耽溺の森 〜だから僕らは森から出ない〜

一 千之助

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 耽溺の森 2

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「どうする? 私としては他の胤を植えてもいいけど? 君が嫌かなぁと思ってさ」

「それ…っ…は…」

 顔面蒼白で俯く少年。敦の葛藤が愉しくて仕方ないドゥエルはしたり顔。ティモシーに慣れてきたとはいえ、流石に妊娠、出産にまで思い至らなかった敦。
 
 僕の子供を作る? え? 

 無体なことには慣れた少年だが、男同士の睦みだ。生命の神秘の扉を覗くことは出来ない。だから忘れていたのだ。
 ドゥエルの過激な性交とは別のベクトルな性的モラル。久方ぶりにソレを思い出して、少年は狼狽える。
 しかし、敦の御主人様は非道だった。

「早くしないと狂ってしまうよ? ほら、君の返事がなくば、私は出させないからね?」

 ナズナの一物は受け入れた相手がイくと解放されるのだ。つまり敦がイけないと彼女も延々イけない。ドライでは駄目で、お互いが解放されるのが秘薬の条件。
 奴隷印を刻印された敦の身体はドゥエルの命令に逆らえない。なのに彼は命令ではなく、敦に選ばせようとしていた。命令であれば気が楽だのに。どれだけ悩もうが、身体が勝手に従う。
 敦の戸惑いや葛藤を愉しむドゥエルが、こんな機会を見逃すはずはない。彼は少年を従わせたいのだから。本人自らが望んでやる姿を見たいのだから。
 その彼の想像どおり、敦は酷く困惑する。妊娠させて子供を産ませるなんて、若干十四歳の少年には想像もつかない。しかし、あまりに長く解放出来ない場合、ナズナは悶え死んでしまうのだ。
 グルグル回る思考を停止し、敦はドゥエルを見た。
 今にも泣きそうなほど脆い少年の瞳に、ドゥエルは淫靡な心を躍らせる。

「わかりました…… やってみます」

 そう言い、敦は少女に被さった。しっとり濡れそぼった隘路へ己のモノを充てがい、蕩ける柔肉を掻き分け、ぬぷっと挿れてやるとナズナの身体が愉悦に捩られる。

「きゃあっ? あ……、きゃーーっ!」

 奥に穿たれた無数の小さな玉。そこを何度か往復させてやるだけで、彼女は狂ったかのように泣き叫ぶ。それが堪らなく色っぽい。
 激しく伸縮する肉壁が、彼女の受けた快感を物語り、つぷ……ぬぷ……っと静かに動きながら、敦は凄まじい締めつけをやり過ごしていた。
 やはり怖い。本当に出してしまっても良いのか。
 良心とドゥエルの命令にせめぎあう敦の心。だが、出さねばナズナが死んでしまう。でも…… と、我慢する敦の心も知らず、当のナズナは敦の精を求めて悶え狂っていた。
 ギュウギュウ締め付けてくる彼女の隘路。
 
「やめ…っ、ナズナぁ……っ! キッつ……ぅぅ」

 狂おしげな敦の声も耳に入らず、バタバタ暴れる少女。イきっぱなしな彼女は半狂乱に身悶えるが、お尻を串刺しにする極太な梁型のせいで上半身しか動かせない。
 そんなまどろこしいやり取りを呆れたように見据え、ドゥエルは敦の腰を掴むと、いきなりナズナの隘路へ敦のモノをどちゅっと押し込んだ。突然最奥まで突き上げられて声もなく絶叫するナズナ。眼も眩むような快感に思わず息が止まる敦。

「あ…が……、ぁ…」

 目の裏が真っ白に弾けとんで、突然の絶頂に少年は全身を硬直させる。それをにんまりと眺め、ドゥエルは掴んだ腰を激しく前後させた。途端に響く二人の嬌声。

「やっ! うひっ? ひゃあぁぁー!!」

「きゃーっ!」

 どちゅどちゅ無理やり打ち込まれる少年の一物。それが爆発して精を吐き出してもドゥエルは止めない。

「イって……ぅ、出てぅぅっ! 出て…っ、ああぁーっ!!」

 ぶしゃあっと最奥に巻き散らかされる敦の白濁液。それが終わらぬうちに、また再び高まらされる身体。

「ひぎぃ…っ! イぐ、イぃぃ……っ!」

 出してる最中にも極まり、少年は揺すぶられるまま、射精とドライを繰り返す。それでも律儀に己の高まりを告げる敦に、ドゥエルは満面の笑みを浮かべた。
 もはや、イけと命令するまでもない。今の敦はドゥエルの思うがまま。己の育てた奴隷の出来栄えに。その従順な可愛らしさに。彼の胸中が至福で荒れ狂う。

