耽溺の森 〜だから僕らは森から出ない〜

一 千之助

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 始まりの森 4

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「ほら、脚を拡げて?」

 ナズナは全裸で横たわり、金髪の男性に見下ろされていた。特に何の興味もなさげな冷たい目で。

 この部屋は彼の研究室。敦達は知らないが、魔術師でもある金髪の男性は錬金術を嗜み、その薬の販売で生計をたてていた。
 見たこともないモノが沢山あるが、地球の化学実験につかわれるような見慣れたモノもある。ビーカーやフラスコなど。しかし、そんな細々としたモノより眼をひくのは、壁や椅子に設えられた拘束具。
 しっかりしたベルトで作られたそれらは、どう見ても人間サイズのモノをがんじがらめにするための道具だった。

 ……人体実験?

 ひやりとした敦の脳裏に物騒な単語が浮かぶ。

 そんな怪しげな器具が並んだ部屋で、ナズナは診察台に置かれ、恐怖に顔を強張らせていた。

「ゃっ、無理ぃぃ」

 嫌々と首を振るナズナに仕方無さげな顔をして、男性は敦を見た。敦も全裸である。どうせ脱がなきゃ奴隷印は施せないし、場合によっては汚れるから脱げと男性に引っ剥がされたのだ。
 ちなみに男性も全裸だった。汚されたら面倒だとのことである。
 いったい何が起きるのか。怯え竦み、説明を求めた二人だが、彼は少し思案してから聞かないほうが良いと苦笑した。

「両手を押さえて。暴れると危ないから」

 敦は一瞬迷ったが、ナズナの両手首を張り付けるように掴んだ。

「敦っ? やめてっ!」

「彼の言う通りにしよう? 彼の奴隷にならないと、僕ら何処に売り飛ばされちゃうか分からないんだよ?」

 今にも泣き出しそうに切なげな敦の顔。それを見て、ナズナも覚悟を決め、おずおずと脚を開く。

「.....良い子だね」

 開いた脚を診察台の別のベルトで固定し、男性は容赦なく彼女のお尻を割り、その窄まりに指を捩じ込んだ。

「きゃあっっ!? いやっ! 何してっっ?!」

「君を固定する準備。動かれると危ないからね」

 香油を垂らして、にちゅにちゅと指を呑み込ませ、男性は何も知らぬ少女の奥を暴いていく。

「痛いぃっ、やだあっ、やめてーっ!!」

 痛みに泣くナズナの顔に唇を落とし、敦はさらにキツく彼女の手を掴む。

 固定って……

 敦には男性のやろうとしていることが分かってきた。だから優しく幼馴染みを宥める。

「我慢して? しばらくの辛抱だよ」

 自分のやっていることの意味に気づいた少年をチラ見し、男性は悪戯げな笑みを浮かべた。

「.....経験者は語る。かい?」

 人の悪い笑みを浮かべた男性に敦は顔を赤面させる。男性のモノで貫かれて佳がり狂っていた自分を思い出し、頭から湯気が出そうだ。

 意識のない人間に乱暴するとかっ! あんなの、ノーカンだろうっ!!

 憤慨も顕な敦の下から、ナズナのか細い声が聞こえる。 

「敦ぃ、もっとぉ.....っ、ふぐっ、うぇぇん」

 痛みに泣く少女の中を男性が容赦なく拡げていた。その指はすでに三本に増えている。
 ポロポロと涙を溢すナズナの眼を舐めて、敦はいたるところにキスをした。この先の激痛を少年は識っている。
 泣くだろう。気絶するかもしれない。敦だって、何度も気を失ったのだから。こんな細い腰に挿れられたら壊れてしまうかもしれない。
 それでもやらなきゃならない。彼のモノにしてもらわないと、自分達はどうなってしまうのか分からないのだ。

