13 / 17
12 あの、もうHP0なんですけど……
しおりを挟む
何人かの少女が入れ替わったあと、
「うっわー、凄いニオイ。大丈夫……、そうではではなさそうだね」
すっかり濁った空気の中。
ショートヘアーのボーイッシュな少女が、表情を歪め、苦笑いをしながら少年の前へとやってくる。
その様子に、一つ後ろに並ぶ三つ編みツインテールの少女が、やれやれといった様子で口を開いた。
「こらケイリー。人様の『プレゼント』たいして、そんな風に顔をしかめては――」
「いやいや、エレノアだって。鼻をつまみながら言われても、説得力ないよ」
「なっ、これは……」
三つ編みの――エレノアと呼ばれる少女は、慌てた様子で、思わず鼻から手を離し、「うっ……」と前のめりになると、「げほげほっ」と、少し苦しそうにむせる。
「エ――エレノア! 大丈夫!?」
ケイリーと呼ばれた、ボーイッシュな少女は心配げにエレノアの背中をさすった。
すると、
「……ケイリー」
エレノアがゆっくりと、彼女へ視線を向ける。
「ん? エレノア。今、何か言った?」
「背中……。ホックが、外れたわ……」
涙目のエレノア。
その反応に、ケイリーは「……ぇ」と身を硬直させ、
「あ、あはは……」
笑ってごまかした。
それを見た誰かが、可笑しそうに笑う。
ばかにした感じではない。
そしてその空気は――そよ風のように伝染していき、涙目だったエレノアも含めて、気づけば皆が、笑みを浮かべていた。
止まった列の流れに、いらいらする者もおらず、そこには優しげな空気だけが流れていて、“酸素以外”は、澄みきっていた。
だが、
「…………」
少年だけは笑えず、表情には力がない。
ただ、半開きに目を開け、壊れたおもちゃのように、時折ぴくっと動いている。
ケイリーは少年に視線を向けると、気にした様子を見せることなく、
「――さてと。エレノアにはあとでもう一度、ちゃんと誤るとして。さっそくだけど、私の『プレゼント』、嗅いでもらっちゃおうかな」
と、催しは続けられていく。
そして――順番はさらに進み、
「あなた、本当に大丈夫? まあ、多分私のはそこまで臭い強くないから――……」
少年は見ず知らずの――誰かの声を聞きながら、
「ねえねえ、一つ聞きたいんだけど。あなたは、どんなふうに嗅がせてもらうのが――……」
誰かの――おならの臭いを嗅がされ、
「あーだこーだ言ってたのに……結局、ロゼッタも『カップケーキ』に――……」
臭いに――脳を揺らされ、
「よかったぁ、まだ意識があるみたいだねぇ。人数が人数だし、流石に心配に……、あぁ、ごめんなさい。話の途中だけど、もう、限界――……」
既に空っぽの胃を――絞られるように、
「あーらら、お昼に食べたのが、結構効いたみたいだね。ちなみに私も――……」
明滅するような――意識のなか、
「やっと、会えましたね。ああ、こんなことなら――……」
少年は――苦しみ続ける。
「あーん、結局、こんなに後ろになっちゃったよ。まあ、あなたを一人占めにしようとした罰だよね。もし今度機会があったら、今度はちゃんと、普通のパンを作ってくるよ」
そして――数が“五百”を越えた頃。
「うっわー、凄いニオイ。大丈夫……、そうではではなさそうだね」
すっかり濁った空気の中。
ショートヘアーのボーイッシュな少女が、表情を歪め、苦笑いをしながら少年の前へとやってくる。
その様子に、一つ後ろに並ぶ三つ編みツインテールの少女が、やれやれといった様子で口を開いた。
「こらケイリー。人様の『プレゼント』たいして、そんな風に顔をしかめては――」
「いやいや、エレノアだって。鼻をつまみながら言われても、説得力ないよ」
「なっ、これは……」
三つ編みの――エレノアと呼ばれる少女は、慌てた様子で、思わず鼻から手を離し、「うっ……」と前のめりになると、「げほげほっ」と、少し苦しそうにむせる。
「エ――エレノア! 大丈夫!?」
ケイリーと呼ばれた、ボーイッシュな少女は心配げにエレノアの背中をさすった。
すると、
「……ケイリー」
エレノアがゆっくりと、彼女へ視線を向ける。
「ん? エレノア。今、何か言った?」
「背中……。ホックが、外れたわ……」
涙目のエレノア。
その反応に、ケイリーは「……ぇ」と身を硬直させ、
「あ、あはは……」
笑ってごまかした。
それを見た誰かが、可笑しそうに笑う。
ばかにした感じではない。
そしてその空気は――そよ風のように伝染していき、涙目だったエレノアも含めて、気づけば皆が、笑みを浮かべていた。
止まった列の流れに、いらいらする者もおらず、そこには優しげな空気だけが流れていて、“酸素以外”は、澄みきっていた。
だが、
「…………」
少年だけは笑えず、表情には力がない。
ただ、半開きに目を開け、壊れたおもちゃのように、時折ぴくっと動いている。
ケイリーは少年に視線を向けると、気にした様子を見せることなく、
「――さてと。エレノアにはあとでもう一度、ちゃんと誤るとして。さっそくだけど、私の『プレゼント』、嗅いでもらっちゃおうかな」
と、催しは続けられていく。
そして――順番はさらに進み、
「あなた、本当に大丈夫? まあ、多分私のはそこまで臭い強くないから――……」
少年は見ず知らずの――誰かの声を聞きながら、
「ねえねえ、一つ聞きたいんだけど。あなたは、どんなふうに嗅がせてもらうのが――……」
誰かの――おならの臭いを嗅がされ、
「あーだこーだ言ってたのに……結局、ロゼッタも『カップケーキ』に――……」
臭いに――脳を揺らされ、
「よかったぁ、まだ意識があるみたいだねぇ。人数が人数だし、流石に心配に……、あぁ、ごめんなさい。話の途中だけど、もう、限界――……」
既に空っぽの胃を――絞られるように、
「あーらら、お昼に食べたのが、結構効いたみたいだね。ちなみに私も――……」
明滅するような――意識のなか、
「やっと、会えましたね。ああ、こんなことなら――……」
少年は――苦しみ続ける。
「あーん、結局、こんなに後ろになっちゃったよ。まあ、あなたを一人占めにしようとした罰だよね。もし今度機会があったら、今度はちゃんと、普通のパンを作ってくるよ」
そして――数が“五百”を越えた頃。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
会社員の青年と清掃員の老婆の超越した愛
MisakiNonagase
恋愛
二十六歳のレンが働くオフィスビルには、清掃員として七十歳のカズコも従事している。カズコは愛嬌のある笑顔と真面目な仕事ぶりで誰からも好かれていた。ある日の仕事帰りにレンがよく行く立ち飲み屋に入ると、カズコもいた。清掃員の青い作業服姿しか見たことのなかったレンは、ごく普通の装いだったがカズコの姿が輝いて見えた。それから少しづつ話すようになり、二人は年の差を越えて恋を育んでいくストーリーです。不倫は情事かもしれないが、この二人には情状という言葉がふさわしい。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる