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15 招かれざる訪問者
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明け方に視察から戻ったクラウスは、さすがの疲労で自室のソファに倒れ込んでいた。
馬車ではなく馬を走らせてきたせいで砂埃にまみれた体は汗臭ったが、起き上がる気にはなれなかった。嘆願書が上がってきた被害状況の把握を各領主を伴って視察をしたが、どこの領主も細かい部分は魔獣の被害だとは認めず、減税の約束を取り付けられたのは第一王子派の貴族達だけだった。渋っていたのは第二王子のアレクを次代の王にと目論む貴族達だった。その後ろにはとある貴族の重鎮が控えている。その者の顔を思い出すと重苦しい溜息が出た。
「俺だって、返上出来るならしているさ」
目を腕で隠し、誰もいない部屋で悪態をつく。苛立ちが募っても吐き出す場所がなかった。
エーリカとの婚約はアレクを王にと担ぎ上げようとする貴族を黙らせるのに効果的な方法の一つだった。アインホルン侯爵家は建国の時代から王家に仕える由緒正しき貴族。その後ろ盾を得て王になる為にはエーリカの存在は必要不可欠だった。
「……きっとそう思われているだろうな」
アインホルン侯爵家もエーリカも、クラウスがそんな打算的な考えからこの結婚を受け入れたと思っているに違いない。再び憂鬱な溜息が溢れた時、扉が叩かれ控えめな声が聞こえた。
「湯の準備が出来ております」
返事をしないでいると、今度は更に強めに叩かれた。
「今行く」
重たい頭を振るように部屋を出ると、たまに見かける侍女は少し離れて付いてきた。もともと騎士団の寮か執務室に寝泊まりしている為、あまり自室には戻らないので自分付きの侍女が分からない。名前も分からない侍女は顔を上げないまま、着替えの手伝いをしてきた。
「深夜ゆえ私一人でございます。ご容赦くださいませ」
「構わない。俺が誰も起こさなくていいと言ったんだ」
服を脱ぎ、湯に入ると疲れが解れていく気がする。目を瞑っていると不意に目に温かい布が置かれた。同時に花の香りもしてくる。
「こうしていると目の疲労が取れます。こちらの香も疲労回復によいのですよ」
「確かにこの香りも、目を温めるのも良いものだな」
伸ばしていた指先にぬるりとしたものが伸び、引っ込めようとした腕をやんわりと押さえられた。
「汗を流させて頂きます。どうぞごゆっくりとお寛ぎ下さい」
いつもなら断るが、今は疲労のせいで意識が朦朧としていた。女性の細い指が泡を纏って腕を撫で、脇の下を通り、首から肩を洗い上げていく。心地の良さにクラウスは思わず息を漏らした。特に頭を洗われるのは眠ってしまいそうな程に心地良かった。
「宜しければお体を洗わせて頂きます」
「いや、もう大丈夫だ。お前も遅い時間にすまなかったな。もう下がれ」
「恐れながらそのようにお疲れの殿下をお一人には出来ません。お体を洗わせて頂きましたらすぐに下がります」
「もういいと言っただろ」
すると背中に侍女が擦り寄ってきた。
「殿下を癒やして差し上げたいのです」
その時、ふと甘い香りが鼻を掠めた。
「媚薬か」
焚かれた香の中に媚薬が混じっていたのだろう。ずくりと熱くなり出した体に拳を握り締めた。
「殿下は何もされなくて構いません。私が……」
侍女が自分の胸元に手を掛けた瞬間、クラウスは一気に立ち上がり侍女の後頭部を掴んだ。侍女は嬉しそうに頬を緩ませる。しかし次の瞬間、引き離され床に投げられた。弾みで大きな胸が揺れる。クラウスはガウンを纏うと侍女を見下した。身体は怠く、気を抜けば膝を突いてしまいそうだった。
「誰の差し金だ」
「誤解です! 誰の差し金でもございません!」
「俺の子種をその腹に注がれれば妾になれるとでも唆されたか」
「滅相もございません! 私は本当にただ殿下を癒やして差し上げたく参っただけでございます」
「もしそれが本当だとしたらお前は死罪だぞ。王族に薬を盛り、子種を奪おうとした」
侍女は事の重大さに体を震わせ始める。はだけた胸を隠そうともせず、床に額を擦り付けた。
「申し訳ございません! ですが私の父は子爵の位を頂戴しております。あの男爵令嬢などよりよほど殿下と身分が釣り合います!」
「またミラか」
クラウスは溜息をつくと、侍女の前に一歩進んだ。
「この事は他言無用で城を去れ。そうすれば何もなかった事にしてやる。朝になってもまだ城にいたなら、お前も父親も捕らえるぞ」
侍女は体を硬直させて体を震わせていた。
「返事をしないのであればこの譲歩はなしだ」
「……仰せのままに、致します」
クラウスはすっかり冷めた体のまま部屋へと戻っていった。
媚薬はまだ抜け切らず、疼きは体に溜まっていた。いけないと分かっていてもエーリカの夜着を思い出してしまう。そして夜着は執務室だと気が付いて舌打ちをした。夜着がないまま、今ここで自身を慰めてはあの侍女に欲情した事になってしまう。あの侍女を思って自分を慰めるくらいならいっそ娼館にでも行ってしまおうかと過ぎったが、固く目を瞑り歯を食い縛った。僅かに興奮が治まったすきに制服に着替えると、剣を振るべく真夜中の訓練場へと向かった。
エーリカは胸を弾ませながら、昼過ぎに届いたクラウスからの贈り物の箱を眺めていた。
「早くお開けなさい!」
同じくらい楽しみにしているのか、母親も興奮して大きな包みの前に並んでいる。もう少し放置したら自ら開けてしまいそう勢いで箱を見つめていた。
「一体どんな素敵なドレスなのかしら。ほらもったいぶらないで開けて頂戴」
箱は上品なクリーム色で、かけられたリボンも取っておきたくなる程の素敵なレースのリボンだった。丁寧に外し上蓋を外す。
中から出てきたのは、美しい春の草原のような若草色のドレスだった。
「あら、青ではないのね。でもとても素敵よ」
僅かに気落ちして箱の中を覗くと、箱はもう一つ入っていた。ベルベットの生地が貼られた小さな箱は宝石が入っているのだとすぐに分かる。開けてみると、薄い青色が綺麗な耳飾りと揃いの首飾りが入っていた。とても上品な大きさでクラウスの品の良さを表している。そして何よりこの色はクラウスの瞳の色と同じ、薄青色の透明感のある美しい宝石だった。感動が込み上げてきて悲鳴を上げそうになったところで、母親の方が涙を流していた。
「お母様? どうしたの?」
「まさかクラウス殿下から贈り物を頂ける日が来るなんて。あなた昔からクラウス殿下をお慕いしていたでしょう。こんなに嬉しい事はないわ」
――昔から?
確かクラウスを目で追い始めたのは四、五年前くらいからだった。誰にも気付かれないように盗み見ているだけだと自分では思っていたのに母親にも気付かれていたのなら、クラウスにも気付かれていたかもしれない。そう思うと別の意味で発狂しそうになっていた。
「ほらほら! 早く着替えていらっしゃい」
気を取り直してアンに手伝ってもらい、ドレスを着て宝石を付けると思わず溜息が漏れた。ドレスの大きさはまるで自分の体にぴたりとはまったように丁度良かった。
「きっとアルゴ様が仰っていたドレスはサイズが合わなそうだったのね。その色もあなたの髪の色に合っていてとても素敵よ」
エーリカは鏡を見つめたまま固まっていた。自分の為にクラウスが用意してくれた物を身に着けている。それがドレスだとか宝石だからとかでは決してない。どんなものでもクラウスが時間を割き、自分の事を考えて選んでくれたという事が嬉しくて堪らなかった。思わず溢れた涙に気付いたアンが慌ててハンカチを持ってくる。しばらくは涙が止まらなくて泣き笑いをした。
クラウスは寝不足のまま、夜会用の衣装に袖を通した所で扉が叩かれた。
「入れ」
短く言うと、騎士は要件だけを告げてきた。その途端勢いよく部屋を飛び出していた。王の間には国王と宰相のヨシアス、そして見知らぬ異国の服を纏った男達が立っていた。
乱していた息を整えながら足早に進んでいくと、国王は手で側に来るように合図をしてきた。男達は三人。たった三人なのに放たれる殺気に肌がピリピリと痛む。まるで戦場で軍隊と対峙している気分のまま向かい合うように立った。
「第一王子のクラウス・ベルムート・アメジストだ。息子よ、この者達はヴィルヘルミナ帝国の使者達だ」
「クラウス殿下に置かれましては数々の素晴らしき功績が我が国にも轟いております。お会いでき光栄にございます」
「私の功績というならば、そなた達にとっては失態の過去ではないだろうか」
国王は眉を上げたが、様子を見るように使者達を見返した。
「まさに仰る通りでございます。しかし過去は過去。まずは我が皇帝よりお預かり致しました書状にお目をお通し下さいませ」
