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 狂乱との遭遇

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『はひっ?! ふあっ! 死ぬ…っ! やだぁぁっ!!』

 抱え込んだ弟の腹に感じるスライムの激しい蠕動。それを幸せそうに撫で回して、ヒューはわざと強く押し込んだ。途端に仰け反り泣きわめく弟が可愛くて仕方ない。
 そんな至福に酔いしれてるヒューからショーンを奪い取り、ラウルも獰猛に口角を歪めた。

『……凄いな。トロトロだぞ、お前の顔』

『抜かせ…… 兄貴も挿れたら分かるさ』

 千里の蜜に溺れ、侵されているのはラウルやヒューも同じ。相性の良い個体同士の睦みはお互いの体液を得るほど熱く濃く深まっていく。
 二人より三人、三人より四人。混ざる体液が多いほど、その快楽も度合いを上げた。それを一心に注がれるショーンの身体が極上の肉体になるのは自明の理。
 千里の蜜を得ることで、ショーンは兄達にとって得も言われぬ至宝に変わる。
 ラウルと交代してニラウンドが始まり、ショーンは随喜の渦に叩き込まれた。もう勘弁してくれと懇願する雌をねじ伏せる心地好さ。眼が眩みそうなほどゾクゾクする愉悦が、ラウルの背筋を凄まじい勢いで駆け抜けていく。
 執着するケダモノに腹を見せるような行為は火に油。食い破ってくれと言っているも同然だ。むしろ、その力ないか弱さが、踏みにじって蹂躙したい新たな劣情を湧き起こさせる。
 普段、小生意気な弟が泣きわめく様は眼福でしかない。もっと佳がらせ、気を失うまで嬲り尽くしてやりたいという凶暴な情欲がラウルの体内を暴れまわった。

 そして、それを実践する兄達。

 散々ラウルに可愛がられたあと、失神しても無理やり起こされるショーン。精も根も尽き果て、朦朧と揺さぶられるだけの弟に満足し、二人同時に受け入れさせてフィニッシュ。

 完全に腰砕けにされ、泥のように眠るショーンと千里を膝枕し、兄貴ーズは満面の笑みを浮かべた。
 
『ああ、はやく繋がりたいな、チイとも』

『妻が二人って滅多にないものな。相性の良い個体に出会えるのだって幸運なのに…… 俺ら、幸せ者だよ』

 呑ませ、呑まされ、複雑に絡み合う獣人らの本能。子作りを何より重視する彼らにとって、相性の良い個体は何物にも代えがたい宝物。
 相手をイかせればイかせるほど良い子が得られると考える獣人の性欲は底しれない。
 それでも凶暴で、切った張ったが日常な獣人らは、そういった暴力行為でかなり発散されるため、性欲もそこそこ落ち着いたものだ。
 しかし、この暴力的なオウチの世界でも、一際穏やかなラウル達。切った張ったどころが諍いすら滅多にしない彼等は、その反面、性的行為に貪欲である。
 欲望の全てが閨に収束する彼らこそ、本物の絶倫。オウチの世界の常識に当て嵌めても底名無し様。
 ラウル達が穏やかな平和主義であるがゆえの弊害に、千里は気づかなかった。

 性欲と暴力が反比例するオウチの世界に乾杯。

 そんなこんなで毎夜抱き潰されているのに、翌日には復活しているショーン。舐められているだけで疲労困憊な千里とは大違いである。

 ……恐るべし、獣人。

 だが、妻とはいえショーンだって立派な成人獣人だ。妻認定した千里を可愛がることに躊躇しない。



「ショーン…… も……、にゃあぁんっ」

 はあはあ息を荒らげ、千里はショーンの顔を力ない膝で挟んでいる。それに小さな笑いをもらし、ショーンは舌先でチロチロと彼女のお豆を舐ってやった。
 途端にしなる千里の背中。きゅうぅぅと体内が引き絞られ、こぽりと甘い蜜が滴り落ちる。

「上手にイけたね。慣れた? もっとやろうか?」

 ちゅっちゅと隘路をすすり、ショーンはその奥の奥まで舐め回した。長い舌が内部を這い回り、彼女の悦い処を隈なく刺激する。
 彼が好きなのは最奥の子宮口。固く尖ったそこをむしゃぶり、閉じた子宮口を抉じ開けるように舌先を捩じ込もうとしていた。
 そこに届いてしまう獣の舌が、千里は全力で恨めしい。

「ここ、閉じてるよね? 開け方分かる?」

「開かないっ! そこは子供を産む時しか開かないからぁぁーっ! やめぇっ!」

「そうなの? ふうん。愉しみだね」

 なにが? とは恐ろしくて聞けない千里。

 ひとしきり彼女を責めてイかせ、ショーンはすぐに離れてくれる。こういうところがラウル達とは違うところだ。
 抱かれることしか知らないショーンは、雄の本能が薄い。これから千里を抱くようになればそれも強くなるのだろうが、今のところ彼の可愛がりなら千里は素直に受け入れられる。
 ラウルを始め、獣人という生き物は繁殖関係に羞恥心がない。どこでももよおせばいたす大らかさ。子作りは神聖な行為であり、誰も場所や時を選ばない。
 娼婦や箱孔に欲望を叩きつけることすら、胤を注いでやっている的なお情けとして認識されている。
 夜中心なのは、仕事を終えた後だから。オウチの経済を回す肉食獣らは仕事をする義務がある。なので、本能を刺激する番は家に閉じ込めておくのだ。

