19 / 40
19 神殿の変化
しおりを挟む
その日いつも静かな神殿の前は慌ただしくなっていた。
今回新しく神官見習いとして迎えたのは六名。受け入れると決まった時からこうなる事は分かりきっていた。
「この者は庶民です! なぜ私が相部屋にならなくてはならないのですか!」
問題は部屋の割り振りにあるようだった。神殿は身分に関係なく門を開いている。貴族であろうと信仰深い者はいるし、庶民は生活に恵まれた貴族達よりも現状の環境に不満がある者が多いせいか、信仰心はより一層強い者が多い。しかしどんな者も一度神殿の門をくぐれば本来身分の差はなく、誰もが平等でなくてはならない。しかしそれを分かっていても貴族出者達からすれば幼い頃から刷り込まれた貴族絶対主義というものが根付いている。それを安々と捨てられる訳もなく、だから今起きているやりとりは当然といえば当然の事のようにも思えた。
その対応をするのが、二年目から三年目の神官の役目だった。明らかに興奮している貴族の青年に迫られて、庶民出の先輩神官達はうんざりとしていた。
「神官長を呼んできてもらうか」
「こんな事であの御方のお手を煩わせる気か? それに確か一昨日からの視察からまだ戻られていないだろ。俺達で収めるんだよ」
二人の神官達は声を潜めながら、怒りに任せて顔を真赤にしている貴族出の男ではなく、対照的に落ち着いている赤い髪の青年の方に声を掛けた。神官になる為に田舎から出てきたという青年は気怠げに怒っている貴族の青年を見ていた。
「君は少しの間だけ大部屋でもいいだろうか」
「俺は正直寝床さえあればどこでもいい気んですけど」
「それじゃあ……」
「でも、もしそうしたらずっとそこに押し込まれたままですよね。なんでも最初が肝心だってばあちゃんが言っていたんでお断りです」
はっきりとそう言われ、神官二人はぐうの音も出ないまま頭を抱えた。
大部屋とは神官に与えられる部屋ではなく使用人部屋の事だった。四から五名が一緒の部屋は雑魚寝をする程度の広さしかない。そもそも神殿の使用人になるというのは身寄りのない子供達ばかり。戦争や病気、貧困や邪気のせいで親を失った子供達の行き場はほとんどの場合、孤児院か神殿かの二択しかない。孤児院によっては劣悪な環境がある中で、神殿は寝床と食事が確保された安全な場所と言えた。
八年前までは十歳未満の子供には読み書きを中心とした学びを得られる環境が整えられていたが、今ではその年齢は引き上げられ、十五歳まで勉学に励む事が出来る新しい環境を、神官長になったハイスが整えたのだった。
神官になる以外で十五歳になった時に継続して神殿で働きたいと思えば使用人として残ってもいいし、他の仕事を望めばそれまでに得た知識の範囲で可能な限り神官長直々に紹介状を書いてもらえる。公爵家出身の神官長だから出来る事でもあるが、そうした子供達の将来に必要な長期的な育成制度を確立した事によって、やがては民度そのものが上がると国王からもお墨付きを頂いていた。
王都の神殿から始まった試みは、規模は違えど各地の神殿や施設へも広がりを見せ、それに比例するようにハイスの視察も増えていった。
今もまさに視察から戻ったと思われるハイスが馬に乗ったまま門を過ぎた所だった。本来ならそのまま神殿の横にある厩に行くはずだが、情けない顔でハイスの姿を追っている神官達をその目に捉えると颯爽と馬を降りて近づいてきた。がっしりとした肩に掛けたマントが風に靡いている姿は、神官というよりも屈強な騎士に見える。祈るよりも戦っている方が似合う容姿をしていた。
「おかえりまさいませ、神官長様!」
二人の神官の言葉にさっきまで言い争いをしていた貴族の青年は、取ってつけたような顔で姿勢良くハイスに向き直った。声を掛けられるまでそわそわとしていたが、すぐにハイスが芯の通った声で話しかけると敬礼をした。
「私はユリウス・ジラールと申します。ジラール伯爵家の次男です。お会い出来て光栄ですリンドブルム公爵閣下!」
「ここでは神官長と呼べ。だがあまり堅苦しいのは苦手なんだ。宜しくなユリウス。そしてお前は?」
ハイスの意識はすぐに赤い髪の青年に向いてしまう。ユリウスは面白くなさそうにその青年を睨み付けた。
「俺はアレクです。庶民の出なので名字はないです」
「良い名だな。して、見る限り揉めていたようだが、何か不手際でもあったのだろうか?」
「不手際などとんでもない事です! 相部屋となったアレクと今から共に部屋に向かう所でした」
「誰かと同室はいいぞ、神官の朝は早いから相手がいれば起こしてもらえる。俺も何度叩き起こされたことか」
「神官長は個室ではなかったのですか?」
「個室を与えられる者は基本的にいないよ。部屋数も足りていないんだ。でもただ単に部屋数が足りないから相部屋にするという訳ではないぞ。誰かと共に暮すという事は楽しくもあり時にぶつかる事もある。だからこそ修行になるんだよ。祈り以外の時間にも学ぶべきところは沢山あるんだ。きっと家では教えてくれない事だらけだろうから楽しみにしていてくれ」
不思議そうに目を丸くしているユリウスの表情がじわじわと変わっていく。そして先程とは打って変わって爛々とした視線をアレクに向けた。
「宜しくな、同志よ」
――同志?!
