【完結】異世界の記憶を思い出した幼馴染で自称(大)聖女の姉が「魔王退治に行く!」と言い出しました。

野良豆らっこ

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第3話

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 彼女が家にやってきたのは、僕が5歳のころでした。

 ゴブリン退治を依頼した冒険者のパーティが、道中で襲われた馬車を発見。その生き残りだったそうです。

 彼女が覚えているのは自分の名前だけ。

 家名もわからない。

 事件のショックでそれまでの記憶を失っていたのです。


「大きな街のギルドにも報告しておく」

 という話だったのですが、その後は音沙汰なし。

 しかも「そのうち迎えに来るだろう」と思われていたので、家名がないまま。

 名前しかない。

 正確な年齢もわからないので――だから彼女は姉と言い張っている――僕と同い年で同じ誕生日という扱いのまま。

 今ではすっかり村の一員です。

 そんなある日のこと。

 15歳を迎えた僕らは、成人の儀式を受けるため、2人でアンサルドの街にある職業神の神殿に向かいました。
 すると彼女は、成人の儀式で『聖女』のクラスに選ばれたのです。

 それどころか、


「トール、私、前世の記憶を思い出したわ! 魔王を倒す使命を帯びて、この世界に降臨? 異世界転生したのよっ!!」


 うん、彼女――いや姉さんを、早くどうにかしないと!
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