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37 悪夢への入り口
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王都の空を真っ黒い雲があっという間に埋め尽くしていく。国民は一人、また一人と暗くなっていく空に気が付き、見上げて叫び声を上げた。
ハイス達聖騎士団一行は王都を出て、小高い丘に差し掛かった所だった。各地へと分岐している道で先に出発した聖騎士団員達を見送りながら、ハイスも邪気を祓いに今まさに馬を走らせようとした所だった。もう戻れるか分からない故郷を目に焼き付ける為に振り返った聖騎士の一人が、王都の頭上に湧き上がる黒い影を指差して叫んだ。
「ハイス様あれを見て下さい!」
「なんだあれは……」
思わずハイスも放心しながら馬を数歩戻す。王都の上はあっという間に黒い雲に覆われ、それが邪気の塊だと気がつくのにそう時間は掛からなかった。
「すぐ城に戻るぞ!」
ハイスは言うや否や全速力で馬を走らせた。
門は予想していた通り、大混乱が始まっていた。誰もが上空の邪気を恐れ、我先にと王都から脱出しようとしている。押さえているいる門番達にも限界があり、あちこちで怒声が上がり始めていた。このままでは押された者や力の弱い者達が怪我をしてしまう。ハイスは逃げ惑う人々の目に入るように聖騎士団の旗を掲げた。波と剣が描かれている薄青色の旗が風に靡き、一瞬にして聖騎士団達に視線が集中する。
「今から我々聖騎士団があの邪気を祓いに行く! 皆は安全の為に各自家に戻られよ!」
一瞬の静寂の後、一個の石が旗に向かって投げられた。ボフッという音と共に石が下に落ちた瞬間、一気に喚き声が上がった。
「聖女様がいないのに祓える訳ないだろう! 俺達を馬鹿にしているのか!」
「八年しか経っていないのに、こんなに早く邪気が現れるなんておかしいだろ!」
声はあちこちで上がり前を塞がれたハイス達はその場から身動き取れなくなってしまった。
「道を開けてくれ! 聖女様のお通りだ! 神殿に聖女様が現れたんだ! お連れしたから道を開けてくれ!」
声と共に門から馬車が突撃してくる。驚いた群衆が慌てて道の端に避けた所で、窓から顔を覗かせた神官見習いの姿が目に入った。
「ユリウス? 何を考えているんだ」
窓から顔を出したユリウスは、ハイスに合図を送ると急いで馬車の中へすぐに引っ込んだ。群衆は突然現れた馬車に驚いて道を開け、ハイス達一行はその意図を汲み取り、群衆が再び道を塞ぐ前に後を付いて行った。
「これで良かったんですよね? 王子様」
ユリウスは棘の含んだ言い方で、ちらりと静かに横に座っているアレクに言い放った。
「あぁ、助かった」
「そんな無表情で言われてもさっぱり感謝が込められていません」
「ちょっとあなた! さっきから聞いていれば他国の王族に対して失礼よ!」
「隠していたのが悪いんでしょう? 第一そんな髪色でいれば目を付けられるのは当たり前です。あなたもですよ、お・嬢・様!」
ユリウスはアレクに正体を告げられると、今までの不敬の数々に一気に血の気が引き命の終わりも覚悟した。しかしアレクの口をついて出たのは予想もしない言葉だった。
――ここにいる間は俺の仲間になって欲しい。
拍子抜けし返す言葉も見失ってしまったユリウスだったが、他国とはいえ王族の申し出を断れる訳がない。というか出来る者がいるだろうか。せめてもの反抗にとこういった態度を取ってしまうのだった。
「ルウ、ユリウスの言う通りだ。隠していた俺が悪いんだ。それに出来る事ならやっぱりルウは神殿に置いてきたかった」
「何言っているのよ、私は侍女まで連れて来たんですからね!」
