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それじゃない感
しおりを挟む「にーに、こえー」
ただいま賢は聡子と入浴中。普通でない山の中の一軒家にしては珍しい、普通の日常。
普段、昼過ぎに起き出す睦月は、少し遅めな昼御飯を子供らととり、家事をやって夕御飯を作る。
そして賢が聡子を風呂に入れて、三人で夕飯をとり、聡子が眠ると調教タイム。
真夜中近くまで楽しんでから、睦月は賢を眠らせて仕事を始める。
そんな感じの淡々とした毎日だったが、この日は違った。
「聡子っ??」
聡子は賢の乳首にあるピアスをキラキラとした笑顔で見つめていた。
「こえ、きえい(綺麗)っ! ちょーらいっ!!」
「ダメだって、聡子っ、あーっ!?」
力任せにピアスを掴まれて、賢は痛みに絶叫した。
「なんだ?」
焼きそばを作っていた睦月は、フライパンを回しながら怪訝そうに顔をあげる。
「だーっ、ダメだってっ、もーっ!!」
「ちょーらい、にーにぃ、ぅぇぇぇ」
ほろほろと泣き出した聡子に困り果て、睦月はその唇をキスで塞ぐ。
ちゅっちゅと口付け、舌を絡め、その鳴き声を封じた。
「泣かないでよ。また、おじさんが来ちゃう」
「ぁーん、らってぇぇ」
また泣き出した聡子が、ふと黙り、ペタペタと賢の乳首を触りながら吸い付いた。
「うぇっ? さっ聡子?」
「にーにぃ、きもちいー?」
ちゅっちゅと吸い付きながら、ほにゃりと笑う妹。
慣れた行為に、地味な疼きが賢の身体を火照らせる。
「ダメだよ、聡子。ほら、もうあがろう?」
「さともー、にーに、ちゅってしてー」
「ええぇ~っっ」
困った賢はどうしようもなくなり、情けない声で睦月に助けを求めた。
「あー、刷り込みかなぁ」
話を聞いた睦月は、聡子を宥めながら風呂からあげて、無理やり御飯へと追いたてた。
美味しそうな匂いにつられ、とてとてとテーブルに向かう幼女を溜め息で見送る。
以前にやらかした近親相姦未遂&幼女絶頂事件。それが記憶に鮮明で、思い出したのかもしれない。
いや、ただでさえ人の道を踏み外してる外道なんで、これ以上は勘弁してもらいたい。
ときおり強烈な欲情を聡子に抱いたりもあるが、賢がいるおかげで、一線は踏みとどまれる睦月だった。
睦月が風呂に聡子を入れようものなら、とてもじゃないが自制出来る自信はない。賢に入れてもらうしかないのである。
「ん~、穴が塞がるかもしれないが、普段は外しておこうか」
指先で玩んでいたピアスを取ろうと、睦月はその留め金に手をかけた。しかし賢が両手でそれを握り、拒否する。
「やだっ! これは僕のでしょっ? おじさんから、はじめてもらったプレゼントだもんっ、はずさないで?!」
初めて送ったプレゼントが乳首ピアスて.....
己のしでかしてきた行動に思わず愕然とする睦月。
いやいや、おかしいよなっ?! あれぇ? どこで間違えたか、俺ぇぇっ?!
双子がやってきたのは三月の終わり。山奥の一軒家ではイベント的なモノもなく、ただ淡々と毎日が過ぎていく。
子供達のために、通販で二段ベッドや勉強机、遊具などを整えたが、あれらはプレゼントとは言いがたい。
庭に置かれた滑り台やブランコ。簡易的な砂場などもある。よく遊んでくれている。
暑い時にはプールもやった。花火も楽しんでくれた。
二人は冬生まれで誕生日も少し先。
出来ることはやっているつもりだった睦月だが、まさかの落とし穴だった。
彼は凄い勢いで、ばっとカレンダーを振り返る。
今時どこでだってネットは繋がるし、子供らのために大きなテレビも買った。
色んなアニメや特撮のDVDも取り寄せ、ハロウィンにウキウキな子供らに仮装衣装やお菓子も通販した。
だが、あれもプレゼントとは言えない。たしかに。
プレゼントと言えなくもないのだろうが、御揃いの衣装に同じお菓子缶では特別感がないのだろう。
自分だけに贈られた大切な物。それがプレゼントだ。
ぐぬぬぬっと顔をしかめ、睦月は次のイベントであるクリスマスに狙いを定める。
こんな下ネタアイテムではない、ちゃんとしたプレゼントを贈らねばっ!!
