耽溺の森 〜だから僕らは森から出ない〜

一 千之助

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 森の一族 3

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「……っ、デッカ! 入りませんっ!!」

「大丈夫、入るはずだよ。コレを呑み込めるようになったんだから」

 ドゥエルに組み敷かれて散々愛撫された少年の身体は蕩け切っている。今にも弾けそうな股間をもて余しつつ、アユムはドゥエルの持つ一物に眼を見開いた。
 隆々とそびえる巨根。凶悪なまでに反り返ったカリ首など、とてもではないがアユムに受け入れられるとは思えない。しかしドゥエルは不敵に笑い、アユムを泣かせ続けてきた道具を取り出す。

「この最後の玉。これが私のサイズだ」

「へ…っ?」

 間の抜けた顔で呟くアユムの前で、ドゥエルはその玉と己のモノを並べた。確かに見かけは同じ直径に見える。

「このために長々と慣らしてきたのさ。……私はお前を選んだからね。他の子供らに手を出す気はない。君が私のモノなら、それだけで良い」

 ドゥエルはアユムを壊さないために、己の欲望を我慢して慣らしてきた。何度劣情に負けそうになったことか。それでもアユムが気持ち悦くなるまで堪えたのである。
 まだそれだけの理性は残っていた。アツシの二の舞いは踏むまいと思いつつも、ティモシーの底なしで貪欲な劣情が、獲物を捻じ伏せろと吠え立てる。時折垣間見える残忍な本性。
 それを正当化は出来ない。説明の仕様がない。好きになったら一直線。相手を徹底的に嬲り尽くし、その行為の激しさ深さで知らしめるのがティモシーの人間の愛情表現。
 如何に縛り付け、束縛し、暴き抜くかが重要なティモシーの性交事情は、同じティモシーの頑健な人間にしか受け入れられない。地球人では重すぎて潰れる。

 アツシの子供らは生粋の地球人だ。

 アユムに対して同じ轍を踏みかかっていたドゥエルは、性交間際に、ソレを思い出した。……だが止められない。ならば、悪役になろう。勿論、調教はしない。アユムに受け入れざるをえない理由を与えよう。身体を開かねばならないと思わせるために。

「これは勝手な言い分だ。君には迷惑千万だろう。でも…… 私はアツシなしでは生きていけない。アツシによく似た子供らがいるから生きている。君らを強く育てると約束したしね。私は脅しているんだ。弟妹が可愛かったら私に抱かれろと。君は悪い大人に脅されて従うだけ。それで良い」

 こんな歪な関係にドゥエルは愛など望まない。身体を貸してくれるだけで良い。アツシを…… 最愛を胸に抱ける妄想。最初の頃のアツシには出来なかった甘やかなやり取りをアユムとしたい。
 こんなのは欺瞞だ。己が傷をアユムに舐め回してもらう自慰のようなモノ。それでもドゥエルは息子の優しさに甘えるほかない。

 あまりに脆く切なげな瞳のドゥエル。彼のこんな弱々しい姿をアユムは見たことがなかった。
 父親である敦が生きていたころから彼は自信に満ち溢れた男性で、その精悍な姿にアユムは憧れたものである。
 卓越した錬金術師でもあり、多くの技術や知識をアユム達に教えてくれたドゥエル。父が亡くなってから、すっかり彼の背中は煤けてしまい。今の彼に昔の面影は見えない。
 でもアユムは識っている。ドゥエルがどれだけ自分達を可愛がってきてくれたか。八人もの子供達を一手に引き受け、慈しみ育ててくれたか。
 そんな彼が望むのなら、アユムに否やはない。舐めないで欲しい。こちらは物心ついた頃から、ずっとドゥエルの背中を見上げて育ったのだ。

 ドゥエルの誤算だった。アユムは既に好意を抱いている。彼に潰されても良いと思う程度には。他の異性は勿論、同性とすら接したことのない子供達だ。たった一人の父親たるドゥエルへの傾倒ぶりは、本人の想像を上回る。

「脅しにもならないよ…… アンタ、俺らを愛してるでしょ。分かってんだから」

 ぷんっとむくれてアユムはドゥエルを抱きしめた。

「やること凶暴なくせに、こんなとこでヘタレんなよな。いつもみたいにオラオラしてろよ」

 思わぬ言葉を受けて、ドゥエルの顔が惚ける。しかし、次の瞬間、獰猛な彼が戻ってきた。

「……ガキが。泣いてもやめてやらないよ?」

 不敵な笑みでアユムを見据え、ドゥエルは少年に口づけた。それは過去に敦にもした深い口づけである。

 そして、当然、泣き喚かされるアユム。



「痛いっ、痛いっ! ちょ…っ、ま…っ…てぇぇ!」

「待たない。まだ半分も入ってない。力抜いて?」

 少年の拳よりも大きなドゥエルの先端。それを執拗に出し入れされ、アユムの孔が反り返ったカリ首で擦りまくられる。

 お尻が裏返るぅぅっ!! ひーっ?! 孔がごちゅごちゅいって……っ! 壊れちゃうよぉぉーっ!!

