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はじまりまして
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突然の森谷の思いつきで、大人数でのばば抜きは始まった。
この場には、数十名という者たちがいるが、森谷の【生成】によって、トランプを四束ぶん増やすことで、それを可能としたのである。
そしてそれを、四箇所から時計回りでカードが引いていき――そんな流れで、後ろからの迫ってくる順番のプレッシャーに急かされながら、なんだかんだゲームはスムーズに進み、ひとまずそのゲームは終わりを迎えた。
そして――、
「よし! この人数でばば抜きは――ないな!」
大人数でのばば抜きは、やはり大味だったようで、森谷きっぱりと言いきる。
「ゲーム自体は、面白い――……」
「ただ、さすがに、この人数でやるゲームでは――……」
「トランプか。これって人間族の中では――……」
「けど、トランプなんていう遊びは、一度も――……」
骨の兵士達や巨大蝙蝠達が、楽しげな調子で口々に言い合っている。
ゲームのチョイスは間違いだったようだが、場の空気は悪くはないようだ。
「なあアユミ。この人数でも、ほどよく遊べるものとかはないのか?」
「まあまあ、落ちつくんだファーシル。トランプを使った遊びは、まだまだいくらでもあるんだから」
森谷がそう答えると、ファーシルは驚きの表情を浮べた。
「――なんと、それは本当か?」
「ああ、もちろんだ。――さて、次は何を……」
* 【121】――【139】 *
「……ん? どうした、アユミ。なんだか顔色が悪いぞ?」
「え? あ、そう? いや、これは別に……」
ファーシルから心配な視線を受け、森谷は目を泳がせる。
と、そのときである。
――ギュルル……。
その音は、どう聞いても腹の虫が鳴る音。
ファーシルの腹から鳴った音だった。
「あ……すまん。――というか、アユミ。そろそろ頃合だろうし、飯にするか?」
「ん? あ――ああ……、めしか……」
森谷は少ししてから、ようやく言われていることに気付く。
どうやら、なんだかんだで、彼は緊張の中にいたようだ。
ファーシルの言葉をきっかけに森谷は空腹を意識し。
――グルル……。
森谷の腹からも、その音はなった。
途端――穏やかな笑い声が起こる。
と、そこへ、
「よし、今日は皆で一緒に飯にしよう!」
ファーシルが言葉の全員に声が聞こえるよう、声をあげる。
そんな彼女へと、巨大蝙蝠の一匹がおずおずと口を開いた。
「……魔王さま。もしかして、我々も夕食に同席してもよろしいんでしょうか?」
「ん? 当然だろう」
ファーシルは巨大蝙蝠の問いに、何を言っているのかと言いたげな表情を浮べる。
すると、ファーシルの言葉に、場がどよめいた。
困惑しながらも、喜びをにじませるような、そんな声がちらほらとあがっている。
と、そこで、森谷があることに気付く。
「――あれ? スカルさんは……?」
正面の席に座っていたはずのスカルがいつの間に姿を消していたのである。
森谷はきょろきょろと部屋を見渡してみた。
だが、やはり見つからない姿に、彼が首をかしげていると、
――ガラガラッ。
いつの間に、開きっぱなしになっていた扉から、何台ものサービスワゴンが入ってきた。
その先頭にはスカルがおり、その背後から、メイド服を着た魔族らしき少女達のが部屋へと入ってくる
スカルは部屋の者たちをぐるり見回すと、おもむろに口を開く。
「皆さん、お食事をお持ちしました」
彼がそういうと、メイド達はてきぱきと、食事の準備を始めていった。
この場には、数十名という者たちがいるが、森谷の【生成】によって、トランプを四束ぶん増やすことで、それを可能としたのである。
そしてそれを、四箇所から時計回りでカードが引いていき――そんな流れで、後ろからの迫ってくる順番のプレッシャーに急かされながら、なんだかんだゲームはスムーズに進み、ひとまずそのゲームは終わりを迎えた。
そして――、
「よし! この人数でばば抜きは――ないな!」
大人数でのばば抜きは、やはり大味だったようで、森谷きっぱりと言いきる。
「ゲーム自体は、面白い――……」
「ただ、さすがに、この人数でやるゲームでは――……」
「トランプか。これって人間族の中では――……」
「けど、トランプなんていう遊びは、一度も――……」
骨の兵士達や巨大蝙蝠達が、楽しげな調子で口々に言い合っている。
ゲームのチョイスは間違いだったようだが、場の空気は悪くはないようだ。
「なあアユミ。この人数でも、ほどよく遊べるものとかはないのか?」
「まあまあ、落ちつくんだファーシル。トランプを使った遊びは、まだまだいくらでもあるんだから」
森谷がそう答えると、ファーシルは驚きの表情を浮べた。
「――なんと、それは本当か?」
「ああ、もちろんだ。――さて、次は何を……」
* 【121】――【139】 *
「……ん? どうした、アユミ。なんだか顔色が悪いぞ?」
「え? あ、そう? いや、これは別に……」
ファーシルから心配な視線を受け、森谷は目を泳がせる。
と、そのときである。
――ギュルル……。
その音は、どう聞いても腹の虫が鳴る音。
ファーシルの腹から鳴った音だった。
「あ……すまん。――というか、アユミ。そろそろ頃合だろうし、飯にするか?」
「ん? あ――ああ……、めしか……」
森谷は少ししてから、ようやく言われていることに気付く。
どうやら、なんだかんだで、彼は緊張の中にいたようだ。
ファーシルの言葉をきっかけに森谷は空腹を意識し。
――グルル……。
森谷の腹からも、その音はなった。
途端――穏やかな笑い声が起こる。
と、そこへ、
「よし、今日は皆で一緒に飯にしよう!」
ファーシルが言葉の全員に声が聞こえるよう、声をあげる。
そんな彼女へと、巨大蝙蝠の一匹がおずおずと口を開いた。
「……魔王さま。もしかして、我々も夕食に同席してもよろしいんでしょうか?」
「ん? 当然だろう」
ファーシルは巨大蝙蝠の問いに、何を言っているのかと言いたげな表情を浮べる。
すると、ファーシルの言葉に、場がどよめいた。
困惑しながらも、喜びをにじませるような、そんな声がちらほらとあがっている。
と、そこで、森谷があることに気付く。
「――あれ? スカルさんは……?」
正面の席に座っていたはずのスカルがいつの間に姿を消していたのである。
森谷はきょろきょろと部屋を見渡してみた。
だが、やはり見つからない姿に、彼が首をかしげていると、
――ガラガラッ。
いつの間に、開きっぱなしになっていた扉から、何台ものサービスワゴンが入ってきた。
その先頭にはスカルがおり、その背後から、メイド服を着た魔族らしき少女達のが部屋へと入ってくる
スカルは部屋の者たちをぐるり見回すと、おもむろに口を開く。
「皆さん、お食事をお持ちしました」
彼がそういうと、メイド達はてきぱきと、食事の準備を始めていった。
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