13 / 46
第13話 嬉しくない知らせ
しおりを挟む
二年後
「ジェニーこっち!」
「はいはい、フェリックス様はお早いですね」
二歳になったフェリックスはやたらジェニーを気に入り、モンフォール家に連れて行った時にはすぐにジェニーを連れ回すのが日課になっていた。とは言ってもトコトコとしか歩けないその足取りに、ジェニーが付き添って歩いているのだが、本人はジェニーの指を二本ぎっちりと掴み、エスコートしているかのように前を歩いている。そんな姿を微笑みながら紅茶を飲んでいると、扉が思い切り開かれた。
入ってきたルイスはフェリックスを見るなり仁王立ちになった。
「女に囲まれてばかりいては腑抜けになるぞ!」
「ルイスいや、きらいッ」
フェリックスはプイッとそっぽを向くとジェニーのドレスをぎゅっと掴んだ。
「そんなにしてはジェニーのドレスが傷んでしまうわよ」
しかしルイスから隠れるように更にドレスの中に潜り込もうとするフェリックスをルイスがひょいと持ち上げる。一気に開けた視界に驚き、ドレスを掴んでいた手が離された。その瞬間、屋敷中に甲高い泣き声が響き渡った。フェリックスは手足を何度も伸ばしながらルイスの手の中から逃れようとする。しかしこの二年ですっかり背が伸び、日々の訓練で体つきもしっかりしたルイスから脱走する事は不可能だった。
「ルイスもこんなに立派になって……」
感慨深くその光景を見つめていると、ルドルフが部屋の中に入ってきた。手には包みと花束を抱えている。それを見た瞬間、その包みが自分の物だと信じて疑わないフェリックスは、今度こそルイスの手から這い出ようとこれでもかという程に大きく跳ねた。さすがのルイスもフェリックスを床に降ろしてやると、ルドルフに突進していった。
「フェリックス様、お父様からですよ」
「とうさま! とうさまから!」
まだ幼いフェリックスが“とうさま”と呼ぶ意味は分かっていないと思う。プレゼントを送ってくれる人が“とうさま”だと思っている可能性の方が高いかもしれない。
アルベルトは半年に一度フェリックスに贈り物をしてくれた。もちろん戦場では準備出来ないから、おそらくリストを見て選んだのだろう。戦場にいる者達が妻や恋人、子供などに贈り物を選ぶ為のリストがあると聞いたのは、初めて贈り物が届いたフェリックスが六ヶ月の時だった。
一番最初に届いたのは大きなクマのぬいぐるみ。あまりに大きいので置き場には困るし、フェリックスはまだ遊べないし、しばらくは部屋の隅に放置されていた。まだ一歳くらいの頃はその大きさ故に、そのクマのぬいぐるみを見る度に大泣きされていた。しかし二歳になった今は、むしろそれに寄りかかったり抱きついたりして遊ぶのがお気に入りになっていた。
今度は何が来たのかと、バリバリと開けられた包みの中から出てきたのは、精巧な作りのチェス盤だった。
「まだ二歳なのよ……」
カトリーヌは呆れたように言ったがフェリックス自身は意外と気に入っているようで、特に分かりやすい形状だからかナイトの駒を持つと部屋の中を走り出した。
「おうまーー!」
その様子を見ながらルドルフが花束を差し出してくる。そこには“妻へ”とだけ書かれたカードが必ず付いていた。カトリーヌはほとんど心が動かないまま受け取った。
「毎回花の指定もあるそうですよ」
「旬な物を選んで下さっているだけよ」
結婚する前にも季節の花が送られてきていた。当の本人は妻に花を送っているという事を知らなかったようだったが、思わず零れ出た本音に思わず口を花束で隠すと、さっと顔に笑みを貼り付けた。
「お礼のお手紙を書いてくれる? それと寒いだろうから身体の温まるお酒も一緒に送って頂戴。夫の好みが分からないからいつも通りあなたに任せるわね」
離婚を切り出されたあの日から、こうして贈り物への礼状もお返しの品も全てルドルフに準備してもらっていた。意地を張っていると言わればそれまでだが、それがせめてもの矜持だった。