ルイーズの隣りに座っているのは黒髪に黒い瞳の静かな女性。このやり取りの間中、ただ一点を見つめたまま動かなかった。
「なぜこの者を連れてきたんです? こういっちゃなんですが、口も利けない足手まといですよ。何かあっても叫ぶ事も出来ないんですからね!」
ユリウスの嫌味な言葉に萎縮したアマンダを庇うようにして、ルイーズはアマンダの腕を引いた。
「一人置いてくるのが心配だったのよ! あなたみたいに口を開けば文句しか出ないようならいっそ口が利けない方がマシね! アマンダ、これは言葉のあやよ? あなたが口を利けても利けなくても関係ないからね?」
アマンダは心ここにあらずの様子で、青白い顔を城に向けていた。
馬車は急停車すると城の入り口で止まる。それに続いてハイス達聖騎士団も止まった。急いで馬上から降りてきたハイスは馬車から降りてきた顔触れに固まっていた。
「一体なんのつもりだ。こんなに濃い邪気のある場所にアレク様を連れてきて何がしたいんだ!」
ハイスの語気の強い言葉に皆がびくりと身体を反応させた中、アレクはハイスの前に石を差し出した。
「この石から声が声が聞こえるんです。明確な言葉ではありませんが、何故だかどうしてもここに来なくてはならないような気がして、皆には無理を言いました」
掌には“サラマンダーの息吹”が握られている。他の誰が見てもただの赤銅色の石にしか見えない。
「ですがここは危険過ぎます。それにさっきの聖女様が現れたと言うのは?」
「この石の声は精霊様のような気がしてならないんです。だからその声が聞こえる俺は聖女なのかと。どのみち、あそこを切り抜ける為についた嘘ですが……」
「男でも“聖女”になれるのですか?」
「聖女という呼び名は総称だと思っています。最初に現れたのが女性だったから聖女と呼ばれるようになっただけで、現に我が国の文献によれば過去に男性の“聖女”がいました」
ハイスは息を吐きながら辺りを見渡した。今の所邪気に襲われている者はいないようで、そのまま城の中に視線を移す。兵士や使用人達も状況を把握していないのか、ただ上空の邪気を見て慌てふためいている。ハイスは一人の兵士を捕まえると何が起きたのか問い正した。
「私達にもさっぱり分かりません! 陛下は王の間で主要官僚の方々と会議中です」
「会議だと? これだけ邪気が広がっているのにまだ王の間にいらっしゃるのか!?」
すると、兵士は困ったように廊下の先を見た。
「何度もお声がけしているのですがお返事がなく、議論が白熱しているのか時折怒声のようなものも聞こえて来るのです」
確かに兵士達では閉ざされた王の間の扉を蹴破って中を確認しにいくなど到底出来ないだろう。ハイスは走り出すと王の間の前に集まる兵士達をどかせた。
激しく扉を叩くが返事はない。耳を扉に付けると何やら叫び声のようなものが聞こえてきた。
「神官長! これを見て下さい!」
アレクは走ってくると石を持ち上げた。石は内側から発光している。ハイスは嫌な感覚に心臓が押し潰されそうになりながら扉に体当たりした。しかし王の間の扉は頑丈でびくともしない。本来はこれでいいのだが、一刻も早く中の状況を知りたい今はこの頑丈な扉が疎ましかった。
「ハイス様これを使っては?」
ルイーズはアレクの持っている石を指した。
「どうやって?」
「さあ、でも精霊様のお力をお借り出来るかもしれません。さあアレク!」
アレクは石をドアノブに触れさせた。
「……」
「……」
「何も起こらないじゃないか」
沈黙の後、ユリウスが気の抜けた声で言った。
「精霊サラマンダー様、お力をお貸し下さい。お願いします!」
アレクが声に出して祈った時だった。石は大きな光と熱を放つとノアノブがどろりと溶けて崩れていく。とっさによけた床にはジュッと絨毯を焼く音と共に溶けた金属が広がっていた。