「ほんっと……… 可愛いな、君はぁっ!!」

「あーーーーっ!!」

 一際強く敦をナズナに叩きつけると、ドゥエルは大きく掻き回すように少年の腰を動かさせた。はひ、はひ、と、空気を求め必死に喘ぐ敦。イきっぱなままで目を裏返して泡を噴くナズナ。
 小刻みに痙攣する二人を満足げに見つめ、ドゥエルは少年を持ち上げ、少女の一物の上に充てがった。

「よくやったね。着床するまで続けような」

 ご機嫌なドゥエルに従い、取り敢えずナズナのモノを解放するため、敦は彼女の御立派様を呑み込んでいく。何度やっても慣れない圧迫が少年の背筋を震わせた。
 ドゥエルに激しく動かされながら、敦はぶるっと震え、僅かながらも精を零す。するとそれに反応して、ナズナのモノも爆発し、大量の秘薬が少年の中に注ぎ込まれた。

「は…? ぁ…? ………っっがぁぁぁっ?!」

 途端に跳ね上がる敦の身体。その異常さに眼を見張り、いつもであれば秘薬を抜き出してから引き抜く敦を、ドゥエルは速攻で抱き上げた。
 すると敦の中から大量に溢れる液体の色が可怪しい。灼熱にも近い温度のソレは、しゅうしゅうと灼けた音をたてながら禍々しいオレンジ色の光沢を輝かせている。

「アツシっ? アツっ! 大丈夫かっ!」

 突然起きた異常事態。

 顔面蒼白で少年の頬を叩きながら、ドゥエルは彼をベッドに寝かせ、慌てて内部の秘薬を抜き取る。しかし、ガラスのシリンジの半分もいかぬうちに、ドゥエルはあまりの熱さでシリンジから手を離した。
 ポタポタ滴る秘薬は、しゅうしゅうと音をたててベッドのシーツに焼きシミを作っていく。しだいに茶色く変色するシーツのシミを見て、ドゥエルは眼を凍りつかせた。

「……ヤバいぞ、これっ!」

 ぞっと顔を強張らせ、彼は冷やしてあった生理食塩水をたらふく敦の中に流し込んだ。流し込んでは出させ、さらにまた流し込むを繰り返し、ようよう落ち着いてきた少年。
 ガクガク痙攣していた身体も収まり、一息ついたドゥエルは、念のためにと秘薬で増産したエリクサーを敦に呑ませる。
 あの温度のモノが体内一杯に放たれたのだ。内臓を焼いていてもおかしくはないし、中に取りこぼしがあれば、どのような結果を残すか分からない。

「アツシ……」

 不安げに見守るドゥエルの視界で、少年は、うっすらと眼を開けた。

「御主人様……? あれ? 僕、なにが?」

「良かった、アツシぃっ!!」

 ガバっと少年を抱きしめて、ドゥエルは心底安堵する。だがそれとは別に、鋭く睨めつける眼光。その切れるような眼差しは、診察台で失神する少女を視界におさめている。

 そして無情にも、ドゥエルはナズナの廃棄を心に誓った。

 しかし、それを阻止しようと泣き叫ぶ敦に絆され、結局は失敗する。



「ナズナは危険だ。役にもたたなくなった奴隷を飼うのはなぁ……」

「何があったか覚えてないけど、僕がっ! なんでもしますからっ!!」

「……なんでも?」

 秘薬を採れるうちは、そこそこのリターンがあったナズナ。けど、何が起きたのかは分からないが、敦に危害があった以上、もう秘薬採取をする気はないドゥエル。なのに、アツシの『なんでもする』という一言だけで揺れてしまう。
 相手が揺らいだとも思わず、必死な敦はあれやこれやとまくしたてた。
 
「それにほら、僕の胤が着いてるかもしれないし? 真ん丸なダルマ女、見たくないですか?」

 アツシの子供………

 ごくっと喉を鳴らして、ドゥエルは撃沈される。これも惚れた弱みだろう。

 かくして、しっかり着床したらしいナズナは、一時の猶予を得た。
 真ん丸なダルマ女の妊婦は酷く可愛らしく、ドゥエルも気に入ったようで、日がな一日、玩具で弄んでいる。キュンキュン締まる子宮で子供が暴れているのが面白いようだ。
 ぐにぐに動く大きなお腹。それを撫で回して満面の笑みを浮かべるドゥエル。

「安定期なら、もうお遊び解禁だな」

 満面の笑みなドゥエルが言うには、こうして産まれる前から可愛がってやるのがティモシーの習わしなのだとか。
 母体を悦ばせて子宮の収縮に苦しむ胎児。母親が乱れ極まるほど、強く丈夫に育つとティモシーの人間は信じている。

「いや、それは………」

 宜しくないだろうと思いつつも、この世界観では通じない道理である。おっきなお腹で、ふうふう息を荒らげて遊ばれるナズナに、心の中だけで謝る敦だった。
 
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