ふと、そのチェス盤に視線を落とすとキラキラと輝いているのが目に入る。フェリックスが興味ない方の駒やチェス盤に触れると、そこには宝石が埋め込まれているのが目に入った。キングやクイーンにはダイヤモンドとルビーが嵌め込まれて、盤の縁はベルトラン家一族の髪色と同じ濃い青色が美しいサファイアが並んでいた。
「とても美しいわね」
あまりの綺麗な輝きと装飾に惚けていると、そばでビリビリに破かれた包み紙の中から一通の手紙が見えた。
「なにかしら」
急に手が震え出してしまう。そして開いた手紙には短くこう書いてあった。
ーー近日中に帰還する。息子に会えるのを楽しみにしている。
「奥様? 大丈夫ですか?」
「……アルベルト様がご帰還されるそうよ」
「ようやくですか。戦争はもう一年も前に終結していましたから、待ちくたびれてしまいましたね」
「仕方がないわよ。戦争は後の処理も大変だと聞いたもの。でも、そうなの。アルベルト様がお帰りになられるのね」
自分でも信じられない程に声が震えていた。そのままずるりと床に座り込んでしまう。ナイトを持って遊んでいたフェリックスは、床に座ったカトリーヌの膝へと飛び込んできた。
「かあさま見て、おうまの目!」
目には黒曜石が嵌め込まれている。無邪気に持って遊ぶには高価過ぎるこのチェス盤は、今のアルベルトそのものを表しているように思えた。
「本当にキラキラしていて綺麗ね」
「うん! きれい!」
フェリックスは屈託ない笑顔を向けて、母親の膝をコロコロと行ったり来たりしながらナイトを握り締めていた。
「やっぱり送らなくても大丈夫ですよ? ルイス様も城に戻られるのでしょう? 我が家に寄っては遠回りになってしまいます」
ジェニーは屋敷まで送っていくというルイスを何度か断ったが、結局ルイスは頑なに一步も引かなかった。
「フェリックスに振り回されて疲れているだろ。それにそんなに遠回りじゃないから気にするな」
「気にしますよ! うちは貧乏男爵家ですから、モンフォール伯爵家の方々に我が家をお見せするのは恥ずかしいんです」
ジェニーの家は一応王都にはあるが、平民の家々がある場所に近かった。屋敷と言ってもむしろ商家の方が大きな家を持っているし使用人もずっと多いはず。ジェニーの家には長い事働いてくれている使用人が二人いるだけで、ほとんど庶民の暮らしと変わらないものだった。洗濯もするし料理もする。そして長男以外は、例えばカールのように他の貴族の家へ使用人として勤めに出ていた。
「うちだってベルトラン家から借りている屋敷なんだから別に気にするような事じゃないだろ。第一、私とお前はそんな風に遠慮するような間柄じゃないじゃないか」
「いえいえいえ! 天と地の差があります!」
ルイスは騎士団に入団したと同時に僕から私というようになり、背もぐっと伸びて急に大人っぽくなった。それでいてセリーヌ譲りの美しい顔立ちに金髪をしているものだから、ジェニーは狭い馬車の中で今まで感じた事のないような緊張感の中にいた。
「どうかしたか? そんな端に寄ってないでもっとこっちに来いよ」
無造作に覗き込んできた薄青い瞳と、目の前にはらりと掛かった金色の髪が美しくて、ジェニーは悲鳴を上げた。
「な、ちょっと離れてください! 少し離れてくださいってば!」
「……なんだよ、変な奴だな」
そう言いながら窓枠に頬杖を付いたルイスの顎の線やしっかりした腕に視線を向けてしまったジェニーは、とっさに視線を外すと勝手に熱くなった顔を押さえていた。馬車はやがてゆっくりと止まり、扉が開いた。
「それじゃあ、ありがとうございました。帰りもお気を付け下さいね」
見送る為か馬車から降りようとするルイスを慌てて手で押し込んでいると、笑っていたルイスが一瞬表情を固めた。手でルイスを押したままジェニーもその方向に視線を向ける。そこには丁度通り掛かったと思われる平民の女性達が立っていた。しかし貴族の馬車だと分かるとすぐに頭を下げてしまう。ジェニーはルイスを仰ぎ見た。
