魔術師の恋〜力の代償は愛のようです〜

山田ランチ

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42 愛しているからこそ

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「それで、お前はいつまで意地を張っているつもりだ?」

 フランツィスは足を組んで頬杖を付きながら、頭から毛布に包まっているエーリカを見下ろしていた。コツコツとつま先を揺らしながら寝台を蹴り続けていると、いよいよもって登城する時間が近づいていた。

「陛下から結婚式の日取りについて相談されているんだ。お前ももう観念しろ」
「……お兄様が断って」
「それは無理だ!」
「そこをなんとか!」

 フランツィスは眼鏡を押し上げると、毛布を思い切り引き上げた。丸まっていたエーリカが驚いたように目を見開いている。

「認めたくはないがお前は陛下をお慕いしていただろう? 当の本人が結婚すると言っているんだ。何をそんなに意固地になっている」
「今は望んでいないわ」
「お前の言い方だと、まるで魔力がないと無価値な人間のようだな」
「そんなつもりじゃない!」

 起き上がった目線と合わせるようにフランツィスが膝立ちになる。

「お前はもう自分の幸せを望んでいいんだ」
「でも私は魔力を手放してもいいと思ってしまったの。他の人にはない力があったのに!」
「……以前、父上からオルフェン殿がした事については聞いていた。正直オルフェン殿を殺してやりたかったよ。元々お前には魔力がなかったというじゃないか。だからそんなに苦しまなくていいんだ。それにお前はオルフェン殿にされた事を許せるのか?」
「分からないわ。許す許さないの一言では言い表せないくらいそばにいたもの。それに……もう魔力がない私なんて想像出来ない。だからきっとこうなる運命しかなかったんじゃないかって今は思っているの」
「受け入れているんだな」

 エーリカは答えずに微笑んだ。

「俺達家族はお前に幸せになって欲しいんだ。陛下との事は任せておけ」
「お兄様! あの、お父様達に会えないかしら。ご心配を掛けてしまったし、ご体調も気になるわ」

 するとフランツィスは勢いよく立ち上がった。

「よし、そうと決まれば陛下から休みをもぎ取ってくるぞ!」 
「でもお兄様は忙しいわよね? 何も一緒じゃなくていいのよ、私一人でも……」
「一人で行かせられる訳ないだろ! それに先延ばしにしていたら父上が召されてしまうかもしれないしな」
「冗談でもやめて」

 フランツィスは上機嫌で手を振ると部屋を出ていった。

 部屋の外に立っていたグレタは出てきたフランツィスに耳打ちをすると、屋敷の最奥にある部屋へと向かった。その部屋は、本来有事の際に逃げ込む為に作られていた。魔石も結界魔術師長のオルフェンが作ったものなので並大抵の魔術師には壊せる訳がなく、ましてや魔力を持たない者達では不可能。火事や屋敷が倒壊しても守られるくらいに部屋の守護は完璧で、まさかその部屋を敵国の皇太子を閉じ込める為に使う日が来るとは夢にも思わなかった。

 扉には石をはめ込む穴が開いている。その穴にグレタから寄越された魔石をはめると、扉は音もなく開いた。部屋の中では、ヘルムートは蹲り苦しんでいた。もがくように胸元を何度も掴んでいた痕跡が、伸びた服に見て取れる。部屋に入ってきた二人を見ると、白銀の髪の間からぎらついた目線を送ってきた。

「随分苦しそうだな。どこか病気なのか?」

 返事をしない代わりに口元を擦ると、膝をついて立ち上がった。

「薬が必要なら持ってこさせるが医者は呼ばないから自分でなんとかしろ」
「必要ない」

 ヘルムートは気怠そうにソファへ腰掛けた。

「エーリカはどうしている?」
「妹の名を軽々しく口にするな」
「いつも通りか?」
「答える義理はないな」

 虚ろな瞳がグレタに向く。目にかかった髪に気だるい雰囲気が妙に色っぽく、グレタは思わず見とれてしまっていた。するとヘルムートは呆れるように鼻で笑った。

「俺が気になるか?」

 驚いたフランツィスはヘルムートとグレタを見比べると、苛立ったようにグレタの腕を掴んで部屋を出た。

「どうかなさいましたか?」
「今後あいつへの世話は他のの“猫”達に任せろ。お前はあの部屋に入る事を禁じる」
「なぜですか! 仕事を外されるような失態は犯してません!」

