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原点 二枚目の真実 ☆
しおりを挟む「ああっ! やめ……っ、ひいぃぃっ!!」
「おうふ……っ、一端の男のくせに可愛いじゃねぇか」
「お人形さんみたいだよなあ? どこもかしこも柔らかくて、下手な女よりずっと綺麗だ」
「おら、咥えろ! 歯を立てんなよ?」
前からも後ろからも衝き上げられ、その唇にすら深々と捩じ込まれる一物。
鉱山に送り込まれて一年。ハルトは毎晩のように大勢の鉱夫に犯されていた。
どれだけ、こうされてきただろう。ガクガク揺さぶられながら、ハルトは未だに慣れない情交に身悶える。
知らないわけではないが、学園でもこういったことに忌避感を持つハルトは、身分が公爵令息でもあったため無理強いされたことがない。
だから、まだ何も知らない身体を突如として暴かれ、酷く狼狽えた。
「まっ、待ってっ! 何をーーっ?!」
服を剥ぎ取られながら暴れるハルトを押さえ付け、まるで獣のように卑らしい笑みを浮かべる奴隷達。
「何ってナニだよ。溜まってんだ、抜かせろよな」
「こんな別嬪さんが来てくれたんだ。ヤらない手はないわなあ?」
ひゃっひゃっひゃと声高に笑いつつ、男どもはハルトの双丘を無骨な手で割り開く。
「うひょ? 綺麗な孔してんなぁ? ひょっとして初物か?」
「御貴族様みたいだし、箱入りで女も知らないかもしれんぞ? この可愛いチンコ見てみろよ。怯え切って柔っこい。ふるふるして、まるで乙女みたいじゃないか」
どっと爆笑する男ども。
あまりの屈辱で真っ赤な顔をするハルトの口を塞ぎ、奴らはランプを消して、その油に指を突っ込んだ。
そしてその指を、まだ何も知らぬハルトの尻に捩じ込む。面白そうに挿れられる複数の指。
「ーーーーーーっ!! ~~~~ふっ!? ん……うぁぅっ!!」
ふぐふぐとぐぐもった叫びをあげるハルトは、ゲラゲラ嗤う男達に無理やり解され、容赦なく貫かれた。
孔の縁が無惨に切れ、僅かな鮮血のまとわる己のモノを興奮気味に眺めつつ衝き上げる男達。
「……処女みてぇだな。実際、そうなんだろうけど。かぁぁ…… すげえ興奮するわ」
「早く代われっ! もう保たんっ!」
押し合い圧し合い、男達は群がった。激痛に悶絶するしかないハルト。彼は身も世もなく泣きじゃくる。
……こんなの知らないっ! やめてっ! 痛いぃぃーつ!! ……ライルも。……ライルも、こんな目に?
幼かった弟を思い出し、ハルトは胸が張り裂けそうだった。あんな子供がこんな恐ろしい目に遭ったと思うと、心が悲痛な慟哭をあげる。
……贖罪。そう、これは贖罪だ。ごめん、ライル。本当にすまなかった。力ない僕を許して……
弟にされたであろう無体だと思うと抵抗する気も失せ、今のライルがこんな目に遭わなくて良かったと心から安堵するハルト。
獲物の抵抗が弱まったのに狂喜乱舞し、男達は、さらに貪欲にハルトを嬲った。一つしない孔を巡って、先を争う男どもに誰かが声をかける。
いたく冷静な声。その声に、ハルトは聞き覚えがあった。
「一緒に挿れたら良いんじゃないかな? 二本くらい入るだろう? 血でヌルヌルだし、丁度良い」
「……………ぐっ?」
見下ろすように立つのは見知った男。また従兄弟のハウゼンである。
……ハウゼン兄様が、なんで?
引きつり、涙に濡れたハルトの顔を優しく撫で、ハウゼンは蕩けた息を吐く。
「君を救おうと思って来たのだけれど…… ああ、なんて美しい。ハルト。思いっきり穢してもらいなさい。とことん堕ちた君を見たい…… そして抱きたい……」
狂気を孕んだ眼差しで近くの椅子に腰掛け、ハウゼンは犯されるハルトを心ゆくまで鑑賞する。
そしてとつとつと話した。幼くからハルトを求める己の恋心を。
如何にハルトを欲したか。誰かに襲わせて、傷心なところにつけこもうかと画策したこともあるとか。
「君がね。穢されて泣き叫ぶ様を想像するとね…… 堪らないんだよ、俺は…… さあ、助けを求めてみたまえ。君を救えるのは俺だけだよ? 心から俺を求めて?」
……狂ってる。
前世でも唯一優しかった従兄弟。なにくれと世話を焼いてくれ、ハルトの不遇を心から嘆いてくれた彼の、薄汚い本性。
それを理解して、ハルトは眼の前が真っ暗になる。しだいに遠のく意識。ここに来てやっと、ハルトは公爵家を襲った不幸の元凶を知る。
ハルトを屈伏させるため、ハウゼンは小金を握らせて奴隷達に酷い凌辱をさせた。身の毛のよだつような悍ましい行為を強要されて、泣き叫ぶしかないハルトに、奴は夢物語を語る。
「……まさか生きていたとはねぇ? 君の弟。ライルだっけ? ……あの親子は君に当たり前のように愛されていて目障りだったよ。……君の父親も。ハルトの愛を受ける者は、等しく排除しておきたかったんだ。領地の民もね」
……え?