「ルイス様が行かないとあの子達が帰れませんよ」
「あ? あぁ、そうだな」
しかしルイスはもう一度頭を下げている女達を見ると、難しい顔をしながら馬車の中へと戻って行った。
「ルイス様、ご気分でも悪くなったのかしら」
ルイスの曇った表情が気になってしまい、離れていく馬車を見送りながらジェニーは再びその女性達に視線を戻すと、一人の女性が顔を上げかけ、再びパッと下げた。
「お嬢様! お帰りなさいませ。もう暗くなりますから中にお入り下さいな」
「そうね、風が冷たくなってきたみたい」
門の前を掃いていた年重の使用人の声に、ジェニーは足早に屋敷の中へと入っていった。
「ジェニーこっち!」
「はいはい、フェリックス様はお早いですね」
二歳になったフェリックスはやたらジェニーを気に入り、モンフォール家に連れて行った時にはすぐにジェニーを連れ回すのが日課になっていた。とは言ってもトコトコとしか歩けないその足取りに、ジェニーが付き添って歩いているのだが、本人はジェニーの指を二本ぎっちりと掴み、エスコートしているかのように前を歩いている。そんな姿を微笑みながら紅茶を飲んでいると、扉が思い切り開かれた。
入ってきたルイスはフェリックスを見るなり仁王立ちになった。
「女に囲まれてばかりいては腑抜けになるぞ!」
「ルイスいや、きらいッ」
フェリックスはプイッとそっぽを向くとジェニーのドレスをぎゅっと掴んだ。
「そんなにしてはジェニーのドレスが傷んでしまうわよ」
しかしルイスから隠れるように更にドレスの中に潜り込もうとするフェリックスをルイスがひょいと持ち上げる。一気に開けた視界に驚き、ドレスを掴んでいた手が離された。その瞬間、屋敷中に甲高い泣き声が響き渡った。フェリックスは手足を何度も伸ばしながらルイスの手の中から逃れようとする。しかしこの二年ですっかり背が伸び、日々の訓練で体つきもしっかりしたルイスから脱走する事は不可能だった。
「ルイスもこんなに立派になって……」
感慨深くその光景を見つめていると、ルドルフが部屋の中に入ってきた。手には包みと花束を抱えている。それを見た瞬間、その包みが自分の物だと信じて疑わないフェリックスは、今度こそルイスの手から這い出ようとこれでもかという程に大きく跳ねた。さすがのルイスもフェリックスを床に降ろしてやると、ルドルフに突進していった。
「フェリックス様、お父様からですよ」
「とうさま! とうさまから!」
まだ幼いフェリックスが“とうさま”と呼ぶ意味は分かっていないと思う。プレゼントを送ってくれる人が“とうさま”だと思っている可能性の方が高いかもしれない。
アルベルトは半年に一度フェリックスに贈り物をしてくれた。もちろん戦場では準備出来ないから、おそらくリストを見て選んだのだろう。戦場にいる者達が妻や恋人、子供などに贈り物を選ぶ為のリストがあると聞いたのは、初めて贈り物が届いたフェリックスが六ヶ月の時だった。
一番最初に届いたのは大きなクマのぬいぐるみ。あまりに大きいので置き場には困るし、フェリックスはまだ遊べないし、しばらくは部屋の隅に放置されていた。まだ一歳くらいの頃はその大きさ故に、そのクマのぬいぐるみを見る度に大泣きされていた。しかし二歳になった今は、むしろそれに寄りかかったり抱きついたりして遊ぶのがお気に入りになっていた。
今度は何が来たのかと、バリバリと開けられた包みの中から出てきたのは、精巧な作りのチェス盤だった。
「まだ二歳なのよ……」
カトリーヌは呆れたように言ったがフェリックス自身は意外と気に入っているようで、特に分かりやすい形状だからかナイトの駒を持つと部屋の中を走り出した。
「おうまーー!」
その様子を見ながらルドルフが花束を差し出してくる。そこには“妻へ”とだけ書かれたカードが必ず付いていた。カトリーヌはほとんど心が動かないまま受け取った。
