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20 私の王子様
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ヴァートが去ってから五ヶ月が過ぎようとしていた。
「本日はドレスの最終確認の日でございますので、学園が終わられたらそのままお城に向かいます」
いつの間にかアニも姿を消し、アニはクリスティナの侍女だったと聞いたのはしばらくしてからの事だった。さすがに父親も知らなかったそうで、使者達と共にアニも帰国していた。
「迎えはいらないわ。殿下が来て下さるみたいなの」
「相変わらず仲が宜しくていらっしゃいますね」
侍女は優しい笑みを浮かべながら髪を編み込みにしてくれる。後一ヶ月で学園を卒業する。しかし結婚は前倒しされる事なく、むしろ一年伸びていた。
結婚が伸びた原因は、やはりオニキス王国が影響しているのだろう。フェリドはその事についてあまり話をしてはくれないが、忙しくしている所を見ると体調を崩しはしないかと心配になる程だった。だから今日みたいに学園に来る事は最近では珍しい。そして王太子の婚約者としての日々も平穏そのものだった。
「それにしても殿下はお嬢様を本当に大事にしていらっしゃるのですね」
「そんな事ないと思うけど。普通よ普通」
「またまたご謙遜を。殿下がご多忙なのは存じ上げております。先日も外交の為に他国へ行かれていたようですし……」
「待って! 殿下が他国へ行かれていたの!? それってまさかオニキス王国?」
「さあ、そこまではなんとも。私も王城務めの友人に殿下が外交で数日城を空けるから少し休めると聞いただけですので」
「数日ね」
フェリドは何も言ってはいなかった。本当はヴァートがどうなったのか知りたくてしょうがない。しかし父親に聞いても分からないとしか返事はもらえなかった。
「エミリア、用意が出来たなら行くぞ」
久しぶりのフェリドの出現に教室内がざわめき出す。そしてあと少ししか見られないフェリドの姿に、女生徒はその姿を目に焼き付けようと凝視していた。
「わざわざ教室に来られなくても良かったんですよ」
「別にいいだろ、そろそろこうして一緒に帰る事もなくなるんだ」
「まさかそんな風に思って下さっているとは思いもしませんでした」
二人で馬車に乗り込むと、久し振りのせいか気まずい沈黙が流れていく。ふと、侍女から聞いた事が脳裏を掠めた。
「殿下は最近オニキス王国へ行かれていたのですか?」
すると窓枠に肘ついて目を閉じていたフェリドが驚いたように顔を上げた。
「ポミエ伯爵に聞いたのか?」
「お父様もご存知なのですか? という事はもしや当たりですか?」
「じゃあ誰から聞いたんだ」
「侍女からですが、そのご様子では名前は告げられませんのでお聞きにならないで下さい」
「まぁなんだ、少し話をすると、第三王子は今牢屋の中らしい。生涯幽閉だそうだ」
まさか話してくれるとは思ってもみなかった返事に気持ちが逸る。
「どうせまだ聞きたい事があるんだろう?」
「お見通しですね。……あの、ヴァートはどうされていますか?」
「ヴァートは国王の補佐をしている。王位継承権を放棄して側近になったらしい」
「王位継承権を放棄ですか? どうしてそんな事を」
「いらぬ争いを避けたんだろう。だが多忙なのは間違いない」
「そうですか。クリスティナ様はお元気でしょうか」
「元気だよ。もともと第三王子から命を狙われていてこの国に来たから、もう恐れるものはないんだ。王女だから自由にとはいかないまでもそれなりに安心して過ごせているだろう」
「殿下はクリスティナ様の訪問の理由をご存知だったのですか?」
「こちらに来てから聞いたよ。それとヴァートの出生もな。ヴァートの事を知っていたのは、陛下とポミエ伯爵のみだったらしい。ポミエ伯爵が亡命中のヴァートに出会ったのは本当に偶然だったらしいぞ」
「……私、王子様に侍従なんてやらせてしまっておりました」
「別にいいだろう。本人がそれを望んでいたんだから。第一お前は何も知らなかったんだ。誰も責められないさ」
窓の景色が次第に王城に近いものに移り変わっていく。そしてそのまま馬車はゆっくりと止まった。
「結婚式の打ち合わせの前に少しお茶でもするか。俺は着替えてくるから先に中庭に行っててくれ」
