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51・マーク
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ホテルに戻って、ブラインド レディとメイドは話し合う。
メイドがマークについての調査報告をする。
「廃屋にあったマークは、梵字には存在しませんでした。
おそらくはただの落書きでしょう。わたくしがどこかで見たような気がしたのは、ただの気のせいだったのでしょうか。デジャブとかいうもので」
ブラインド レディも、以前 住んでいた人間の調査を終えた。
「あの廃屋に住んでいた者に、無理心中した家族などいないわ。住んでいた家族の名前も違う。
廃屋になったのは平成になってから。今は売りに出されて、買い手が付くのを待っている状態ね」
メイドは、お嬢さまより先に結論を出す。
「これは、どう考えても 外れです。
首つりは ただの自殺者で、幽霊の目撃情報は ばらばら。ですので、状況からの思い込みによる、錯覚だったとしか」
ブラインド レディも納得した様子。
「まあ、そんなことだろうとは思っていたけれど」
ブラインド レディは短く嘆息する。
「とりあえず、今日の所は一晩 休んで、明日になったら帰りましょう」
しかし、その日の夜、再び事件は起きる。
その夜、二人の若い男女が例の廃屋に来た。
「罰ゲームでこんな所にくるなんてイヤよ」
「大丈夫だって。幽霊なんて出やしないよ」
「でも、この前 ホントに首つりがあったんでしょ」
「ただの偶然だって。
ほら、中に入って、証拠の瓶をとってきて帰ろうぜ」
二人は中に入っていった。
廃屋を進み、食糧保存庫に入り、中の保存瓶を手にした。
その時 後ろから大きな音がして、ビックリして瓶を落とした。
「GUOOOOO!」
闇の中から二メートル近い大男が現れた。
手に鉈を持ち、男の子を突き飛ばすと、
「きゃぁあああ!」
女子の首に縄をかけ、宙づりにする。
女子は暴れたが、しかし すぐに動かなくなる。
「ああぁぁ……」
男子が恐怖で震えていると、大男が鉈を振りかざしてきた。
「GUOOOOO!」
男子は我に返り、悲鳴を上げて逃げ出した。
そのニュースを、朝になってブラインド レディたちは知ることとなる。
メイドは疑念に思う。
「いったい、どういうことでしょう? また犠牲者が出るなんて」
「私たちは何かを見落とした。そのせいで 被害者を増やしてしまったわ。必ず真相を突き止めるわよ」
「でも、どうすれば?」
「幽霊が出るのは夜。そして幽霊が狙うのは女性。ならば、女である私たちが、夜に行きましょう。
自分自身を囮にする」
そして夜になり、二人は廃屋にやって来た。
メイドはヘッドライトを付けて行く。
ブラインド レディは、いつでも敵が現れても良いように、白杖をすでに刀に変えていた。
廃屋に入って、メイドが最初に目についた梵字に似たマーク。
メイドは思う。
「やはり このマーク、どこかで見た憶えがあるんですよ。確かに見たはずなのですが」
二人は進んで行き、食糧保存庫へ。
奥の戸の付いた棚から音がする。
慎重に開けてみると、中にはネズミがいただけ。
「なんだ、ネズミでしたか」
メイドが安堵したその瞬間、ブラインド レディは後ろに斬りかかった。
そこには二メートル近い大男が鉈を振りかぶっていた。
鉈と白杖が激突する。
そしてブラインド レディは、横一線に大男の胴体を切断した。
しかし 手応えがなく、大男の体が一瞬 霧散し、そして再び実体化した。
「この手応えはなに?」
ブラインド レディはその後も、連続して何度も斬ったが、大男はまるで意に返さない。
メイドが、タックルして大男を吹き飛ばす。
「お嬢さま、一旦外に出ましょう」
そして二人は走って外へ向かった。
外に飛び出すと、そこには心霊探偵の二人がいた。
「うわあ! なんだ!? ミッチ! 幽霊だ!」
「違う、マッキー、落ち着け。幽霊じゃない。不動産のお姉さんたちだ」
ブラインド レディは、呆れる。
「あなたたち、まだいたの?」
「お姉さんたちこそ」
そこに大男が大声を上げた。
「GUOOOOO!」
「あれは なんだ?!」
マッキーはカメラで大男をバッチリ捉えた。
大男は廃屋から出てこず、入り口のところで霧散して消えた。
ブラインド レディは呟く。
「出てこない。廃屋から出られないのね」
大男が姿を消したからには、調査することが出来ないと判断し、いったんホテルに戻って再調査することにした。
メイドは、梵字に似たマークをスマホで確認しながら、考える。
「どこかで見たはずなんですよ。それだけは確かなのですが……」
ブラインド レディの方では、
「あの二人、騒ぎをまったく考えてないわね」
「どうされました?」
「さっき撮った映像を、もうサイトに載せている」
ブラインド レディが白杖を操作すると、メイドのパソコンにサイトが表示された。
そこには先程の大男の映像が流れていた。
幸い自分たちの姿は、ほとんど映っていなかったが、危ないところだった。
閲覧数が今日だけで五倍になり、十万人以上が見ている。
コメント欄が凄いことになっていた。
「これを見た人たち、みんな あそこに肝試しにいきますよ」
「そうなるわね」
「早く なんとかしないと」
「とりあえず、私のほうから地元警察に圧力をかけて封鎖してみるけれど、それも いつまでもというわけにはいかない。
なにか解決の糸口を見付けないと。
斬っても死なない能力者。弱点はなにかしら?」
「そうですね。今までにも不死身と思われるような能力者はいましたが、弱点がありました。
なにか弱点は……」
メイドは梵字に似たマークを見ながら考えていると、
「あーっ!」
と 大声を上げた。
「お嬢さま! 思い出しました! このマーク、どこかで見たことがあると思っていたのですが、やっと思い出しました!」
「そう、よかったわ。解決の糸口になりそうね」
「はい。CDショップに行きましょう。もう一度、ジュンイチくんから話を聞く必要があります」
CDショップに再びやって来たブラインド レディたちを見て、ジュンイチは歓迎している様子はなかった。
「お姉さんたち、また来たんだ。でも、怪談話は もうしたくないんだ。帰ってくれる」
「今日は幽霊屋敷の話を聞きに来たわけではないの。音楽の話をしに来たのよ」
「そうか、お姉さん、目が見えないもんね。音楽は少ない娯楽だね。なんでも聞いてよ」
メイドは とある、ヒーリングCDを見付け出して、差し出した。
そこにはイラストの女神の胸もとに、梵字に似たマークが書かれていた。
「このマークと同じ物を幽霊屋敷でも見ました。あれ、ここからとったんですね」
「そ、それは……その……」
「詳しく話して貰えるかしら。いったいどういうことなのか」
ジュンイチは観念して白状した。
「去年の夏休みのことだよ。
従兄が遊びに来たんだ。それで ちょっと悪ふざけをしようってことになって。
あそこの屋敷が、ずいぶん前から廃屋になっていたから、幽霊屋敷の怪談をねつ造して広めてみたら、みんな どんな反応するかなって。
廃屋にこっそり忍び込んで、幾つか怪しげなオブジェとか置いて、それで壁にマークを書いて。カルト宗教に はまっていたような感じを出してさ。
それから 友達に、父親が娘四人と無理心中して以来、幽霊が出るという噂を流して、肝試しに行くように仕向けたんだ。
俺の話を聞いて みんな肝試しに行って、怖かったとか、ホントに幽霊を見たとか話をするのを、内心 作り話を真に受けてるって、笑ってたんだけど。
でも、心霊探偵がその話をサイトに載せてから、話が日本中に広まるようになったんだ。
だんだん不安になってきて、嘘の怪談話をするのは止めた。
でも、怪談が一人歩きしちゃって、とうとう本当に死人が出た。
そんなの有り得ない。あれはただの作り話だ。
幽霊なんていやしない。それなのに なんで本当に出るんだよ」
