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 お題 フィストファック 〜前編〜

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「毅君っ!! 君ねぇっ! 雌犬らを放置するんじゃないよっ!!」

 いきなりやって来たブギーマンに開幕説教を食らう毅。

 聞けば、千鶴達が自主トレでフィストファックをかまして寝込んだらしい。
 顎が落ちて戻らない毅に、ブギーマンは呆れたような顔で命じた。

「今後、円香孃のパートナーを禁じますっ!」

「えっ? なんでっ?」

「円香孃は君と所持金が同じでしょう? ぶっちゃけ出演してもらっても旨味がないんですよ。さらには、君のペットらが暇をもて余してやらかすし、ちゃんと面倒をみなさいっ!!」

 ……オカンか、お前は。

 プリプリと怒りながら退場するブギーマン。それを見送り、毅は五日ぶりに隣室を訪れた。
 二人は既に土下座で待ち受けていて、子犬のようにプルプル震えている。
 何とも言えぬ毅は、怒りも呆れも通り越し、達観中。

「あ~~~。フィストファックやったんだって? どうだった?」

 取り敢えず好奇心を満たすため、毅はソファーに座り、二人に感想を聞いてみた。

「その..... なんと言いますか」

 恥じらい、口ごもる千鶴の横で、香るが、にぱーっっと満面の笑みで答える。

「すっごい痛かったけど、すっごい気持ち悦かったぁー」

 思わず手摺からずれ落ちる毅と、床に突っ伏して平伏する千鶴。
 耳まで真っ赤な千鶴を見れば、薫の感想に同意なのが丸分かりだった。

「そうか。まあ、あんまり派手な事はしてくれるなよ? 俺、ブギーマンから説教食らっちまったぞ? 犬の面倒はちゃんとみろって」

 苦笑いな毅に、千鶴は申し訳ありませんっと何度も繰り返す。薫も、ごめんなさいと頭を下げた。

 そんな二人を見下ろして、毅はしばし考える。

 ……退屈なんだろうなぁ。室内じゃ、やれる事も知れてるし。二人しか居ないなら、さらにやれる事は限られているし。トランプやボードゲームだって二人では面白さ半減だ。

 そして二人しかいないという環境が、今回のように何のストッパーもなく行為をエスカレートさせる。

「明日のショーはいつも通り回すよ。千鶴、お前を出す。身体は平気か?」

「大丈夫ですっ!」

 思わぬ毅の言葉に、千鶴は胸を高鳴らせた。

「アタシもやれるー、いつでも使ってね」

 負けじと薫も出演したいアピール。

 それに鷹揚に頷き、毅は円香成分を搾取しに自分の部屋へ戻っていった。





《さてさて、今回もやって来ましたショー・タイム♪ 何時も通り、まずは奴隷の皆様に賭けに参加していただきましょう!》

 いつもトップな毅達。

「...............」

 千鶴が打ち込んだあと、毅も打ち込む。

 ヴィジョンに浮かんだ数字は、千鶴が1。毅が3。

 思わず大きくどよめく観客達。

「毅君?」

 困惑を隠せない千鶴の声に応えるかのように、ブギーマンの剣呑なアナウンスが聞こえた。

《毅氏~~? そう来ますかぁ~~~?》

 毅の今の所持金は五億を越えている。前回の順位当ては半数くらいが当てていた。
 つまり毅が外せば、三億近くを別の誰からに分配出来るのだ。
 何度もやれる手ではないが、絶大な効果が望める一手。人数の多い今こそが最も有効である。

《はあ~~っ、まあ、何も言いますまい。どのように賭けようが自由ですしね。では、レッツ・ルーレットっ!!》

 ダララララ.....っと何時ものドラムロールが響き、現れたお題は..........