国王はすでに目を通していた書状を渡す直前、小さく呟いた。
「取り乱すでないぞ」
クラウスは内容に視線を走らせるなり、書状をぐしゃりと握り締めた。
馬車ではなく馬を走らせてきたせいで砂埃にまみれた体は汗臭ったが、起き上がる気にはなれなかった。嘆願書が上がってきた被害状況の把握を各領主を伴って視察をしたが、どこの領主も細かい部分は魔獣の被害だとは認めず、減税の約束を取り付けられたのは第一王子派の貴族達だけだった。渋っていたのは第二王子のアレクを次代の王にと目論む貴族達だった。その後ろにはとある貴族の重鎮が控えている。その者の顔を思い出すと重苦しい溜息が出た。
「俺だって、返上出来るならしているさ」
目を腕で隠し、誰もいない部屋で悪態をつく。苛立ちが募っても吐き出す場所がなかった。
エーリカとの婚約はアレクを王にと担ぎ上げようとする貴族を黙らせるのに効果的な方法の一つだった。アインホルン侯爵家は建国の時代から王家に仕える由緒正しき貴族。その後ろ盾を得て王になる為にはエーリカの存在は必要不可欠だった。
「……きっとそう思われているだろうな」
アインホルン侯爵家もエーリカも、クラウスがそんな打算的な考えからこの結婚を受け入れたと思っているに違いない。再び憂鬱な溜息が溢れた時、扉が叩かれ控えめな声が聞こえた。
「湯の準備が出来ております」
返事をしないでいると、今度は更に強めに叩かれた。
「今行く」
重たい頭を振るように部屋を出ると、たまに見かける侍女は少し離れて付いてきた。もともと騎士団の寮か執務室に寝泊まりしている為、あまり自室には戻らないので自分付きの侍女が分からない。名前も分からない侍女は顔を上げないまま、着替えの手伝いをしてきた。
「深夜ゆえ私一人でございます。ご容赦くださいませ」
「構わない。俺が誰も起こさなくていいと言ったんだ」
服を脱ぎ、湯に入ると疲れが解れていく気がする。目を瞑っていると不意に目に温かい布が置かれた。同時に花の香りもしてくる。
「こうしていると目の疲労が取れます。こちらの香も疲労回復によいのですよ」
「確かにこの香りも、目を温めるのも良いものだな」
伸ばしていた指先にぬるりとしたものが伸び、引っ込めようとした腕をやんわりと押さえられた。
「汗を流させて頂きます。どうぞごゆっくりとお寛ぎ下さい」
いつもなら断るが、今は疲労のせいで意識が朦朧としていた。女性の細い指が泡を纏って腕を撫で、脇の下を通り、首から肩を洗い上げていく。心地の良さにクラウスは思わず息を漏らした。特に頭を洗われるのは眠ってしまいそうな程に心地良かった。
「宜しければお体を洗わせて頂きます」
「いや、もう大丈夫だ。お前も遅い時間にすまなかったな。もう下がれ」
「恐れながらそのようにお疲れの殿下をお一人には出来ません。お体を洗わせて頂きましたらすぐに下がります」
「もういいと言っただろ」
すると背中に侍女が擦り寄ってきた。
「殿下を癒やして差し上げたいのです」
その時、ふと甘い香りが鼻を掠めた。
「媚薬か」
焚かれた香の中に媚薬が混じっていたのだろう。ずくりと熱くなり出した体に拳を握り締めた。
「殿下は何もされなくて構いません。私が……」
侍女が自分の胸元に手を掛けた瞬間、クラウスは一気に立ち上がり侍女の後頭部を掴んだ。侍女は嬉しそうに頬を緩ませる。しかし次の瞬間、引き離され床に投げられた。弾みで大きな胸が揺れる。クラウスはガウンを纏うと侍女を見下した。身体は怠く、気を抜けば膝を突いてしまいそうだった。
「誰の差し金だ」
「誤解です! 誰の差し金でもございません!」
「俺の子種をその腹に注がれれば妾になれるとでも唆されたか」
「滅相もございません! 私は本当にただ殿下を癒やして差し上げたく参っただけでございます」
「もしそれが本当だとしたらお前は死罪だぞ。王族に薬を盛り、子種を奪おうとした」
侍女は事の重大さに体を震わせ始める。はだけた胸を隠そうともせず、床に額を擦り付けた。
「申し訳ございません! ですが私の父は子爵の位を頂戴しております。あの男爵令嬢などよりよほど殿下と身分が釣り合います!」
「またミラか」
クラウスは溜息をつくと、侍女の前に一歩進んだ。
「この事は他言無用で城を去れ。そうすれば何もなかった事にしてやる。朝になってもまだ城にいたなら、お前も父親も捕らえるぞ」