 フランツィスは返事をせずに登城する為に馬車へと向かう。御者を無視して扉を勢いよく自分で閉めると、頭を抱えて座り込んだ。

「何をやっているんだ俺は」

 王城までの短い時間を後悔一杯に過ごすと、フランツィスはいつもの涼しい表情を取り繕って城内へと入っていった。




「本当に宜しいのですか? 休暇を頂いても?」

 あまりにひつこいフランツィスにクラウスは走らせていたペンを止めた。怪しんでくるその顔を迷惑そうに見返すと溜め息をついた。

「お前が欲しいと言ったんだろ? 確かに働き詰めだったからお前にも休息が必要だろ」
「しかし多忙なのは陛下の方です。ですが今回はありがたく頂戴致します。してその真意は?」

 クラウスは少し前に身を乗り出した。

「帰郷したついでに、お前の両親にエーリカとの結婚の話を通してきて欲しい」
「それさついでに話す話題ですかね?」
「とにかく私は王都を離れられないし、かといって病で伏せっているヨシアスを呼びつけるのも忍びない」
「そもそもエーリカは承諾していません」
「なぜこうも頑なに拒絶されるのか理解できない」
「本当に結婚したいのなら強引にでもしてしまえばいいのです」

 するとクラウスは驚いたように目を見開いた。

「まさかお前の口からそんな言葉が出てくるとは思いもしなかったな。そんな事をしてお前はいいのか? あれだけ妹を溺愛しているというのに」

 溺愛という言葉に若干頬を引き攣らせながらも、フランツィスは冷静な態度で止まっていた手を動かし始めた。

「まあそんな事をすればアインホルン家が敵に回りますけどね。もちろん妹の意思を尊重して下さるのなら感謝致します」
「……何かあったのか? 今日のお前はいつもにも増して嫌な奴だな。言われなくてもそんな事はしない。エーリカには望んで結婚してほしいんだ」
「あなた達も大概拗らせていますね」

 不思議そうな顔をするクラウスの事は無視をして、休暇に向けて仕事を片付けるべく書類の山に手を伸ばした。

「そろそろアレク様にも公務に参加して頂きましょうか? 間もなく行われる成人の儀式を過ぎたら、正式にここへ迎え入れては?」
「ああそうだな。考えておこう」

 歯切れの悪いクライスが気になりながらも、目の前の休暇、家族団欒というご褒美に今は目を瞑る事にした。




 パールとぶつかるような口付けをしてから一週間。アレクは全く姿を見せなくなったパールの行方を確かめるべく、登城するヴォルフ侯爵を待ち構えていた。
 会議が終わった所で前に飛び出した。突然出てきたにも関わらず、ヴォルフは驚きもせず笑っていた。

「朝からずっと私のそばをうろうろしていたようですが、何か御用でしたかな?」

 ばれていたのかと気恥ずかしさを滲ませながら、一週間溜め込んでいた思いをヴォルフにぶつけた。

「パールはどうしている? 最近姿をみかけないようだが」
「今別邸で家庭教師を付けて勉強しているのです。異国の教師に習うのもまた大きな学びになりますからな。もう少ししたら国に帰るのですが、殿下には大変お世話になりました」
「パールが帰る? それはいつだ?」
「まだ日程は決まっておりませんが、そうですね、今月中には……」
「ヴォルフ侯爵の別邸に邪魔してもいいか? 僕もパールと一緒に学びたい」
「我が家で雇っている家庭教師が殿下に教鞭をとるなど恐れ多い事でございます。ただ、今回もパールの話し相手になってくださると言うのであればいいでしょう」

 するとアレクの顔には花が咲いたように綻んだ。

「私はまだ仕事がございますので、我が家の馬車をお使い頂いて構いません」
「恩に着るぞ、ヴォルフ侯爵!」

 話しながら走り去るその背を見ながら、ヴォルフは口髭を擦った。

「十二分に恩に着てくださる事を期待していますよ」

 誰にも聞こえない声で言うと、廊下を歩き出した。


 アレクを乗せた馬車はヴォルフ侯爵家別邸へと到着した。その時、外では喚き散らす声が響いていた。確認する間もなく馬車の扉が開かれる。そこには顔を真っ赤にしたヴォルフ侯爵夫人が今にも飛びかかろうとしている所だった。ヴォルフ侯爵夫人も、中にいると思っていたはずの人物がいない事に拍子抜けしたようで、扉に手を掛けたまま固まっていた。