 少年は、ぎゅっとナズナの手を握りしめた。

「大丈夫、僕がいるからね」

 泣きじゃくるナズナが痛みにも慣れたころ。男性は己の陽根を、ほぐした蕾に充てがう。

「いくよ、アツシ。しっかり押さえてね」

 言うが早いか、彼の一物がナズナに捩じ込まれた。

「きゃああああーーーっっ!」

 絶叫する彼女を必死に押さえる敦。

「痛いなっ! 分かるっ! でも我慢してっ!」

 悲痛に顔を歪めてナズナを励ます敦。それを余所に、ずっぷりと根本まで呑み込ませた男性はナズナの腰を抱え込む。

「これで動けないね。やるよ? こっちも、かなり痛いけど、我慢してね。アツシ、腰を押さえて」

 言われるまま、敦はナズナの腰を掴んだ。

 すると男性は針のようなモノを持ち出して、ナズナの花園をまさぐる。そして陰核の皮を剥き、そこへ針を刺した。
 チュンっという音とともに黒い点が浮かび上がる。途端にナズナが全身を仰け反らせて絶叫した。

 ……なにを?

 訝しげに見る敦。

「うわっ、締まるっっ!」

 苦し気だが愉しそうな顔で舌なめずりし、男性は針の先を動かした。その動きに合わせるよう絶叫するナズナ。気が狂ったかのごとく暴れるが、男性の一物で串刺しにされた腰は微かに揺れるくらいしか出来ない。 

「きゃーっ! ひっ? ひいぃぃっ!」

 恐怖のあまり失禁したらしいナズナの小水が、シーツに淫らな染みを広げていく。
 ぷっくりと紅く膨らむ肉粒を摘んで、思うがままに針で擽り、何かを刻む男性。ちょろちょろとナズナの股間から噴き出しては、診察台を濡らす温かな液体はしだいに広がり、つつーぅと診察台端から細い糸を垂らしていた。

「……危な。持ってかれるところだったな」

 暴発を凌いだらしい男性は、大仰に溜息をつく。

 あまりに非現実的な光景に少年は言葉を失った。

「これは焼き印だよ。魔術による拘束だ。主の魔力を中に注がれながらこれを刻まれた者は、相手に絶対服従の奴隷となる。アツシ? 次は君だからね?」

 魔力を注がれながら……? 

 つまり肉体を繫げながらということか。と、少年は男性がナズナを己のモノで貫いた本当の意味を知る。
 ジジジッと微かな音をたてて拡がる模様。それを食い入るように見つめ、敦の股間は扇情的な視界の暴力に猛り狂っていた。
 金髪の美丈夫が少女を責め苛む、なんとも艶めかしい状態。可愛い幼馴染みが苦悶に泣き叫ぶのを痛ましく思いつつも、この眼も眩むような光景に敦は知らず生唾を呑んだ。

 凄絶な痛みで失神し、ピクリともしない幼馴染み様。

 そんな興奮気味な少年を目ざとく視界にいれ、男性は淫猥に眼を潤ませる。

「終わりだ。起きなさい、ナズナ?」

 完全に失神していたはずのナズナが、ふっと眼を開いた。そこに正気は窺えない。

「良い子だね。ほら、私の手を舐めて?」

 彼女はとろんっとした虚ろな眼差しで言われた通りに舐め回す。指の間まで舌を這わせられ、満足げな男性が、ぶるりと肩を震わせた。

「上手だね。さ、あちらで座ってなさい」

 ゆっくりとした動作で台から降り、ナズナは素直にソファーへ向かう。

「意識がなくても操れる。これが奴隷印だ。さあ、アツシ?」

 人形のようなナズナに瞳を震わせ、敦はおぞましく思いつつも、男性の手を取るしかなかった。
 男性の一物は萎えもせず、その獰猛なエレクトを維持している。とんでもない精力だ。

 ……あれを。また?

 嵐のように襲いかかってきた情交を思い出して、骨身に染みた激痛が敦の脳裏を過っていく。しかし、逃げるわけにもいかない。逃げたところで当てもなく、野垂れ死ぬのが関の山だ。
 なにより、ナズナが既に奴隷とされていた。敦が寄り添わねば誰が寄り添うというのか。

 きゅっと唇を噛み締め、無理やり己を落ち着かせようと試みる少年。

 そんな少年の葛藤や怯える様が、金髪の男性にとっては、とびっきりの眼福になっているとも知らずに。
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