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第11話
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「きっとあなたはパーティのマスコット的な存在になるのね。それで、いずれは強力なスキルを身に着けてわたしたちをサポート。大活躍するようになるのよ!」
「スライモってそんな強くなるのかな? でも姉さんのペットだからなあ……」
意外性の塊に見えてきた。
すると、
『ピ、ピピィィィ――ッ!』
「え? え? な、何が起きたのよ、スラッシュ!?」
茂みの中から、ホーンラビットがガサゴソ草をかき分けながら姿を見せた。
「か、かわいい!」
「姉さん、かわいいけど魔物だからね!」
どれだけかわいかろうと、額に角の生えた大きなウサギは魔物の一種でしかない。
こちらの一瞬の油断を突いて襲ってきた。
聖女らしく、手に杖の一本でも持っていればよかったんだろうけど、それすらない姉さんは、ホーンラビットの体当たりを必死に手で食い止める。
「くっ!」
「ユフィ姉さん!? ……それは燃え走る炎の射手!」
炎の矢の魔法がホーンラビットに突き刺さる。突き刺さった箇所から炎が噴き上がり、全身が焼け焦げた。
「やったかな……?」
すると、新たに草むらからもう一匹のホーンラビットが姿を現す。
「姉さん危ない!」
『ピィィ――ッ!』
角を前に突撃する大ウサギを、スライモが体当たりで食い止めた。
「ナイス、スラッシュ!」
『ピィィ!』
スライモとの連携。
スラッシュと入れ替わりながら、僕は護身用のナイフを引き抜くと、ホーンラビットの急所――首の付け根に刃を突き刺し、一撃で仕留めた。
「おおっ、やるわねトール」
「なんだかんだで、スライモと並んで弱い魔物の代表格だからねぇ」
やはり食用になるから、狩人にとっては最良の獲物の一匹でもある。
「って、それより姉さん手は大丈夫?」
赤く血が滲んでいる。
「ううっ……わたしは今日、一つの真実を知ったわ。自分が痛いと、痛みで集中できないからヒールが使えない!」
「スライモってそんな強くなるのかな? でも姉さんのペットだからなあ……」
意外性の塊に見えてきた。
すると、
『ピ、ピピィィィ――ッ!』
「え? え? な、何が起きたのよ、スラッシュ!?」
茂みの中から、ホーンラビットがガサゴソ草をかき分けながら姿を見せた。
「か、かわいい!」
「姉さん、かわいいけど魔物だからね!」
どれだけかわいかろうと、額に角の生えた大きなウサギは魔物の一種でしかない。
こちらの一瞬の油断を突いて襲ってきた。
聖女らしく、手に杖の一本でも持っていればよかったんだろうけど、それすらない姉さんは、ホーンラビットの体当たりを必死に手で食い止める。
「くっ!」
「ユフィ姉さん!? ……それは燃え走る炎の射手!」
炎の矢の魔法がホーンラビットに突き刺さる。突き刺さった箇所から炎が噴き上がり、全身が焼け焦げた。
「やったかな……?」
すると、新たに草むらからもう一匹のホーンラビットが姿を現す。
「姉さん危ない!」
『ピィィ――ッ!』
角を前に突撃する大ウサギを、スライモが体当たりで食い止めた。
「ナイス、スラッシュ!」
『ピィィ!』
スライモとの連携。
スラッシュと入れ替わりながら、僕は護身用のナイフを引き抜くと、ホーンラビットの急所――首の付け根に刃を突き刺し、一撃で仕留めた。
「おおっ、やるわねトール」
「なんだかんだで、スライモと並んで弱い魔物の代表格だからねぇ」
やはり食用になるから、狩人にとっては最良の獲物の一匹でもある。
「って、それより姉さん手は大丈夫?」
赤く血が滲んでいる。
「ううっ……わたしは今日、一つの真実を知ったわ。自分が痛いと、痛みで集中できないからヒールが使えない!」
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