難を逃れることができた。
「――お二人とも、市民の避難が完了しました。さあ、一緒に地下通路へ!」
イアンとエレンがモンスターと応戦していると、一人の兵士が駆け寄ってきた。
「分かった、すぐに向かう」
イアンはこの場にいるモンスターだけでも斬り伏せておこうと考えていた。
彼は深く息を吸いこむと、勢いをつけて前方に踏みこんだ。
流れるような動作で剣を振り、周囲にいたゴブリンやオークが倒れていく。
一時的に付近のモンスターを減らすことができたものの、すぐにどこからかモンスターが集まってきた。この状況では彼の優れた剣技でさえ焼け石に水だった。
「ほら、隊長行きましょうよ」
「ああっ、すぐ行く」
エレンの呼びかけでイアンはその場を後にした。
二人に声をかけた兵士が先を進み、地下通路に向けて駆けていた。
「――うわっ」
兵士は短い悲鳴を上げたかと思うと、そのまま勢いよく吹き飛ばされた。
「大丈夫か!?」
「おっと、ヤバめのモンスター登場ですね」
飄々とした様子のエレンが気を引き締めるように背筋を伸ばした。
二人の前に立ちふさがるように通常よりも一回り大きなオークが立っている。
「我々の邪魔をしようというのか」
「いい度胸ですね。暴れたりないので相手してあげましょう」
二人はそれぞれの武器を手にして、オークに立ち向かっていった。
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