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18 不幸の始まり
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オニキス王国第三王子ロジェ・オニキスは、三番目の側室の子として生まれた。
第一王子は正妃の子。そして第二と第四は側室の子だったが、それでも正当な貴族令嬢の子だった。使用人達の自分を見る目だけが違うと気がついたのはいつからだったか。そしてその疑いはやがて決定的なものへと変わっていった。
「たまたま陛下のお部屋を掃除していただけで目に留まるなんて、むしろ計算だったと思わない? あの人、制服の丈も少し短かったもの。見た目だけは綺麗だしね。ロジェ王子を見ていれば分かるでしょう。でも頭の足りない田舎娘って感じで……」
侍女達は話に夢中で後ろにいた少年には気がついていないようだった。
「ロジェ殿下!」
一気に口を噤むとそそくさと離れていく。耳を済ましていると、そういった話は王城の至ることろで噂されていた。
「ロジェ! こんな所にいたか。もうそろそろお前も社交界に出る頃だろ? 衣装が合わせられないと侍女達が嘆いていたぞ」
屈託のない笑顔で近づいて来たのは、いかにも王子らしい眩しい笑顔と体格、そして人望を兼ね備えた第二王子だった。
「シモン兄上、私は一生社交界には出ません」
「馬鹿な事を言うな。お前も今のうちから慣れて……」
馴れ馴れしく組まれた腕を乱暴に払うと、反対の方向に歩き出した。
「逃げられないんだぞ! 僕も最後は折れたんだからな!」
後ろから楽しそうな声が追いかけてくる。それでもロジェは目的もなく歩き続けた。
母親は側室というにはあまりにも簡素な部屋を与えられていた。使用人よりましな程度。自分の身の回りの世話は自分でしていたし、食事も自分で運んでいた。でも日がな一日やる事がないというのは、庶民の母親にとっては苦痛以外の何者でもないのだろう。かとって自由に外出出来る訳もなく、いつの間にか刺繍の腕は職人なのではと思われる程に上達していた。その刺繍を塗ったハンカチや巾着、髪飾りを唯一そばにいた侍女に頼んではバザーで売り、小銭を作って養護施設へと送っていた。もちろん母親のする事をよく思わない者達もいたがそんな声は無視する事にしていた。
「僕も今度バザーに参加してきます」
すると母親は、まだ幼さの残る儚い顔で困ったように笑うと頭を撫でてきた。
「でも王子がバザーには出られないのよ。あなたにはあなたのやるべき事があるわ。私がこんな事をしているのは罪滅ぼしだからあなたは気にしなくていいの」
「どういう意味ですか?」
「大事な人がある場所で待っていてくれたのよ。でももう私は行けないから、少しでも力になりたくてこんな事をしているの。本当はなんの意味もないかもしれないのにね」
「そんな事ありません! きっとこのお金に助けられている子供達が沢山いるはずです」
ロジェは母親の手を取って握り締めた。頷く母親はうっすら泣いている様にも見えて俯いた。
ある夜、母親の部屋から明かりが溢れているのが見え、声をかけようとした時だった。部屋の中から甲高い女の声と、男の荒い息遣いが聞こえてくる。一瞬、苦しんでいるのかと思って扉に手をかけようとした腕を掴まれる。それは唯一母親に付いていた侍女だった。
「さあお部屋にお送り致しますよ」
「でも母上が……」
「今は陛下がお越しなのです。愛し合うお二人の邪魔をしてはなりません」
――愛し合う? あれが?