 ジンジンと焼け付く痛みが全身に拡がり、アユムは身も世もなく泣き叫んだ。だがしだいに柔らかくなっていく孔の縁。
 
「綺麗に拡がっているよ。大丈夫、切れてもいない」

 むふーっと興奮気味に捲し立て、ドゥエルは小刻みに腰を前後させつつ己の巨大な一物を少しずつアユムに捩じ込む。敦とは違うのだ。そう心に言い聞かせつつ、ドゥエルは優しくアユムの内側を拡げていった。
 ぎちゅ、じゅぷっとキツそうな濡れる音が二人の思考を侵していく。ゆっくりと抜かれ、突かれてアユムの反応が明らかに変わった。

「ひぎっ? ま…っ、待って、お腹がぁっ!」

 臍の下まで届く一物に中を掻き回され、アユムは喉元まで何かが上がってくる不気味な感覚に怯える。ぎっちり絞りあげる狭い肉壁に苦戦するドゥエルは、そんなアユムの変化に気づかない。
 
「ん…むぅ……っ、狭いね。アツシも慣らして全て受け入れられるようになるまで長くかかったけど…… うぉ…あっ?!」

 突然の蠕動。激しくうねり、ドゥエルのモノを呑み込もうとするアユムの中に彼は狼狽えた。

「……っ、はあぁぁぁっ!! あーーーっ!!」

 眼を涙に溺れさせ、アユムは全身を撓らせる。はくはくと空気を求めるように震える唇と舌先。いきなり弛緩して寝台に沈み込む少年の姿を見て、ドゥエルは信じられない面持ちで眼を見張った。

「まさか…… イったの? 私ので?」

 まだ愉悦より痛みが勝るだろうに。敦よりも手をかけ、じっくり仕込んできてはいたが、ここまでとは。

 にたりと残忍な笑みを浮べ、ドゥエルは手加減を放棄してアユムの中を突き上げた。

「ふあぅっ! ぅ…あっ! あっ、あっ!」

 明らかな嬌声。ドゥエルは気にもしていなかったが、アユムは性的な行為未経験者である。自慰も知らず、初の精通がドゥエルによる玩具の中イキ。
 彼が己のモノを受け入れられるようにと行ってきた拡張は、同時にアユムの内側を散々開発してしまっていたのだ。

「や…っ! またぁ! 怖いっ! 怖いよぅぅっ!」

 蕩けた喘ぎで啜り泣くアユム。玩具とは違う滑らかな質感の猛りが、玩具では届かなかった奥深くまで暴いていく。無我夢中で受け入れつつも、最奥で湧き上がる未知の快楽が少年を恐怖へ陥れた。

「怖くない、怖くない。私のがしてるんだよ? ほら、気持ち悦いだろう? アユムのここは、こんなに歓んでいるよ?」

 ぬちぬちと少年の柔肉を掻き回しながら、ドゥエルは手を前に回してその幼い一物を握り込んだ。滴る先走りで濡れそぼるソレをドゥエルの指の腹が丹念に撫で回す。
 
「ひーっ、やめっ! あっ、ぁ…ああああっ!」

 ぐぐっと猫のように喉を反らし、アユムは大きく痙攣しながらドゥエルの掌の中で果てた。ガクガク揺れる幼い肢体が艶めかしい。
 アユムの首筋に浮かぶ玉のような汗を舐めとり、ドゥエルは恍惚とした顔をする。

 薬を使ってもいないのに、この出来上がり。敦よりも感度が良いかもしれない。蛙の子は蛙か。

「悦いよ…… ほんとうに可愛いよ。さすが、アツシの息子だなぁ。私の悦ばせ方をよく知ってる」

 うっとり夢見心地なドゥエル。

 アユムを次の情人と決めた彼は、心の底から少年を愛した。

 禁断の調教すら、少年は恥ずかしげに受け入れる。ドゥエルが望むなら。悦ぶならと、アユムは惜しげもなく乱れ狂ってみせた。

 毎夜のように絡み合う二人。

 念のため薬を使い、ドゥエルは悶絶するお子様の身体を容赦なく暴きまくる。敦の時と違い、邪魔者(ナズナ)もいないし、元々アユムはドゥエルに好意を持っていた。
 念入りな彼の調教に馴染むのも早く、丹念なドゥエルの手管に踊らされ、少年はドゥエル好みの身体に開発される。
 百戦錬磨の色事師。五十年近く肉奴隷をしてきた彼にかかっては、アユムなんてひとたまりもない。
 完全防音な研究室に毎日連れ込まれ、ドゥエルの力任せな愛情を毎日全力で叩きつけられるアユムである。

 地球人としての常識や道徳を持っていたアツシと、ティモシーの人間として育てられたアユムでは思考回路が全く違う。人間とは精神に左右される生き物なのだ。禁忌を知らないがゆえにアユムは柔軟で、ドゥエルの暴力みたいな愛情を素直に吸収していく。

 ……そういうことか。知るがために起きる恐怖や葛藤も、知らないアユムには起きないんだね。……地球人の身体的弱さは仕方ないけど、その辺はアツシで識ってるから、私が気をつければ良い。

 最初から奴隷ではない情人。アツシのように奴隷時代がないアユムは壊れることもなく、教えられるがまま、相思相愛で無邪気にドゥエルを愛した。
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