先輩神官やアレクの呆れに満ちた表情など意に介せず、ユリウスは一人分の荷物とは思えない山のような荷物を、そばで待機していた少年二人に合図をした。
「くれぐれも慎重に運んでくれよ」
「それにしても大層な荷物だな。それは全てユリウスのなのか? そしてアレクのはそれだけか?」
ハイスは二人の荷物を交互に見比べると小さく首を捻った。
「……まあ、とりあえずなにか不便があったらこの二人にいつでも言ってくれ。宜しく頼むぞ」
そう言って手綱を引いて歩き出すハイスの背に声を掛けたのはアレクだった。
「あの! 聖騎士団は活動休止中だと聞きました。そうなると聖騎士になる事も出来ないって事ですか? 俺は聖騎士団になりたくてここに来たんです」
「邪気なき今、国の治安は城の騎士や兵士、街の兵団達が守っているのは知っているだろう。なぜわざわざ八年も前になくなった聖騎士団に入りたいんだ?」
するとアレクは視線を伏せてから言った。
「いいんです、すみません。そもそも聖騎士にはなりたいといっても望んでなれるものじゃないですよね」
「そうだな。一朝一夕でなれるものでもないからまずは祈る事が大事だ。しかしもう二度と聖騎士の出番がない事を願っているよ」
アレクは少ない荷物を抱え直すを、声を出す代わりに頭を下げた。
今回新しく神官見習いとして迎えたのは六名。受け入れると決まった時からこうなる事は分かりきっていた。
「この者は庶民です! なぜ私が相部屋にならなくてはならないのですか!」
問題は部屋の割り振りにあるようだった。神殿は身分に関係なく門を開いている。貴族であろうと信仰深い者はいるし、庶民は生活に恵まれた貴族達よりも現状の環境に不満がある者が多いせいか、信仰心はより一層強い者が多い。しかしどんな者も一度神殿の門をくぐれば本来身分の差はなく、誰もが平等でなくてはならない。しかしそれを分かっていても貴族出者達からすれば幼い頃から刷り込まれた貴族絶対主義というものが根付いている。それを安々と捨てられる訳もなく、だから今起きているやりとりは当然といえば当然の事のようにも思えた。
その対応をするのが、二年目から三年目の神官の役目だった。明らかに興奮している貴族の青年に迫られて、庶民出の先輩神官達はうんざりとしていた。
「神官長を呼んできてもらうか」
「こんな事であの御方のお手を煩わせる気か? それに確か一昨日からの視察からまだ戻られていないだろ。俺達で収めるんだよ」
二人の神官達は声を潜めながら、怒りに任せて顔を真赤にしている貴族出の男ではなく、対照的に落ち着いている赤い髪の青年の方に声を掛けた。神官になる為に田舎から出てきたという青年は気怠げに怒っている貴族の青年を見ていた。
「君は少しの間だけ大部屋でもいいだろうか」
「俺は正直寝床さえあればどこでもいい気んですけど」
「それじゃあ……」
「でも、もしそうしたらずっとそこに押し込まれたままですよね。なんでも最初が肝心だってばあちゃんが言っていたんでお断りです」
はっきりとそう言われ、神官二人はぐうの音も出ないまま頭を抱えた。
大部屋とは神官に与えられる部屋ではなく使用人部屋の事だった。四から五名が一緒の部屋は雑魚寝をする程度の広さしかない。そもそも神殿の使用人になるというのは身寄りのない子供達ばかり。戦争や病気、貧困や邪気のせいで親を失った子供達の行き場はほとんどの場合、孤児院か神殿かの二択しかない。孤児院によっては劣悪な環境がある中で、神殿は寝床と食事が確保された安全な場所と言えた。
八年前までは十歳未満の子供には読み書きを中心とした学びを得られる環境が整えられていたが、今ではその年齢は引き上げられ、十五歳まで勉学に励む事が出来る新しい環境を、神官長になったハイスが整えたのだった。
神官になる以外で十五歳になった時に継続して神殿で働きたいと思えば使用人として残ってもいいし、他の仕事を望めばそれまでに得た知識の範囲で可能な限り神官長直々に紹介状を書いてもらえる。公爵家出身の神官長だから出来る事でもあるが、そうした子供達の将来に必要な長期的な育成制度を確立した事によって、やがては民度そのものが上がると国王からもお墨付きを頂いていた。
王都の神殿から始まった試みは、規模は違えど各地の神殿や施設へも広がりを見せ、それに比例するようにハイスの視察も増えていった。
今もまさに視察から戻ったと思われるハイスが馬に乗ったまま門を過ぎた所だった。本来ならそのまま神殿の横にある厩に行くはずだが、情けない顔でハイスの姿を追っている神官達をその目に捉えると颯爽と馬を降りて近づいてきた。がっしりとした肩に掛けたマントが風に靡いている姿は、神官というよりも屈強な騎士に見える。祈るよりも戦っている方が似合う容姿をしていた。
「おかえりまさいませ、神官長様!」
二人の神官の言葉にさっきまで言い争いをしていた貴族の青年は、取ってつけたような顔で姿勢良くハイスに向き直った。声を掛けられるまでそわそわとしていたが、すぐにハイスが芯の通った声で話しかけると敬礼をした。