悲鳴のような母親の声が耳にこびりついて離れない。まだ閨の指導は受けていないがあんなに痛そうな声を出すものなのだろうか。その晩、ロジェが眠りについたのは明け方近くだった。
母親の妊娠が発覚したのはそれから二ヶ月後の事だった。
生まれたのはいい意味で父親によく似た王族らしい髪色の妹だった。名をクリスティナ。そしてそのクリスティナの出産と同時に世界で唯一、守りたいと思っていた人がこの世を去った。
葬儀は密葬。墓は王族の入る墓地ではなく街の墓地に埋められた。花を手向けに来たのは、母親を慕っていた侍女の一人と、第二王子のシモン、そして自分だけ。王の側室だったのに最後がこれだけとはあんまりではないか。
「ロジェ、そろそろ帰ろう」
シモンの声にも反応出来ない。意識はあるのに身体はここにないような、固まってしまった感覚に立ち尽くしていた。ポツポツと雨が降り始める。泣いてくれるのは空だけか。やがてその雨は母の涙のように感じていた。
「名残惜しいならまた明日来よう」
「……雨の中、母上を一人にはしておけない」
「それじゃあ少ししたら馬車を寄越すからそれには乗って帰ってくるんだよ」
返事はやはり出来なかった。一人蹲り、雨が掻き消す音に紛れて大声で泣いた。
ロジェが王城に着いたのは雨が止んだ朝方近くだった。母親の部屋はすでに片付けられ、少ししかない荷物も消えていた。びっしょり濡れた重たい身体であちこち探し回る。すると王城のごみ置き場に無造作に投げ捨てられていた見慣れた荷物を見つけた。乱暴に捨てられたせいか大事にしていた裁縫箱は辺りに散乱している。細い針も綺麗な糸も泥に塗れてぐちゃぐちゃになっていた。糸は泥ごと箱に入れ、綺麗な釦や針を根気よく探している頃にはとうとう夜が開けていた。
ずぶ濡れのまま泥だらけで城の中に入ると、使用人達はぎょっとした表情でロジェを見ていく。そんな視線も気にならないまま足を引き摺りながら、とある部屋の前に来ていた。この部屋の主に仕える侍女が驚きながらも声を掛けてくる。自分でも何故この部屋に来ていたのか分からなかった。
「リリアン様はロジェ殿下を夜通しお待ちでしたよ」
そういって微笑む侍女の顔に、手に持っていた泥だらけの箱を固く握り締めていた。
心が落ち着かなくて隙間から部屋の中を覗く。そして息が止まった。ソファにはリリアン、そしてその両脇には抱えられるようにして第二王子のシモンと、第四王子のヴァートが眠っていた。足が後退し始める。そしていつの間にか走り出していた。
「ロジェ? 戻ったの?」
リリアンは急いで扉に向かったが、そこには誰もいなかった。ただ部屋の前は泥で汚れていただけだった。
「お母様、ロジェが戻ったのですか?」
「そうみたいなのだけれど、どこかに行ってしまったみたいね。雨に打たれていたというし先に湯浴みに行ったのかしら。一緒に食事を取れるように準備をしておきましょう」
「ロジェは大丈夫でしょうか」
「こんな事なら一緒に行くべきだったわ。大切なお母様とのお別れの日に私の顔は見たくないかもしれないと思って遠慮したのだけれど、間違っていたかしら」
「後でロジェを向かえに行ってきます」
「シモン、あなたがロジェの力になるのよ」
「任せて下さい! お兄様ももう少し僕達に興味を持って下さっても良いのですが」
するとリリアンは背丈は同じくらいになった息子の頭を撫でた。
「お兄様に構って欲しいのね。でもあまり無遠慮に近づいてはなりませんよ。王妃様は私達と第一王子が接触するのを快く思ってはいないのですから」
リリアンは忠告するようにシモンの耳元で言うと、寝相が悪く盛大にソファから落ちて泣き出したヴァートの元へ駆け寄って行った。
それから数年後、王城では正妃に始まり、側室のリリアン、そして第二王子のシモンが相次いで亡くなる不審死が続いた。
第一王子は正妃の子。そして第二と第四は側室の子だったが、それでも正当な貴族令嬢の子だった。使用人達の自分を見る目だけが違うと気がついたのはいつからだったか。そしてその疑いはやがて決定的なものへと変わっていった。
「たまたま陛下のお部屋を掃除していただけで目に留まるなんて、むしろ計算だったと思わない? あの人、制服の丈も少し短かったもの。見た目だけは綺麗だしね。ロジェ王子を見ていれば分かるでしょう。でも頭の足りない田舎娘って感じで……」
侍女達は話に夢中で後ろにいた少年には気がついていないようだった。
「ロジェ殿下!」
一気に口を噤むとそそくさと離れていく。耳を済ましていると、そういった話は王城の至ることろで噂されていた。
「ロジェ! こんな所にいたか。もうそろそろお前も社交界に出る頃だろ? 衣装が合わせられないと侍女達が嘆いていたぞ」
屈託のない笑顔で近づいて来たのは、いかにも王子らしい眩しい笑顔と体格、そして人望を兼ね備えた第二王子だった。
「シモン兄上、私は一生社交界には出ません」
「馬鹿な事を言うな。お前も今のうちから慣れて……」
馴れ馴れしく組まれた腕を乱暴に払うと、反対の方向に歩き出した。
「逃げられないんだぞ! 僕も最後は折れたんだからな!」
後ろから楽しそうな声が追いかけてくる。それでもロジェは目的もなく歩き続けた。
母親は側室というにはあまりにも簡素な部屋を与えられていた。使用人よりましな程度。自分の身の回りの世話は自分でしていたし、食事も自分で運んでいた。でも日がな一日やる事がないというのは、庶民の母親にとっては苦痛以外の何者でもないのだろう。かとって自由に外出出来る訳もなく、いつの間にか刺繍の腕は職人なのではと思われる程に上達していた。その刺繍を塗ったハンカチや巾着、髪飾りを唯一そばにいた侍女に頼んではバザーで売り、小銭を作って養護施設へと送っていた。もちろん母親のする事をよく思わない者達もいたがそんな声は無視する事にしていた。
「僕も今度バザーに参加してきます」
すると母親は、まだ幼さの残る儚い顔で困ったように笑うと頭を撫でてきた。
「でも王子がバザーには出られないのよ。あなたにはあなたのやるべき事があるわ。私がこんな事をしているのは罪滅ぼしだからあなたは気にしなくていいの」
「どういう意味ですか?」
「大事な人がある場所で待っていてくれたのよ。でももう私は行けないから、少しでも力になりたくてこんな事をしているの。本当はなんの意味もないかもしれないのにね」
「そんな事ありません! きっとこのお金に助けられている子供達が沢山いるはずです」
ロジェは母親の手を取って握り締めた。頷く母親はうっすら泣いている様にも見えて俯いた。
ある夜、母親の部屋から明かりが溢れているのが見え、声をかけようとした時だった。部屋の中から甲高い女の声と、男の荒い息遣いが聞こえてくる。一瞬、苦しんでいるのかと思って扉に手をかけようとした腕を掴まれる。それは唯一母親に付いていた侍女だった。
「さあお部屋にお送り致しますよ」
「でも母上が……」
「今は陛下がお越しなのです。愛し合うお二人の邪魔をしてはなりません」
――愛し合う? あれが?
