しばりプレイ

MEIRO

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3年O組のしばり先生

01

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 日乃當ひのあたり 糸針しばり
 空下そらした 雪美ゆきみ
 晴間はれま こころ
 彼女達、三人による金縛りプレイが行われた日からしばらくして。
 ある日――、

「――ほーい。今回も、成功したよー」

 糸針の目の前には――前回のときと、同じ男。
 あいかわらず貧弱そうではあるが、目鼻立ちは整っており、清潔感もある。
 見ようによっては、その体格から、物静かな、優しそうな雰囲気が感じられるようで、他者からの印象はそれほど悪くなさそうな、そんな感じの男だった。
 さて、前回に引き続き――同じような始まりを向かえた今回であるが、

「……あいつって、意外と根性あったりするのかな?」

 この場には、これまた前回と同じく――雪美と、

「確かに、泣いてゲロはいて、失禁しながら気絶してたのに。また糸針に会いに来るなんて、頭ぶっ飛んでるとしかいいようがないよね」

 呆れたようにそう言ったのは――心だった。
 彼女は、前回語られなかった内容を思い出しながら、同情するような視線を、椅子にロープで縛られた状態の――先ほどの男へと向ける。
 ちなみに、彼に巻かれているロープは――拘束を目的としたものではなく。
 彼が椅子からずり落ちてしまわないように、その様にしているらしい。
 その目は開いているのだが――彼は眠っているのである。
 厳密に言うと――脳だけが眠っている状態だ。
 いわゆる――金縛りの状態になっており、嗅覚、聴覚、視覚だけを、夢の中で感じているような、そのような心地でいるらしい――というのが、この状況を作り上げた張本人――日乃辺 糸針の言だった。

「さて――と」

 糸針はそう言って、部屋をぐるりと見渡す。
 そこには――、

「なになに。あれ、どういう……――」
「すごーい。オカルト……的な……――」
「ねえねえ。噂のイケメン少女って、もしかして……――」

 複数の人影があり――。

「うわー、緊張……――」
「ねえねえ。今日は何を食べて……――」

 ――。

「ふふふー、聞きたい? ……――」
「私、今日は珍しく、とんこつの……――」

 ――。

「ああー。なんだか、お腹がぎゅる……――」
「実は、出さないように……――」

 ――。

「あたりまえじゃん。そんなの……――」
「やばっ……もうここまで……――」

 ――。

「これ、嗅いだら絶対に……――」
「あはは……。あんたのは、毒……――」

 ――。

「この人数……まじ……――」
「うわぁ。これはさすがに、死……――」

 ――。

「ここだの話なんだけどね。実は私……――」
「うわぁ。それはさすがに、ドS……――」

 ――。
 ――。
 ――。

 全て――女。
 ざっと――三十人弱。
 それだけの人数が、この場所に集まっていた。
 場所は、広いリビングのようであり、ものが一切置かれておらず、レンタルスペースなのか、生活感のない空間が広がっている。
 そして、彼女達の目的というのが――

「類は友を呼ぶっていうのかな……。こんなに――集められるとは思わなかったよ」

 呆れた風に言う雪美。
 言葉の中に何かを含ませているが、それはあえて、口にしていないようだ。

「いやぁ。まあそれはいいんだけどさ。順番……回ってくるかな」

「っていうか、ゆっきぃは抜けておいたら? こないだみたいな、毒ガス級なんてやられたら、あいつ、もう精神崩壊しちゃうんじゃないの?」

 心は部屋の中央で縛られている男へ視線を向ける。
 ちなみに、こっきぃ、というのは――晴間 心のあだ名である。
 そして、空下 雪美が――ゆっきぃ。
 日乃當 糸針が――しばっち、というのが、三人の中での呼び名のようだ。

「いやいや、さすがに毒ガスは言いすぎじゃない? それに、こっきぃよりはましだって。たしか……20発くらい嗅がせたあたりだっけ? あのとき、私が急いで窓を開けなければ、もろとも全滅しちゃってたところだったよ」

「はぁ? そこまで言う?」

「いや、わりとガチでいってるよ? まあ、それはいいとして……」

 雪美は少し離れた所にいる糸針へと視線を向ける。

「しばっちが、あんなに可愛いとはね……」

「まあ、見た目が可愛い――というか、カッコいい系なのは、言わずもがなだけど……一番張り切ってたのに――ほとんど無臭なんだよね。あの子」

「そうそう。一番のドSなのに……攻撃力がないっていうか……」

「攻撃力って……」

 雪美の言葉に、心は呆れた風に返すと、

「まあ、だからさ。今回も、しばっちの分まで――いじめてあげよう」

「確かに。私としても、しばっちの嬉しそうな顔が見られれば、それでいいし」

 雪美は心のに同意するように言うと、意味深に深くため息をついた。

「まったく。あの男がうらましく思うことがあるよ……」

「あはは……。まあ、ね。だからこれ、もうほとんど八つ当たりなんだけどさ……」

「「今日こそ――あのおもちゃをぶっ壊してやろうね」」

 二人はそう言って――固い握手をする。
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