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婚約破棄令嬢は光の花に想いを馳せる
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「婚約破棄して欲しいんだ」
「……!」
私は思わず目を見開く。
今の私にはとても信じがたい出来事だったのだ。
一週間前、花火大会の開催日である今日に予定を付けてくれたのは心躍るほど嬉しい出来事だったからだ。
その純粋な喜びの感情を踏み躙られたようで涙が出てくる。
もちろん、それだけが理由ではないが。
「私……」
「それじゃ」
まだ私は承諾しても居ないし、この感情を伝えようと思ったのに……。
私はその足でとぼとぼと歩き、庭にある白い小屋のようなところに腰掛ける。
ちょうどここから花火も見えるし……。
花壇に美しく咲き誇るカキツバタがやけに光って見えた。
『パァン!』
夜空に光の花が咲く。
色とりどりに咲くその姿はこんなところでウジウジしている私を嘲笑うかのようだった。
手を伸ばしても届きそうにない距離。だが、前を向いていたらいつか届くだろうか。
柱に巻き付いているアサガオが光を受ける。
私はその中の青いアサガオだけを摘み取って捨てる。
私はその日、元婚約者の事なんか引きずらないと決めた。
「……!」
私は思わず目を見開く。
今の私にはとても信じがたい出来事だったのだ。
一週間前、花火大会の開催日である今日に予定を付けてくれたのは心躍るほど嬉しい出来事だったからだ。
その純粋な喜びの感情を踏み躙られたようで涙が出てくる。
もちろん、それだけが理由ではないが。
「私……」
「それじゃ」
まだ私は承諾しても居ないし、この感情を伝えようと思ったのに……。
私はその足でとぼとぼと歩き、庭にある白い小屋のようなところに腰掛ける。
ちょうどここから花火も見えるし……。
花壇に美しく咲き誇るカキツバタがやけに光って見えた。
『パァン!』
夜空に光の花が咲く。
色とりどりに咲くその姿はこんなところでウジウジしている私を嘲笑うかのようだった。
手を伸ばしても届きそうにない距離。だが、前を向いていたらいつか届くだろうか。
柱に巻き付いているアサガオが光を受ける。
私はその中の青いアサガオだけを摘み取って捨てる。
私はその日、元婚約者の事なんか引きずらないと決めた。
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