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二枚目のやり直し 5 ☆
しおりを挟む「あっ、あっ! 助けて、ハウゼンっ! ひいぃぃっ!」
「おおぅ…… 可愛いよ、ハルト。ほら、強請ってるじゃないか。可愛がってやってくれよ」
筋骨隆々な上級生に囲まれて、次々犯されていく兄。注がれた精で、びしゃびしゃな腰を振り、佳がり狂うハルトの姿に、ライルは我が目を疑った。
学院に入学して半月。ライルは上手く上級生の誘いをかわしつつ、うんざりと毎日を過ごしていた。一度経験したことだ。案外、逃げるのは簡単だった。
そして目につく二人の甘やかなイチャイチャぶりに閉口する。
ハルトとハウゼンは生徒公認の恋人同士だったようで、弟が入学してきたにもかかわらず、ハウゼンはハルトを溺愛した。
抱きしめ、頭を撫で、頬にキスをする。
周りも似たようなもので、ちょいとした物陰で絡まる者も多い。
……前は、そういうものだと思っていたけど、実の兄の濡れ場はキツいな。うん。
前世でハルトに恋人はいなかった。むしろ、ストイックなくらいこういうことを嫌っていたようにも思う。……裏では、どうだったのかは分からないが。
少なくとも人に見られそうな場所で睦むほど恥知らずではなかったはずだ。
そこらじゅうで飛び交う甘い声に眼を据わらせ、げんなり脱力していたライルは、ふと奥まった森に歩いていくハルトを見つけた。
べったりハウゼンにしなだれかかる兄に吐き気がするが、なぜか二人の向かう先が気にかかる。
……あの先って、古びた礼拝堂がある場所じゃ?
ライルが前世で、よくサボりに使っていた場所だ。
どうしても気になったライルは、こっそりと二人の後をついていった。
案の定、二人は礼拝堂に近寄っていく。しかし、入口には向かわず、その裏に回った。
……? ここにしけこむかと思ったけど、違う?
凝視するライルの視界で、ハウゼンが鍵を取り出し、壁にしか見えない場所に差し込む。途端にガコンと音が鳴り、壁にしか見えない場所に穴が空いた。
……隠し部屋?
どうやら礼拝堂には地下があるようで、二人は寄り添ったまま階段を降りていく。そして、どこからか現れた何人もの生徒が、申しあわせたかのように、同じ階段を降りていった。
……何が起きて?
訝しみつつ階段に近寄ったライルは、その昏い最奥を見つめ、ごくりと固唾を呑む。
そして見なければ良かったと思うケダモノの宴を、目撃してしまったのだ。
「ああ、来てくれたね。さあ、可愛がってやってくれ」
薄暗い地下室には、裸のハウゼンが椅子に座っていた。そして周囲に置かれた蝋燭で照らされるハルト。つま先がつくかつかないかの位置に、天井から吊るされた兄も裸で、その股間に結ばれた真っ赤なリボンがやけに眼に刺さる。
階段下にあった扉の陰に隠れ、ライルは静かに中を窺う。
あまりの恥辱にか、ハルトは真っ赤な顔を俯けている。そんな少年を舐め回すような視線の生徒らは、それぞれ服を脱ぎ捨てて近くの椅子にかけた。
そして彼らはニヤニヤした顔で、ハルトの身体をまさぐる。
「あっ! いやっ! ひいっ?!」
身を捩って羞恥に震えるハルトを眺め、ハウゼンは満足そうに嗤っていた。
「悦い声だ…… 我慢だよ、ハルト。もっと俺を愉しませてくれ」
「んう……っ! あっ! ハ……、ハウゼ…ン」
「うん、可愛いよ、ハルト」
切なげにハウゼンを見つめて、何人もの生徒の無体に耐えるハルト。乳首を捻り上げられ、双丘の奥の窄まりに何かを塗り込まれ、ぬちゅぬちゅ挿れられる複数の指の濡れた音がライルにまで聞こえてくる。
……なんつー。なんだ、これ。輪姦?