「ごきげんよう、ヴォルフ侯爵夫人」
「……アレク殿下?」

 言葉にして目の前にいるのが誰なのか悟ったヴォルフ侯爵婦人は、すぐに飛び退くと深く頭を下げた。肉付きのよい肩がカタカタと震えている。アレクは訳が分からないまま取りあえず馬車を降りると、震える夫人に声を掛けた。

「あなたはヴォルフ侯爵と間違えた、という事でいいかな?」
「仰る通りでございます。まさか殿下が乗っていらっしゃるとは夢にも思わず、大変失礼致しました」
「まあしょうがないよね。あなたの家の馬車なんだからさ。でもどうしてそこまでヴォルフ侯爵に怒っているのか聞いてもいい?」

 すると夫人は言いにくそうに押し黙った後、意を決したように顔を上げた。

「実は、とある商家の娘を預かっているのですが、その娘を、その、うちの主人が特別に可愛がっていると耳にしまして」

 最後の方が聞こえなかったが、それは間違いなくパールの事だった。しばらく理解出来なかったアレクだったが、思わず笑い出していた。

「その子の事なら僕も知っているよ。ヴォルフ侯爵の紹介で友達になったんだ」
「殿下のお友達でございますか?」
「そ実は今日もヴォルフ侯爵から話し相手になってほしいと頼まれて来たんだ。王城に居る時もずっと一緒に勉強をしていたしね」
「それでは、あの娘は主人と一緒に登城はしていたけれど、ずっと殿下と共に過ごしていたと?」

 アレクは盛大に頷いてみせた。みるみるうちに夫人の顔が青くなっていく。嫌な予感がして屋敷に目をやった。

「わ、私は、もしかしたら勘違いを……」

 言葉半分に走り出すと、アレクは屋敷に飛び込んだ。

「パール! パールどこだ!」

 しかし屋敷の中は静まり返っている。使用人を捕まえるとパールの居場所を問い詰めた。

「二階の、奥の部屋でございます」

 階段を駆け上がり、突き当りの部屋は僅かに開いていた。恐る恐る扉に手を掛けると、アレクは部屋の中を見て立ち尽くした。中は荒れに荒れ、棚は倒され、床には破られた紙が散乱している。窓硝子にはひびが入っていた。

「パール?」

 部屋の中には見当たらない。部屋の中をゆっくりと歩いて、カーテンの下で蹲るパールを見つけた。

「パール? 大丈夫か?」

 驚いて見上げたパールの白い頬は腫れ上がり、口端は切れているのか血が出ている。美しく長かった髪は無残にも切られ、床に散らばっていた。パールは涙を一杯溜めた瞳でアレクを見上げた。

「見ないで下さい! 出ていって!」

 しかしアレクはそっと膝を突くと、パールの肩に触れ、そのままそっと肩を引き寄せた。

「城に行こう。僕が守るから何も心配はいらないよ」
「無理です! 奥様に殺されてしまいます!」
「夫人は君と侯爵の関係を疑っていたようだけど、なぜそんな事になってしまったのか」
「私が別邸でお世話になっていたからです。旦那様はお忙しい時は王城や近くの別邸に泊まられると仰っておりましたから、きっと勘違いなさったのです」
「酷すぎる。僕から夫人に……」
「待って下さい! 奥様はただ旦那様を愛していただけだと思うんです。だから責めないで下さい。そのお気持ちは、私も分かりますから」

 そういって潤んで見上げてきた瞳を見た瞬間、アレクの中で初めての感覚が弾けた。

「僕と一緒に城に行き、今後の身の振り方について考えよう。本当は君を実家に帰してあげた方がいいのだろうけどこれは僕のわがままだ」
「アレク様、私嬉しい」

 そう言うとそっと胸に顔を擦り寄せた。パールを横抱きにしたアレクは、脱いだ自分の上着を掛けるように言った。本当は部屋にあるシーツでも良かったが、この方が夫人への見せしめになると考えての事だった。案の定、夫人は第二王子と娘の関係を知り、青い顔のまま床に座り込んでいた。

「今後一切パールに関わるな。もし破ればお前を裁くのは第二王子だという事を忘れるなよ」

 夫人は声も出せぬまま、コクコクと頷いた。

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