睦月は決意し、拳を握りしめた。
「なあ、サンタさんに頼む物は決まったか?」
睦月は、二人のサンタさんへのプレゼントを知るため、手紙を書かせる。
もちろん、投函してくる振りをして、その内容を知るためだ。
「あたしー、ぺんだんとー。あえー」
聡子はテレビを指差した。
そこには某アニメキャラのグッズCM。
ああ、わかりやすい。良い子だなぁ、聡子。
そんな無邪気な一面にすら、劣情を抱く己の下半身を毒づき、睦月は賢に視線を振った。
「賢は?」
「おじさん。僕、もう、サンタさんってとしじゃないんだよね。」
ぎくっと肩を震わせる睦月に、賢は困ったような顔をした。
「聡子だけでいいよ? 僕たち、いっぱいかってもらったし、僕は、もうもらったし」
そっと胸を押さえる賢。そこには睦月の与えた淫猥なピアスがある。
だから、ソレじゃないんだようぅぅっっ!!
心の中で地団駄を踏みつつ、睦月は涼しい顔で微笑んだ。
「おまえらが我が家に来て、おじさんは、ぶっちゃけ困り果てた」
「.....うん」
叔父が最初から兄妹を避けていたのに賢は気づいていた。
その理由を今は知っているが、それでも拭えない不安はつきまとう。
おじさんは小さい子供が好きでたまらなくて、壊したくなる病気なんだ。だから、僕らをみないようにしていたんだ。
実際、その愛情を目の当たりにした賢は、壊されかかった。
身体を暴かれ、口やお尻から串刺しにされ、御腹の中に沢山お薬を呑まされて、はち切れるほどの苦しさに悶絶したし、そこをさらに灼けつく火柱のような凶器で炙られた。
今思い出しても冷や汗が出るような激痛に絶叫したのを覚えている。
でも、おじさんは、やさしかった。
行為そのものは激痛をともなう酷いモノだったが、叔父の手は優しく、始終丁寧に賢を扱ってくれた。
気持ち悦くなるまで我慢して? と、辛抱強く付き合ってくれ、気持ち悦くなれた賢を全身で誉めてくれたのだ。
賢の小さな胸が、きゅんっと高鳴る。
ここに来る前の家は冷たく、賢や聡子を御荷物だ、邪魔だと、あらかさまに虐げていた。
満足な御飯ももらえず、服も有り合わせの着た切りで、幼稚園にも行っていない。
そんな叔母さんらが、いきなり連れてきたのが、この山奥の一軒家だった。
捨てられてしまうのだろうか? どうしよう?
オロオロする賢だったが、その一軒家には人が住んでいた。
死んだ母親の弟だという若い男性。叔母さんは男性と言い合いをしたあげく、兄妹を置き去りにして山を降りてしまった。
残された二人は、キツい眼差しで睨み付けられ怯えすくむ。
だが、思っていたのとは違い、男性は賢達に色々してくれた。
兄妹の部屋に暖かな寝床を拵え、たっぷりな御飯。お風呂にも沸かして、二人で入れるか? と尋ねてくれる。
聡子の面倒をみるのは賢の役目だったため、そのへんは大丈夫というと、軽く頷き、大きなメモ帳をくれた。
『何か必用なら書いておけ。通販で取り寄せるから』
賢は言われた意味が分からなかった。
ひつようなもの? ごはんはあるし、おふとんもフカフカだったし。なにもない。ここは天国かな?