悲鳴のような母親の声が耳にこびりついて離れない。まだ閨の指導は受けていないがあんなに痛そうな声を出すものなのだろうか。その晩、ロジェが眠りについたのは明け方近くだった。
母親の妊娠が発覚したのはそれから二ヶ月後の事だった。
生まれたのはいい意味で父親によく似た王族らしい髪色の妹だった。名をクリスティナ。そしてそのクリスティナの出産と同時に世界で唯一、守りたいと思っていた人がこの世を去った。
葬儀は密葬。墓は王族の入る墓地ではなく街の墓地に埋められた。花を手向けに来たのは、母親を慕っていた侍女の一人と、第二王子のシモン、そして自分だけ。王の側室だったのに最後がこれだけとはあんまりではないか。
「ロジェ、そろそろ帰ろう」
シモンの声にも反応出来ない。意識はあるのに身体はここにないような、固まってしまった感覚に立ち尽くしていた。ポツポツと雨が降り始める。泣いてくれるのは空だけか。やがてその雨は母の涙のように感じていた。
「名残惜しいならまた明日来よう」
「……雨の中、母上を一人にはしておけない」
「それじゃあ少ししたら馬車を寄越すからそれには乗って帰ってくるんだよ」
返事はやはり出来なかった。一人蹲り、雨が掻き消す音に紛れて大声で泣いた。
ロジェが王城に着いたのは雨が止んだ朝方近くだった。母親の部屋はすでに片付けられ、少ししかない荷物も消えていた。びっしょり濡れた重たい身体であちこち探し回る。すると王城のごみ置き場に無造作に投げ捨てられていた見慣れた荷物を見つけた。乱暴に捨てられたせいか大事にしていた裁縫箱は辺りに散乱している。細い針も綺麗な糸も泥に塗れてぐちゃぐちゃになっていた。糸は泥ごと箱に入れ、綺麗な釦や針を根気よく探している頃にはとうとう夜が開けていた。
ずぶ濡れのまま泥だらけで城の中に入ると、使用人達はぎょっとした表情でロジェを見ていく。そんな視線も気にならないまま足を引き摺りながら、とある部屋の前に来ていた。この部屋の主に仕える侍女が驚きながらも声を掛けてくる。自分でも何故この部屋に来ていたのか分からなかった。
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リリアンは急いで扉に向かったが、そこには誰もいなかった。ただ部屋の前は泥で汚れていただけだった。
「お母様、ロジェが戻ったのですか?」
「そうみたいなのだけれど、どこかに行ってしまったみたいね。雨に打たれていたというし先に湯浴みに行ったのかしら。一緒に食事を取れるように準備をしておきましょう」
「ロジェは大丈夫でしょうか」
「こんな事なら一緒に行くべきだったわ。大切なお母様とのお別れの日に私の顔は見たくないかもしれないと思って遠慮したのだけれど、間違っていたかしら」
「後でロジェを向かえに行ってきます」
「シモン、あなたがロジェの力になるのよ」
「任せて下さい! お兄様ももう少し僕達に興味を持って下さっても良いのですが」
するとリリアンは背丈は同じくらいになった息子の頭を撫でた。
「お兄様に構って欲しいのね。でもあまり無遠慮に近づいてはなりませんよ。王妃様は私達と第一王子が接触するのを快く思ってはいないのですから」
リリアンは忠告するようにシモンの耳元で言うと、寝相が悪く盛大にソファから落ちて泣き出したヴァートの元へ駆け寄って行った。
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