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はじまりまして
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「「え?」」
と――二つの声が二度重なる。
森谷とファーシルの声だ。
森谷はファーシルへと視線を向けると、
「いやいやいや、なんでファーシルが驚いてんだよ」
「そんなことを言われても……。なあスカル、ひとつ訊きたいんだが、普通は……、魔力を感じないものなのか?」
「……え、ええ。詳しいことは言えませんが、他のもの魔力の気配を感じられるのは、魔王様くらいだと、我々は存じております」
「「へえ……」」
再び二つの声が重なり、
「――って、だから! なんでファーシルが知らねーの!?」
「そ――それをいうなら、アユミだって、自分の力のことを、あまり知らないではないか」
「いやっ……、けど、それは……」
声をあげて言いあう森谷とファーシル。
そんな二人の仲裁をするように、スカルが咳払いをした。
「まあまあ、落ちついてください。ちなみに、魔王さまが魔力についてあまり知らないのは、おそらく――興味がないことが原因だと思います」
その声に、視線が集まり、スカルはとある話をはじめる――。
自分が、現魔王――ファーシルが生まれる前から、この屋敷につかえていること。
魔王という存在は、どの代も、底知れない力を持っていたこと。
歴代の魔王たちが、その見に宿す膨大な力を使って、世界を我が物にしようとしていたこと。
そして、それらの話をした後、スカルは言う――。
「しかし、そういった歴史は、今までの魔王様たちが亡くなり――現魔王様という存在が現れたことで――終わったのです。そして、ファーシル様は戦いを望まれず、万が一の時を思って、住まいを門から一番近い、この場所へと移されました。だからこそ、わたくしもそれにみならい、門兵を買って出たのです」
「「へえ……」」
「――って、だから! どうしてファーシルまで驚いてんだよ!?」
「いやいや、わたしだって、スカルの事情は知らなかったんだ。もっと高い役職でも良いのでは、と思ったのだが……そんなことがあったのか……」
ファーシルは森谷にそう答えると、「ふむ……」と考える素振りをした。
「まあこの話は、このへんにしておきましょう。とにかく、報告は以上ですので、私はこのへんで失礼いたします……」
「――あ、あのっ、スカルさん……」
森谷が手をあげて、名前を呼ぶ。
そして、部屋から出ようとするスカルを引き止めると――、
* 【66】――【88】 *
彼は魔力の変動を感じつつも――それを意識の外にやり、スカルをまっすぐに見据え、おもむろに口を開いた――。
と――二つの声が二度重なる。
森谷とファーシルの声だ。
森谷はファーシルへと視線を向けると、
「いやいやいや、なんでファーシルが驚いてんだよ」
「そんなことを言われても……。なあスカル、ひとつ訊きたいんだが、普通は……、魔力を感じないものなのか?」
「……え、ええ。詳しいことは言えませんが、他のもの魔力の気配を感じられるのは、魔王様くらいだと、我々は存じております」
「「へえ……」」
再び二つの声が重なり、
「――って、だから! なんでファーシルが知らねーの!?」
「そ――それをいうなら、アユミだって、自分の力のことを、あまり知らないではないか」
「いやっ……、けど、それは……」
声をあげて言いあう森谷とファーシル。
そんな二人の仲裁をするように、スカルが咳払いをした。
「まあまあ、落ちついてください。ちなみに、魔王さまが魔力についてあまり知らないのは、おそらく――興味がないことが原因だと思います」
その声に、視線が集まり、スカルはとある話をはじめる――。
自分が、現魔王――ファーシルが生まれる前から、この屋敷につかえていること。
魔王という存在は、どの代も、底知れない力を持っていたこと。
歴代の魔王たちが、その見に宿す膨大な力を使って、世界を我が物にしようとしていたこと。
そして、それらの話をした後、スカルは言う――。
「しかし、そういった歴史は、今までの魔王様たちが亡くなり――現魔王様という存在が現れたことで――終わったのです。そして、ファーシル様は戦いを望まれず、万が一の時を思って、住まいを門から一番近い、この場所へと移されました。だからこそ、わたくしもそれにみならい、門兵を買って出たのです」
「「へえ……」」
「――って、だから! どうしてファーシルまで驚いてんだよ!?」
「いやいや、わたしだって、スカルの事情は知らなかったんだ。もっと高い役職でも良いのでは、と思ったのだが……そんなことがあったのか……」
ファーシルは森谷にそう答えると、「ふむ……」と考える素振りをした。
「まあこの話は、このへんにしておきましょう。とにかく、報告は以上ですので、私はこのへんで失礼いたします……」
「――あ、あのっ、スカルさん……」
森谷が手をあげて、名前を呼ぶ。
そして、部屋から出ようとするスカルを引き止めると――、
* 【66】――【88】 *
彼は魔力の変動を感じつつも――それを意識の外にやり、スカルをまっすぐに見据え、おもむろに口を開いた――。
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