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第27話

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「光明神ルクスベル――。
 光差す天界の主にして、安らかなる魂の守護者よ――。
 異界の転生者にして聖女のクラスを与えら れし、ユースフィアが請い願う――。
 死者の理を外れし、哀れなる男女――。
 1人はベルディナット・ヴァン・アンサルディ――。
 もう1人はコレット・ロゼ・ネフライト――。
 さまよえる彼らの魂を、あなたの御許たる天界まで誘い、導きたまえ――」



 姉さんがルクスベルへ祈りを捧げていると、唐突に王子の頭が動いた。

 一言、二言、僕らには届かない程度の声音で、コレットさんにだけ何かを告げる。


「どうしたの、ベルディナット……ああ、ええ、そう、そうだったわね。私の方が忘れているだなんてダメね」


 コレットさんが姉さんを見やった。


「ユースフィアさん」

「はい?」

「その手の甲のアザ――いえ、紋章を、私は自国の王宮で見たことがあります。もし気になるようでしたら、一度隣国――グリンスフェンを訪ねてみるといいかもしれません」


 まさか、こんなところで姉さんのアザの秘密の一端が明らかになるなんて……。


「それとトール・アンデックスさん。これはただのお節介かもしれませんが、いつか後悔しないよう、すれ違わぬよう、正直に伝えた方がいいこともあります。私たちのような過ちを繰り返さないよう祈っております」


 王子と令嬢が手を取り合った。



『2人とも、本当にお世話になりました。ありがとう、さようなら――』



 こうして、黒衣の王子ベルディナットとコレットさんは、白銀の光の中に溶けるように消えていった。

 細かな光の粒が天に昇っていく。

 どこか、スラッシュが浄化されたときと似ていると感じた。

 そして、魔法の光に照らされた暗闇と静寂だけが残された。
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