「毎回花の指定もあるそうですよ」
「旬な物を選んで下さっているだけよ」
結婚する前にも季節の花が送られてきていた。当の本人は妻に花を送っているという事を知らなかったようだったが、思わず零れ出た本音に思わず口を花束で隠すと、さっと顔に笑みを貼り付けた。
「お礼のお手紙を書いてくれる? それと寒いだろうから身体の温まるお酒も一緒に送って頂戴。夫の好みが分からないからいつも通りあなたに任せるわね」
離婚を切り出されたあの日から、こうして贈り物への礼状もお返しの品も全てルドルフに準備してもらっていた。意地を張っていると言わればそれまでだが、それがせめてもの矜持だった。
ふと、そのチェス盤に視線を落とすとキラキラと輝いているのが目に入る。フェリックスが興味ない方の駒やチェス盤に触れると、そこには宝石が埋め込まれているのが目に入った。キングやクイーンにはダイヤモンドとルビーが嵌め込まれて、盤の縁はベルトラン家一族の髪色と同じ濃い青色が美しいサファイアが並んでいた。
「とても美しいわね」
あまりの綺麗な輝きと装飾に惚けていると、そばでビリビリに破かれた包み紙の中から一通の手紙が見えた。
「なにかしら」
急に手が震え出してしまう。そして開いた手紙には短くこう書いてあった。
ーー近日中に帰還する。息子に会えるのを楽しみにしている。
「奥様? 大丈夫ですか?」
「……アルベルト様がご帰還されるそうよ」
「ようやくですか。戦争はもう一年も前に終結していましたから、待ちくたびれてしまいましたね」
「仕方がないわよ。戦争は後の処理も大変だと聞いたもの。でも、そうなの。アルベルト様がお帰りになられるのね」
自分でも信じられない程に声が震えていた。そのままずるりと床に座り込んでしまう。ナイトを持って遊んでいたフェリックスは、床に座ったカトリーヌの膝へと飛び込んできた。
「かあさま見て、おうまの目!」
目には黒曜石が嵌め込まれている。無邪気に持って遊ぶには高価過ぎるこのチェス盤は、今のアルベルトそのものを表しているように思えた。
「本当にキラキラしていて綺麗ね」
「うん! きれい!」
フェリックスは屈託ない笑顔を向けて、母親の膝をコロコロと行ったり来たりしながらナイトを握り締めていた。
「やっぱり送らなくても大丈夫ですよ? ルイス様も城に戻られるのでしょう? 我が家に寄っては遠回りになってしまいます」
ジェニーは屋敷まで送っていくというルイスを何度か断ったが、結局ルイスは頑なに一步も引かなかった。
「フェリックスに振り回されて疲れているだろ。それにそんなに遠回りじゃないから気にするな」
「気にしますよ! うちは貧乏男爵家ですから、モンフォール伯爵家の方々に我が家をお見せするのは恥ずかしいんです」
ジェニーの家は一応王都にはあるが、平民の家々がある場所に近かった。屋敷と言ってもむしろ商家の方が大きな家を持っているし使用人もずっと多いはず。ジェニーの家には長い事働いてくれている使用人が二人いるだけで、ほとんど庶民の暮らしと変わらないものだった。洗濯もするし料理もする。そして長男以外は、例えばカールのように他の貴族の家へ使用人として勤めに出ていた。
「うちだってベルトラン家から借りている屋敷なんだから別に気にするような事じゃないだろ。第一、私とお前はそんな風に遠慮するような間柄じゃないじゃないか」
「いえいえいえ! 天と地の差があります!」
ルイスは騎士団に入団したと同時に僕から私というようになり、背もぐっと伸びて急に大人っぽくなった。それでいてセリーヌ譲りの美しい顔立ちに金髪をしているものだから、ジェニーは狭い馬車の中で今まで感じた事のないような緊張感の中にいた。
「どうかしたか? そんな端に寄ってないでもっとこっちに来いよ」
無造作に覗き込んできた薄青い瞳と、目の前にはらりと掛かった金色の髪が美しくて、ジェニーは悲鳴を上げた。