扉はいとも簡単に押し開かれていく。そして目の前に広がっていたのは、惨状という言葉がぴったりの恐ろしい光景だった。
ハイス達聖騎士団一行は王都を出て、小高い丘に差し掛かった所だった。各地へと分岐している道で先に出発した聖騎士団員達を見送りながら、ハイスも邪気を祓いに今まさに馬を走らせようとした所だった。もう戻れるか分からない故郷を目に焼き付ける為に振り返った聖騎士の一人が、王都の頭上に湧き上がる黒い影を指差して叫んだ。
「ハイス様あれを見て下さい!」
「なんだあれは……」
思わずハイスも放心しながら馬を数歩戻す。王都の上はあっという間に黒い雲に覆われ、それが邪気の塊だと気がつくのにそう時間は掛からなかった。
「すぐ城に戻るぞ!」
ハイスは言うや否や全速力で馬を走らせた。
門は予想していた通り、大混乱が始まっていた。誰もが上空の邪気を恐れ、我先にと王都から脱出しようとしている。押さえているいる門番達にも限界があり、あちこちで怒声が上がり始めていた。このままでは押された者や力の弱い者達が怪我をしてしまう。ハイスは逃げ惑う人々の目に入るように聖騎士団の旗を掲げた。波と剣が描かれている薄青色の旗が風に靡き、一瞬にして聖騎士団達に視線が集中する。
「今から我々聖騎士団があの邪気を祓いに行く! 皆は安全の為に各自家に戻られよ!」
一瞬の静寂の後、一個の石が旗に向かって投げられた。ボフッという音と共に石が下に落ちた瞬間、一気に喚き声が上がった。
「聖女様がいないのに祓える訳ないだろう! 俺達を馬鹿にしているのか!」
「八年しか経っていないのに、こんなに早く邪気が現れるなんておかしいだろ!」
声はあちこちで上がり前を塞がれたハイス達はその場から身動き取れなくなってしまった。
「道を開けてくれ! 聖女様のお通りだ! 神殿に聖女様が現れたんだ! お連れしたから道を開けてくれ!」
声と共に門から馬車が突撃してくる。驚いた群衆が慌てて道の端に避けた所で、窓から顔を覗かせた神官見習いの姿が目に入った。
「ユリウス? 何を考えているんだ」
窓から顔を出したユリウスは、ハイスに合図を送ると急いで馬車の中へすぐに引っ込んだ。群衆は突然現れた馬車に驚いて道を開け、ハイス達一行はその意図を汲み取り、群衆が再び道を塞ぐ前に後を付いて行った。
「これで良かったんですよね? 王子様」
ユリウスは棘の含んだ言い方で、ちらりと静かに横に座っているアレクに言い放った。
「あぁ、助かった」
「そんな無表情で言われてもさっぱり感謝が込められていません」
「ちょっとあなた! さっきから聞いていれば他国の王族に対して失礼よ!」
「隠していたのが悪いんでしょう? 第一そんな髪色でいれば目を付けられるのは当たり前です。あなたもですよ、お・嬢・様!」
ユリウスはアレクに正体を告げられると、今までの不敬の数々に一気に血の気が引き命の終わりも覚悟した。しかしアレクの口をついて出たのは予想もしない言葉だった。
――ここにいる間は俺の仲間になって欲しい。
拍子抜けし返す言葉も見失ってしまったユリウスだったが、他国とはいえ王族の申し出を断れる訳がない。というか出来る者がいるだろうか。せめてもの反抗にとこういった態度を取ってしまうのだった。
「ルウ、ユリウスの言う通りだ。隠していた俺が悪いんだ。それに出来る事ならやっぱりルウは神殿に置いてきたかった」
「何言っているのよ、私は侍女まで連れて来たんですからね!」
ルイーズの隣りに座っているのは黒髪に黒い瞳の静かな女性。このやり取りの間中、ただ一点を見つめたまま動かなかった。
