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3,従者のレイ
しおりを挟む「………はっ!!」
トラックに引かれたときの恐怖心で、勢い良く目が覚める。体は生汗をかいており、心臓がバクバクとなっていた。
先程見た夢は、僕の記憶だ。いや正しくは前世の僕の、だ。
僕は前世でトラックに引かれ転生したのだろう。そう理解する。
すんなりと非現実的なことを受け入れているのは、眠っている間に脳に定着した大量の情報からだけではなく、他にも理由はある。
生まれた頃から違和感があったのだ。
習ってもいないはずの計算がスラスラと解けたり、現世にはないものを知っていたり、などおかしいと感じることがたびたびあった。
多分、生まれた頃から前世の記憶は持っていたのだろう…
しかし、なぜあのタイミングで思い出したのか、、、
「目を覚まされましたかっ!?」
そんなことを考えているとベッドの隣の方から声をかけられた。
「2日も目を覚まされないので、とても心配しました。。」
どうやら声の主は僕の専属従者のレイであり、今にも泣きそうな顔でこちらを見ていた。
「心配をかけてすまない」
レイはつきっきりで看病してくれていたのだろう、アメシストのような綺麗な目の下にクマができている。
レイは僕と同い年の男の子であり、2年前に僕の専属従者となった。どんなときでも僕を支えてくれる心強い存在なのだが、このように自分の身を削ってでも僕に尽してしまうところがある。
僕はレイの頬にそっと手を添えレイのクマをなぞるように親指で擦る。
僕ではなく自分の心配もしてほしいものだ。。
「今はもう夜中の0時だ。僕は大丈夫だから、レイは部屋でゆっくり休んで。」
レイはいきなり頬に手をおかれ一瞬びっくりした顔をしたが、僕の言葉を聞くと「ですが!」と食いつくように言葉を発した。
その言葉を被せるように口を開く。
「それとも、僕と一緒に寝たいのかい?」
にやりと悪戯な笑みを浮かべレイを見る。
さすがのレイも僕と寝るのは嫌だろう。諦めて部屋でゆっくりと休んでほしいと思いながら冗談交じりで言った。
「そ、そ…それは私の本望です。。」
レイは赤く顔を染め、うつむきながら何かを言っているようだが、何を言っているのかわからない。
「レイ、何か言ったか?顔が赤いようだが、やはり部屋でゆっくり休め」
そう言って、少し癖のある黒髪をクシャと撫でる。すると赤かった頬がこれでもかと更に赤く染まった。
うむ。やっぱり、つきっきりで僕の看病したせいで熱があるようだ。
「そそそ、そうですね。そそそそそうします!!」
そがとても多い気がするが、レイが観念してくれたようで良かった。しかしこんなにも可愛い従者を、こんなになるまで心配させてしまうとは…‥申し訳ない。感謝しなければ。
「いつもありがとう。」
そう言って椅子から立ち上がったレイの手を引き、感謝の気持ちを込めて、頬にキスをする。
「おやすみなさい。レイ」
お母様が生前よくしてくれた、おやすみなさいのキス。これをしてもらうととても幸せな気持ちになり、ぐっすりと眠れたなということを思い出す。
レイもゆっくりと休めますように。そんな気持ちを込めてキスをした。
するとレイはいきなりのことで驚いたのか一瞬固まり、かと思うと「おやすみなさい!!リオン様!!」そう叫ぶように言い残して足早に部屋を出ていった。
やはり、レイの様子がおかしいな。医者に見てもらったほうがいいかもしれない。
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