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 閑話 雌豚爆誕 〜前編〜

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「ケツが痛ぇ..........」

「ごめんっ!! ホント、すいませんでしたぁぁぁーーっっ!!」

 ベッドにうつ伏せる毅に、土下座する薫。

 ショーの後、リクエストを全部受けた薫に散々責め抜かれた毅である。
 毅がギャグで何も物申せないのを良いことに、リクエストを入れた観客達は、あれやこれやと薫を指示し、無茶な調教をやらかした。
 乳首ピンチローターから尿道バイブ、エネマは勿論、そのままバイブで栓をされ、激しく掻き回す玩具に絶頂する毅の射精を阻む尿道の玩具。
 さらにはバラ鞭で、その猛り狂う一物を叩きまくられた毅。
 観客らに騙された薫は、玩具の刺激で萎えない毅の一物が、叩かれることに感じてるのだと誤解し、玩具に射精を阻まれているのだとも知らず、快感が足りないのだという観客らの嘘を信じて、一生懸命、毅のモノを叩き続けた。
 その後、台の下にバケツを置いて粗相を強要され、我慢を続けた毅は、ローターや尿道バイブでメチャクチャ責め抜かれたのだ。

「毅君? お腹痛いでしょ? 出しちゃおうよ」

 観客に命じられるまま、ぐちゅぐちゅと尿道のバイブを掻き回す薫。

 ………痛ぇぇぇっ!! 動かすなぁぁっ!!

 入れて振動するだけならば気持ち悦くもあるが、中の粘膜を擦られるのは、半端なく痛い。
 激痛にガクガクと痙攣する毅を心配げに薫が見つめるなか、リクエストタイムが終わり、毅は九死に一生を得た。

《お疲れ様です、毅君♪ 見事な根性でした♪》

 ブギーマンの言葉を最後にルームが暗転する。

 拘束を解かれた毅が自分でギャグを外し、薫を恫喝したのは言うまでもない。
 軋む腹痛でトイレに飛び込んでいなければ、今頃薫を殴り飛ばしていた事だろう。

 酷い責め苦に、虫の息な毅である。

 責めに素人な薫は手加減を知らない。知識も疎く、容赦なくされた行為の数々が、毅の身体に深刻なダメージを与えていた。

 ヤバイなこれ。中に傷が入ったかも。

 そしてふと、さらにヤバい事を思い出す。

「まさかっ?!」

 そのまさかであった。

 プレイルームにライトがつき、当然のように立つブギーマン。

「はーい、ブギーマン、参・上っ!! 毅君にお医者様のお届けでぇーすっ♪」

 ……マジかぁぁぁーっ! ありがたいけど、嬉しくねぇぇぇっ!!

 千鶴達を部屋から追い出し、ついでに円香もあずけ、扉に鍵をかけた途端、襲いかかる黒服達。
 寝台に押さえつける彼らにズボンを下着ごと剥ぎ取られ、以前の円香同様、問答無用でお尻や尿道を弄くり回される。
 ブギーマンが優しく見守るなか、黒服どもにあられもない格好をさせられ、カチャカチャ、深々と治療されてしまう涙眼な毅君である。





「もう、やだ。二度と犬らとショーはやらねぇ」

 円香の膝枕でぐずぐず泣き言を呟く毅。

「よしよし、毅は頑張ったよ。アタシも頑張るからね」

 うじうじふて寝する毅の頭を撫でて、円香はちゅっとキスをする。

 ……あああ、やっぱり、俺の嫁が一番可愛ぇぇぇっ!!

 まったりと和む毅らの部屋にノックが響いた。

 隣室にいるのは雌犬三匹。

 じっとりと眼が据わるのを止められない毅である。



「この先のショーに出なくて良いとはどういう事でしょうか?」

 口火を切ったのは千鶴。

 三人とも納得行かない顔で座っていた。

「これは君らのためでもあるんだけどねぇ」

「アタシ達の?」

 毅は鷹揚に頷いた。

 今回から始まった奴隷らの順位当てゲーム。
 これはショーに出た者だけに強制される。つまりショーに出なければ参加せずに済むのだ。

「君らは既に身代金分持っている。減らす危険は犯さなくても良くないか?」

 言われて三人は顔を見合わせた。

 確かに三人は五千万近い所持金を持っている。一回二回くらいならゲームに負けても大丈夫な金額だ。だが、何回もはやれない。

「けど、円香ちゃんだって同じでは?」

「俺ら所持金分けてないもん。いまさら分けられないし、一蓮托生なんだよ」

 あっと三人は眼を見張る。

 そういえば二人は所持金を分けていない。
 確かに今さら分けてくれと言っても応じてくれるブギーマンではあるまい。
 毅は必ずショーに出る。ならば一蓮托生な円香がパートナーを勤める方が全体のリスクが少ないのだ。
 なるほどと納得顔な千鶴と薫。しかし七海だけが複雑な顔で毅を見ている。