「な、ちょっと離れてください! 少し離れてくださいってば!」
「……なんだよ、変な奴だな」
そう言いながら窓枠に頬杖を付いたルイスの顎の線やしっかりした腕に視線を向けてしまったジェニーは、とっさに視線を外すと勝手に熱くなった顔を押さえていた。馬車はやがてゆっくりと止まり、扉が開いた。
「それじゃあ、ありがとうございました。帰りもお気を付け下さいね」
見送る為か馬車から降りようとするルイスを慌てて手で押し込んでいると、笑っていたルイスが一瞬表情を固めた。手でルイスを押したままジェニーもその方向に視線を向ける。そこには丁度通り掛かったと思われる平民の女性達が立っていた。しかし貴族の馬車だと分かるとすぐに頭を下げてしまう。ジェニーはルイスを仰ぎ見た。
「ルイス様が行かないとあの子達が帰れませんよ」
「あ? あぁ、そうだな」
しかしルイスはもう一度頭を下げている女達を見ると、難しい顔をしながら馬車の中へと戻って行った。
「ルイス様、ご気分でも悪くなったのかしら」
ルイスの曇った表情が気になってしまい、離れていく馬車を見送りながらジェニーは再びその女性達に視線を戻すと、一人の女性が顔を上げかけ、再びパッと下げた。
「お嬢様! お帰りなさいませ。もう暗くなりますから中にお入り下さいな」
「そうね、風が冷たくなってきたみたい」
門の前を掃いていた年重の使用人の声に、ジェニーは足早に屋敷の中へと入っていった。
934
お気に入りに追加
2,263
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
あなたの愛が正しいわ
来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~
夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。
一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。
「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」

初めから離婚ありきの結婚ですよ
ひとみん
恋愛
シュルファ国の王女でもあった、私ベアトリス・シュルファが、ほぼ脅迫同然でアルンゼン国王に嫁いできたのが、半年前。
嫁いできたは良いが、宰相を筆頭に嫌がらせされるものの、やられっぱなしではないのが、私。
ようやく入手した離縁届を手に、反撃を開始するわよ!
ご都合主義のザル設定ですが、どうぞ寛大なお心でお読み下さいマセ。

初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

妾に恋をした
はなまる
恋愛
ミーシャは22歳の子爵令嬢。でも結婚歴がある。夫との結婚生活は半年。おまけに相手は子持ちの再婚。 そして前妻を愛するあまり不能だった。実家に出戻って来たミーシャは再婚も考えたが何しろ子爵領は超貧乏、それに弟と妹の学費もかさむ。ある日妾の応募を目にしてこれだと思ってしまう。
早速面接に行って経験者だと思われて採用決定。
実際は純潔の乙女なのだがそこは何とかなるだろうと。
だが実際のお相手ネイトは妻とうまくいっておらずその日のうちに純潔を散らされる。ネイトはそれを知って狼狽える。そしてミーシャに好意を寄せてしまい話はおかしな方向に動き始める。
ミーシャは無事ミッションを成せるのか?
それとも玉砕されて追い出されるのか?
ネイトの恋心はどうなってしまうのか?
カオスなガストン侯爵家は一体どうなるのか?

婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。

【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる