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第1章 追放
6夜
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「一応、前任者様に見送りの挨拶ぐらいしてやろうと思ってよ」
なんだ、意外といいところもあるんだな、と思っていたら、近づいてきたデイモスは腰の聖界剣を引き抜いた。
縦に一閃する。
咄嗟に横に転がって避けた。
「何をするんだ!?」
「チッ、試し切りをするのにちょうどいいと思ったんだがよ。逃げるのだけは上手いようじゃねぇか、えぇ? ギーさんよ」
「どうしてこんなこと……」
「オメェがいると邪魔なんだよッ!」
「もう出て行くんだからいいだろ! 城には近づかないし」
「そーいうことじゃねぇんだよな。オメェが生きてると、アルクの野郎の顔を忘れねぇ奴らが多いだろ」
「そんな……」
「俺はな、アルクの野郎が大嫌いだったんだよッ! どれだけ俺が魔物を退治したところで、全てあの野郎の手柄になっちまう。まったく割に合わねぇ」
「それは……」
ギーだって思わないことはなかった。
「だからよ、あの鼻持ちならねぇ野郎が死んだって聞いたときは、せいせいしたもんだ。これからは、これまでアイツが手に入れてきた名誉も名声も全て俺様のものにしてやる」
「デイモス……」
「あとはオメェさえいなくれば、この剣も、この国も、あの聖王女だって俺のもんだ。知ってたか? アルクとククナリが男と女の関係だったってよ。俺も早くあの肢体を直に拝みたいね」
「なっ!?」
「何だ、オメェもククナリに惚れていた口か? そうだよな、あの女、外面もいいし、顔と体つきだけは聖女に相応しいもんな! ヒャハハハ!」
「くそっ……」
ギーの手元にあるのは護身用の短剣だけ。
「おっと、からかい過ぎたか。オメェも本気になりそうだしよ、さっさと済ますか。俺様はこれ以上話しこんで時間をかけて、人が来るようなヘマはしねぇよ。こーいうときは速やかにやるもんだ。とっとと死ねやっ!」
なんだ、意外といいところもあるんだな、と思っていたら、近づいてきたデイモスは腰の聖界剣を引き抜いた。
縦に一閃する。
咄嗟に横に転がって避けた。
「何をするんだ!?」
「チッ、試し切りをするのにちょうどいいと思ったんだがよ。逃げるのだけは上手いようじゃねぇか、えぇ? ギーさんよ」
「どうしてこんなこと……」
「オメェがいると邪魔なんだよッ!」
「もう出て行くんだからいいだろ! 城には近づかないし」
「そーいうことじゃねぇんだよな。オメェが生きてると、アルクの野郎の顔を忘れねぇ奴らが多いだろ」
「そんな……」
「俺はな、アルクの野郎が大嫌いだったんだよッ! どれだけ俺が魔物を退治したところで、全てあの野郎の手柄になっちまう。まったく割に合わねぇ」
「それは……」
ギーだって思わないことはなかった。
「だからよ、あの鼻持ちならねぇ野郎が死んだって聞いたときは、せいせいしたもんだ。これからは、これまでアイツが手に入れてきた名誉も名声も全て俺様のものにしてやる」
「デイモス……」
「あとはオメェさえいなくれば、この剣も、この国も、あの聖王女だって俺のもんだ。知ってたか? アルクとククナリが男と女の関係だったってよ。俺も早くあの肢体を直に拝みたいね」
「なっ!?」
「何だ、オメェもククナリに惚れていた口か? そうだよな、あの女、外面もいいし、顔と体つきだけは聖女に相応しいもんな! ヒャハハハ!」
「くそっ……」
ギーの手元にあるのは護身用の短剣だけ。
「おっと、からかい過ぎたか。オメェも本気になりそうだしよ、さっさと済ますか。俺様はこれ以上話しこんで時間をかけて、人が来るようなヘマはしねぇよ。こーいうときは速やかにやるもんだ。とっとと死ねやっ!」
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