「なぜこの者を連れてきたんです? こういっちゃなんですが、口も利けない足手まといですよ。何かあっても叫ぶ事も出来ないんですからね!」
ユリウスの嫌味な言葉に萎縮したアマンダを庇うようにして、ルイーズはアマンダの腕を引いた。
「一人置いてくるのが心配だったのよ! あなたみたいに口を開けば文句しか出ないようならいっそ口が利けない方がマシね! アマンダ、これは言葉のあやよ? あなたが口を利けても利けなくても関係ないからね?」
アマンダは心ここにあらずの様子で、青白い顔を城に向けていた。
馬車は急停車すると城の入り口で止まる。それに続いてハイス達聖騎士団も止まった。急いで馬上から降りてきたハイスは馬車から降りてきた顔触れに固まっていた。
「一体なんのつもりだ。こんなに濃い邪気のある場所にアレク様を連れてきて何がしたいんだ!」
ハイスの語気の強い言葉に皆がびくりと身体を反応させた中、アレクはハイスの前に石を差し出した。
「この石から声が声が聞こえるんです。明確な言葉ではありませんが、何故だかどうしてもここに来なくてはならないような気がして、皆には無理を言いました」
掌には“サラマンダーの息吹”が握られている。他の誰が見てもただの赤銅色の石にしか見えない。
「ですがここは危険過ぎます。それにさっきの聖女様が現れたと言うのは?」
「この石の声は精霊様のような気がしてならないんです。だからその声が聞こえる俺は聖女なのかと。どのみち、あそこを切り抜ける為についた嘘ですが……」
「男でも“聖女”になれるのですか?」
「聖女という呼び名は総称だと思っています。最初に現れたのが女性だったから聖女と呼ばれるようになっただけで、現に我が国の文献によれば過去に男性の“聖女”がいました」
ハイスは息を吐きながら辺りを見渡した。今の所邪気に襲われている者はいないようで、そのまま城の中に視線を移す。兵士や使用人達も状況を把握していないのか、ただ上空の邪気を見て慌てふためいている。ハイスは一人の兵士を捕まえると何が起きたのか問い正した。
「私達にもさっぱり分かりません! 陛下は王の間で主要官僚の方々と会議中です」
「会議だと? これだけ邪気が広がっているのにまだ王の間にいらっしゃるのか!?」
すると、兵士は困ったように廊下の先を見た。
「何度もお声がけしているのですがお返事がなく、議論が白熱しているのか時折怒声のようなものも聞こえて来るのです」
確かに兵士達では閉ざされた王の間の扉を蹴破って中を確認しにいくなど到底出来ないだろう。ハイスは走り出すと王の間の前に集まる兵士達をどかせた。
激しく扉を叩くが返事はない。耳を扉に付けると何やら叫び声のようなものが聞こえてきた。
「神官長! これを見て下さい!」
アレクは走ってくると石を持ち上げた。石は内側から発光している。ハイスは嫌な感覚に心臓が押し潰されそうになりながら扉に体当たりした。しかし王の間の扉は頑丈でびくともしない。本来はこれでいいのだが、一刻も早く中の状況を知りたい今はこの頑丈な扉が疎ましかった。
「ハイス様これを使っては?」
ルイーズはアレクの持っている石を指した。
「どうやって?」
「さあ、でも精霊様のお力をお借り出来るかもしれません。さあアレク!」
アレクは石をドアノブに触れさせた。
「……」
「……」
「何も起こらないじゃないか」
沈黙の後、ユリウスが気の抜けた声で言った。
「精霊サラマンダー様、お力をお貸し下さい。お願いします!」
アレクが声に出して祈った時だった。石は大きな光と熱を放つとノアノブがどろりと溶けて崩れていく。とっさによけた床にはジュッと絨毯を焼く音と共に溶けた金属が広がっていた。
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