「かしこまりました」
慣れた足取りで広い中庭へと入っていく。するとそこには満開の赤い薔薇の花が咲き誇っていた。
「いい香りね」
胸一杯に空気を吸い込んでいると後ろで足音がする。
「お早かったですね……」
振り返って立っていたのはヴァートだった。
「お嬢様、お久し振りです」
ヴァートの格好は侍従の格好ではなく、前に使者として訪問した文官と同じ格好をしていた。
「お久し振りです……ヴァート殿下。知らなかったとはいえ、今までのご無礼をお許し下さいませ」
声が震える。上手く言えたかは分からなかった。しかしヴァートは困ったように少し笑うと近づいてきた。そして目の前で膝を突いた。慌てて立ち上がらせようとした肩は思いのほか動かなかった。
「他人のような挨拶はお止めて下さい。遠慮もなさらないで頂きたいのです」
「それは無理です」
「……そうですね。でもどうか今までのように接して下さると嬉しいです」
突然消えてしまったヴァートが今ここにいる。夢のような現実に思わず視界が歪んでしまう。するとヴァートは慌ててハンカチを出してきた。
「お嬢様、どうなさいました?」
「……分かっているくせに。あなたが目の前にいるから嬉しいのよ!」
するとヴァートは嬉しそうに頬を緩ませた。
「どうして笑うの?」
「あぁすみません。そう言ってもらえた事が嬉しかったのでつい……」
「もう! ……本当にヴァートなのね」
「私ですよ。何も変わっておりません」
「国王陛下の側近をしていると聞いたわ。伯爵家の侍従とは大違いじゃない」
「そんな事ありませんよ。フェリド様とは順調でいらっしゃいますか?」
「そうね、何もかも順調よ」
「ご記憶の方はどうですか」
首を振る。もう記憶の事などどうでもよい。普通に過ごしているうちに周りも気にしなくなり始めていた。
「そうですか。でもあまりがっかりしないで下さいね。もしかしたら明日朝起きたら戻っているかもしれないですから」
「そうかもしれないわね。ありがとう」
「記憶喪失に関係なく、お嬢様は幼かったので覚えていらっしゃらないかもしれませんが、私はお嬢様とある約束をしたのです。いつか果たそうと思って今日まで来てしまいました」
「約束? なんだったかしら」
本当は記憶のある頭で何度思い返しても何も出てこない。
「教えてはくれないの?」
「もう果たせませんから」
何かは分からないが、ヴァートの笑みは諦めにも見て取れた。
ヴァートが中庭から王城の中へ向かう途中、壁にもたれていたフェリドは背中を浮かせた。
「もういいのか?」
「ええ、もう十分です。ありがとうございました。お嬢様を宜しくお願い致します」
「振られたのか?」
「元々お嬢様は私の気持ちをご存知ありません。今までも、これからも」
「は? まさか告げないまま勝手に終わらせて来たのか?」
きょとんとした顔のヴァートに、フェリドは盛大な溜め息をお見舞いするとその場を足早に離れていった。
「エミリア!」
「殿下、随分と遅かったですね」
「おまっ! ……ゴホンッ。ヴァートとは話せたのか?」
「見ていらしたのですか?」
「明日には国に帰るらしいぞ。それでいいのか?」
「仰る意味が分かりかねます。用が済んだのなら帰るでしょう?」
「このまま帰していいのか!?」
「おかしな事を仰るのですね」
視線をそらしたまま済ました顔で薔薇を見た。しかしフェリドは頬を掴むとぐいっと向かせてきた。
「俺達はもうすぐ結婚するが、今は友人として聞いてやる。結婚したら俺達は夫婦だ。夫婦の営みだってあるし、俺達にそっくりの子供達だっていつか生まれるだろう。俺は王族としてその責務を果たすつもりだし、お前にも果たしてもらいたい。俺はお前が妻になってもいいと思っているが、もし条件が整っていればお前じゃなくてもいいとも思っている。でもお前が妻になるのなら大事にすると約束しよう」
「つまり、私の事は愛していないとそう仰っしゃりたいのですね? 別に私も結婚に愛を求めている訳ではございません。殿下ならよい夫になると思っておりますよ」
「あ、ありがとう。でもそうではなくてだな。いや、もういい」
「変な殿下」
「まあ、お前は子供の頃はお姫様になると言っていたしな。これで叶うという訳か」
――いいよ、それじゃあ僕が君をお姫様にしてあげる。
――おひめさま! おひめさまになれるの?
――うん、なれるよ。僕は王子だから!
