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30 魔廻を集める者
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「お父様、お話があるの。少しお時間いいかしら」
メリベルは書斎にいた父親に声を掛けるだけで酷く緊張していた。
本当は父親には言いたくない。それでもおそらく一番母親のそばにいた人物に話を聞かない限り、ずっと真相には辿り着けない。
「話? メリベルとなら例え忙しくても大歓迎だよ」
眼鏡を外した父親はいつもと変わらない笑顔で顔を上げた。
「お母様の魔術団での任務の事よ」
「お母様の?」
「先生が調べてくれたんだけれど、お母様が関わっていた任務ではよく魔術師が亡くなっていたらしいの。私も少し前に視た記憶の中で、お母様と対峙していた男性が倒れたのを視たわ。その、お父様は何かご存知ないかと思って」
先生は隣りで大人しくしている。ふわりとした感触が足に当たり、不思議とそれだけで安心出来た。
「……誤解だよメリベル。お母様は誰の死にも関わっていないんだ」
「お父様は何かご存知なの!?」
「お母様は助けようとしていたんだ」
「助けようとしていた?」
「お母様は危険だからと詳しく教えてはくれなかったが、昔から魔廻を狙う者達がいてたようでね、お母様はその者達から魔術師を守っていたんだ。それがお母様の使命だったのだよ」
とっさに先生と目を合わせる。すると父親は先生をじっと見つめた。
「そろそろ正体を明かしてはもらえないだろうか、イーライ殿」
驚いたのは先生も同じようだった。警戒するように毛を逆立て父親から距離を取った。
“メリベル気を付けろよ”
「気を付けろってお父様よ!」
「まさかメリベルはその姿のイーライ殿と話が出来るのかい?」
「え? えぇ。お父様には聞こえないの?」
首を振る父親と先生の間に立ち、どうしたらいいのか分からなくなってしまう。
「お父様はどうしてこの銀色狼が先生だと分かったの?」
「最初は半信半疑だったさ。だがあっという間に大きくなった姿を見て確信したよ。ミーシャの言っていた通りだとね。もしや力を使い過ぎるとその姿になるのでは?」
先生の気配が一瞬にして凍るのが分かった。
「ルナ神の使いの化身は銀色狼なのだそうだよ。昔お母様にそう聞いた事があるんだ。イーライ殿の並外れた力に姿、それにイーライ殿が姿を消してから現れ大きさを変える銀色狼。私の読みに間違いはなかったようだね」
メリベルは一歩も動けないまま先生を見た。
「お父様の言っている事は本当なんですか?」
振り向くと宝石のような緑色の眼が逸らされる。先生は一歩づつ離れるように後退りした。
「先生はもしかして私の記憶を閉めた鍵が必要だったんですか?」
“違う! そんな事が目的で記憶を無くさせていたんじゃない!”
「それならどうして黙っていたんです?」
“それは! それは……”
「メリベルこちらに来なさい。大魔術師とはいえ今のあなたは信用に欠ける。命に関わると思い黙っていましたが、娘の魔廻をこれ以上無くさせる訳にはいかないのですよ」
メリベルは少しずつ先生から距離を取っていく。そして父親の方に行こうとした瞬間、窓硝子が割れた。
部屋中に散乱する硝子の破片。大きな音と破片から顔を背けた時、大きな衝撃が背中に走った。
“魔廻は頂く”
視界の端に黒いマントが目に入る。その腕に噛み付くように先生が飛び掛かっていた。メリベルは飛ばされ床を擦り、たった今飛び込んできた者の姿を見上げた。顔も服装もマントで見えない。そしてその手には妙な形の器具のような物が握られていた。
「メリベル!」
“メリベル!”
二人の声が同時に聞こえる。メリベルは痛む体を起こしながらマントの者に向かい合った。先生が妨害してくれたお陰でまだ魔廻は無事だと分かる。
「何者だ! 何故魔廻を狙うのだ!」
父親が足を踏み出した瞬間、マントの者は火の魔術を使った。メリベルが保護の風魔術の呪文を唱えていなければ今頃父親は大火傷か、最悪命を失っていたはずだった。その隙きにマントの者が窓枠に足を掛けて夜の闇に飛び降りて行ってしまう。その時、マントから僅かにこぼれ出て靡いた髪の毛には見覚えがあった。
“メリベル、侯爵をすぐに医者に診せろ!”
