神様のうそ、食べた。

篠原愛紀

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五  届け

五  届け 六

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「仕事、行ってくるね」

そう耳元で囁いて、急いでシャワーを浴びる。

夕飯も食べずに眠りこけた為に、お腹が空きすぎていたのでパンをかじりながら、着替えたりドライヤーをかけたり。


適当なお弁当を作って、そのまま家を飛び出した。


慌てて飛び出したので、鞄から落ちた診断書に気づかないまま。


そのままバスに乗り込んで、すっかりと忘れて私は日誌を記入する。
緊張した。

自覚して、いざ声を出そうとしたら緊張して変な汗が出てきた。


朝のバスで、部長の顔が見れなかったんだけど、部長は逆で、横から見たり覗き込んできたり。


真っ赤になりながら睨み返すと、少しだけ満足したのか口の端を上げる。


なんでこんな人にドキドキしてしまうんだろう。


意地悪だ。神様も部長も意地悪だ。

自覚した途端、中学生みたいに部長の表情1つで心が揺さぶられる。



「あ、今日はバスじゃなくて迎えに行く」

お残りバックを真くんが持っている。

部長がいるこの一週間は、お残りじゃなくてバスで帰っていたから久しぶりだった。


「分かりました。今日は私がお残りの先生するからねー」

親子遠足前日なのでベテランの先生たちが準備をして、私と明美先生がお残りをする予定。

久しぶりに明美先生と話せる気がする。




「別の誰かも迎えに行きたいんだけど?」


そう冗談っぽく言う台詞は、全力で聞こえないふりをした。

聞こえない。聞こえない。
「みなみ先生、園長先生が呼んでますよ」

宮本先生がお残りの部屋に代わりに入ってきてくれたけど、まだ明美先生はバスから帰って居なかった。

遠足前日なので月極お残りさんしか残れないのでいつもより少ない人数だから、妊娠中の宮本先生だけでも大丈夫そうだ。


明美先生と話せないのは残念だけど、仕方ない。


園庭では、親子遠足用の組ごとの引率旗や、バスにテントを運び込んだり荷物を入れてバタバタしている。


年長さんはイルカのショーで触ったり、親子でスタンプラリーとかするので、準備が忙しいらしい。


隣の教会にいるらしい園長先生の元へ向かっていると靴箱に真くんが居るのが見えた。


「真くん?」


「いまからパパがおむかえくるの」

鞄をかるい、にこにこと答える。


そっか。なら教会から戻っている時にはもう帰ってるのか。


会えないのはちょっと残念だとか思っていたけど、真くんに手を振りながら教会へ急ぐ。

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