11 / 22
本編
11
しおりを挟む
希は大学の休み時間に構内を歩いていた。目指す教室にたどり着き、迷わずに目的の人物に近づく。
「よっ」
「わぁっ!?」
「そんな大きい声出すなよ、目立つだろ」
「あなたが脅かすからでしょ…」
既に教室中の視線を集めていたが、2人はひそひそと会話する。
「てか髪切ったんだ、いいじゃん。ずっと目に入りそうで怖かったんだよな」
「切りましたけど…なんかさらに子供っぽくなってしまったような…」
「いや似合ってる、俺のαDomさまかっこいー」
「後半棒読みじゃないですか?」
「気のせい気のせい。俺?俺は霞見に来た」
「ええ…一応聞きますけどサボってませんよね?」
「ないない。俺教授に褒められてるから。あとは素行がどうにかなればって言われてたけどそれも改善したし」
「見た目変わってませんけどね…まあそれは僕も嬉しいですけど」
「嬉しい?やったー。ちゃんとみんなに挨拶してきたよ。みんなよかったって言ってた。マスターも」
「そういうとこ律儀ですよね…あっ講義始まりますよ、くれぐれも静かにしておいてくださいね」
「信用ないなあ…」
講義が終わったので教室を出て2人で並んで歩く。2人ともこれで今日の分は終わりなのであとは帰るだけだ。
「ちゃんと参加してるなとは思いましたけどノートまで取るとは思いませんでした」
「いや~せっかく参加したんだし?もったいなくね?俺の彼氏様が受けてる授業にも興味あったし。真剣に教授の話聞いてる霞かっこよかったな~」
「それから、聞きそびれましたけど、僕なんかと一緒にいて大丈夫だったんですか?あの、絡まれたりとか…」
「ああ、全然?俺が絡まれることもないし、お前がいじられることもない。如月家が裏にいると知っててそんなみみっちいことしてくる奴なんていねえよ」
「別にそこまで心配…いえ、してました。自分勝手ですみません」
「お前今まで嫌な思いしてきたんだから当然だろ。むしろこれでお前にひどいこと言うやつは減ると思う。あと俺強いし」
「暴力はだめですってば!」
そうこうしているうちに出口に着いた。まだ話があるからと、人気のいないところに連れていく。
「俺、来月発情期来るから」
「ええっ!?」
「いやΩだし来るだろ」
「そうじゃなくて、その、それは…」
「うん、来たら呼ぶから、噛んで?」
「あわわわ…じゃあそれまでにご両親との挨拶を済ませておいた方が…」
「まあそうかな?俺今は寮で一人暮らしだけど」
「そういう意味じゃなくて!番ですよ、わかってます?」
「わかってるわかってる。2人とも、お互い挨拶しに行こうな」
「…はい」
霞はもぞもぞと落ち着きなく、しかし少し嬉しそうに頷いた。
「よっ」
「わぁっ!?」
「そんな大きい声出すなよ、目立つだろ」
「あなたが脅かすからでしょ…」
既に教室中の視線を集めていたが、2人はひそひそと会話する。
「てか髪切ったんだ、いいじゃん。ずっと目に入りそうで怖かったんだよな」
「切りましたけど…なんかさらに子供っぽくなってしまったような…」
「いや似合ってる、俺のαDomさまかっこいー」
「後半棒読みじゃないですか?」
「気のせい気のせい。俺?俺は霞見に来た」
「ええ…一応聞きますけどサボってませんよね?」
「ないない。俺教授に褒められてるから。あとは素行がどうにかなればって言われてたけどそれも改善したし」
「見た目変わってませんけどね…まあそれは僕も嬉しいですけど」
「嬉しい?やったー。ちゃんとみんなに挨拶してきたよ。みんなよかったって言ってた。マスターも」
「そういうとこ律儀ですよね…あっ講義始まりますよ、くれぐれも静かにしておいてくださいね」
「信用ないなあ…」
講義が終わったので教室を出て2人で並んで歩く。2人ともこれで今日の分は終わりなのであとは帰るだけだ。
「ちゃんと参加してるなとは思いましたけどノートまで取るとは思いませんでした」
「いや~せっかく参加したんだし?もったいなくね?俺の彼氏様が受けてる授業にも興味あったし。真剣に教授の話聞いてる霞かっこよかったな~」
「それから、聞きそびれましたけど、僕なんかと一緒にいて大丈夫だったんですか?あの、絡まれたりとか…」
「ああ、全然?俺が絡まれることもないし、お前がいじられることもない。如月家が裏にいると知っててそんなみみっちいことしてくる奴なんていねえよ」
「別にそこまで心配…いえ、してました。自分勝手ですみません」
「お前今まで嫌な思いしてきたんだから当然だろ。むしろこれでお前にひどいこと言うやつは減ると思う。あと俺強いし」
「暴力はだめですってば!」
そうこうしているうちに出口に着いた。まだ話があるからと、人気のいないところに連れていく。
「俺、来月発情期来るから」
「ええっ!?」
「いやΩだし来るだろ」
「そうじゃなくて、その、それは…」
「うん、来たら呼ぶから、噛んで?」
「あわわわ…じゃあそれまでにご両親との挨拶を済ませておいた方が…」
「まあそうかな?俺今は寮で一人暮らしだけど」
「そういう意味じゃなくて!番ですよ、わかってます?」
「わかってるわかってる。2人とも、お互い挨拶しに行こうな」
「…はい」
霞はもぞもぞと落ち着きなく、しかし少し嬉しそうに頷いた。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》
市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。
男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。
(旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。
嫌いなもの
すずかけあおい
BL
高校のときから受けが好きな攻め×恋愛映画嫌いの受け。
吉井は高2のとき、友人宅で恋愛映画を観て感動して大泣きしたことを友人達にばかにされてから、恋愛映画が嫌いになった。弦田はそのとき、吉井をじっと見ていた。
年月が過ぎて27歳、ふたりは同窓会で再会する。
〔攻め〕弦田(つるた)
〔受け〕吉井(よしい)
お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら
夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。
テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。
Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。
執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)

キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる