40 / 56
「時」探し
花言葉
しおりを挟む
一瞬で散った全ての命は、紅い薔薇へと蘇った。
私の目の前には、彼の腰にさしていた剣が地面に差してある。
その剣に見覚えがあって見つめていた時だった。
「封印するか」
番人は無表情で、残酷な言葉を吐いた。
「え?」
「このオーバードライブで『時』が暴走するかもしれないんだ。『時』の神は脆く儚く危うい人だから、自分がオーバードライブを起きる前に止められなかった事を知ると壊れてしまう人だから……」
苦笑しながらも番人は剣の前まで歩みよる。
剣にも薔薇のつるが巻き付いていて、白と赤とピンクの薔薇が咲き乱れていた。
「俺は『時』の番人だから都合が悪い『時』は封印しなきゃいけない……」
そして私を見て口元だけニヤリと笑った。
「まぁ封印しても、400年後に君が封印を解こうとしてしまうんだけどね」
え?
え……?
ええー……?
もしかしてこの剣は、私が空に吸い込まれそうになった時に捕まった剣?
私はオーバードライブの『時』の中では、過去も未来も存在しているの?
と、言っても私の「今」がオーバードライブのいつの「時」なのかは分からないけど……。
「剣に巻き付いているつるには棘がないね……」
地面に咲く薔薇には棘があるのに、と。
「知ってる?薔薇の花言葉…」
棘のない薔薇は
“貴方を尊敬します”
「それが答えだね……」
静かに微笑んだ。
あと、彼女が咲かせたピンクの大輪の花言葉は『子を授かりました』
赤と白の美しい調和の薔薇の花言葉……。
「薔薇の色によって花言葉は違うし、いくつも意味は存在するけれど」
そう思った方が少しは気が晴れるからね。
悪戯した子どもの様に微笑みながら、彼は静かに【オーバードライブ】を封印してしまった。
花言葉を話す一時の間に、残酷な長い時間を隠してしまった。
だから貴方は頷いたんだね。
研究生が言ったあの言葉に。
貧乏クジ。
皆を守る為に封印したのに、番人サン一人のエゴの様に見方によって見えるよね……。
その不器用な人は一体どんな風に生きてきて、どんな事を思い番人なんてしてるのかな……。
気になったから見つめてみたら、そっと指で口元を押さえて秘密って言った。
私の心を見透かしたかのように。
「番人さん。私、自分と同じ顔の人に会ったの。彼女も私も西の国の王子を知ってるかもしれない……」
「そっか。君の『時』の手掛かりが見つかり始めたんだね」
おめでとう、と言ってくれた。
「『時』の果ての中にあるなら、番人さんに連れて行ってもらうとか出来ますか?」
番人さんは辛そうに静かに首を振った。
「無理。俺は君の時間に関与できないんだ。俺が『時』を守る番人という立場である以上……」
何か隠しながら、それを私に気付かれないように……。
「そうですか……じゃああの子の所にどうやって行けばいいの?」
「その子の所に君の『時』間が眠っているのなら必ずまた会えるよ。俺はその少女と会おうと思わない。ごめんね」
少女はまた自分の『時』を探しに行ってしまった……。
そっか。
そういうことなんだ。
もうあの『出会い』から何百年も経っているんだね。
だから、また君と会えたんだ。
どこの『神』の差し金かな?
運命なんて諦めてたのに。
誰の陰謀かお節介か気まぐれか……。
俺が会った事のない神の仕業か……。
私の目の前には、彼の腰にさしていた剣が地面に差してある。
その剣に見覚えがあって見つめていた時だった。
「封印するか」
番人は無表情で、残酷な言葉を吐いた。
「え?」
「このオーバードライブで『時』が暴走するかもしれないんだ。『時』の神は脆く儚く危うい人だから、自分がオーバードライブを起きる前に止められなかった事を知ると壊れてしまう人だから……」
苦笑しながらも番人は剣の前まで歩みよる。
剣にも薔薇のつるが巻き付いていて、白と赤とピンクの薔薇が咲き乱れていた。
「俺は『時』の番人だから都合が悪い『時』は封印しなきゃいけない……」
そして私を見て口元だけニヤリと笑った。
「まぁ封印しても、400年後に君が封印を解こうとしてしまうんだけどね」
え?
え……?
ええー……?
もしかしてこの剣は、私が空に吸い込まれそうになった時に捕まった剣?
私はオーバードライブの『時』の中では、過去も未来も存在しているの?