ブラインド レディは一連の話を聞いて忠告した。
「その話はもうしないことね」
「ああ、もちろんだよ」
ジュンイチは心底 反省しているようだった。
メイドがマークについての調査報告をする。
「廃屋にあったマークは、梵字には存在しませんでした。
おそらくはただの落書きでしょう。わたくしがどこかで見たような気がしたのは、ただの気のせいだったのでしょうか。デジャブとかいうもので」
ブラインド レディも、以前 住んでいた人間の調査を終えた。
「あの廃屋に住んでいた者に、無理心中した家族などいないわ。住んでいた家族の名前も違う。
廃屋になったのは平成になってから。今は売りに出されて、買い手が付くのを待っている状態ね」
メイドは、お嬢さまより先に結論を出す。
「これは、どう考えても 外れです。
首つりは ただの自殺者で、幽霊の目撃情報は ばらばら。ですので、状況からの思い込みによる、錯覚だったとしか」
ブラインド レディも納得した様子。
「まあ、そんなことだろうとは思っていたけれど」
ブラインド レディは短く嘆息する。
「とりあえず、今日の所は一晩 休んで、明日になったら帰りましょう」
しかし、その日の夜、再び事件は起きる。
その夜、二人の若い男女が例の廃屋に来た。
「罰ゲームでこんな所にくるなんてイヤよ」
「大丈夫だって。幽霊なんて出やしないよ」
「でも、この前 ホントに首つりがあったんでしょ」
「ただの偶然だって。
ほら、中に入って、証拠の瓶をとってきて帰ろうぜ」
二人は中に入っていった。
廃屋を進み、食糧保存庫に入り、中の保存瓶を手にした。
その時 後ろから大きな音がして、ビックリして瓶を落とした。
「GUOOOOO!」
闇の中から二メートル近い大男が現れた。
手に鉈を持ち、男の子を突き飛ばすと、
「きゃぁあああ!」
女子の首に縄をかけ、宙づりにする。
女子は暴れたが、しかし すぐに動かなくなる。
「ああぁぁ……」
男子が恐怖で震えていると、大男が鉈を振りかざしてきた。
「GUOOOOO!」
男子は我に返り、悲鳴を上げて逃げ出した。
そのニュースを、朝になってブラインド レディたちは知ることとなる。
メイドは疑念に思う。
「いったい、どういうことでしょう? また犠牲者が出るなんて」
「私たちは何かを見落とした。そのせいで 被害者を増やしてしまったわ。必ず真相を突き止めるわよ」
「でも、どうすれば?」
「幽霊が出るのは夜。そして幽霊が狙うのは女性。ならば、女である私たちが、夜に行きましょう。
自分自身を囮にする」
そして夜になり、二人は廃屋にやって来た。
メイドはヘッドライトを付けて行く。
ブラインド レディは、いつでも敵が現れても良いように、白杖をすでに刀に変えていた。
廃屋に入って、メイドが最初に目についた梵字に似たマーク。
メイドは思う。
「やはり このマーク、どこかで見た憶えがあるんですよ。確かに見たはずなのですが」
二人は進んで行き、食糧保存庫へ。
奥の戸の付いた棚から音がする。
慎重に開けてみると、中にはネズミがいただけ。
「なんだ、ネズミでしたか」
メイドが安堵したその瞬間、ブラインド レディは後ろに斬りかかった。
そこには二メートル近い大男が鉈を振りかぶっていた。
鉈と白杖が激突する。
そしてブラインド レディは、横一線に大男の胴体を切断した。
しかし 手応えがなく、大男の体が一瞬 霧散し、そして再び実体化した。
「この手応えはなに?」
ブラインド レディはその後も、連続して何度も斬ったが、大男はまるで意に返さない。
メイドが、タックルして大男を吹き飛ばす。
「お嬢さま、一旦外に出ましょう」
そして二人は走って外へ向かった。
外に飛び出すと、そこには心霊探偵の二人がいた。
「うわあ! なんだ!? ミッチ! 幽霊だ!」
「違う、マッキー、落ち着け。幽霊じゃない。不動産のお姉さんたちだ」
ブラインド レディは、呆れる。
「あなたたち、まだいたの?」
「お姉さんたちこそ」
そこに大男が大声を上げた。