己の耳を疑い、ハルトは凍った眼差しでハウゼンを見上げた。
それににんまりほくそ笑む狂人。その歪な笑みが、ハルトの問いを肯定していた。
……こいつがっ! 義母達に刺客を差し向け、公爵家を陥れたっ?!
「ああああ、悦い顔だっ!! そう、もっと絶望しなさい? その顔を引き出すためなら、俺は何だって出来る。今の君の頭の中には俺しかいないだろうっ?! ああ、なんて至福っ!!」
股間をギンギンにおっ勃て、ハウゼンはよだれを垂らさんばかりに恍惚とした顔でハルトに覆いかぶさった。
長々といたぶられ続けたハルトは痩せこけ、手足が枯れ木のようだ。毎日蹂躙される身体もズタズタで見るに耐えない。
「……君が強情だから。ここまでする気はなかったのに。……でも、すこぶる可愛いね。穢されて堕ちて無惨な君は、震えがくるぐらい奇麗だよ」
はあ……っと蕩けた溜め息をつき、ハルトの中に埋め込んだ己を衝き上げるハウゼン。
それに最奥をごちゅごちゅ掻き回され、ハルトは激しく嘔吐いた。何年も弄ばれ、もう身体が限界である。じわじわ混濁する意識。それが暗闇の縁に落ちようとした、その瞬間。
ハルトの鼓膜にハウゼンが毒を注いだ。
「こんなに細くなってしまって…… もう長くはないね? ……残念だ。実に残念だ。……君を失いたくないのに。……そうだ、君には弟がいたね? 彼でも良いか。運良く生き残ったようだし。彼の中に君の面影を偲んで可愛がるよ」
舐めるように囁かれ、ハルトの意識が急速に覚醒する。
……ライルにだとっ?! ふざけるなっ!!
息を荒らげて果てたハウゼンに組み敷かれたまま、ハルトは死ねないと心に誓った。
そこからハルトは変わる。
「ん~? 口でしてあげようか?」
ちろりと紅い舌をのぞかせて、自分の指を舐める仕草のハルトに、奴隷達は大興奮。
「おほっ、マジかあ。可愛くなったなあ、お前」
「俺も、俺もっ! これやるからさぁ」
今まで碌に食べ物をもらえなかったハルトだが、奴隷達に媚を売り、食事の向上を果たした。行為も進んでするようになり、甘えてくるハルトを奴隷達も心から可愛がる。
「ほら、食え。お前、痩せすぎだぞ」
「ああ、良い子だな」
「今日も可愛がってやろう。好き者になったもんだなあ、お前も」
はにかむように上目遣いで見上げれば、奴隷達の機嫌はすごぶる良くなる。男とは単純なものだと、ハルトは心の中でだけ嗤った。
……死ねないからね。あの外道を何とかするまでは。
瀕死寸前だったハルトだが、可愛く従順なハルトを惜しむようになった奴隷らの手加減と給餌によって、少しずつ身体が回復してきた。
毎夜犯されるのは変わらないが、無理やりヤるのと気持ち悦く佳がられるのとでは、奴隷達も受ける興奮が違うらしい。
甘く喘ぐハルトをイかせようと、日夜盛る奴隷達。
そんな、雰囲気の変わった濡れ場を見て、黙っていられないのはハウゼンだ。
「……君、俺を煽っているのか? そんな下賤な者らに抱かれて佳がるなど…… 俺の知っている君じゃないっ!!」
……誰のせいで、こうなったと思っているんだ。僕だって、好きで男どもに媚を売っているわけじゃないよっ!!
死なないための防衛手段だ。
頑なな拒絶をやめ、素直に身体を与えただけで、ころっと掌を返した男ども。それに人の悪い笑みをうかべ、ハルトは憤るハウゼンにしなだれかかる。
「……なら、貴方が染めてみるかい? 僕をさ。貴方の理想的な奴隷に」
ハルトの耳に、ごくっと固唾を呑む音が聞こえた。
そうしてハウゼンに身を任せ、奴の望み通りの痴態を演じてやり、油断したハウゼンをハルトは殺害したのだ。
だから、二度逆行したハルトは知っていた。
ハウゼンの望むモノを。自分が奴に従順であれば、大丈夫だと高を括ってしまったのだ。
学園生のハウゼンは年若く、まだ何もしていない。何もしていないハウゼンを殺すのは、さすがに躊躇われた。
だから、奴の思い通りにさせてやり、その矛先を自分に向ける。余所見しないよう、常に甘えて求め、ハウゼンの眼を己に釘付けにした。
……だが、奴は満足しなかったのだ。
自分が拐われた日を思い出して、ハルトは深く項垂れた。
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