と、言っても私の「今」がオーバードライブのいつの「時」なのかは分からないけど……。
「剣に巻き付いているつるには棘がないね……」
地面に咲く薔薇には棘があるのに、と。
「知ってる?薔薇の花言葉…」
棘のない薔薇は
“貴方を尊敬します”
「それが答えだね……」
静かに微笑んだ。
あと、彼女が咲かせたピンクの大輪の花言葉は『子を授かりました』
赤と白の美しい調和の薔薇の花言葉……。
「薔薇の色によって花言葉は違うし、いくつも意味は存在するけれど」
そう思った方が少しは気が晴れるからね。
悪戯した子どもの様に微笑みながら、彼は静かに【オーバードライブ】を封印してしまった。
花言葉を話す一時の間に、残酷な長い時間を隠してしまった。
だから貴方は頷いたんだね。
研究生が言ったあの言葉に。
貧乏クジ。
皆を守る為に封印したのに、番人サン一人のエゴの様に見方によって見えるよね……。
その不器用な人は一体どんな風に生きてきて、どんな事を思い番人なんてしてるのかな……。
気になったから見つめてみたら、そっと指で口元を押さえて秘密って言った。
私の心を見透かしたかのように。
「番人さん。私、自分と同じ顔の人に会ったの。彼女も私も西の国の王子を知ってるかもしれない……」
「そっか。君の『時』の手掛かりが見つかり始めたんだね」
おめでとう、と言ってくれた。
「『時』の果ての中にあるなら、番人さんに連れて行ってもらうとか出来ますか?」
番人さんは辛そうに静かに首を振った。
「無理。俺は君の時間に関与できないんだ。俺が『時』を守る番人という立場である以上……」
何か隠しながら、それを私に気付かれないように……。
「そうですか……じゃああの子の所にどうやって行けばいいの?」
「その子の所に君の『時』間が眠っているのなら必ずまた会えるよ。俺はその少女と会おうと思わない。ごめんね」
少女はまた自分の『時』を探しに行ってしまった……。
そっか。
そういうことなんだ。
もうあの『出会い』から何百年も経っているんだね。
だから、また君と会えたんだ。
どこの『神』の差し金かな?
運命なんて諦めてたのに。
誰の陰謀かお節介か気まぐれか……。
俺が会った事のない神の仕業か……。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】
ちっき
ファンタジー
異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!
王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。
薄明 喰
BL
アーバスノイヤー公爵家の次男として生誕した僕、ルナイス・アーバスノイヤーは日本という異世界で生きていた記憶を持って生まれてきた。
アーバスノイヤー公爵家は表向きは代々王家に仕える近衛騎士として名を挙げている一族であるが、実は陰で王家に牙を向ける者達の処分や面倒ごとを片付ける暗躍一族なのだ。
そんな公爵家に生まれた僕も将来は家業を熟さないといけないのだけど…前世でなんの才もなくぼんやりと生きてきた僕には無理ですよ!!
え?
僕には暗躍一族としての才能に恵まれている!?
※すべてフィクションであり実在する物、人、言語とは異なることをご了承ください。
色んな国の言葉をMIXさせています。
クライエラの幽微なる日常 ~怪異現象対策課捜査file~
ゆるり
キャラ文芸
正義感の強い警察官と思念を読み取る霊能者によるミステリー風オカルトファンタジー。
警察官の神田智輝は『怪異現象対策課』という聞き馴染みのない部署に配属された。そこは、科学では解明できないような怪異現象が関わる相談ごとを捜査する部署らしい。
智輝は怪異現象に懐疑的な思いを抱きながらも、怪異現象対策課の協力者である榊本葵と共に捜査に取り組む。
果たしてこの世に本当に怪異現象は存在するのか? 存在するとして、警察が怪異現象に対してどう対処できるというのか?
智輝が怪異現象対策課、ひいては警察組織に抱いた疑問と不信感は、協力者の葵に対しても向いていく――。
生活安全部に寄せられた相談ごとを捜査していくミステリー風オカルトファンタジーです。事件としては小さなものから大きなものまで。
・File→基本的には智輝視点の捜査、本編
・Another File→葵視点のファンタジー要素強めな後日談・番外編(短編)
を交互に展開していく予定です。
かの子でなくば Nobody's report
梅室しば
キャラ文芸
現役大学生作家を輩出した潟杜大学温泉同好会。同大学に通う旧家の令嬢・平梓葉がそれを知って「ある旅館の滞在記を書いてほしい」と依頼する。梓葉の招待で県北部の温泉郷・樺鉢温泉村を訪れた佐倉川利玖は、村の歴史を知る中で、自分達を招いた旅館側の真の意図に気づく。旅館の屋上に聳えるこの世ならざる大木の根元で行われる儀式に招かれられた利玖は「オカバ様」と呼ばれる老神と出会うが、樺鉢の地にもたらされる恵みを奪取しようと狙う者もまた儀式の場に侵入していた──。
※本作は「pixiv」「カクヨム」「小説家になろう」「エブリスタ」にも掲載しています。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる