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 本能との遭遇 2

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「ひぎ……っ、……っつあっ、あっ!」

「はいはい、力抜いて~…… そう、上手だよぉ~」

「……すっげ。色っぺぇなぁ……」

 腹の下に枕を入れ、少し腰を高くしたうつ伏せ状態の千里は、ラウルとショーンに左右から押さえつけられていた。二の腕を寝台に縫い付け、腰を動かさぬよう二人の大きな手が掴んでいる。
 そんな二人が凝視する中、彼女の双丘を割り、ヒューが何かを塗り込めていた。
 ぬちゅっと濡れた音をたてて何度も往復する太い玩具。慣らされた狭い蕾は赤く花開き、玩具を受け入れるたび満開にされる。
 固く窄まる蕾が開く様はあまりに扇情的で、ショーンやラウルも食い入るように見つめた。
 今は抽挿の練習中。千里がどこまで耐えられるか。どこまで挿れられるか。ヒューは玩具を使って丹念に探っている。
 
「柔らかくなったなぁ…… ほら、どんどん入る。気持ち悦い? こっちも濡れてきてるけど?」

 そう。長旅で調教され続けてきた千里の後孔は、すっかり熟れて大きな玩具も呑み込めるようになった。いや、された。
 今ではその淫らな躾けに愉悦を覚え、奥まった隘路が蜜を滴らせるほどに慣らされてしまったのだ。
 はひ、はひと淡く蕩けた息を喘がせ、ひたすら耐える千里の姿に、三人が劣情をもよおすのも致し方なし。
 思うがままブチ込んでやりたい激情を抑え、三人は丁寧に丁寧に小さな妻の身体を暴いてきた。人間という生き物の脆さを知っているからだ。ほんのちょっとしたことで簡単に壊れてしまうことを。

「もう少しだな。大分喉も拡がったし…… ほら、起きて。……うん、赤くもなっていない」

「すぐにでも孕ませて妻にって思ったけど…… もっと時間をかけるべきかも? 小さい頃のショーンよりは大きいけど、チイは獣人じゃないから。俺等の本気についてこれないよ、たぶん」

 ラウルは千里の口を開けさせ、その中を己の舌で優しく撫でる。胸元の内部まで届く長い舌先。それにチロチロと擽られ、思わず嘔吐きそうになる彼女にラウルは眼を細めた。
 心底可愛くて仕方ないという慈愛の眼差し。

 お尻の調教が終わり、今は朝晩に出し入れの練習をさせられている千里。スライムに悪戯されぬよう玩具を挿れたままではあるが、それももう慣れたもの。
 彼等のモノと同じくらいな太さの玩具を捩じ込めるようになると、拡張調教は終わった。そして次に来たのが、喉の拡張。

「呑んで、呑んで~、ゆ~くり…… そうそう、良い子だねぇ」

「あぐ……ぅ……、ぁ…… ………っ!」

 ごちゅっと喉に押し込まれる太い玩具。これも徐々に太くなり、今では子供の腕ほどもある。しかし、同じ調教を受け、幼いころ常時呑み込まされていたショーンがこの調教に物申した。

『これはずっとやらせて良い調教じゃないぞっ? 小さいころは知らなかったから我慢したけど、上向いて固定されて一日中ベッドで動けないし、胃液が上がってきて喉が焼けるし、俺、何度、顎を外したことかっ! 千里にはさせないからなっ!!』

 とんでもない思い出話を引き合いにだし、ショーンは兄貴ーズを睨みつける。そんな弟の剣幕にたじろぎ、ヒューがしばし考え込んだ。

『……初夜は三人で千里と繋がりたいんだが。お前もそうだっただろ? ショーンの口がモノを呑み込めるようになるまで、俺ら我慢したんだぞ?』

『あ……っ、あの頃は、兄貴達のモノだって今みたいな大きさじゃなかったじゃんかっ!』

 真っ赤な顔で狼狽えるショーン。

 ……さいですか。上と下に突っ込んで、三人繋がったと。 …………え? それって…… ええええーっ!?

 ショーンと違い、女は孔が一つ多い。その全てを埋めて兄弟一緒に繋がりたいのだと暗に捲し立てられ、顔面蒼白な千里。
 そして彼女は思い出した。前に見た鹿の獣人を。
 彼は前後から肉食獣らに揺さぶられながら、その口にも捩じ込まれていたのだ。根本まで深々と。
 それを脳裏に描き、千里は恐る恐る尋ねた。

『あの……さ。前に二人とやってた時、ショーンは同時に二本挿れてたよね? それって最初から?』

『え? 俺等は二人だし、最初は上と下で交代しながらヤってたかなぁ? まあ、三人兄弟なところは二本差しまで調教してから初夜だね。初夜は全員で繋がるのがしきたりだし?』

 ……要らんわ、そんなしきたりーっ!!

 脳内で絶叫する千里だが、詳しく聞けば二本差しは妻のデフォのようだ。どこの獣人兄弟も二人か三人。口に呑み込ませるのも当たり前。
 己の腕ほどもあった兄貴ーズの御立派様を思い描き、千里は乾いた笑いしか出てこない。
 
『三人で睦むなら口も使わねばならん。優しくする。心配ない』

 にこっと微笑むラウルが悪魔に見える。

 それでも実体験済なショーンが泣いて反論したため、千里の喉拡張は常時でなく、思いついた時だけと決められた。

 そして今、ラウルに顎を固定され、玩具を呑み込む哀れな千里。
 んぐ、んぐと大きく喉を痙攣させながらバタつく彼女の手足。緩慢な動きで玩具が喉を掻き回すたび、その手足がビクンビクンと飛び跳ねる。
 異様な圧迫感が胸元まで広がり、まるで心臓や肺が潰されるような錯覚に千里は悶絶させられた。

 ……苦し……っ! 裂ける、喉が裂けちゃうよぅぅっ!!

 しかし柔肉がはち切れんばかりに押し込まれた玩具に阻まれ、声は一切出せない。さらには涙と鼻水でぐちゃぐちゃな千里が呼吸困難すら起こし始める。

「すとーっぷっっ! 止まれっ! 止まれってんだろ、ヒューっ!!」

 うっとり恍惚とした顔で玩具を動かしている兄の頭を引っ叩き、ショーンは不安気な面持ちで千里から玩具を抜き出した。

「……ぅが……っ! がふっ!……ぅぇ、う……、うぇぇえええん……っ! ひい…ぃぅ……ぅう、う……っ」

 玩具を抜き取られた途端に激しく噎せ、ポロポロ泣く千里。嗚咽のごとくしゃくりあげる彼女を目にし、ようようヒューやラウルも我に返る。

「ご……、ごめ……っ! すまんっ!」

 どこまでも支配したい獣人の本能。腹の奥を撫でる獰猛な劣情におされ、ついつい彼女の抵抗を楽しんでしまった兄貴ーズ。
 抗う相手を組み伏せ、無理やり従わせる心地好さ。絶対の主として、獲物の全てを蹂躙する満足感。これは獣人の習性だ。理性で押し留められるモノではないし、押し留める必要もない。
 その身体に叩き込み思い知らせる。自分が、誰の物であるかを。場合によっては流血沙汰すら起こる獣人同士の睦みでは、それが当たり前だった。

 ……その組み敷く相手も獣人であれば……だ。

「大丈夫か、チイっ! 痛い? 見せてみ?」

 子どものように泣きじゃくる千里の口を開けさせて、ショーンは己の舌で丹念に舐めてやる。優しく探りつつ喉の奥まで舐め回したショーンは、赤く腫れた部位に甘さを感じて頭が沸騰した。

「だからぁーっ!! ヤり過ぎんなって言ってんだろがあぁぁぁーっ!! また、チイの喉が腫れてんじゃねぇかぁーっ!!」

 獰猛に眼を剥き、牙が見えるほど唇をまくりあげ、ショーンは小さく蹲る兄達を怒鳴りつける。初夜を迎えるためとはいえ、獣人の半分くらいしかない人間の身体は華奢で繊細すぎた。
 手加減しようにも、その加減すら分からないほど脆い。この兄弟が獣人の中でも一際穏やかで、千里の身体を慮ってくれておらぬば、とうに彼女は虹の橋を渡っていただろう。

 ……良かった。本当に、彼らを選んでいて良かった。

 すびずび鼻をすすり、千里は自分のためにラウル達を叱るショーンを拝むかのように見つめる。その背中に後光がさして見えたのは、きっと気のせいだ。

 今のところ、千里は彼らにとって子供を作るための嫁という認識だ。子供を生んで欲しいから可愛がって大切にする。全ては繁殖ありき。
 だからこそショーンにも弱い兄貴ーズ。
 恋に落ちてとかいう温い熱病ではない。本能に根ざした貪欲な劣情。愛してるから抱きたいではなく、抱いているから愛してる。それこそ底なし沼なくらい、ずぶずぶに。
 抱いて胤を注いでいる相手だからこそ、愛するのだ。全身がんじがらめにして、身動き取れないほど縛り付けて。

 なので、千里も彼らを受け入れたら同じ目に合う。

 逆を言えば、それまでは庇護すべき子供でしかない。胤を注ぐ相手だと認識しているから、彼等は千里を労るし、可愛がる。ある意味、非常に分かりやすい獣人の執着。

 ……まあ、地球と逆だな。ヤりたいから上手いこと言ってアプローチしてるくナンパみたいなのと。
 こちらじゃ、イイことしてからが本番なんだ。ヤった相手だからこそ甘やかして大切にするんだな。
 でも、それが普通な気もするなぁ。

 地球のように、恋して愛して、だから相手と結ばれたい。……じゃなく、抱いて孕ませ、自分の番にしたから、妻に溺愛ドロドロな獣人。

 こちらのが、正しい恋愛観な気がする千里。

 まず繁殖ありきの愛情。地球人のように複雑な何かの絡まない獣人は、非常にストレートで分かり易いが、直情過ぎて狼狽える。

 ……ま、なるようになるか。

 しかしこの後、さらなるオウチの常識を目の当たりにし、頭を抱える千里である。

 
 
 
 
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