 特に女は雄を狂わせる。その蜜の放つ甘やかな香りを知り、ラウルらは背筋を凍らせた。

 ……千里を外には出せない。絶対に。……と。

 家の中とて安心出来ない。獣人は鼻が利くのだ。系統によっては嗅ぎつけられるだろう。
 だからラウルとヒューは新たな新居の場所を吟味していた。
 今頃、必死に不動産屋巡りをしているだろう兄貴ーズを脳裏に浮かべ、ショーンはふくりと笑う。

「お腹空かない? 何か頼もう」

「あ~…… うーん、外で食べない? ずっと宿屋の部屋に籠もりっきりで、飽きちゃった」

「……駄目」

 すうっと眼を細めて、ショーンは舌舐めずりしながら即答した。なんで? とも言えず、千里は驚いたような顔でベッドの上から彼を見上げる。

「…………………」

 なんとも言えない空気が部屋を満たした。普段おちゃらけてばかりなショーンにしては珍しく巌しい雰囲気だ。
 そんな重苦しい沈黙を破り、ショーンがベッドに膝をかける。そして服を寛げて千里をシーツに押し付けた。

「なら遊ぼう? 退屈させちゃったみたいだしね。愉しませてあげるよ? 手加減してて、ごめんね? 外に出たいなんて思えないくらい、可愛がってあげる」

 藪蛇ーーーーっ!!

 雉も鳴かずば撃たれまいにとは地球の言葉。

 まだまだ薄かったはずなショーンの雄の本能を刺激したとも知らず、思わぬ可愛がりを受ける千里。
 ショーンは彼女の服を剥ぎ取り、その全身を舐め回す。びらびら長く薄い舌がねっとりとまとわりつき、少し尖り始めた乳首に巻き付いた。
 乳輪ごと絞るように巻き付く舌がびゅるっと滑り、何度も敏感な乳首を弾き回す。

「ひうっ? まって、まーーっ!!」

「待たない。楽しいもん」

 抵抗するも虚しく、ショーンのだらりと下った長い舌が鞭のようにうねり千里の唇に潜り込んだ。ぬちゅ……と口内を埋め尽くす器用な舌先。
 とぐろを巻くように蠢き跳ねる舌は千里を翻弄し、彼女の身体に仄かな熱を呼び起こす。むちゅむちゅ根本まで含まされ、その唾液の甘さが彼女の脳を痺れさせた。

「ん…ぅ…… ん…、ぷはぁ…… あ、ショー…ン……」

「ん。力抜いて? 奥まで舐めてあげる。ほら?」

 くりっと真ん丸な眼に浮かぶ明らかな情欲。蕩けたそれに劣情をもよおし、千里は素直に唇を寄せた。彼女の胸を揉みながら、その先端を指の間で捏ね、ショーンは千里の喉の奥まで舌先を忍ばせる。
 ぬるりと入り込む長い舌。慣れた異物を当たり前のように呑み込み、千里は腹の底が疼きだした。びたっと舌が張り付き蠢く喉の中。食道を舐め回す淫猥な動きが、千里の喉元から熱い何かを生み出している。
 それは股間に直撃し、彼女の身体が甘い香りを放った。獣人の本能を煽る甘美な香りを。

 ……これだから。チイは自覚がなさすぎるよね。

 ラウル達が購入した結界付与の魔道具。

 それを展開しているため、この部屋の中なら千里は安全である。だが、一歩部屋を出たらどうなるか分からない。
 今までも、周りの獣人の眼は千里に釘付けになっていた。キャラバンでだって、皆が彼女に注目してた。ラウル達の眼がなくば、とうに千里は貪り尽くされていただろう。
 ただ、千里が女だと気づいていなかったから大事にならなかっただけ。
 これがバレたら目も当てられないことになる。まだ子をなしていない千里は、誰であろうと孕ませた男の物になってしまうのだ。
 新居を決めてから初夜を行う予定だが、ショーンは気が気でない。今夜にでも四人で繋がって彼女の最奥に精をブチ込みたかった。
 誰の子でも良い。兄弟の子供なら我が家の子だ。獣人でも人間でもかまわない。人間は子供で産むというから、育てるのも千里がするのだろう。
 お尻で卵を産ませて彼女の卵子を王宮に捧げたら、千里は名実ともにラウル達の物である。卵子が教会に登録されるので謀ることは出来ない。

 無意識にこもるショーンの執着心。

 その想いの丈を叩き込むべく、彼は千里のお尻から玩具を抜き出した。ぬちゅ……っと粘液の糸が引く太いデイルドウ。それにほくそ笑み、ショーンは柔らかに緩んだ蕾を指で弄る。
 すると顔を出したのはスライムの触手様。恐る恐る出てきたソレは、すぐに貪欲に蠢き、千里の尿道や隘路に潜り込んだ。

「ひゃあっ?!」

 再び訪れる悪夢の再現。それを今は知らない千里である。
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