「そんなの不公平です。なんで円香さんだけなんですか? リスクがあっても、かまいません。私もつかってください」

「不公平?」

 毅は酷薄に眼をすがめた。

「あのなぁ、元々、俺のパートナーは円香なんだよ。俺の唯一なんだよ。お前ら、そこに割り込んできただけだよな?」

 唯一。

 その言葉に円香は頬を染める。

 拉致監禁されるまで、毅は紳士だった。円香の御願いで触ったり、抱き締めたりはしていたが、決して無理強いはせず、キスすらもした事のない清い関係だった。俺の嫁が口癖の、焼きもち焼きな幼馴染み。
 そんな彼が今では円香を求めて狂ったかのように睦言を呟く。全身で円香を欲しいと叫んでくれる。

 ……嬉しい♪

 元々、好き合っていたも同然の二人だ。親公認に近い。何の障害があろうものか。
 毅のおかげでお題も難なくこなせ、身代金にも不安はない。
 頼りになる幼馴染みに、円香はすっかり傾倒し依存していた。

 彼と共になら奴隷に落ちたって構わない。

 一蓮托生であることに、心の底から至福を感じる円香。

 そんな彼女の姿を見て、七海は憎悪に顔を歪めた。

 ……同じ雌犬なのに、何故貴女だけが? たまたま毅君のパートナーになっただけじゃない。幼馴染みでなければ、きっと鼻にもかけられなかったくせに。

 拉致の内情を知らぬ彼女は、男女の組み合わせもたまたまだと思っていた。
 そして毅の責めに己の性癖を自覚した七海。彼女はもはや毅しか見えていなかった。
 前回のショーのようにいたぶられたい。声も出せないくらい悶絶させられたい。
 あの快感を思い出す度に蕩けて身体の疼く七海である。
 なのに毅の調教は事務的でなおざり。半分はイチャイチャと円香に絡んでいた。
 グツグツと煮える心を隠して我慢してきた七海だが、ここにきてショーすら出られないとなると話が変わる。

 黙り込んだ七海をじっと見据え、毅の眼が淫猥に輝いた。

 雌豚の分際で..... どうしてくれようか。

 それに気づいた千鶴が、さっと合いの手を入れる。

「話はついたわ。七海さんも我が儘言わないで。さ、戻りましょう?」

「話は終わってないわっ! 買ったなら責任持って調教すべきじゃないの?!」

「七海さんっ!」

 声を荒らげる千鶴を軽く手を振る事で黙らせ、毅は残忍に口角を歪めた。

「責任ね。あんだけ人のこと人でなし扱いしてたくせに、よくもまあ恥ずかしげもなく」

 にやにやと嘲笑われ、七海は顔を伏せる。

 確かにその通りだった。反論の余地はない。

「ブギーマン、どうせ見てるんだろうっ?」

《.....まあ。さすが毅君ですね。勘の宜しいことで》

「普段の口調から分かるわ、そんなもんっ! 部屋をもうひとつ連結出来るか?」

《出来ますが? いくらか頂きますよ?》

「七海からもらってくれ。コイツに一人部屋が欲しい。雌犬にもならん」

《ははーん。なるほど? じゃあ七海さんの所持金半額で連結しましょう♪》

「頼む」

「何を勝手にっ!!」

 慌てて口を挟む七海の喉が、毅の一睨みで凍りつく。

「調教されたいんだろ? 俺にさ。犬と豚じゃ調教が違うんだよ。だから隔離だ。たっぷり可愛がってやるぜ?」

 底冷えする絶対零度の眼差しに、七海の本能が震えた。
 じゅんっと股間が熱くなり、淫らな何かが腹の奥に積もっていく。

 ……ああ、その眼よ。ショーの時にも見た汚物を見るような鋭利な眼差し。

 その眼が蕩けた瞬間を七海は覚えていた。それを切実に渇望している。
 焔に炙られて絶頂した七海を、恍惚とした顔で見下ろしていた毅。

 二人きりで、またアレを出来るのなら。

 七海はチロリと淫猥に唇を舐めた。

「まあ、宜しいわ」

 高飛車な物言いな七海を気の毒そうに見つめる千鶴。

 ……貴女、毅君を怒らせたのよ? 分かってる? ただじゃ済まないわよ?

 だが、その、ただでは済まない事を望む七海なので、千鶴の心配は空回り。
 数日後。やりたい調教の全てを七海に叩き込み、悦に入る毅がいた。

 各個室は完全防音。

 絶叫する七海のプチ断末魔は、誰の耳にも拾われない。

 愉しげに鑑賞する毅と観客らの耳以外には。
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