思わずバクバクするライルの心臓。彼には、兄が何をされているのか分からない。……いや、分かるのだが、その意味が分からない。
生徒達に自分を弄ばせて何がやりたいのか。全く想像がつかなかった。
行為が進むうちにハルトのモノが勃ちあがる。ひくひく震えながら、透明な雫を零す生々しい一物。それを誰かが激しく扱くが、なぜか硬くそそり勃つだけで弾けることはない。
「ひゃっ! ひ……っ、も、もう……っ! 許して、ハウゼン兄様ぁ!」
「我慢だ。もっと我慢して……? ああ、奇麗だよ。泣きじゃくるハルトは、凄まじく奇麗で可愛い。もっと泣いてくれ」
「あっ、あっ! ーーーーーっ!!」
ハルトの背後にいた生徒が、解した柔肉に己のモノを突き立てた。ぬちゅぬちゅ出入りする淫らな楔。ハルトの両膝を抱えて大きく開かせているため、赤黒いソレの入る様が一望出来る。
おお……と感嘆めいた溜め息がそこここから聞こえ、泣き濡れるハルトの顔に誰かがキスをした。
「すげぇ…… 出せない苦しさに泣く姿が堪らないな」
「あひっ! だめぇっ! 奥が……っ! あっ、あっ、あーーーーーっ!!」
「イった? イったな? うひょお、中イきとかっ! すごいね、ハウゼン! 君の犬は素晴らしいっ!」
仰け反り身悶えるハルトを撫で回して、絶賛する生徒達。どうやら、そういった偏った嗜好の者達のようだ。
はーっ、はーっ、と激しく胸を上下させて、ハルトが前屈みで痙攣する。その顎を取って優しく口づけ、ハウゼンはうっとりと呟いた。
「最高だ…… 君をこうして可愛がりたかった。ずっと…… 夢にまで見たよ」
この場に不似合いの真っ赤なリボン。どうやらソレがハルトの吐精を阻んでいる。ピクピクと震えるハルトのモノを撫で回しつつ、ハウゼンが獰猛に嗤った。
「さ、もっと可愛がってくれっ! 存分にっ!」
それに頷き、同じく獰猛な笑みを浮かべる生徒達。
「やめ……っ! あっ! 許して、ハウゼンっ! 無理ぃぃっ!!」
泣き叫ぶハルトの姿に背筋を震わせ、ハウゼンは再び椅子に座ると責め立てられる最愛を鑑賞する。
……これが見たかった。……なんと淫靡で切なげな光景か。恥辱に泣き伏し、俺に許されることだけを望む姿は最高だ。もっと乱れて泣いて俺を求めろ。もっとだ。
はあ……っと深い溜め息をついて、ハウゼンは可愛い恋人の痴態を凝視する。
何人もに貫かれ、眼を見開いて絶叫し、出せぬ苦しみとイかされる愉悦で悶絶するハルト。
その淫らな姿に興奮しているのはハウゼンだけではない。集まった生徒らも一巡で済まず、二巡、三巡する強者もいた。その数、ざっと見、十人ほど。
吐き出された精が外に溢れ、ハルトの脚を伝って床に滴っていく。
それが、ぽたり…… ぽたり……と床に水玉模様を描き出した頃、ようよう生徒らによる狂乱は終わった。
喉が嗄れはてるほど泣き叫ばされたハルトの眼は虚ろで、何も映していない。ひくひく震える唇から糸を引く唾液が艶めかしい。
汗と涙で張り付いたハルトの顔の乱れ髪を取ってやりながら、ハウゼンは満面の笑みを浮かべていた。
「ありがとう。俺の恋人を可愛がってくれて」
「なあに、こちらも愉しませてもらったよ。悦い犬だ。大切にな」
「そうそう。今度、俺の奴隷も参加させよう。こういう愉しみは学生の間だけだしな」
どこからどう見ても、好青年な爽やかさ。こんな淫猥な宴に参加するようには見えない生徒達ばかり。
そんな彼らが席を外し、ハウゼンはハルトを吊るす縄を解いた。そして如何にも至福といわんばかりな顔で、穢され尽くした最愛を抱きしめる。
「よく我慢したな。さ、解放してやるぞ? 存分に出すが良い」
そう言って、奴はハルトのモノを戒めていたリボンを手荒に外した。
「ひい…うっ! ひっ、ひゃあぁぁっ!!」
途端に噴き出す温かな蜜。それを手に取り、ハウゼンは絞り出すようにハルトのモノを扱きあげる。
半狂乱で喘ぐハルトを貫き、彼は恍惚と呟いた。
「悦い…… 穢されたハルトを俺が清めてやろう。君を救えるのは俺だけだ。君がどんなに穢されようと、俺だけは君を愛せる。分かるね? ハルト」
「あっ、あっ! ハウゼン、助け…てっ!」
「もちろんだ。さ、愛し合おうな。たっぷりと……」
意識が混濁し、すがるようにハウゼンの背に手を回すハルト。その小刻みな震えが心地好く、ハウゼンは殊の外丁寧に優しくハルトを愛した。
「君を愛でるのは俺だけだ。良いね? こうして、甘く愛してあげるのは俺だけだよ? 嬉しいかい?」
ハルトは必死にコクコク頷く。
「離さないで…… もう、やだ……っ、皆、怖い……怖い…の……やだぁぁ」
子供のように泣きじゃくり、ハルトはハウゼンにすがりつく。それを落ち着かせるかのよう撫でさすり、ハウゼンはハルトを愛撫する。
「私は酷いことはしないよ。知ってるだろう? ほら、気持ち悦い。……ね?」
「離さないで…… ハウゼン…… ひっくっ、うぅぅ……」
「良い子だ……本当に。離さないよ。安心しなさい」
泣きじゃくるハルトの顔中にキスを落し、その首筋に舌を這わせ、ハウゼンは優しく優しく可愛い恋人の身体を高めていった。
そんな甘やかな二人の睦みを愕然と眺めながら、ライルは思い至る。
手酷くムチで打ち据えてから、甘い言葉と飴を与える遣り口は娼館での常套手段だ。特殊性癖な客がよくやる手口。
……こいつ。ハルトを洗脳してる?
知った事実に驚愕し、新たな悩みを抱えるライル。
これが、さらなる後悔を生み出すのだが、今のライルは知る由もない。
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