「GUOOOOO!」
「あれは なんだ?!」
マッキーはカメラで大男をバッチリ捉えた。
大男は廃屋から出てこず、入り口のところで霧散して消えた。
ブラインド レディは呟く。
「出てこない。廃屋から出られないのね」
大男が姿を消したからには、調査することが出来ないと判断し、いったんホテルに戻って再調査することにした。
メイドは、梵字に似たマークをスマホで確認しながら、考える。
「どこかで見たはずなんですよ。それだけは確かなのですが……」
ブラインド レディの方では、
「あの二人、騒ぎをまったく考えてないわね」
「どうされました?」
「さっき撮った映像を、もうサイトに載せている」
ブラインド レディが白杖を操作すると、メイドのパソコンにサイトが表示された。
そこには先程の大男の映像が流れていた。
幸い自分たちの姿は、ほとんど映っていなかったが、危ないところだった。
閲覧数が今日だけで五倍になり、十万人以上が見ている。
コメント欄が凄いことになっていた。
「これを見た人たち、みんな あそこに肝試しにいきますよ」
「そうなるわね」
「早く なんとかしないと」
「とりあえず、私のほうから地元警察に圧力をかけて封鎖してみるけれど、それも いつまでもというわけにはいかない。
なにか解決の糸口を見付けないと。
斬っても死なない能力者。弱点はなにかしら?」
「そうですね。今までにも不死身と思われるような能力者はいましたが、弱点がありました。
なにか弱点は……」
メイドは梵字に似たマークを見ながら考えていると、
「あーっ!」
と 大声を上げた。
「お嬢さま! 思い出しました! このマーク、どこかで見たことがあると思っていたのですが、やっと思い出しました!」
「そう、よかったわ。解決の糸口になりそうね」
「はい。CDショップに行きましょう。もう一度、ジュンイチくんから話を聞く必要があります」
CDショップに再びやって来たブラインド レディたちを見て、ジュンイチは歓迎している様子はなかった。
「お姉さんたち、また来たんだ。でも、怪談話は もうしたくないんだ。帰ってくれる」
「今日は幽霊屋敷の話を聞きに来たわけではないの。音楽の話をしに来たのよ」
「そうか、お姉さん、目が見えないもんね。音楽は少ない娯楽だね。なんでも聞いてよ」
メイドは とある、ヒーリングCDを見付け出して、差し出した。
そこにはイラストの女神の胸もとに、梵字に似たマークが書かれていた。
「このマークと同じ物を幽霊屋敷でも見ました。あれ、ここからとったんですね」
「そ、それは……その……」
「詳しく話して貰えるかしら。いったいどういうことなのか」
ジュンイチは観念して白状した。
「去年の夏休みのことだよ。
従兄が遊びに来たんだ。それで ちょっと悪ふざけをしようってことになって。
あそこの屋敷が、ずいぶん前から廃屋になっていたから、幽霊屋敷の怪談をねつ造して広めてみたら、みんな どんな反応するかなって。
廃屋にこっそり忍び込んで、幾つか怪しげなオブジェとか置いて、それで壁にマークを書いて。カルト宗教に はまっていたような感じを出してさ。
それから 友達に、父親が娘四人と無理心中して以来、幽霊が出るという噂を流して、肝試しに行くように仕向けたんだ。
俺の話を聞いて みんな肝試しに行って、怖かったとか、ホントに幽霊を見たとか話をするのを、内心 作り話を真に受けてるって、笑ってたんだけど。
でも、心霊探偵がその話をサイトに載せてから、話が日本中に広まるようになったんだ。
だんだん不安になってきて、嘘の怪談話をするのは止めた。
でも、怪談が一人歩きしちゃって、とうとう本当に死人が出た。
そんなの有り得ない。あれはただの作り話だ。
幽霊なんていやしない。それなのに なんで本当に出るんだよ」
ブラインド レディは一連の話を聞いて忠告した。
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