怖そうだけど優しい叔父さん。朝も、パンが用意されていた。牛乳もコップに注いであり、二人分の食事にかけられたラップ。
『俺は昼過ぎに起きるんだ。だから、こうやってあらかじめ用意しておくから、自由に食べてくれ。レンジの使い方はわかるか?』
『押すのは、このボタンだけだよ? モノを入れたら、このボタンを押す。ぬるめの設定にしてあるからね』
『御茶とかお菓子はここの籠に入れておくから。食べ過ぎないようにね』
あれやこれやと説明を聞きながら、賢はここが天国だと思った。だから、良い子にしようと。絶対に叔父に嫌われまいと心に誓ったのだ。
なので、どんなに酷いようなことをされても、気持ち悦くなるからという叔父の言葉を信じた。
実際、その通りで、泣き叫ぶような激痛も、しばらくすると、たとえようもなく気持ち悦い。
今まで味わった事もない、全身が震えるような快楽を叔父は教えてくれた。
しかし、その後の彼の説明に賢は憤る。
叔父がしたことは警察に捕まるような悪いことなのだとの説明に、賢は全身で拒絶をしめした。
たしかに壊されるような激痛や苦しさがあった。
しかし、叔父は壊さないよう、優しく丁寧に扱ってくれたではないか。
幼い賢にだって、そんなことくらい分かる。
本当に壊してしまったのなら、大変な事だ。そうならないように、叔父は賢の様子を見ながら進めてくれていた。
今の賢とて、全身に激痛が走り身動きも出来ない。叔父の言うように壊されてしまったのかもしれない。
でも.....
『良い子だなぁ、賢。本当に可愛いよ』
賢を可愛いといって撫でて愛してくれた人は睦月が初めてだった。この人を失ったら、どうなってしまうのか。また、寒くてひもじい生活に戻るに違いない。
気持ちよかったし、こわれてもいいっ!
それを賢は口にして、睦月を黙らせた。
警察に捕まるかもしれないと言いつつも、賢を病院に連れていこうとした優しい人。
誰にも顧みられなかった兄妹に、暖かな生活をくれた人。
絶対に離れない。
あの日、賢は決めたのだ。
そしてそれは、間違いではなかった。
賢を壊しかけた日から、叔父は目に見えて優しくなり、賢の身体を気持ち悦くさせつつ、楽しい毎日を与えてくれる。
時々、愛され過ぎて寝込む事もあったけど、そんな日は一日中叔父が付き添ってくれた。
優しく抱き締め、賢をふわふわと暖かな眠りにつかせてくれる。
沢山のオモチャやテレビや遊具。プールに入ったり花火をしたり。
どれもこれも初めてで、憧れていたモノばかりで、やはりここは天国なのだと賢は感じた。
プレゼントの話をする睦月をチラ見し、くふりと笑う五歳児様。
にがさない。おじさんは僕のモノだ。
この幸せな生活を死守するため、賢の、睦月陥落作戦は始まっていたのである。
しってますか? おじさん。僕は、あなたが大好きなんです。
幼児と思えぬ狡猾さ。
しかし、睦月の調教でトロトロにされた賢は、心の底から彼を慕っていた。
最初は幸せな生活のためだった賢の睦月陥落作戦だが、今では別の意味で睦月の性癖を煽っている。
……愛されたい。
身も心も縛って犯して滅茶苦茶にされたい。
そんな言葉も知らぬ賢だが、それと同じことを心と身体が望んでいた。
賢の脳裏を知ってか知らずか、睦月は優しく賢の頭を撫でる。
「でも、お前は俺の性癖を知っても嫌わなかった。壊されても良いって怒鳴られた時、俺はお前に惚れたんだろうなぁ。ありがとうね、賢。おかげでこうして楽しく暮らせる。お前らが来てくれて本当に良かったよ」
思わぬ睦月の言葉で、再び賢の胸が締め付けられた。
きゅんきゅんと高鳴る幼い心臓。
あああ、もーっ、ぜったい僕のほうが、おじさんのこと好きなんだからねっ!!
こうして、今日も普通でない家族の一日が始まる。
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