先生の声色からも憤っているのが分かる。たった今、先生が助けてくれたお陰で魔廻は無事だった。しかし先生は奪われた張本人。その相手をみすみす逃したい訳がない。それでも衝撃で気を失っている父親のそばに行ってくれたのだった。
間もなく夜明け。メリベルはハッとして顔を上げると、いつの間にかソファで眠ってしまっていたようだった。肩には毛布が掛けてあり、薄暗い部屋の隅では先生が丸くなっている。こちらが起きた事に気が付いたのか片耳だけが持ち上がったが、眼を開ける気はないようだった。
メリベルは同じ部屋のベッドで眠っている父親の顔を覗きに行った。顔色は悪いが呼吸は安定している。それでもどこかやつれて見えるその頬に触れた時だった。
「お嬢様! どうぞご自分のお部屋でお休み下さい。お医者様ももう大丈夫だと仰って下さいました」
「私は大丈夫よ、それよりもお父様が目を覚ますまでそばに付いていたいの」
メラニーは困った顔をしながらもベッドの横に椅子を持って来てくれた。
「お膝掛けもお使い下さい。何か温かい物でもお召し上がりになられますか?」
「まだ大丈夫よ、ありがとう。あなたもずっと起きていたのでしょう? 少し眠って頂戴」
元々この屋敷は使用人が多い方ではなかったが、数ヶ月前に何故か更に減ってしまった。財政難で解雇したのではないのは分かっているが、その理由を父親が教えてくれる事はなかった。
「先生は魔廻を狙う者達の事をご存知だったんですか?」
“ああいう輩は昔からいる。今回奪われたのは僕が油断していたからだ。まさか魔術塔の地下にまで入って来られるとは思いもしなかった”
ぽつりと呟くように聞いたつもりだったが、返事は思いのほかすぐに返ってきた。
「魔術塔の地下は魔術団の限られた人達しか入れないんですよね?」
“考えたくはないが魔術団の中に犯人がいるか、もしくは手引した者がいるかだな”
「その痕跡は魔術で追えないんですか?」
“魔廻を奪うのに魔術は使われていない。おそらくさっきあの者が手に持っていた物、初めて見たが何かを使ったんだろう。それに地下は火を消す為に複数人の魔術師が魔術を使っただろうから、もし仮にそいつが魔術を使っていたとしても容疑者は絞れないだろうな”
「疑わしくても犯人には出来ないって事ですね。あとどれくらい魔廻が戻ったら先生は人の姿に戻れるんですか?」
“あと二、三本鍵を取り込めれば戻れるはずだ”
「……私まだ怒っているんですよ。正直に話してくれれば良かったんです」
“どこから何を話すってんだよ。別に話す事でもないだろ”
「そんな事ありません! 話してくれないと協力も出来ないじゃないですかッ!」
「ん、んん……」
父親の寝言にとっさに口を噤む。落ち着かせる為に息を吐くと、少し声を押さえて言った。
「あの紙はどこにあるんです? というか何故毎回一枚づつだったんです?」
“あれは僕の部屋にある。一枚づつ渡していたのは安全に魔廻を小さくする為だ。人によっちゃ一気に記憶を消したい奴もいるからな。一気に記憶を無くせば人格が崩壊しかねない。場合によっては命さえ危ないんだ。たかが記憶、されど記憶って訳さ”
「どんな記憶でも、その人を形作っているものですもんね。私もいつか正確が変わったりするんでしょうか」
“全く変わらないって訳じゃないだろうが、そうならないようにゆっくりやっているんだろ”
「そうですよね。私には先生がついていますもんね。分かりました、朝一番で先生の部屋に行きましょう」
“今の僕達じゃ部屋には入れない。お前も見ただろう? 厳重に警備されているんだ”
「何か方法はないんですか? その姿だって先生でしょう?」
すると先生は面倒そうに片目だけを開けて言った。
“陛下に会え。僕のこの姿を知っているのはごく僅かな者達だけだから”
メリベルは書斎にいた父親に声を掛けるだけで酷く緊張していた。
本当は父親には言いたくない。それでもおそらく一番母親のそばにいた人物に話を聞かない限り、ずっと真相には辿り着けない。
「話? メリベルとなら例え忙しくても大歓迎だよ」
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「先生が調べてくれたんだけれど、お母様が関わっていた任務ではよく魔術師が亡くなっていたらしいの。私も少し前に視た記憶の中で、お母様と対峙していた男性が倒れたのを視たわ。その、お父様は何かご存知ないかと思って」
先生は隣りで大人しくしている。ふわりとした感触が足に当たり、不思議とそれだけで安心出来た。
「……誤解だよメリベル。お母様は誰の死にも関わっていないんだ」
「お父様は何かご存知なの!?」
「お母様は助けようとしていたんだ」
「助けようとしていた?」
「お母様は危険だからと詳しく教えてはくれなかったが、昔から魔廻を狙う者達がいてたようでね、お母様はその者達から魔術師を守っていたんだ。それがお母様の使命だったのだよ」
とっさに先生と目を合わせる。すると父親は先生をじっと見つめた。
「そろそろ正体を明かしてはもらえないだろうか、イーライ殿」
驚いたのは先生も同じようだった。警戒するように毛を逆立て父親から距離を取った。
“メリベル気を付けろよ”
「気を付けろってお父様よ!」
「まさかメリベルはその姿のイーライ殿と話が出来るのかい?」
「え? えぇ。お父様には聞こえないの?」
首を振る父親と先生の間に立ち、どうしたらいいのか分からなくなってしまう。
「お父様はどうしてこの銀色狼が先生だと分かったの?」
「最初は半信半疑だったさ。だがあっという間に大きくなった姿を見て確信したよ。ミーシャの言っていた通りだとね。もしや力を使い過ぎるとその姿になるのでは?」
先生の気配が一瞬にして凍るのが分かった。
「ルナ神の使いの化身は銀色狼なのだそうだよ。昔お母様にそう聞いた事があるんだ。イーライ殿の並外れた力に姿、それにイーライ殿が姿を消してから現れ大きさを変える銀色狼。私の読みに間違いはなかったようだね」
メリベルは一歩も動けないまま先生を見た。
「お父様の言っている事は本当なんですか?」
振り向くと宝石のような緑色の眼が逸らされる。先生は一歩づつ離れるように後退りした。
「先生はもしかして私の記憶を閉めた鍵が必要だったんですか?」
“違う! そんな事が目的で記憶を無くさせていたんじゃない!”