侍女は体を硬直させて体を震わせていた。
「返事をしないのであればこの譲歩はなしだ」
「……仰せのままに、致します」
クラウスはすっかり冷めた体のまま部屋へと戻っていった。
媚薬はまだ抜け切らず、疼きは体に溜まっていた。いけないと分かっていてもエーリカの夜着を思い出してしまう。そして夜着は執務室だと気が付いて舌打ちをした。夜着がないまま、今ここで自身を慰めてはあの侍女に欲情した事になってしまう。あの侍女を思って自分を慰めるくらいならいっそ娼館にでも行ってしまおうかと過ぎったが、固く目を瞑り歯を食い縛った。僅かに興奮が治まったすきに制服に着替えると、剣を振るべく真夜中の訓練場へと向かった。
エーリカは胸を弾ませながら、昼過ぎに届いたクラウスからの贈り物の箱を眺めていた。
「早くお開けなさい!」
同じくらい楽しみにしているのか、母親も興奮して大きな包みの前に並んでいる。もう少し放置したら自ら開けてしまいそう勢いで箱を見つめていた。
「一体どんな素敵なドレスなのかしら。ほらもったいぶらないで開けて頂戴」
箱は上品なクリーム色で、かけられたリボンも取っておきたくなる程の素敵なレースのリボンだった。丁寧に外し上蓋を外す。
中から出てきたのは、美しい春の草原のような若草色のドレスだった。
「あら、青ではないのね。でもとても素敵よ」
僅かに気落ちして箱の中を覗くと、箱はもう一つ入っていた。ベルベットの生地が貼られた小さな箱は宝石が入っているのだとすぐに分かる。開けてみると、薄い青色が綺麗な耳飾りと揃いの首飾りが入っていた。とても上品な大きさでクラウスの品の良さを表している。そして何よりこの色はクラウスの瞳の色と同じ、薄青色の透明感のある美しい宝石だった。感動が込み上げてきて悲鳴を上げそうになったところで、母親の方が涙を流していた。
「お母様? どうしたの?」
「まさかクラウス殿下から贈り物を頂ける日が来るなんて。あなた昔からクラウス殿下をお慕いしていたでしょう。こんなに嬉しい事はないわ」
――昔から?
確かクラウスを目で追い始めたのは四、五年前くらいからだった。誰にも気付かれないように盗み見ているだけだと自分では思っていたのに母親にも気付かれていたのなら、クラウスにも気付かれていたかもしれない。そう思うと別の意味で発狂しそうになっていた。
「ほらほら! 早く着替えていらっしゃい」
気を取り直してアンに手伝ってもらい、ドレスを着て宝石を付けると思わず溜息が漏れた。ドレスの大きさはまるで自分の体にぴたりとはまったように丁度良かった。
「きっとアルゴ様が仰っていたドレスはサイズが合わなそうだったのね。その色もあなたの髪の色に合っていてとても素敵よ」
エーリカは鏡を見つめたまま固まっていた。自分の為にクラウスが用意してくれた物を身に着けている。それがドレスだとか宝石だからとかでは決してない。どんなものでもクラウスが時間を割き、自分の事を考えて選んでくれたという事が嬉しくて堪らなかった。思わず溢れた涙に気付いたアンが慌ててハンカチを持ってくる。しばらくは涙が止まらなくて泣き笑いをした。
クラウスは寝不足のまま、夜会用の衣装に袖を通した所で扉が叩かれた。
「入れ」
短く言うと、騎士は要件だけを告げてきた。その途端勢いよく部屋を飛び出していた。王の間には国王と宰相のヨシアス、そして見知らぬ異国の服を纏った男達が立っていた。
乱していた息を整えながら足早に進んでいくと、国王は手で側に来るように合図をしてきた。男達は三人。たった三人なのに放たれる殺気に肌がピリピリと痛む。まるで戦場で軍隊と対峙している気分のまま向かい合うように立った。
「第一王子のクラウス・ベルムート・アメジストだ。息子よ、この者達はヴィルヘルミナ帝国の使者達だ」
「クラウス殿下に置かれましては数々の素晴らしき功績が我が国にも轟いております。お会いでき光栄にございます」
「私の功績というならば、そなた達にとっては失態の過去ではないだろうか」
国王は眉を上げたが、様子を見るように使者達を見返した。
「まさに仰る通りでございます。しかし過去は過去。まずは我が皇帝よりお預かり致しました書状にお目をお通し下さいませ」
国王はすでに目を通していた書状を渡す直前、小さく呟いた。
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