頭の中で硝子が割れたような音がした。
心臓がバクバクと激しく鳴り出す。体中の震えが止まらなくてとっさに口を押さえた。
「どうした? エミリア?」
「……違うわ。違います殿下。お姫様になりたいと言ったのは、誰のでもという意味ではなかったの」
ヴァートは最初から自分は王子だと言っていた。そして今もその約束を覚えていてくれた。
――私、本当に記憶を失っていたのね。一番大事な記憶。ヴァートとの出会いの記憶。
立ち上がるとフェリドに向けて頭を下げた。
「私、この結婚は……」
「この縁談はなかった事にしよう。婚約破棄だ、エミリア」
エミリアはもう一度深く頭を下げると走り出していた。
「本日はドレスの最終確認の日でございますので、学園が終わられたらそのままお城に向かいます」
いつの間にかアニも姿を消し、アニはクリスティナの侍女だったと聞いたのはしばらくしてからの事だった。さすがに父親も知らなかったそうで、使者達と共にアニも帰国していた。
「迎えはいらないわ。殿下が来て下さるみたいなの」
「相変わらず仲が宜しくていらっしゃいますね」
侍女は優しい笑みを浮かべながら髪を編み込みにしてくれる。後一ヶ月で学園を卒業する。しかし結婚は前倒しされる事なく、むしろ一年伸びていた。
結婚が伸びた原因は、やはりオニキス王国が影響しているのだろう。フェリドはその事についてあまり話をしてはくれないが、忙しくしている所を見ると体調を崩しはしないかと心配になる程だった。だから今日みたいに学園に来る事は最近では珍しい。そして王太子の婚約者としての日々も平穏そのものだった。
「それにしても殿下はお嬢様を本当に大事にしていらっしゃるのですね」
「そんな事ないと思うけど。普通よ普通」
「またまたご謙遜を。殿下がご多忙なのは存じ上げております。先日も外交の為に他国へ行かれていたようですし……」
「待って! 殿下が他国へ行かれていたの!? それってまさかオニキス王国?」
「さあ、そこまではなんとも。私も王城務めの友人に殿下が外交で数日城を空けるから少し休めると聞いただけですので」
「数日ね」
フェリドは何も言ってはいなかった。本当はヴァートがどうなったのか知りたくてしょうがない。しかし父親に聞いても分からないとしか返事はもらえなかった。
「エミリア、用意が出来たなら行くぞ」
久しぶりのフェリドの出現に教室内がざわめき出す。そしてあと少ししか見られないフェリドの姿に、女生徒はその姿を目に焼き付けようと凝視していた。
「わざわざ教室に来られなくても良かったんですよ」
「別にいいだろ、そろそろこうして一緒に帰る事もなくなるんだ」
「まさかそんな風に思って下さっているとは思いもしませんでした」
二人で馬車に乗り込むと、久し振りのせいか気まずい沈黙が流れていく。ふと、侍女から聞いた事が脳裏を掠めた。
「殿下は最近オニキス王国へ行かれていたのですか?」
すると窓枠に肘ついて目を閉じていたフェリドが驚いたように顔を上げた。
「ポミエ伯爵に聞いたのか?」
「お父様もご存知なのですか? という事はもしや当たりですか?」
「じゃあ誰から聞いたんだ」
「侍女からですが、そのご様子では名前は告げられませんのでお聞きにならないで下さい」
「まぁなんだ、少し話をすると、第三王子は今牢屋の中らしい。生涯幽閉だそうだ」
まさか話してくれるとは思ってもみなかった返事に気持ちが逸る。
「どうせまだ聞きたい事があるんだろう?」
「お見通しですね。……あの、ヴァートはどうされていますか?」
「ヴァートは国王の補佐をしている。王位継承権を放棄して側近になったらしい」
「王位継承権を放棄ですか? どうしてそんな事を」
「いらぬ争いを避けたんだろう。だが多忙なのは間違いない」
「そうですか。クリスティナ様はお元気でしょうか」
「元気だよ。もともと第三王子から命を狙われていてこの国に来たから、もう恐れるものはないんだ。王女だから自由にとはいかないまでもそれなりに安心して過ごせているだろう」
「殿下はクリスティナ様の訪問の理由をご存知だったのですか?」
「こちらに来てから聞いたよ。それとヴァートの出生もな。ヴァートの事を知っていたのは、陛下とポミエ伯爵のみだったらしい。ポミエ伯爵が亡命中のヴァートに出会ったのは本当に偶然だったらしいぞ」
「……私、王子様に侍従なんてやらせてしまっておりました」
「別にいいだろう。本人がそれを望んでいたんだから。第一お前は何も知らなかったんだ。誰も責められないさ」
窓の景色が次第に王城に近いものに移り変わっていく。そしてそのまま馬車はゆっくりと止まった。
「結婚式の打ち合わせの前に少しお茶でもするか。俺は着替えてくるから先に中庭に行っててくれ」
「かしこまりました」
慣れた足取りで広い中庭へと入っていく。するとそこには満開の赤い薔薇の花が咲き誇っていた。
「いい香りね」
胸一杯に空気を吸い込んでいると後ろで足音がする。
「お早かったですね……」
振り返って立っていたのはヴァートだった。
「お嬢様、お久し振りです」
ヴァートの格好は侍従の格好ではなく、前に使者として訪問した文官と同じ格好をしていた。
「お久し振りです……ヴァート殿下。知らなかったとはいえ、今までのご無礼をお許し下さいませ」
声が震える。上手く言えたかは分からなかった。しかしヴァートは困ったように少し笑うと近づいてきた。そして目の前で膝を突いた。慌てて立ち上がらせようとした肩は思いのほか動かなかった。
「他人のような挨拶はお止めて下さい。遠慮もなさらないで頂きたいのです」
「それは無理です」
「……そうですね。でもどうか今までのように接して下さると嬉しいです」
突然消えてしまったヴァートが今ここにいる。夢のような現実に思わず視界が歪んでしまう。するとヴァートは慌ててハンカチを出してきた。
「お嬢様、どうなさいました?」
「……分かっているくせに。あなたが目の前にいるから嬉しいのよ!」
するとヴァートは嬉しそうに頬を緩ませた。
「どうして笑うの?」
「あぁすみません。そう言ってもらえた事が嬉しかったのでつい……」
「もう! ……本当にヴァートなのね」
「私ですよ。何も変わっておりません」
「国王陛下の側近をしていると聞いたわ。伯爵家の侍従とは大違いじゃない」
「そんな事ありませんよ。フェリド様とは順調でいらっしゃいますか?」
「そうね、何もかも順調よ」
「ご記憶の方はどうですか」
首を振る。もう記憶の事などどうでもよい。普通に過ごしているうちに周りも気にしなくなり始めていた。
「そうですか。でもあまりがっかりしないで下さいね。もしかしたら明日朝起きたら戻っているかもしれないですから」
「そうかもしれないわね。ありがとう」
「記憶喪失に関係なく、お嬢様は幼かったので覚えていらっしゃらないかもしれませんが、私はお嬢様とある約束をしたのです。いつか果たそうと思って今日まで来てしまいました」
「約束? なんだったかしら」
本当は記憶のある頭で何度思い返しても何も出てこない。
「教えてはくれないの?」
「もう果たせませんから」
何かは分からないが、ヴァートの笑みは諦めにも見て取れた。
ヴァートが中庭から王城の中へ向かう途中、壁にもたれていたフェリドは背中を浮かせた。
「もういいのか?」
「ええ、もう十分です。ありがとうございました。お嬢様を宜しくお願い致します」
「振られたのか?」
「元々お嬢様は私の気持ちをご存知ありません。今までも、これからも」
「は? まさか告げないまま勝手に終わらせて来たのか?」
きょとんとした顔のヴァートに、フェリドは盛大な溜め息をお見舞いするとその場を足早に離れていった。
「エミリア!」
「殿下、随分と遅かったですね」
「おまっ! ……ゴホンッ。ヴァートとは話せたのか?」
「見ていらしたのですか?」
「明日には国に帰るらしいぞ。それでいいのか?」
「仰る意味が分かりかねます。用が済んだのなら帰るでしょう?」
「このまま帰していいのか!?」
「おかしな事を仰るのですね」
視線をそらしたまま済ました顔で薔薇を見た。しかしフェリドは頬を掴むとぐいっと向かせてきた。
「俺達はもうすぐ結婚するが、今は友人として聞いてやる。結婚したら俺達は夫婦だ。夫婦の営みだってあるし、俺達にそっくりの子供達だっていつか生まれるだろう。俺は王族としてその責務を果たすつもりだし、お前にも果たしてもらいたい。俺はお前が妻になってもいいと思っているが、もし条件が整っていればお前じゃなくてもいいとも思っている。でもお前が妻になるのなら大事にすると約束しよう」
「つまり、私の事は愛していないとそう仰っしゃりたいのですね? 別に私も結婚に愛を求めている訳ではございません。殿下ならよい夫になると思っておりますよ」
「あ、ありがとう。でもそうではなくてだな。いや、もういい」
「変な殿下」
「まあ、お前は子供の頃はお姫様になると言っていたしな。これで叶うという訳か」
――いいよ、それじゃあ僕が君をお姫様にしてあげる。
――おひめさま! おひめさまになれるの?
――うん、なれるよ。僕は王子だから!
頭の中で硝子が割れたような音がした。
心臓がバクバクと激しく鳴り出す。体中の震えが止まらなくてとっさに口を押さえた。
「どうした? エミリア?」
「……違うわ。違います殿下。お姫様になりたいと言ったのは、誰のでもという意味ではなかったの」
ヴァートは最初から自分は王子だと言っていた。そして今もその約束を覚えていてくれた。
――私、本当に記憶を失っていたのね。一番大事な記憶。ヴァートとの出会いの記憶。
立ち上がるとフェリドに向けて頭を下げた。
「私、この結婚は……」
「この縁談はなかった事にしよう。婚約破棄だ、エミリア」
エミリアはもう一度深く頭を下げると走り出していた。
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