「それならどうして黙っていたんです?」
“それは! それは……”
「メリベルこちらに来なさい。大魔術師とはいえ今のあなたは信用に欠ける。命に関わると思い黙っていましたが、娘の魔廻をこれ以上無くさせる訳にはいかないのですよ」
メリベルは少しずつ先生から距離を取っていく。そして父親の方に行こうとした瞬間、窓硝子が割れた。
部屋中に散乱する硝子の破片。大きな音と破片から顔を背けた時、大きな衝撃が背中に走った。
“魔廻は頂く”
視界の端に黒いマントが目に入る。その腕に噛み付くように先生が飛び掛かっていた。メリベルは飛ばされ床を擦り、たった今飛び込んできた者の姿を見上げた。顔も服装もマントで見えない。そしてその手には妙な形の器具のような物が握られていた。
「メリベル!」
“メリベル!”
二人の声が同時に聞こえる。メリベルは痛む体を起こしながらマントの者に向かい合った。先生が妨害してくれたお陰でまだ魔廻は無事だと分かる。
「何者だ! 何故魔廻を狙うのだ!」
父親が足を踏み出した瞬間、マントの者は火の魔術を使った。メリベルが保護の風魔術の呪文を唱えていなければ今頃父親は大火傷か、最悪命を失っていたはずだった。その隙きにマントの者が窓枠に足を掛けて夜の闇に飛び降りて行ってしまう。その時、マントから僅かにこぼれ出て靡いた髪の毛には見覚えがあった。
“メリベル、侯爵をすぐに医者に診せろ!”
先生の声色からも憤っているのが分かる。たった今、先生が助けてくれたお陰で魔廻は無事だった。しかし先生は奪われた張本人。その相手をみすみす逃したい訳がない。それでも衝撃で気を失っている父親のそばに行ってくれたのだった。
間もなく夜明け。メリベルはハッとして顔を上げると、いつの間にかソファで眠ってしまっていたようだった。肩には毛布が掛けてあり、薄暗い部屋の隅では先生が丸くなっている。こちらが起きた事に気が付いたのか片耳だけが持ち上がったが、眼を開ける気はないようだった。
メリベルは同じ部屋のベッドで眠っている父親の顔を覗きに行った。顔色は悪いが呼吸は安定している。それでもどこかやつれて見えるその頬に触れた時だった。
「お嬢様! どうぞご自分のお部屋でお休み下さい。お医者様ももう大丈夫だと仰って下さいました」
「私は大丈夫よ、それよりもお父様が目を覚ますまでそばに付いていたいの」
メラニーは困った顔をしながらもベッドの横に椅子を持って来てくれた。
「お膝掛けもお使い下さい。何か温かい物でもお召し上がりになられますか?」
「まだ大丈夫よ、ありがとう。あなたもずっと起きていたのでしょう? 少し眠って頂戴」
元々この屋敷は使用人が多い方ではなかったが、数ヶ月前に何故か更に減ってしまった。財政難で解雇したのではないのは分かっているが、その理由を父親が教えてくれる事はなかった。
「先生は魔廻を狙う者達の事をご存知だったんですか?」
“ああいう輩は昔からいる。今回奪われたのは僕が油断していたからだ。まさか魔術塔の地下にまで入って来られるとは思いもしなかった”
ぽつりと呟くように聞いたつもりだったが、返事は思いのほかすぐに返ってきた。
「魔術塔の地下は魔術団の限られた人達しか入れないんですよね?」
“考えたくはないが魔術団の中に犯人がいるか、もしくは手引した者がいるかだな”
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“あと二、三本鍵を取り込めれば戻れるはずだ”
「……私まだ怒っているんですよ。正直に話してくれれば良かったんです」
“どこから何を話すってんだよ。別に話す事でもないだろ”
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「どんな記憶でも、その人を形作っているものですもんね。私もいつか正確が変わったりするんでしょうか」
“全く変わらないって訳じゃないだろうが、そうならないようにゆっくりやっているんだろ”
「そうですよね。私には先生がついていますもんね。分かりました、朝一番で先生の部屋に行きましょう」
“今の僕達じゃ部屋には入れない。お前も見ただろう? 厳重に警備されているんだ”
「何か方法はないんですか? その姿だって先生でしょう?」
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