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飛竜探しの旅
飛竜探しの足がかり その2
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「村に詳しい人はいないから、飛竜について書かれていそうな本に目を通してみたわ」
「ちなみに実物を見たことはないんですか?」
「あるにはあるけれど、その時々で見かける場所が変わるから、そこまで再現性が高くないのよ」
「それで書物に目を通したと」
こちらから見える限りでは、その本はエルフの言葉で書かれているようだった。
この世界共通のコモン語以外の文字が使われている。
「肉食かと思いきや雑食みたいで、植物もよく食べるみたいなのよ」
「それは意外ですね。生肉をばくばく食べてそうなイメージです」
「うん、それで飛竜の好む草が書いてあるから、そこを中心に探せば見つけやすいはずよ」
アデルは本に目を向けながら話していた。
飛竜の生態について書かれたページなのだろう。
「夜が明けたら調べに行きたいですけど、ハンクはもう少し休んでもらった方がいいかもしれませんね」
「そうね、その方がいいかも。兄さんもそれっぽいことを言っていたものね」
俺はアデルと話しながら、部屋の奥のベッドに目を向けた。
ハンクが気持ちよさそうに寝息を立てている。
「とりあえず、明日の朝に二人で探しに行くということで」
「それで問題ないわ」
ここに来るまで色んなことがあって後回しになっていたが、本題の飛竜探しが近づいてきた。
期待が高まる一方で不安な気持ちもある。
飛竜とてドラゴンの系譜にある、竜種なのだ。
「捕獲できたら最高ですけど、難しい場合はハンクが復活してからにしましょう」
「その方が賢明ね。攻撃的なドラゴンに比べたらおとなしいけれど、家畜のように従順というわけではないもの」
「そういえば、今日の夕食はどうしますか?」
飛竜のことも大事だが、そろそろ時間的に確認しておきたかった。
魔法の連続使用はともかく、野生児コレットに付き合ったことで空腹だった。
「本に集中していて、うっかりしていたわ。私はコレットのところで食べるから、マルクは兄さんのところにでも行ってみて」
「えっ? ずいぶん急ですね」
「飛竜について調べておいたんだからいいじゃない」
「まあ、それはそうですね」
アデルのペースに巻きこまれている気がするものの、こちらのために調べてくれたのは事実である。
食材の残りがあればハンクの分も含めて二人分を作るつもりだが、見た感じでは一人分がやっとの量だった。
俺が食事に出れば、ハンクの分の食材を残すことができる。
「アデルのお兄さん、ソラルは急にたずねても大丈夫なんですか?」
「ああ見えて人恋しい性格だから、今日の夕食は多めに作っている気がするわ」
「少し意外ですけど、そんな性格なんでかすね」
また会おう的な発言をしていたものの、そこまで会いたがっているのか疑問が残る。
「それじゃあ、私はコレットのところに行くわ。ハンクはまだ回復の途中だと思うから、そのまま寝かせておいて大丈夫よ」
二人で会話を続けていてもハンクが目を覚ますことはなかった。
声をかけて起こしてしまうより、そのままにしておいた方がいいだろう。
「ちなみに実物を見たことはないんですか?」
「あるにはあるけれど、その時々で見かける場所が変わるから、そこまで再現性が高くないのよ」
「それで書物に目を通したと」
こちらから見える限りでは、その本はエルフの言葉で書かれているようだった。
この世界共通のコモン語以外の文字が使われている。
「肉食かと思いきや雑食みたいで、植物もよく食べるみたいなのよ」
「それは意外ですね。生肉をばくばく食べてそうなイメージです」
「うん、それで飛竜の好む草が書いてあるから、そこを中心に探せば見つけやすいはずよ」
アデルは本に目を向けながら話していた。
飛竜の生態について書かれたページなのだろう。
「夜が明けたら調べに行きたいですけど、ハンクはもう少し休んでもらった方がいいかもしれませんね」
「そうね、その方がいいかも。兄さんもそれっぽいことを言っていたものね」
俺はアデルと話しながら、部屋の奥のベッドに目を向けた。
ハンクが気持ちよさそうに寝息を立てている。
「とりあえず、明日の朝に二人で探しに行くということで」
「それで問題ないわ」
ここに来るまで色んなことがあって後回しになっていたが、本題の飛竜探しが近づいてきた。
期待が高まる一方で不安な気持ちもある。
飛竜とてドラゴンの系譜にある、竜種なのだ。
「捕獲できたら最高ですけど、難しい場合はハンクが復活してからにしましょう」
「その方が賢明ね。攻撃的なドラゴンに比べたらおとなしいけれど、家畜のように従順というわけではないもの」
「そういえば、今日の夕食はどうしますか?」
飛竜のことも大事だが、そろそろ時間的に確認しておきたかった。
魔法の連続使用はともかく、野生児コレットに付き合ったことで空腹だった。
「本に集中していて、うっかりしていたわ。私はコレットのところで食べるから、マルクは兄さんのところにでも行ってみて」
「えっ? ずいぶん急ですね」
「飛竜について調べておいたんだからいいじゃない」
「まあ、それはそうですね」
アデルのペースに巻きこまれている気がするものの、こちらのために調べてくれたのは事実である。
食材の残りがあればハンクの分も含めて二人分を作るつもりだが、見た感じでは一人分がやっとの量だった。
俺が食事に出れば、ハンクの分の食材を残すことができる。
「アデルのお兄さん、ソラルは急にたずねても大丈夫なんですか?」
「ああ見えて人恋しい性格だから、今日の夕食は多めに作っている気がするわ」
「少し意外ですけど、そんな性格なんでかすね」
また会おう的な発言をしていたものの、そこまで会いたがっているのか疑問が残る。
「それじゃあ、私はコレットのところに行くわ。ハンクはまだ回復の途中だと思うから、そのまま寝かせておいて大丈夫よ」
二人で会話を続けていてもハンクが目を覚ますことはなかった。
声をかけて起こしてしまうより、そのままにしておいた方がいいだろう。
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