「私はユリウス・ジラールと申します。ジラール伯爵家の次男です。お会い出来て光栄ですリンドブルム公爵閣下!」
「ここでは神官長と呼べ。だがあまり堅苦しいのは苦手なんだ。宜しくなユリウス。そしてお前は?」
ハイスの意識はすぐに赤い髪の青年に向いてしまう。ユリウスは面白くなさそうにその青年を睨み付けた。
「俺はアレクです。庶民の出なので名字はないです」
「良い名だな。して、見る限り揉めていたようだが、何か不手際でもあったのだろうか?」
「不手際などとんでもない事です! 相部屋となったアレクと今から共に部屋に向かう所でした」
「誰かと同室はいいぞ、神官の朝は早いから相手がいれば起こしてもらえる。俺も何度叩き起こされたことか」
「神官長は個室ではなかったのですか?」
「個室を与えられる者は基本的にいないよ。部屋数も足りていないんだ。でもただ単に部屋数が足りないから相部屋にするという訳ではないぞ。誰かと共に暮すという事は楽しくもあり時にぶつかる事もある。だからこそ修行になるんだよ。祈り以外の時間にも学ぶべきところは沢山あるんだ。きっと家では教えてくれない事だらけだろうから楽しみにしていてくれ」
不思議そうに目を丸くしているユリウスの表情がじわじわと変わっていく。そして先程とは打って変わって爛々とした視線をアレクに向けた。
「宜しくな、同志よ」
――同志?!
先輩神官やアレクの呆れに満ちた表情など意に介せず、ユリウスは一人分の荷物とは思えない山のような荷物を、そばで待機していた少年二人に合図をした。
「くれぐれも慎重に運んでくれよ」
「それにしても大層な荷物だな。それは全てユリウスのなのか? そしてアレクのはそれだけか?」
ハイスは二人の荷物を交互に見比べると小さく首を捻った。
「……まあ、とりあえずなにか不便があったらこの二人にいつでも言ってくれ。宜しく頼むぞ」
そう言って手綱を引いて歩き出すハイスの背に声を掛けたのはアレクだった。
「あの! 聖騎士団は活動休止中だと聞きました。そうなると聖騎士になる事も出来ないって事ですか? 俺は聖騎士団になりたくてここに来たんです」
「邪気なき今、国の治安は城の騎士や兵士、街の兵団達が守っているのは知っているだろう。なぜわざわざ八年も前になくなった聖騎士団に入りたいんだ?」
するとアレクは視線を伏せてから言った。
「いいんです、すみません。そもそも聖騎士にはなりたいといっても望んでなれるものじゃないですよね」
「そうだな。一朝一夕でなれるものでもないからまずは祈る事が大事だ。しかしもう二度と聖騎士の出番がない事を願っているよ」
アレクは少ない荷物を抱え直すを、声を出す代わりに頭を下げた。
182
お気に入りに追加
782
あなたにおすすめの小説
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
【完結90万pt感謝】大募集! 王太子妃候補! 貴女が未来の国母かもしれないっ!
宇水涼麻
ファンタジー
ゼルアナート王国の王都にある貴族学園の玄関前には朝から人集りができていた。
女子生徒たちが色めき立って、男子生徒たちが興味津々に見ている掲示物は、求人広告だ。
なんと求人されているのは『王太子妃候補者』
見目麗しい王太子の婚約者になれるかもしれないというのだ。
だが、王太子には眉目秀麗才色兼備の婚約者がいることは誰もが知っている。
学園全体が浮足立った状態のまま昼休みになった。
王太子であるレンエールが婚約者に詰め寄った。
求人広告の真意は?広告主は?
中世ヨーロッパ風の婚約破棄ものです。
お陰様で完結いたしました。
外伝は書いていくつもりでおります。
これからもよろしくお願いします。
表紙を変えました。お友達に描いていただいたラビオナ嬢です。
彼女が涙したシーンを思い浮かべ萌えてますwww
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。

約束していたことを8年が経って思い出した
あおくん
恋愛
魔法が好き。でも魔法は皆が使えない。
だからこそ魔法を使えたときに見せる、人の笑顔はもっと好きだった。
その笑顔が見たくてメアリーは魔道具を作る。たくさんたくさん作って、皆の笑顔をもっとみたいと奮闘した。
そんなメアリーは、ある日魔道具制作の実験で王家が所有する森に入ってしまった。
そこで出会った一人の男の子。
ギルとメアリーは友達になる。
次もまた必ず会いに来ると約束するメアリーは、帰宅したその日高熱を出して忘れてしまう。
そして8年後。
ギルの事を思い出したメアリーは再び王家の森へと侵入した。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
私達、政略結婚ですから。
黎
恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。
それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる