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はじまりまして
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「――おええええええええええっ!」
本当に吐いているわけではないが、心底気分が悪そうに、森谷は声を上げる。
「ら――ラディ! おまっ……! 突然、変なこと言ってんじゃねぇ!」
「……えーっ、と。……まさかとは思うけど、アユミ。……なにか、変な誤解してないか?」
「は――はあ?」
「はあ? じゃなくてさ。……まったく、変なふうに捉えないでくれよ」
森谷から戸惑いの視線を受け、ラディは肩をすくめる。
その反応に、森谷は少し安堵し、反論するように口を開いた。
「いやいやいやいや、今のは、ラディの言い方がわるいだろ。つーか、いつもそんなキザっぽい言い方してるのか? まあお前、綺麗な面してっから、様にはなってるけどよ」
「……っ、なんだよ。そんな風に言われたら、なんだか言い返しずらいじゃないか」
ラディは歯切れ悪く言う。
頬が赤いのは湯に使ってるせいだろう。
「ったく。さっきはおれのこと、変って言ってたけど、お互いさまだじゃねえか……」
森谷は深く息を吐くと、気を静めるように空を見上げた。
その先には、月に似た、白い惑星があり、その星の表面には、星型のようなクレーターがある。
彼は何気なくその惑星に目を向けると、
「月……じゃ、ないんだよな」
「ん?」
森谷の言葉が気になったのか、ラディが首をひねる。
「月が、どうかしたのかい?」
「いやいや、月じゃなくってさ……ん? 今、月って言った?」
「何を言ってるんだよ。月がどうのって、今きみが言い出したんじゃないか」
ラディはそう言って、肩をすくめる。
その言葉に、森谷は困惑の表情をラディへ向けた。
「ひょっとして、あの白いやつ……、月、っていうのか?」
「は? ……それ以外に、なんていうのさ」
ラディは眉をひそめて言う。
森谷はそんな彼へ「いや、なんでもない」と、を手をひらひらと横に振ると、
「ごめん。文化が違うから、呼び方も違うのかなって……」
「へえ……、文化の違い、ねえ……」
「そうそう、そういうこと」
納得仕切っていない様子のラディに、森谷は適当に話をまとめるようにして、話をうやむやにする。
それから、互いに口をつぐむと、場に静寂が訪れた。
森谷はなんとなく目を空に向けると、小さく笑みをもらす。
その様子に、ラディが眉をひそめた。
「なんだよ、アユミ。急に笑ったりして……」
「いや、なんていうか……。月が、綺麗だな。って思っただけだ」
湯に浸かってるせいだろうか。
森谷は思わずそう口にしていた。
すると、ラディが驚いた様子で目を見開き、
「は――はあ!? 月が綺麗って、アユミ――ちょ、きみっ……! 突然変なことをいわないでくれよ!」
「…………」
何をいっているのだろうか――と、森谷は無言で思考し、すぐに理解する。
かの有名な、告白の言葉は、どういうわけか、この場所でもつたわるようで――。
つまり、誤解をされてしまった森谷は、そのことを説明しなければならなくなってしまい。
その会話は、二人がのぼせてしまう寸前まで続き、ようやく誤解が解けたのだった――。
* 【194】――【216】 *
本当に吐いているわけではないが、心底気分が悪そうに、森谷は声を上げる。
「ら――ラディ! おまっ……! 突然、変なこと言ってんじゃねぇ!」
「……えーっ、と。……まさかとは思うけど、アユミ。……なにか、変な誤解してないか?」
「は――はあ?」
「はあ? じゃなくてさ。……まったく、変なふうに捉えないでくれよ」
森谷から戸惑いの視線を受け、ラディは肩をすくめる。
その反応に、森谷は少し安堵し、反論するように口を開いた。
「いやいやいやいや、今のは、ラディの言い方がわるいだろ。つーか、いつもそんなキザっぽい言い方してるのか? まあお前、綺麗な面してっから、様にはなってるけどよ」
「……っ、なんだよ。そんな風に言われたら、なんだか言い返しずらいじゃないか」
ラディは歯切れ悪く言う。
頬が赤いのは湯に使ってるせいだろう。
「ったく。さっきはおれのこと、変って言ってたけど、お互いさまだじゃねえか……」
森谷は深く息を吐くと、気を静めるように空を見上げた。
その先には、月に似た、白い惑星があり、その星の表面には、星型のようなクレーターがある。
彼は何気なくその惑星に目を向けると、
「月……じゃ、ないんだよな」
「ん?」
森谷の言葉が気になったのか、ラディが首をひねる。
「月が、どうかしたのかい?」
「いやいや、月じゃなくってさ……ん? 今、月って言った?」
「何を言ってるんだよ。月がどうのって、今きみが言い出したんじゃないか」
ラディはそう言って、肩をすくめる。
その言葉に、森谷は困惑の表情をラディへ向けた。
「ひょっとして、あの白いやつ……、月、っていうのか?」
「は? ……それ以外に、なんていうのさ」
ラディは眉をひそめて言う。
森谷はそんな彼へ「いや、なんでもない」と、を手をひらひらと横に振ると、
「ごめん。文化が違うから、呼び方も違うのかなって……」
「へえ……、文化の違い、ねえ……」
「そうそう、そういうこと」
納得仕切っていない様子のラディに、森谷は適当に話をまとめるようにして、話をうやむやにする。
それから、互いに口をつぐむと、場に静寂が訪れた。
森谷はなんとなく目を空に向けると、小さく笑みをもらす。
その様子に、ラディが眉をひそめた。
「なんだよ、アユミ。急に笑ったりして……」
「いや、なんていうか……。月が、綺麗だな。って思っただけだ」
湯に浸かってるせいだろうか。
森谷は思わずそう口にしていた。
すると、ラディが驚いた様子で目を見開き、
「は――はあ!? 月が綺麗って、アユミ――ちょ、きみっ……! 突然変なことをいわないでくれよ!」
「…………」
何をいっているのだろうか――と、森谷は無言で思考し、すぐに理解する。
かの有名な、告白の言葉は、どういうわけか、この場所でもつたわるようで――。
つまり、誤解をされてしまった森谷は、そのことを説明しなければならなくなってしまい。
その会話は、二人がのぼせてしまう寸前まで続き、ようやく誤解が解けたのだった――。
* 【194】――【216】 *
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