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はじまりまして
03
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なぜそのような行動にでたのだろうか――と、そんなことを思いながら、少年は長い廊下を歩いていく。
門兵を追いかけるようにして彼は屋敷の中に入ったのだが、警備用のような小さな扉を抜けた先は廊下になっていて、そのまっすぐにのびるマットの上を、彼は進んでいた。
「あ、あれ……さっきの二人は……」
進んでも進んでも、誰もいない。
何の気配すら感じず、少年はきょろきょろと辺りを見回す。
門兵達が去って、随分たってから追いかけたのもあり、その姿を完全に見失ってしまったようだ。
このままでは、不法侵入でしかない。
まあ、その通りなのだが――。
「おーい、誰かいませんかー?」
よっぽど広い廊下なのか、少年の声が反響していく。
もし近くに何者かがいたならば、間違いなく、その声は聞こえているだろうが、うんともすんとも、反応は返ってくる様子はない。
少年はもう一度呼びかけてみようと、息を吸い込んだ。
と、そこに、
「――ん?」
眉をひそめる少年。
辺りには何の変化もない。
少年が意識を向けたのは自分の中――魔力にだった。
体内に流れるその感覚に、ふと違和感を覚えたのである。
そして――その思いは、唐突に沸きあがってきた。
「あれ……? なんか……」
魔力を使って――【何かが出来そう】だと、少年は漠然とそんなふうに思い始める。
「え……っと。これって……」
第六感というべきものなのだろうか。
なぜだか、今すぐにそれ使うべきなような気がして、ぼんやりとしたその得体の知れない感情に、少年は複雑そうに眉をひそめる。
しかし、万が一の時の切り札である力を、衝動に任せて使ってしまってもいいのだろうか。
魔力を補充する当ては今のところなく、その事への不安が、少年の選択を躊躇させていた。
それと同時に、【その力】に対する成功のイメージが、彼の中で、曖昧なものから確信へと変わってく感覚があり、それがさらに、思考を惑わせていく。
少年は【その力】の必要性について、思案するように腕を組むと――しばらくして。
「ああ……まじかぁ……」
彼は何かに納得した様子で呟いた。
門兵を追いかけるようにして彼は屋敷の中に入ったのだが、警備用のような小さな扉を抜けた先は廊下になっていて、そのまっすぐにのびるマットの上を、彼は進んでいた。
「あ、あれ……さっきの二人は……」
進んでも進んでも、誰もいない。
何の気配すら感じず、少年はきょろきょろと辺りを見回す。
門兵達が去って、随分たってから追いかけたのもあり、その姿を完全に見失ってしまったようだ。
このままでは、不法侵入でしかない。
まあ、その通りなのだが――。
「おーい、誰かいませんかー?」
よっぽど広い廊下なのか、少年の声が反響していく。
もし近くに何者かがいたならば、間違いなく、その声は聞こえているだろうが、うんともすんとも、反応は返ってくる様子はない。
少年はもう一度呼びかけてみようと、息を吸い込んだ。
と、そこに、
「――ん?」
眉をひそめる少年。
辺りには何の変化もない。
少年が意識を向けたのは自分の中――魔力にだった。
体内に流れるその感覚に、ふと違和感を覚えたのである。
そして――その思いは、唐突に沸きあがってきた。
「あれ……? なんか……」
魔力を使って――【何かが出来そう】だと、少年は漠然とそんなふうに思い始める。
「え……っと。これって……」
第六感というべきものなのだろうか。
なぜだか、今すぐにそれ使うべきなような気がして、ぼんやりとしたその得体の知れない感情に、少年は複雑そうに眉をひそめる。
しかし、万が一の時の切り札である力を、衝動に任せて使ってしまってもいいのだろうか。
魔力を補充する当ては今のところなく、その事への不安が、少年の選択を躊躇させていた。
それと同時に、【その力】に対する成功のイメージが、彼の中で、曖昧なものから確信へと変わってく感覚があり、それがさらに、思考を惑わせていく。
少年は【その力】の必要性について、思案するように腕を組むと――しばらくして。
「ああ……まじかぁ……」
彼は何かに納得した様子で呟いた。
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