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第一章

王都で

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「もっと早く動け! 新入り!」
「……はい」

 王都青果店、私はここでしばらく雇ってもらえることになったのだが……。

「あぁ、畜生。お前なんか辞めちまえ!」
『グチャッ』

 同じくバイトの身であるにも関わらず、私をボロカスに罵り挙句の果てにはトマトを投げてくる始末。
 店主は悪い人ではないのだが、適当なところがあるので少しトマトが掛かっていようが『荷物を下ろすところでなったのかな?』レベルにしか思わないだろう。
 だが、ここで辞めてしまうともう行く当てがない。鬼畜ゲーだ。

「何も言い返せないのか? ……もう可哀そうの域に達してるな」

 私はその声をただ黙って聞いていた。
 失うものがほとんどないことが唯一の救いだった。
 
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