 フィストファック。

 ……なんつータイムリーな。狙ってねぇか? ブギーマンよお。

 敢えて円香出演禁止を告げた上での、このお題。ルーレットは客のリクエストで決めているはずだ。ブギーマンがどうこうは出来ない。
 もちろん、主催者なら何とでもなるだろうが、ブギーマンは、そういう不正をするタイプには見えなかった。

 そろそろ来てもおかしくはないお題だが、何か釈然としない毅である。



「行くぞ?」

「はい」

 トロトロになるまで身体を弄くられ、円香の破瓜にも使った極太バイブにペニスリングを装着したもので念入りに掻き回し、ユルユルのフニフニにした千鶴の秘処へ毅は手を捩じ込んだ。
 熱く蕩けた柔肉の感触に感動し、しだいに狭くミチミチと拡がる肉の抵抗に閉口する。
 千鶴はロープで吊るされ、台に固定した毅の腕の上へ徐々に落とされていく仕組みだ。

 両手を括られて吊るされた千鶴の両脚は膝を拘束し、左右から別のロープで引っ張られている。
 丸出しな彼女の股間がしだいに下がり、ぬぷっと毅の指を呑み込んでいった。

 ゴクリと大きく固唾を呑む観客達。

 その興奮を伝えるように忙しなく周囲を回るドローン。

「ゆっくり息を吐いて? 力を抜け、千鶴」

 言われた通りに喘ぐ千鶴。その顔は苦悶に歪み、滝のように流れる汗が彼女の肌に髪を張り付かせていた。
 ギシギシと骨が酷い抵抗を見せる。そう簡単には入らない。
 薫の手で慣らされたとはいえ、男性である毅の手は何回りも大きいのだ。
 はあっと大きく溜め息をつき、千鶴が涙まみれな顔で毅を見つめた。

 ……無理か? 自重で呑み込む方が楽なはずだ。こちらが力を入れると、余分な抵抗がくるし。

 どうしたものかと懊悩する毅。お題を棄権すると賞金全額没収だ。毅の賞金には円香の分も入っている。三人揃って奴隷おち確定。
 しかも毅の後ろには七海と薫もいた。御主人様を失った雌犬はどうなってしまうのだろう。新たな御主人様に身売りでもしないといけないのかもしれない。

 悶々と考えつつも、千鶴を壊してしまうかもしれない恐怖から、決断の下せない毅。
 それを察したのか、震える声で千鶴が叫んだ。

「..........っ! ふう.....っ! 壊れても構いません。入れて下さい、毅様っ!」

 毅.....さま?

 訝しげに見つめる毅。そんな彼に向けて、千鶴は瞳を挑戦的に煌めかせる。
 虚勢だ、痩せ我慢だ。激痛に痙攣する彼女の身体が、ありありと物語っていた。

「私は…… 御主人様の雌犬です。……そうでしょ?」

 毅は思わず眼を見張る。

 調教とは生易しいものではない。千鶴とて泣きじゃくりながら屈辱、恥辱を越えてきた。毅の手によって気持ち悦いことや、痛く苦しいことを。
 解放されたら、そこで終わる関係。ここで無理をする必要はない。奴隷落ち確定ならなおのことだ。己の身体を損なうのはマイナスでしかない。
 なのに、それを圧して本物とする事を千鶴は願っている。
 毅という御主人様に仕える、本物の雌犬にしてくださいと。

 .....堪らねぇな、お前。

 思えば千鶴は、最初から毅に全幅の信頼を寄せていた。
 毅が何をしても、何をされても従順に尽くしてくれ、円香とは別の意味で毅も信頼をおいている。
 ここぞと言うときに毅の頭に浮かぶのは、円香か千鶴。

 壊れるかもしれない。とんでもない激痛が千鶴を襲っているはずだ。
 なのに、本懐を遂げろと彼女は言う。壊れても構わないから、毅の思うがままにと。

 かつて、毅の望んだ雌犬がソコにいた。

 どのように悲惨で残酷な事であろうとも、望んで受け入れる雌犬隷。

 ……愛されてるなぁ、俺。

 毅は鼻の奥がツンとする。

 千鶴の悲壮な決意を無駄にせず、毅も覚悟を決めた。

 この後起きる想定外を知りもせず、彼らは勝利を目指して過酷なお題に挑んでいく。
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